戦士たちの非日常的な日々   作:nick

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8時間目 衝撃の事実

 

・前回のあらすじ:

 

姫路さんが自分の料理(っぽいナニカ)を食べて倒れた。

 

 

「こんなのを作ってたんですね私…」

 

気絶から目覚めた後、姫路さんはこれ以上ないってくらい落ち込んだ。

 

「姫路さん…」

「おかしいとは思ってたんです…なにかしらの記念日に、お父さんに手作りのクッキーとかをプレゼントすると顔を青くしてましたし…」

 

姫路さんのお父さん…苦労してるんだろうなぁ…

 

「吉井君たちも…知ってて、黙ってたんですよね?前にお弁当を作りましたから…」

「え?いや…あの…」

 

突然訪ねられて、思わず口ごもる。

 

誰かフォローを――って秀吉にムッツリーニ、露骨に目をそらさないで助けてよ!

 

「言い訳は嘘よりももっと悪くもっと恐ろしい。なぜなら言い訳は防衛された嘘だから。byアレキサンダー・ポープ」

 

違う。違うよ。僕が欲しいのはそういったフォローじゃないよナツル。

ていうかなんでそういう余計なの知ってるの君。

 

「…ごめっ、ごめんなさい…!そんなに気を使わせて…!!」

「ちょっ、姫路さん!?」

「泣ーかした、泣ーかした。せーんせいにーゆってやろー♪」

 

ナツルうるさい!ていうか泣かせたのナツルじゃないか!

 

 

『おい、聞いたか今の』

『ああ…吉井が姫路を泣かせたって…』

『なんて奴だ吉井…クズめっ!』

『吉井コロす。姫路さんのために』

 

 

やばい。聞き耳を立ててたクラスメイト達が殺気立って、黒フードの準備をし出した。

 

「ちょっ、まっ、待って!泣かせたのはナツルだよ!?」

 

 

『なに?瀬能?』

『あいつか…なら納得だな』

『いつも誰か泣かせてるイメージあるもんな』

『この前も騒動起こした他クラスのやつ泣かせてたぞ。パロスペシャルで』

『まあそれは別として吉井を制裁しよう』

『吉井コロす。姫路さんのために』

 

 

僕への殺意が変わってない!?なんで!?

 

「アイされてるネっ」

「ナツル黙れ!」いらないよそんな愛!

 

怒鳴りながら振り返るけど、本人はこっちを向いていなかった。

 

振り返った瞬間に身体の向きを変えたのか、そもそも僕に言ったんじゃなかったのか…後者だとしたらタイミングが良すぎる。

 

「みっ、瑞樹!瀬能の言うことなんて気にしちゃダメよ!料理の腕が悪いなら、改善すればいいじゃない!」

「そうですよ姫路ちゃん!私も委員長として、力になりますから!」

「うむ、自分も力を貸すぞ!」

「皆さん…!」

 

「友情のための最大の努力は、友人に我々の欠点を見せることではない。彼に彼の欠点を悟らせることだ。byラ・ロシュフーコー」

「絶妙なタイミングで割り込んでくるなお前…」←大和

 

このナツルめんどくさい。

 

「…どうせ割り込むんなら少し協力しろ」

 

直江くんはナツルと肩を組むように首に腕を回し、教室の隅に連れていってひそひそ話を始めた。

 

どうでもいいけど、頭から赤い煙は無くなったけど、緑の輪っかと紫の泡(あと目の周りの暗闇)はいまだに存在している。

アレ触れても大丈夫なのかな?

 

 

「……ていうのを彼女に言ってほしいんだけよ」

「オーケーおーけー」

 

なにを吹き込まれたのかは分からないけど、腕を外されたナツルは姫路さんに近寄っていく。

 

彼女を慰めている人たち(みんな女子)は咄嗟に警戒するが、それを気にした様子もなく姫路さんの目の前に立つ。

 

「姫路」

「っ、」

 

「…あきらめたら、そこで試合終了ですよ」

「…!はいっ! そうですよね!『出来ない』で済ませて努力しなかったら、いつまでたっても出来ないままですよね!瀬能さん、私、頑張ります!」

「信じれば、望みはきっと、叶います」

「はい!」

 

 

「うーそーだーよーー!セガなんていらないよー!」

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

姫路さんが再び泣き崩れる。

 

ナツル(こいつ)上げてたたき落としやがった!

 

「ひっ、姫路ちゃん!?泣かないでください!」

「瀬能ー!!あんたちょっと黙ってなさいよ!10分でいいから!」

「絶好調、誰も僕をとめることはできない」

 

慌てて姫路さんを慰めるクラスメイト達に非難されるが、全く気にした様子がない。

 

このナツルホントめんどくさい!早くいつもの調子に戻って!

 

今もまだ紫の泡と緑の輪っかを頭に浮かべている(目の周りの暗闇は消えた)ナツルに、直江くんが怒鳴る。

 

「おぉーい!なにやってんだよお前!なにいきなりアドリブきかせてるの!?」

「人生はどうせ一幕のお芝居なんだから、あたしはそのなかでできるだけいい役を演じたいの!」

「毛皮のマリーかっ、寺山修治の名言使うな!!」

 

君も詳しいよね。

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

 

ガラガラっ「うぃーす」

 

突然教室の入口ドアが開き、ブサイクが我が物顔で入ってきた。

 

「ああ、坂本」

「今戻った…ってなにがあったんだ?」

「あはは…ちょっとね」

 

顔を覆って泣き続ける姫路さんと、それを慰めるFクラスの女子達。

それを遠巻きに見つめる男子達。

 

そして床にうつ伏せになって、ピクピク痙攣しているナツル。

 

「…本当になにがあったんだ。ナツルはどうして気絶してんだ?」

「いやぁ…ちょっと…」

正直に言うと僕も分からないんだよね。

 

なにせいきなり倒れたから。

 

「紆余曲折があってな。一言じゃちょっと説明できない」

 

僕が言い淀んでいると、すかさず直江くんがフォローを入れてくれた。

流石、どこかの問題視とは違うね!

 

「そうか。気にはなるが、もうすぐ清涼祭も始まるから時間がない。…できればナツルにも聞いててほしかったが…まあいい。直江、ちょっと協力してほしいんだが」

「了承」

早っ。即答?

 

「いいのか?俺としては手間が省けるから嬉しいんだが…」

「いや、流石に冗談だ。協力するかどうかは頼みの内容次第だな」

 

「…あまり話す機会がなかったから知らなかったが、お前中々面倒な性格してるな」

「直江くんナツルみたいだね」

「!!?」

 

人生で一番のショックと心外と、屈辱と絶望を受けた。

そんな感情が混ぜられた表情をされた。

 

気持ちは分かるけど、そっくりだよ?

 





■信じれば、望みはきっと、叶います
 かなり昔、木曜の怪談とかいうドラマ番組があって、それの最終回で使われた(と思う)台詞。
 作者が子どもの時の番組だからかなりうろ憶え。

■絶好調、誰も僕をとめることはできない
 ジョジョ第四部。幼少期の吉良が書いた台詞。
 最新作の吉良はかなりいい奴風に描かれてるから、正直ちょっと違和感ある。


※ナツルの状態(時間経過)

混乱・もうどく・暗闇 → 混乱・もうどく → 瀕死

もうどくを回復されなかったのが倒れた原因かと思われる。
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