教室の惨状は気になるが、今は召喚大会に集中しよう。急がないと時間に間に合わなくなる。
パートナーが会長だから最悪不戦敗なんてことにはならないだろうが、遅れて行ったらなに言われるか分かったもんじゃねえ。
「というわけで、いっちょやってみっかぁ」
「悟空か。なにが"というわけ"なんだよ」
そんなことも分からんとは…やれやれ、ダメなやつだ。
「…………」
「どうしたナツル、いきなり真面目な顔して」
「…直江テメー、俺を探しながら客引きもやってたのか?」
気配を殺して機会をうかがってたのか、ついさっき追いついたのかは知らんが、流れる人混みから不穏な雰囲気をした男たちが抜け出して近づいてくる。
周りに人が大勢いたからか直江の相手に集中してたからか…今の今まで全く気づかなかった。いかんな。
『……あの青髪の方……』
『……間違いない……』
『……隣のは……』
『……面倒だから二人いっぺんに……』
周りの雑音に紛れて、小声でなにやら物騒なことを話し合っている。
あまり、歓迎したくない客だな。
「おっ、おい…なんかやばそうなのがぞろぞろと来たぞ…!」
直江が不安げな様子で口を開く。
自衛手段がないから襲いかかられたひとたまりもないだろう。そりゃ安心はできんさ。
でも(多分)お前が連れてきたんだぞ?
「どいつもこいつも殺気だってんな。祭りの最中なんだからもっと穏やかにいけよ」
「本人に言えよ。聞いてくれなさそうだけど…なにか、心当たりはないのか?」
「心当たり…心当たりねぇ……」
うん。
実はある。
《お前一体なにした!?》
表情から何かを察したのか、直江が目で訴えかけてきた。
なので俺も空気を読んで視線で返す。
《昼辺りからかな?なんかやたらと腕のデバイス スろうとする奴らが大量にいてさ。なんでつい、気絶させて金目の物全部奪った》
《おまっ、おーまーえぇぇぇぇっ!!なんてことしてんの!?》
《ついカッとなって》
《カッとなってじゃねーよ!》
《大丈夫だ。人には見られてない》
《なにひとつ安心できねーよ!!》
《人の物を平気で盗もうとしたんだからいいだろ別に。人を殴っていい奴は、殴られる覚悟がある奴だけだ》
《だからって金目の物全部はやり過ぎだろ!そんなのだから色々おかしいって言われるんだよ!》
《いやあ》
《褒めてねーよ!》
なんだ残念。
『しぇあっ!!』
「っ!?」
突然、俺の背後から同世代の男が金属バットを両手で振りかぶり、フルスイグしてくる。
しまった!直江との会話(?)に気を取られている隙を突かれた!
回避を…!ダメだ。避けたら直江に当たる!
「にっ…肉のカーテン!!」
即座に振り返り、打たれる箇所を両腕でガード。
最悪流血もののダメージはこれで防げるだろう。超痛いだろうけど。
ゴッッッ!!
「ヅヅッッ!!」
「あれ?」
予想していた痛みはまるでなかった。
『ぅえ?なんっ…』
襲撃してきた相手も、俺の腕にバットを当てた状態でア然としている。コイツがなんかした訳じゃないのか?
とりあえず腕を突き出しバットを弾く。邪魔だし。
『うわっ!?』驚いて尻もちついたが無視。
無意識に"気"を使ったかー?いやそれならバットが壊れてるはずだ。無傷なのはおかしい。
無傷…そうだ、咄嗟に腕で受けちまったが、借り物のデバイス嵌ってるんだった!壊れてないよな!?
慌てて起動してみる。液晶にヒビとかはないみたいだが…
" バッテリー充電:+18% "
……なんだこの文言。
充電に繋がるようなことした覚えなんて――そういえば些細な振動でも電力に変換できるとか聞かされたな。
え?なに、打撃もオッケーなの?今の衝撃をエネルギーとして吸収した?なにそのインパクトダイアルみたいな活用法。
明らかに一学生の行動を縛るための装置の範疇を超えている。超えすぎてる。珍しいや凄いで済ませていい代物じゃない。
これは…もしや……いや、間違いない!!
「技名間違えた!」パーフェクトディフェンダーだこれ!
急いで銀のマスク製作しなきゃ!
「どうでもいいわ!」
側にいた直江に頭を
長くすると複数のネタが混じってゴチャゴチャ分かりづらくなるからキリの良さそうなところで切ったけど、随分短くなった気がする。
年内を目処にせめて学園祭一日目を終わらせたかったけど無理だなこりゃ。