女子だとピ●チ姫なのにうちのこがやったらさながらスネ●ク…いや殲滅してるからダイハ●ド?
〜ナツルSide〜
お・は・よ・う・ご・ざ・い・まーす。
ヘローヘリネズミ。瀬能ナツルです。
なんか違うな。
拉致騒動から一夜明けて翌日。何事もなく俺登校。
何事もなくとは言ったが、問題が全く無いわけじゃない。軽度なものから上げていこう。
まず一つ。鞄をなくした。
昨日の夜家へ歩いて帰ってる途中で気づいた。多分監禁場所―――ちなみに町外れの廃工場だった。誰が消防車呼んだんだろう―――に置いてあったんじゃないかと思う。
犯人捜査されたらめっちゃヤバい気がする。中に入ってる物に俺の名前書いてあるし。
拉致の被害者だけど放火の加害者だからな…警察来たらどうしよう。自衛行為で納得してもらえるかな。
二つ目。昨日の朝から何も食っていないこと。
拉致られて超暴れて疲れたから、家についたら思わず眠っちゃったんだよね。起きたら玄関でうつ伏せに横たわってたよ。
しかもがっつり寝たからか…危うく寝坊しかけた。起きたの始業時間ギリギリだったわ。
慌てて身支度を整えて―――燕尾服のまま寝たから速攻制服に着替えた―――学校まで走って来た。身体のあちこち超痛え。
故に今朝は飯抜きだ。
そしてよくよく思い返してみると学祭初日。昼は食いっぱぐれ、朝は即死ドーナツを口に入れただけ。
胃の中に入れたのがあの劇物のみと考えると最悪の気分になってくる…気分はブルーだ。
俺の髪の毛の色みたいだね!
そして栄えある第一位は?フッフッフ、ダラララララララララララ…
「グバァッ!?」
つい今しがた口にしたブツから昨日のドーナツと同じ味がすることだよ!!
「ナツルーーーー!!?」
「昨日に引き続きまた倒れたぞ!」
「ごふっ…、空きっ腹にこの扱いは効く…!」
完っ全に油断してた。寝起きと昨日の疲れで警戒心が仕事サボって危険に気づかなかったぜ…
朝一・教室で出される試作品・口に入れてからの転倒って完璧昨日と同じ流れじゃねーか。なにこれルーティーン?
「た……
地面と友好を育みたいとわがまま言う身体に鞭を打って立ち上がり、犯人を捜す。
クソッちょっと力抜くとまた倒れそうだ…!
「ハイッ、私が作りました!」
姫路がなぜか勢いよく返事をした。
やっぱり犯人はおまえかバーロー。そんな気はしてたよ!
「テメー、なんてもん食わせてくれんだ…自分の料理スキルがどんなもんか、知ってんだろ…!?」
おぼろげだが俺が糾弾した記憶があります。火サス(※火曜サスペンスの略)のごとく。
崖の上で刑事の代わりに死神が周り囲んでたけど。
「はいっ、知ってます!」
「……じゃなんで作ったんだよ」
気合いたっぷりの返事にイラッとする。
まだだ、まだ…ぶん殴るのは待とう。
せめて弁明を聞こう。
「料理の件は…本当にショックでした。今までずっと、美味しく食べてもらってると思ってたので」
「ひどい思い込みだな」極刑に値するレベルだ。
見た目と性格の良さで積み上げられたポイント全部ブッ込んでたから、周囲の被害者もなにも言えず昨日まで隠し通してこれたんだな。
ゲスの俺はそんな優しさ全くないけどねっ!
遠慮のかけらもない言い方に姫路はショックを受けた表情を、周りの人間たちは非難するような目を向けてくる。
「はぅっ、…そっ、それでですね。昨日一晩、あまり眠れなかったからじっくり考えたんですっ」
「…なにを?」
そこはかとなく嫌な予感が…
「ハイッ、私、決めました!絶対に瀬能さんをぎゃふんと言わせる料理を作るって!」
「想像しうる中で最悪な結論出しやがった!!」なんでそうなる!?
俺個人を指名って余程じゃねーか!糾弾か、糾弾したからか!?
一口食べただけでぶっ倒れるんだぞ、ぎゃふんなんて言えるわけねーだろ!殺す気か!?
「私、こんな気持ち初めてですっ、なんか…メラメラと高ぶってますっ!」
「テメーなに闘志燃やしてんだ!?」
「料理は気合い!」
別のとこで使えやその気合いぃ!一撃必殺技でも放つ気か!
間違ってもこんなキャラじゃなかっただろこの子。出会った当初のヒロイン感はどうした、どこ置いてきた。どこで落っことしたんだ。急いで拾ってこい。
「絶対…ぜっったいに成し遂げてみせますっ!」
「その意気よ瑞樹!」
「姫路ちゃん、ガンバってください!」
決意を固める少女にクラスメイト(女子)がエールを送る。
他人事だと思って無遠慮に煽りやがって…かけらでも口に入れてみろよ。それでもまだ応援できるか?
高校生活はあと二年弱。卒業が先か俺が死ぬのが先か…転校か中退をしない自信が全然無い。
まあ、とりあえず。
「成績優秀って設定のその頭に…味見って言葉と意味を擦り込んでこい!!」
「ぽもッ!?……ょぐゃッッ!!」
「ひ、姫路さーーーーーんっ!!!」
残ったクッキーを口にねじ込んでやったら謎の悲鳴をあげて教室の床にぶっ倒れた。
自分でも耐えられないものをどうやって作ってんだコイツ…
☆ ★ ☆
ザワザワガヤガヤざわざわがやがや…
清涼祭二日目が始まってからしばらく経ったのち、まだ朝だというのに学園内は見知らぬ一般人であふれかえっている。
姫路をぶっ倒した後、召喚大会の時間が迫っていたのですぐに教室を移動した。
その際なぜか大和や坂本が話しかけたそうに手を伸ばしていたみたいだが、無視して駆け出した。
俺なんのためにクラスに顔出したんだろう。
あ、ちなみに大会は勝ったよ。とくに変わった事もなかったから省略したけど。
次は準々決勝か。なんだかんだ言って結構勝ち上がってしまった。
そろそろ負けてもいいかな?面倒になってきたよ。
「まぁそんなことより…」
朝飯だ!
いい加減空腹なんだよ!怒りで誤魔化すのも限界だよ!
腹の虫がならないのが不思議なくらいだよ!
「許可ももらったしどこかで飯にするか」
美鶴先輩にもきちんと言ったからアラームが鳴ることもないだろう。
電話した時はなんか深刻そうな雰囲気だったけど何かあったのかな。
最高学年ともなると色々あるんだろう。生徒会長だし。
それともブルーデイ?
「こっこから近いのは〜…農耕部の出し物かな」
とにかく腹減った。屋台もいいけどせっかく時間ができたんだから腰を落ち着かせて食事がしたい。
早速店に行き
内装はあまり金かけて無いみたいだな…まぁ部活で使ってる部屋を使ってるみたいだから、無理に凝る必要はないか。元々マ◯ー牧場みたいな見た目だし。
ただ匂いがちょっと家畜臭い。生徒会の視察で誰も行きたがらない訳だよ。(大概俺と南條先輩が見回る。唯一の男と野生児だから)
「いらっしゃい。ご注文は?」
「えーっと…」
適当な席に座りメニューに目を通す。
…なんかこれおかしくない?チーズやヨーグルトなんかの乳製品が肉より二倍以上高い値段書いてあるぞ。
まぁ注文するのは決まってるからいいけど。
「ステーキ一つ。いや二つで」
「えっ…」
――――カツーン…
店員がショックを受けたような顔でメモ用のボールペンを落とした。
「ステーキ…食べるんですか…?」
「え、いや。メニューにあるし」
「………そう、ですか………」
呟くように小声で返事をして、落ちたボールペンをそのままにふらふらと立ち去っていく。
なにこれ。なんなんだこの状況。なんかよくわからないけどものっそい怖いんだけど。
……店員が去っていった隣の部屋から会話が聞こえてきた。
――おい山田、どうした?顔色悪いぞ。
――…肉の…オーダーが入った…
――なっ…ホントか!?
――ああ…
――そうか…だから…くそッ誰だ、肉なんて頼みやがって!
――しょうがないよ。メニューに載せちゃってるんだから…
――しょうがないっておまえ…!共進会(※全国和牛能力共進会:和牛の能力と斉一性の向上を目指して開催される大会)に一緒に出るんだって張り切ってたじゃないか!いいのかよ!?
――よくないよ!いいわけないだろ!?でも…仕方ないじゃないか…!俺のわがままで部の伝統を曲げるわけにはいかないんだ!
――っ、…くそッ!なんだってこんな…飲食店で、注文を取った奴が育ててる牛を捌くなんて残酷な事させるんだ……!!
――…ンモー
――花子…ごめん……ごめんな…!せめて、美味しく食べてもらえるよう、頑張って料理するから…!
「すいませーーーんやっぱりさっきの注文無しでーーーー、この手作りチーズケーキくださーーーい」
後味悪いわ。食事前なのに。
通りでこの店俺以外の客がいない訳だよ!
前回との落差が酷い。