戦士たちの非日常的な日々   作:nick

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今回は特にスポットを当てる人物がいないので人物データは無しです


4時間目 野郎に向ける愛などない

翌日。ナツルはいつも通り一人で登校していた。

 

天候は晴れ。穏やかな春の陽射しが温かく降り注ぎ、爽やかな風が吹き抜けていく。

今日はいいことありそうだ…ナツルはそう思った。

 

 

「瀬能。ちょっとこい」

「はい?」

 

学校の校門に到着した途端、呼び止められた。学園で生徒指導を担当している教師(独身)だ。嫌味ったらしくてほとんどの生徒からは嫌われている。

 

その面持ちを見る限り、彼に『いいこと』が訪れるのは当分先らしい。

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

 

〜ナツルSide〜

 

 

「直江ヤマトぉおおおッッ!!」

 

ドガッゴゥッ!!

 

「ばゃらずっ!?」

 

勢いよく教室の戸を蹴りやぶり、中に押し入る。

その際蹴っ飛ばした戸が名も知らぬクラスメイトに激突したがそれは些細なことなので取り敢えず無視するとしよう。

 

「そこを動くなぁあああ!!」

 

席の最後尾、窓ぎわでゴリラ(※島津)たちと雑談してたであろう標的を見据えると、左腕を水平に伸ばしラリアットの体勢を作る。

 

あとはこれを喉元につきたてりゃ俺の目的は達成される。壁まで…いや壁をぶち破ってふっ飛べ!

 

 

「吉井ッ!!」

「(がしっ)ん?」

 

ゴッ!!

 

「ゴブッ!?」

 

単体で決まるはずだったクォーラルボンバー。しかし途中で島田に腕を掴まれ吉井の頭に叩き込むツープラトンに変わった。

 

「あ、瀬能。おはよう」

「いや順番おかしくないか?」

 

たとえ挨拶が先でも今の行動は普通ありえないけどさ

 

 

 

「ナツル、俺になんか用があったんじゃないのか」

「え?あーえっと……」

直江の問いかけに思わず口ごもる。

 

えーっとなんだったかな……さっきのやつのインパクトでど忘れしちまった

 

 

「あんた昨日、ウチに器物破損の罪をかぶせたでしょ!おかげで『彼女にしたくない女ランキング』の3位になっちゃったじゃない!」

 

向こうでは島田が吉井にむかって怒鳴り散らしている。争いのタネってのはどこにでもあるんだな

 

ってそうだ思い出した!

 

 

「 直江テメー、昨日の廊下破壊犯を俺にでっちあげやがっただろ!!朝から呼び出し食らっちまったじゃねえか!!」

 

あのクソ教師、「お前はいつかやると思っていた」だの「これだからFクラスは…」だのねちねちねちねち言いやがって。ウザってえったりゃありゃしねえ!だから結婚できねぇんだよ!

 

個人的に一番ムカついたのはFクラスの〜のくだりで思わず殴りかかりそうにーーーてそんなのはどうでもいい。話がそれたな

 

 

 

 

「仕方ないだろ。全員落ちてたなら老朽化ってことでうやむやにできたのに、お前一人だけ落ちなかったんだから」

悪びれもせずたんたんと説明をする直江。落ちなかったんじゃなくて飛び登ってきたんだけど

 

「それとも真実を話した方がよかったか?ワン子が気を飛ばして壊したって」

 

「え?それは……」

 

………………………………………………………………………まあいいか。

 

朝からちょっと不快な気分にさせられた以外は『常識を問われたくないランキング』の1位になったくらいでとくに被害はでてないし。ランク1位も遅かれ早かれなってただろうから無問題だ

 

決して、妹分的なワン子を気遣っているとかそんなことはない。断じてない。そこんとこ勘違いしないように

 

 

「おいコラ直江、テメーなににやにやしてんだ。ぶん殴っぞ」

「いや、ナツルのそういうところゲンさんにそっくりだなと思って」

 

意味がわかんねぇし。誰だよゲンさんって

 

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

 

昼休み。

 

「う゛〜あ゛〜〜」

午前中のテストがすべて終わり、吉井は机に突っ伏した。

 

「もうつかれたよ~…帰って休みたいなぁ…」

「勝手にすりゃいいだろ。困るのはてめーだけだけどな」

「ナツルその言い方は愛がないよ…」

 

野郎に向ける愛などないわ

 

「よっし、学食に飯でも食いに行くか。みんなはどうするんだ?」

「わしも行こうかのぉ」

「……(コクコク)」

「弁当持ってきたけど白米が恋しいから俺も行く」

「あっウチも行っていい?」

 

坂本の台詞に秀吉・土屋・島田が同行の意を示したので、ついでに俺も乗っておく。

 

直江たちは…いないみたいだな。先に学食に向かったか?

 

 

「それじゃ僕もソルトウォーターを…」

 

それ普通に塩水だろ。

 

 

「あ…あのっ!」

 

一斉に移動しようとしたが、それに待ったをかけるように姫路が大声を上げた。その手にはどう見ても鞄には入らなそうな重箱が。

 

「昨日の約束通りお弁当作ってきたんですけど…」

「えっホント?!」

「ご迷惑でしたか…?」

 

明久がすごい勢いで反応したため、姫路は一瞬ビクッと怯える。しかしすぐに怖ず怖ずと聞き返してきた。

 

「そんなっ迷惑だなんてとんでもない!ねっ雄二」

「ああ、試召戦争もあるのに。悪いな」

「いえそんなっ。あの、瀬能さんもよろしかったら…」

「いいのか?」

「はいっ、…でも瀬能さんお弁当持ってますよね…」

「いやこれは――」

 

言いながら持っていた包みを解き、弁当の蓋を開け中身を見せる。

 

かぱっ

 

「なにこれ、全部サンドイッチじゃない」

覗き込むように中身を見た島田が思わずそうもらした。

 

「あんたさっき白米が恋しいとか言ってなかった?」

「そういう日もあるさ」

 

人は皆矛盾を抱えて生きているのだから。

 

「ちなみにこのサンドイッチ、一個だけ生わさびをたっぷり入れたやつが混じってる」

「えぇっーーなんで!?」

「口に入れた瞬間とんね●ずでたまにやるモジモジくんみたいなことになるぜ」

「だからなんで!?」

「これ自分で食べるために用意したんでしょ!?どうしてそんなリスクの高いことをするの!?」

「俺の肉体と精神は時たま所持者の意思を離れて行動するからな…」

 

意識はあるはずなのに訳の分からんことばかりする。

 

多重人格とかじゃないんだろうが、原因は不明だ。精神科の医師にもサジを投げられた

 

 

「…そっ・そうじゃ、どうせ弁当を食うなら屋上で食わんかの?」

しばし微妙な空気が場に流れる中、それを払拭しようと木下が口を開いた。

 

「そ…そうねっ、そうしましょ?」

「じゃあ先に行って場所を確保しといてくれ、…飲み物買ってくるから」

 

どんなことを言えばいいか分からない。そんな感情が読み取れる程困惑した顔で提案に乗る一同。

 

 

こいつら結構いい奴なんだな

 

 

「坂本、一人じゃ持ちきれないでしょ?ウチも手伝うわ」

「あっ俺も行くわ。好きなもん買いたいから」

 

弁当箱を抱えて二人のあとに続く。

 

 

 

「…どうでもいいがお前や吉井たちは君付けなのになんで俺だけさん付けなんだ?」

「それって瑞希のこと?…そう言えばなんでかしら?」

「まだ完全に心を開いてないんじゃないか?それで無意識にさん付けになってるとか」

「軽くへこむなそれ…」

 

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