戦士たちの非日常的な日々   作:nick

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この主人公強すぎてざまぁできない



44時間目 きょう・きょう・きょうは、きょう。

〜ナツルSide〜

 

 

「くっそ酷い目にあった…」

 

学校からの帰り道、思わず独り言が溢れた。

 

爆発の衝撃で気絶してから、目が覚めたら清涼祭が終わってた。

な・なにを言ってるのかわからねーと思うが俺自身なにを言っているかわからねー。催眠術や超スピードだとかチャチなもんじゃあない、まったく理解を超えた恐ろしい体験を味わったぜ…

 

ていうか誰か起こせよ。せめて運んでくれよ保健室とかにさ。無人の会場の舞台上(石畳み)で起きた時泣きそうになっただろ。

 

清涼祭は三日間やるとはいえ、初日がろくでもないまま終えてしまった。マジ最悪なんですけど。

残り二日で挽回できるかな。

 

「アノ」

 

とりあえず〜…今日の晩飯はどうすっかな。

今からスーパー行くのも面倒だし。

 

「アノチョット、」

 

そうなると家にあるもので適当に済ますか…牛丼でも買ってくかな。

 

「スイマセンスコシジカンイイデスカ?」

 

余談だが俺は肉が好きだ。献立を考えると真っ先に思い浮かぶくらいに。

流石に毎日それだと栄養バランスに悪いから野菜とかもキチンと取ってるけど、一人暮らしで自炊してるとどうしても肉系に偏ってしまう。それくらい好きだ。

 

焼き肉・ステーキ・しゃぶしゃぶ・トンカツ・肉寿司・肉・ローストビーフ・生姜焼き・肉・肉・豚の角煮・肉・チキンなんば肉・肉肉肉肉肉にくにくにクニクニくニクニクニクニク

 

「アノ!」

「はい?」

 

後ろから肩を掴まれ強引に振り返される。

 

外国人風で20代くらいの女がイラついた表情で立っていた。

 

「ヤットキヅイテモラエタ…アノ、オネガイガアルンデスガ、イイデスカ?」

「はあ?…」

 

いきなりなに言ってんだコイツ。

初対面で得体の知れない奴の頼みをなんで俺が聞かなきゃいけねえんだよ。お人好し(いいんちょ)あたりにでも言えや。

 

と言ったところで納得してはくれないだろう。お願いとやらを聞くまで解放するつもりもなさそうだ。これお願いという名の脅迫だよね。

 

ため息を吐きそうになったが我慢する。

それでも表情には出てたのか、肩に置かれた手に力が込められた。

 

今日は厄日か。

 

「…内容だけ教えてもらっていいすか」

 

このままだと肩の骨を外されかねないので、仕方なく下手(したて)に出る事にした。

 

 

 

――この時、俺は間違いなく油断していたのだろう。後になってそう思った。

 

 

 

「アっ、ハイ!ソノ、ブシツケナノデスガ」

「いいから早よ言え」

下手に出ようと思ったけどさっそく無理そう。

 

コイツの片言喋り、聞いてたら腹立つんだもん。三年の生徒会副会長(センパイ)と違って。

 

案の定俺の言い方にムッとした様子を見せる金髪女。

それを隠そうともせずに言葉を続ける。

 

「ソノ、アナタノウデノキカイ。ホシイデス」

「はぁ?」

今なんつったコイツ?

 

腕の機械?桐条先輩に付けられた、このダークブルー色の高性能デバイス(そういや返し忘れたな)の事か?

 

「馬鹿言うなよ。なんで見ず知らずの人間にこんな見るからに高価なもんやらなきゃなんねーんだよ」しかもタダで。

 

いやっ違っ、けして言い値を表示されたら渡すって訳じゃないぞ?借り物だし。

 

……そもそも外せないし。

 

 

「ソコヲナントカ」

「無理だ」

「オネガイシマスヨ」

「しつけえな。いい加減はな せ 」

 

 

掴まれた手を振り払おうとした瞬間、俺の意識は脈絡なくブラックアウトした。

 

「…ま、渡しても渡さなくても結果は変わらないんだけどね」

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

 

「………う…」

 

 

ゆっくりと意識が覚醒する。

 

 

『どうだ、調子は?』

『ダメだ。やっぱりどうやっても外せない』

『ハッキングも難しいですね、専門の機材を使わないと取っ掛かりすらつかめません』

 

同時に聞き覚えのない声で、よく分からない言葉の会話が耳に入ってくる。

英語か?これ。今俺どんな状況なんだ?

 

『打つ手なし、か…』

『腕に付いてるだけにですか?』

『バカ、冗談言ってる場合か』

 

HAHAHAHAHAHA!と外国人特有の笑い声が響く。

 

 

ちょっと整理しよう。

 

自分の状態は…パイプイスっぽいのに無理矢理座らされてるな。両腕を別々に拘束されて。

右手はイスに手錠で繋がれていて、左手は机のような台のようなものの上に鎖で固定されている。

その腕に装着されてるデバイスからはなんかコードが伸びていて、その先はパソコンに繋がっている。

 

なにしてるのか超気になるけど一旦置いといて。

 

現在いる場所は…どっかの廃工場?すっごい荒れてて汚くて寂れた施設だってのは分かる。

 

そしてそんな俺そっちのけで色々作業してる特殊部隊の隊員が着てそうなスーツ姿の外人たち。

 

 

うん。

俺、拉致られたっぽい。

 

映画みたいな状況だ…

 

 

『ハロー、調子はどう?』

『っ、…おまえか』

 

男だらけの空間に、軽やかな様子で女が一人やって来た。

あれは…気絶する前、俺に話しかけてきた奴だな。

 

『なによ。まだ終わってなかったの?もう夜も遅いんだから早くしてよね』

『簡単に言ってくれる…そもそもおまえの仕事は終わってるんだから、先に戻ってもいいんだぞ』

『そうもいかないわ。顔を見られてるもの』

 

女は黒スーツの男たちの中でもリーダー格と思われる人物と親しげに喋っている。当然英語で。

二か国語話せるとかスゲーな。俺は日本語で手一杯だ。

 

『白々しい…わざと素顔を晒して接触したんだろう?変装でもすればよかったじゃないか』

『確実に成功させるにはアレしかなかったのよ。昼間の連中がどうなったか知ってるでしょ?』

『まあ…な。正直こうまで手こずるとは思わなかった。さてどうするか…』

『そんなに難しく考えなくてもいいんじゃない?その子のを切り落として腕ごと持ってきましょうよ』

 

女の何気ない一言でざわっ、とあたりにどよめきが走った。

会話の内容は分からないがなにやら雲ゆきが怪しくなってきた様子。

 

『腕ごとっておまえ…』

『証拠隠滅も兼ねて、その方が手っ取り早いでしょ?遅くなると色々騒がれて厄介よ』

『…とか言って、恐怖で泣き叫ぶ顔が見たいだけじゃないのか。この前も任務中に一人壊して死なせただろう』

『否定はしないわ。この子、よく見たらかわいい顔してるし。きっといい声で泣いてくれそう』

 

さらりと髪を撫でられる。

鳥肌立ったわ。寝たふりするのも限界かな。

 

『サディストめっ』

『失礼ねぇ。どっちにしても始末はしなきゃダメよ、あなたたちも顔を見られてるんだから』

『なにっ!?』

『気づいてなかったの?この子、とっくに目を覚ましてるわよ』

 

触れるだけだった手にいきなり力が入り、上方向に引っ張られて無理矢理頭を上げされる。

 

いてーなコラ。思わず女を睨みつけたらにんまりと笑顔を返された。

 

『オイオイなんてこった…!本当に起きてるじゃないか!』

『見知らぬ場所で拘束された状態で目覚めて、悲鳴どころか身動き一つ取らなかったのかよ…どういう神経してんだコイツ』

『あと数時間は意識が戻らないはずじゃなかったのか?』

『今までの奴らはそうだったけど、この坊やは違ったみたいね。耐性でもあるのかしら?』

 

"だったらむしろ不幸よねー"(まったくわからない台詞)と楽しげに呟きながら、女は髪を引っ張ったまま俺の顔に自分の顔を近づけてくる。

 

「これからなにが起きると思う?」

英語ではなく日本語が囁かれた。

 

「あなたの左腕を…そうね、肩あたりから切断するの。きっとすごい痛いだろうけど、がまんしてね?」

「…………」

「あいにくここにはナイフぐらいしかないから、終わるまで何度も何度も刺したり切ったりするでしょうね。こんなことになるならもっと鋭くて大きな刃物を用意しとくべきだったわ。ゴメンなさい」

 

女はまったく悪びれた様子のない笑顔で喋り続ける。

 

俺が一言も口を開かないからびびってると勘違いでもしてるんだろう。

 

 

「オイ」

「…?なにかしら?」

「今すぐ手錠を外して俺を解放しろ。んで、ジョジョ園の焼き肉弁当買ってこい。そしたら許してやる」

「………は?…」

 

ぽかんとした表情で固まる女。

いい加減手を離せや。

 

「聞こえなかったか?手錠外して肉買ってこいっつってんだよ。日本語分かるだろ」

会話は成立してる筈だが…なんか不安になってくるな。

 

?急に髪を掴んでいた手が離されたぞ?

 

それだけじゃなく、女は片手で自分の顔を隠すように覆い、よろよろと後ろに二・三歩退がりだす。

 

『…ぷっ、アハッあははっ、あはははハハハハハハッ!!』

 

いきなり狂ったように全力で笑い出す。

 

その様子に周りにいた奴らもビックリしてドン引きだ。

 

『お…オイどうした急に』

『こっ、この子、こんな状況なのにっ…アハハっ、今すぐ自分を解放したら許してやるですって!』

『ハァ?』

 

今度は特殊工作員な男たちが呆けたように固まる。

 

そして一拍置いてから巻き起こる大爆笑。

 

 

『ハハハハハッ!腹イテー!!』

『頭のネジが飛んでるんじゃないかコイツ!』

『強がりにしても大胆すぎるだろ!』

 

 

やっぱりなんて言ってるかは分からない。

 

それでも馬鹿にされてるのは何となくわかる。テラ腹立つ。

 

しかし、そんな笑い転げる奴らの中、真面目な表情で俺を見つめる者が一人。

 

 

『……』

『隊長?どうかしたんですか?』

『いや…何故か、ちょっと前に再会した知り合いの傭兵のことが頭をよぎってな』

 

 

やっぱり何喋ってるかわっかんねえなあ。

でもあのおっさんだけは他とは違うみたいだ。記憶の片隅にでも覚えておこう。

 

 

「で、どうすんだ?」

「アンタバカァ?いえバカよね。それともそれが日本人の特性なわけ?お気楽で平和ボケしてて…自分は絶対に安全だと思ってるんでしょう?」

「その台詞は、" No "って意味だと受け取っていいのか」

「ったりまえでしょバーカ!!今すぐアンタの腕を切り取って、少年好きの変態オヤジにでも売り飛ばしてやるわ!その余裕がいつまで続くか楽しみねぇっ!?」

 

女はケラケラと高笑いを響かせながら、喜々としてナイフを取り出す。

 

あんまり質はよくないみたいだ。自分の装備にくらい気を使ってほしいな。

 

 

しかしそうか…交渉は決裂か。できれば穏便に済ませたかったんだが…

 

しょうがねえな。

 

 

 

「ホット・リミット」

 

 

 

ほん とう に しょう が ねぇ なぁ ?

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

〜美鶴Side〜

 

 

ヴゥッ ヴゥッ ヴゥッ ヴゥッ ヴゥッ ヴゥッ

 

「、っなんだ!?」

 

自室でくつろぎながら今日上がった報告書を読んでいると、突然携帯が鳴り出した。

 

いや、これは地震災害を知らせるアラーム?どこかで発生したのか?

 

とっさにテレビをつけたが、それらしい情報はどのチャンネルも報道していない。

 

 

ヴゥッ ヴゥッ ヴゥッ ヴゥッ ヴゥッ ヴゥッ

 

 

その最中も携帯からずっとアラームが鳴り続けている。一体なぜ…?

とりあえず、携帯を操作してみよう。

 

 

パンッ、パンパンッ、

 

 

『クソッダメだ!やっぱり銃弾が当たらない!!』

『なんだよあのバケモノ!!聞いてねえぞ!!』

 

 

起動させた瞬間、いきなり銃声と英語の怒声が響き渡る。

 

「なっ、」なぜロックの解除もしてないのに通話モードになるのだ?

 

私の混乱をよそに電話から聞こえる状況は切迫したものを強制的に伝えてくる。

 

 

『にっ逃げろ!手に負えない!』

『ダメだッ、完全に囲まれてる!火の勢いが強い!!』

『ハッハッハッ、どこへ行こうと言うのだね?』

 

 

英語で交わされる会話の中で、それほど大きくないはずなのにはっきりと聞き取りやすい日本語が飛び込んでくる。

 

この声は…瀬能か?だとするとこれは彼の腕に着けられているデバイスからの通信か?

 

そういえば回収し忘れていたが、それがいったいどうしてこんなことに?

 

 

『ヒィッ、く、来るな…こっち来んなよぉ!』

『なんだよ、その顔。そんなに怯えなくったっていいじゃぁないか。傷つくだろ?』

『来るなぁぁぁぁァッッ!!』

 

パンパンッパンパンパンッッ!!

 

『俺は繊細なんだよ…』

『ヒィィイイィィッッ!』

 

ぼキっ、

 

『ギャァアアあアアアアッ!!!?』

 

 

木の枝でもへし折ったような音と共に、男の悲鳴が上がる。察するに瀬能が発砲した人物の骨を折ったのだろう。

 

 

『あぁ〜…最高だ。じ・つ・に・気分がイイ。ここ最近溜まりに溜まったストレスが発散されていくようだ…』

『ピゲッ!!グミャ!!やッヤベボッ!!』

 

 

呟きとともに飛び込んでくる打撃音。

 

学園では聞いたことのない生き生きとした後輩の声に、思わず冷や汗が流れる。

 

 

『慣れない事務仕事(つくえさぎょう)。急に呼び出されてからの頼みごと(むちゃぶり)。口に入れたら状態異常起こす手料理(どくぶつ)会長の命令(けんりょく)、ダメージフィードバック、幼女、てめえらみたいなバカども、ウォウオウウォウオウウォウオウウォウオウあーもーめんどくせえ、めんどくせえめんどくせえめんどくせえ!パーティーはどこだよ!!文化祭中だろぉ!?』

 

 

重い打撃音は続いているのに、悲鳴の方は発せられなくなってきた。

気絶したのか…考えたくないがまさか死――

 

 

『ふ…フレッド…フレッドォッ!!』

『安心しろよおっさん、"まだ"生きてるから』

 

 

会話の後に、ぶんっという風切り音。それに少し遅れて重い荷物でも落としたような音がした。

おそらくフレッドという人物を放り投げたのだろう。

 

 

『記念すべき初めてを適当にはできないからな』

『ヒッ!』

 

 

今までと全く違う音程の声。これは女性のものだ。

 

 

『や…イヤ……やめて…来ないで…!』

『つれないな。アンタが連れてきたんだろ?ほら、そんな隠れてないで出てこいよ』

『イヤっ許して、あやっ、謝るからっ!』

『おせーよ』

 

「イヤっ」だとか、「ヤダッ」とか、「イダイィ」といった涙声に混じって、机や椅子などの軽くて硬いものを蹴り飛ばす音や重い何かを引きずる音が響く。

 

『ヒック、ック、も"ゔ、ゆ"る"じで、アヅィ、』

『泣けば許してもらえるとか思ってんのか?腕ちょん切るとか変態に売り飛ばすとか散々好き勝手言ったくせに』

『あ"や"ま"る"がら"ぁ"ぁ"な"ん"でも"がっであ"げる"がら"ぁ"ぁ"』

『だから遅いって。ちゃんと聞いただろ?チャンスってのは一度しかないんだよ。自分は絶対に安全だとでも思ったか?』

 

 

これまでの経緯がおぼろげにだが読めてきた。

 

瀬能はこの英語で話す人物たちに拉致されたのだろう。彼らの狙いはおそらく、瀬能の腕に付けている試作機…

 

私のミスだ。

少し考えればどれだけ危険か想像できただろうに…戦闘力の高さのみでテスターに選んでしまった。

その結果こんな事態に。

 

 

『メアリ、悪魔だ、悪魔の力を使え!』

『や"っ"でる"ゔぅ"ぅ"ぅ"ぅ"な"ん"でぎがな"い"の"ぉぉ"ぉ"ぉ"ぉぉ』

『あぁ?効かない?あの一瞬で昏倒させる謎パワーか?一度喰らった技は二度喰らえねぇなぁ』

『そんな…!生身の一般人がドルミナーを無効化するなど、不可能のはずだぞ!』

 

悪魔?ドルミナー?こいつら、只の産業スパイじゃないのか?

 

 

『さて意外かもしれないが―――』

 

 

不意に、空気が変わったのが分かった。

その場にいないのにゾッとするほど冷たいものに。

 

『俺は今まで一度も人を殺したことがない』

『…あ…あっ…ああ……!!』

『喜べ、おまえが一人目だ』

『やだ、イヤ!死にたくない!!』

『あーあー、いい大人がそんな顔しちゃって…涙と鼻水で化粧もぐちゃぐちゃだ』

『あ"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"、あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"!!!』

『メアリー!!クソッ、待て!』

『心配するな』

 

 

 

『どこに出しても恥ずかしくない、立派な最期の顔(デスマスク)を作ってやる』

 

 

 

いかん!このままでは人死にが出る!

しかも瀬能のこの口ぶり、とびきり惨たらしくやる気だ!

 

ガタンッ、

思わず、座っていたイスが倒れる程の勢いで立ち上がった。

 

どうにかしなくては。

 

つい最近親しくなった1つ年下の後輩。厄介ごとばかりで可愛げのない男子だが、不真面目ながらも真剣に物事に取り組む姿に不思議と他人をひきつける魅力を感じた。

 

彼を人殺しには決してさせられない!!

 

 

「瀬能っ待て、早まるな!」

 

そう携帯電話に向かい話しかけようとした瞬間、遠くからウー…とサイレンの音が聞こえてきた。

 

 

『――!…消防か、意外と市街地に近かったのか?』

 

誰だよ通報なんてしやがって…無粋な奴がいたもんだ。等という呟きとともに、今まで声から感じられていた寒気がするような雰囲気に熱が戻ってくる。

 

 

『萎えたわ。…いつでもリベンジしに来てくれていいぜ。ただ、一番の席は早い者勝ちだ』

 

 

その言葉を最後にブツッという音がして、沈黙が訪れる。どうやら通話が切れたようだ。

 

…………

 

一方的、嵐のように過ぎ去っていった展開に、しばらく呆然と立ち尽くすことしか出来なかった。

 




・ホット・リミット
 使い所が難しいナツルの新技その1。状況から炎を扱うと思われるが詳細は不明。
 技名の由来は某グループの楽曲。

強、侠、今日は、狂。
普段は抑えているけどうちのナツルくんのヤバさはモモさんの比じゃないです。

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