「話を進めてもよろしいですか?」
高橋先生が口を挟む。
やんわりとした口調だが、クール寄りな見た目と元担任で色々面倒を見てもらったという負い目で、なんか責められている気がして萎縮してしまう。
「これより召喚大会の四回戦を始めますが、今回は少し趣向が変わります」
? どういう事?
「トーナメント表にも書いてありますが、今回の科目は『選択科目』です。普段とは勝手が違いますので、注意してください」
ああ…選択なのか。てかアレでも一応試獣召喚できたんだっけ。
選択科目。
複数ある教科の中から一つを選択して、その分野の物事について学ぶ特殊授業。
大概どこの学校にもあるありふれたもんだ。
しかし前も言ったが
当然選択授業も半端ない。数もそうだが授業内容もな。
全部説明すると長くなるからやめておこう。…項目が確か三十くらいある選択科目って普通ないよ。生徒もそうだけど教師っていったい何人いるんだ?
…話が逸れたな。
まぁつまりだ。それだけ科目が多い授業、担当の教師も別々に存在する。
例えば五人の生徒のうち、一人だけが『武道』を選択していて、立会いの教師が武道の担当だった場合。
召喚獣を喚び出せるのはその一人だけだ。
もし五人全員が別々の科目を選んでたら、立会いの教師が五人必要になる。もう生徒が喚び出してるのか教師が喚び出してるのか分かんねーよ。
そんなわけで試召戦争の時には全く、触れる事さえなかった。
「科目ごとの担当教師いないみたいっすけど、いいんですか?」
「大丈夫です。私の担当は総合科目ですから」
聞けばこの選択科目。試合ブロックごとにずらして行い、その全ての立会いを高橋先生が受け持っているそうだ。この人もようやるわ。
「時間も押してますし、そろそろ試合を始めましょうか。皆さん召喚獣を出してください」
「はい」「了解っす」「分かりました」「かわりに私がナッチと
最後のは聞こえなかったことにする。
お馴染みの掛け声をかけ、お馴染みの魔法陣から、(俺だけ)お馴染みでない召喚獣が喚び出される。
今回も動物タイプか………動物か?
なんか、ギリギリ自分が通れないところに無理矢理体ねじ込んで身動き取れなくなった進化モルモットみたいな見た目してんぞ。
身体の色もピンクと白だし…現物には近いかもしれないが、今回も俺的要素ゼロだ。
まあ写真は撮るんですがね。とりあえずデバイスでパシャり。
カメラ向けたときに気づいたけどこのモルモット、口が 3 の形してた。一気にパチモン臭が。
「ナッチの召喚獣は変わってるな」
「ふむ、興味深いな。ぬいぐるみか?」
いきなりモモさんとその相方がわさわさと無遠慮に俺の召喚獣をいじり倒してくる。ちょっ、あんたらなにしてんね!?
………あ…あっ、ダメ!変なとこ触らないで!
この人たち痴漢です!!
「きもい」
「きもっ、会長!?」予想外なところから口撃来た!
あんたそんなこと言うキャラじゃないだろ!?
ナッツ(召喚獣)に向けていた視線を慌てて移動し隣に立つ会長を見たが、いつもと変わらない無表情で試合開始を待っていた。
「どうかしたの瀬能君」
「え、あ、いや」
もう一度言うが見た目に変わった様子はない。
もしかして今のは幻聴だったんだろうか。最近は慣れない事務仕事とかずっとやらされてたからな。疲れてるのかもしれない。
思わず目頭を指で押さえて天を仰ぎ見る。
Sクラス 三郷雫 純文学 581点
&
Fクラス 瀬能ナツル 音楽 1026点
VS
Sクラス 京極彦一 語学 676点
&
Sクラス 川神百代 武道 1058点
いつの間にか点数が表示されてた。
「モモさんSクラスだったの?」
全く、微塵もそんな要素ねえだろ。キャラ的に。
「うん?ああ。特待生制度でな」
「納得です」心のそこから納得です。
疑問が解決されてスッキリ。
雰囲気が顔に出てたのか、モモさんがみるみるうちに不機嫌な表情になる。
「なんだよー、私は座学の成績もいいんだぞ?」
「はいはい」
自称自称、自演乙自演乙。
実際どうかは知らないけどぜっったい嘘だね。間違いない。
言ったら殺されるから言わないけど。
「川神先輩のことより、私はあなたの方が疑問なのだけど…なによあの点数」
会長が心なしか驚いたような表情(※普段より少し目を見開いてる)を向けてくる。
すごいよね、音楽で千点って。我がことながらちょっと引く。
「なんか、課題でライトハンドやったら先生がくれた」
「トリル奏法(指板上の弦を叩きつけるように押下したり引っ掻くようにして音を出す、を間断なく繰り返して反復する奏法)を拡張したギターやベースの演奏法ね。それくらいなら私も出来るわよ?」
「ハープでだぞ」
「どうやったのよ一体」
俺もよー分からん。
どーして原始的な
副題:ビックリの連続
ハープで『ギュイィィンッ』とかいう音出すの無理だよね。
無理を実現させるのがnick作のナツル君です。
召喚獣はクロノクロスのツマル。人造進化モルモットです。
作者は龍の子派。