戦士たちの非日常的な日々   作:nick

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48時間目 D4C 〜いとも容易く行われるえげつない行為〜

〜ナツルSide〜

 

 

・学園長室近くの廊下

 

 

とくになにをするでもなく、廊下の壁に背を向け身体を預け、立ったまま虚空を見上げる。

 

 

本来なら召喚大会の試合をしているところなんだが、会場に向かってる間に会長から連絡が入った。

 

なんでも対戦を予定していた相手が救急車で運ばれて不戦勝になったとか…

 

ちょっと気になったので詳しく調べてみたら、理由は重度の食中毒らしい。

まさか姫路のヤツじゃ……!と咄嗟に思ったが、事件現場は2-F(うち)ではない。

 

被害者は部室棟の、文化系の部活が出してる店で倒れたとかなんとか…絵の具でも調味料に使ったか?なんてな。

 

 

ともかく、思いがけずヒマになった俺は何をするでもなく、こうしてぼーっと次の試合まで時間を潰しているのである。

 

といってもまだ一時間以上あるよ。美鶴先輩も俺のこと忘れているのか連絡(見回りの催促とか)も無いから好き勝手にサボってたんだが…

 

「流石に飽きたな」

 

さてどうしよう。

昼飯にはまだ早いし…(そもそも腹減ってない)寝るのもちょっとな。去年やったし。

 

いい機会だから出店回って遊んでくればいいんだが、一人だと味気ない。八方塞がりだ。

 

 

「あ!やっと見つけたぜナツル!」

 

 

――咄嗟に身を翻した。

 

 

「はいストーップ。私たちだよー」

「え?ああ、なんだ。島津と椎名か」

脅かすなよ全く。

 

「いや俺さまとしては声かけただけで窓から逃げようとしたおまえの行動にびっくりなんだが…」

 

なんで俺躊躇なく窓に向かったんだろう。

 

気づいたら冊子に足をかけて前のめりに体を外に出した状態。

ル●ンでももうちょっと選択肢多いぞ。

 

 

「で、どうしたお前ら。なんかあったのか?」

 

窓枠に腰掛け…ようとしてやっぱり廊下に降り立つ。ゴツゴツして痛いからね。

 

島津の台詞からして俺を探してたのは間違いないだろう。

 

「ああ「いや」!そうだナ「やだ」ツル!ちょっと「ムリ」頼みがある「NO(ノウ)」んだけどってオイ!まだ内容言ってすらねーのに断わんなよ!?」

「のっけから飛ばしてるねぇー」

 

だって嫌な予感するんだもんお前らの頼みごと。

 

「別にクラスがどうとかって訳じゃないんだろ?」

「うん。困ってるのはプロレス研究部」

 

プロレス研究部?確か武闘派の部活の中じゃそこそこデカイ団体だったな。

 

「お前無所属じゃなかったっけ」

部活や委員会などに属してない奴を、生徒たちはまんま無所属と呼んでいる。

 

「プロ研に所属してる奴と選択科目が一緒でよ、そいつと仲良くなったんだ」

「さよけ」

 

僕音楽の授業で仲良しとかいないからからワカーンなーい。

 

「そのプロ研が出し物で『M-1グランプリ』ってのやってるんだけどよ、それがちょっとまずい事になっちまってよ」

「M-1グランプリ?」

 

漫才でもやってんの?どこが何やってるとかはぶっちゃけ全く知らないんだよな。

なんの略なんだ?

 

 

(M)スク狩りナンバー1グランプリだ」

「お前らバカだろ」

 

 

なんでそんな企画考えたんだ。

 

そしてなんでそんな企画通ったんだ。誰が通したの?

 

「俺さまに言うなよ…で、そのM-1なんだけどよ。本来なら部の奴が優勝して終わりにするはずだったんだけど部外者、しかも学園の外の一般人が勝ち上がっちまったらしいんだよ」

「ふうん」割とよくある展開な気がするけど。

「で、まずいと思ったプロ研の奴らが今必死にその部外者を引き止めて一人づつ挑戦してるんだけどよ、強すぎててんで歯が立たねーんだ!」

 

なんと。それは凄いな。

 

さっきそこそこと言ったが、それはあくまでもこの学園内の話。

他校に行ったら即エースになれるぐらいの実力はあるはずだ。

 

俺やモモさん?大会出禁レベルですがなにか?

 

島津(おまえ)は?」

「やったんだけどよ…恥ずかしい話触れることもできずに負けちまって」

 

うーむ…聞きはしたけどぶっちゃけ、こいつの戦ってるとこ見たことないから実力がよくわからん。

 

けど確か神月ランキングで上位とかなんとかだったはずだから、そこそこ強かった。はず。

それを触らせず、かつ怪我一つさせないで勝利したってことは、相当な実力者なんだろう。

 

「て訳で頼む!ナツル!負けた時に学園で一番強い奴を連れて来るってつい相手に言っちまったんだ、俺さまの顔を立てると思って試合に出てくれ!」

 

両手を合わせてギュッと目をつむり「この通り!」と本気の様子で頼み込む島津。

 

腹芸ができるタイプじゃないのは知ってるからポーズ通り本気で困ってるんだろう。仲間思いの奴だからな。

その点は好感が持てる。

 

 

だが断る(cv.神谷浩史)」

「なんでだよおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!?」

 

うるさい黙れ。当たり前だろうが。

逆になんで承諾してもらえると思ったんだよ。

 

 

「一応最後まで聞いてやったけど、結局はプロ研の奴ら一人勝ちを狙ってたんだろ?」

 

外部公開一般参加を謳ってるのに、部員の優勝って半ば八百長じゃねえか。嫌いなんだよねーそういうの。

 

「そうだけどよぉ…」

「優勝した一般人もインチキしたってわけじゃねえんだろ?」相手に怪我させないって紳士的な対応取ってるみたいだし。その証拠に島津は無傷。(どうやって勝ったんだ?)

 

「自分たちが実力不足だったって事で諦めるんだな」

「いやでもっ、今回の結果次第じゃ廃部もあり得るって言ってたんだよ!」

 

 

いいじゃねえか別に。

 

 

確かウチの学校、プロレス系の活動してる団体20くらいあっただろ。少しは減らした方がいいって前々から思ってたんだよ。

 

「そもそもマスク付けるっつっても外見で誰が立つか丸わかりじゃねーか」俺以外の男子生徒で青髪の奴なんていないぞ。フルフェイスでも被れってか?

「それなのに俺に出ろって?なるべく決闘挑まれないように目立たず過ごしてるのに?お友達のためなら俺はどうなってもいいのか?」

「ううっ…そっ、そう言われると……」

 

お前ひどい奴だなと蔑んで見つめると、島津は居心地悪そうに狼狽える。

 

つーか俺ってば島津氏の友達じゃなかったらしい。地味にショックだ。

そっちがその気ならいいさ、なんかあったら真っ先に切り捨てるから。

 

 

「まーまー瀬能、ガクトも悪気があって言ったんじゃないんだよ」

いままで黙っていた椎名がいつもと同じ、気楽な風で口を開いた。

 

「ただちょっと熱くなっちゃったってだけで。とりあえずこれでも飲んで、落ち着こう?」

「なんで疑問系なんだよ…貰うけど」

 

差し出された水筒に遠慮せず口をつける。ちょうど喉が渇いてたんだ。

 

 

「………なにこれ、なんか変な味するんだけど……生肉みたいな…。しかも妙に青臭くてどろっとしてるし、中身はなんなんだ?」

「ミキサーでペースト状にした川神草」

 

ブウッ!!

 

「うわっきたねぇ!?」

 

衝撃の回答に口に残ってた分を吹き出してしまい、島津が被害を受けた。

 

「なんてもん飲ますんだテメェ!?」

 

 

説明しよう。川神草とは?

 

見た目はちょっと幅広い葉っぱで真ん中に人面みたいなシミがある、川神特有の植物だ!

食感は普通の葉物野菜だけど肉のような味がする。しかし人によっては様々な副作用が出るので、食用するのはあまりオススメしないぞ!

 

 

「スムージーにするな んなもん!!」

 

いかん、髪伸びてきた!

俺がこの草食うと副作用で性転換するんだ!(冷静に考えるとなんだこの副作用…)

 

「『瀬能ナツル』じゃなくて『冴島タイガ』なら、目立っても大丈夫だよねー」

「はぁ!?」

 

冴島タイガは俺がこの状態(女姿)の時に使ってる仮の名前だ。

 

このタイミングでそういう事さらっと言うってことは…初めから狙ってやがったな!

 

 

「なぜだ!そもそもなぜお前が島津の手助けをする!?」

ずっと引っかかってたんだ!

 

最初見たとき「珍しい組み合わせだな」とは思ったが、コイツは昔からの仲間だからって理由で協力するような奴じゃないはずだ!

 

「夏の大型イベントで荷物持ち」

 

買収!?

 

「そんなもんで俺をはめたのかテメェ!」

そんなもの?1975年の12月から今日(こんにち)まで開催され続けられて2013年では3日間で約59万人の一般参加者が押しかける同人誌を中心としてすべての表現者を許容し継続することを目的とした表現の可能性を広げる為の「場」でありやおいの先駆けとも言えるイベントがそんなもの?本気で言ってる?

 

 

椎名さんこーわーいーよー、光なき眼で見つめるのやめて?精神が不安定になる。

 

コイツのこんな長台詞初めて聞いたんだけど…圧も凄い。

つかそこまで詳しく熱弁しといて最後に出てくるのがやおいってなんだよ。腐ってんなコイツ。

 

そして今のやりとりの間に変身が完了してしまった。服のあちこちがぱつんぱつんで苦しい…

あと島津の卑猥な視線に晒されて大変不快。

 

 

「……この姿になったからって俺が素直に出場するとでも?」

 

絶対に何か考えているだろうけど、あえて挑発的な台詞を使う。

 

川神草の効果は約一時間…何度も服用して耐性が付いたのか、それとも習慣性がもともとあったのか、初めは戻るのに一日かかっていたが、だんだんと効き目が長続きしなくなってきている。

 

いつもはいつ効果が切れるかとヒヤヒヤしてるんだが今回は好都合だ。男に戻るまでどこかに隠れているのも一つの手だな。

 

「西野ますみって子知ってる?」

 

椎名は変わらぬ口調と無表情面で答える。

 

それは質問の内容とマッチしていない。しかし明確に何をするかがよくわかる答えだ。

 

どんなに忘れっぽくても、印象に強く残ってしまって中々忘れられない事がある。

誰しも経験あるだろう。"嫌なこと"はいつまでも記憶に残り決して消えてくれない。

 

俺が西野ますみと言う名前を知っている…いや覚えているのは、つまりそういうことだ。

 

 

「あの子に冴島タイガの正体を明かされたくなかったら…どうすればいいかは分かるよね?」

「…きっとあなたみたいな人間がキリストを売ったんてすよねっ」

 

嫌味たっぷりの返事を返しながら、イベントリからある物を取り出す。

 

 

やっぱり逃げてりゃよかった…学祭始まってからロクな目にあってねえな俺。

 

 

 




■だが断る
 言わずと知れたジョジョの露伴先生のセリフ。cvまで完璧に再現出来るナツルくんは正直異常。

■きっとあなたみたいな人間がキリストを売ったんてすよねっ
 這い寄れニャル子さん。ニャル子が主人公に言ったセリフ。


この前戯れで同サイトに掲載されてる作品読んだんですが、とあるポケモンの二次創作物に出会った時 上には上がいるって思いました。

へドロみてーな病みを心に抱えてる主人公がおらっしゃられましたよ…なんでスペックが常人並なのにあそこまでぶっ飛べるんだろ…
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