兄貴、見守る。 作:キュウリ大好き人間
謎の石研究会の集まり
薄暗いある研究室の中で、レオ、ガイル、ルイの3人が集まり、静かに机を囲んで話し込んでいた。
机の上に置かれているのは、周囲の暗がりに反して妖しくも美しく、七色に光り輝く謎の鉱物。
その石を睨みつけるように、レオが眉をひそめて、太い腕をがっしりと組んだまま低く唸るのだった。
「この謎の石は何なんだ……何も反応しないな」
科学的な測定器を何度も通したにもかかわらず、一切のデータを弾き出さない鉄塊のような静けさに、レオが諦め混じりに口を開いて呟く。
すると、その重苦しい沈黙を破るように、すかさず明るい声で反応した男がいた。
「はい! 反応しないですね。でも、これ食べれるんじゃないですか?」
研究大好きな男、ルイだ。
ルイは机の上の謎の石に顔を近づけると、上から見たり、横から覗き込んだり、まるで新種の高級食材でも品定めするかのような手つきで、突拍子もない提案をあっけらかんと答える。
「なに? この謎の石が食べられるのか? 確かに美しく七色に光ってはいるが……ただの石じゃないのか? そもそも、リゼルさんの家は凄い事になったんだよな? この石は普通だな……」
それを聞いたガイルは、怪訝そうにその謎の石を見て低く唸った。
そして、かつてリゼルの身に起きた、あのIGOの歴史さえも揺るがしかねない重大な出来事を思い出し、複雑な表情で再び石を見つめて呟いた。
ガイルの脳裏には、あの時のリゼルの圧倒的な姿と、彼の周囲で巻き起こった常識外れの現象が鮮烈に焼き付いていたのだ。
あの凄まじい事件に比べれば、目の前でただ静かに光っているこの石の欠片は、あまりにも静かで、普通すぎる存在に見えていた。
「謎の石って言っても、ただの欠片だろ? だから何も起きないんじゃないのか?」
最初の唸っていた男、レオが腕組みを解き、冷静な口調で二人に答えた。
大きな本体から無理やり引き剥がされた一部だからこそ、本来持っているはずの真の力やエネルギーが完全に休眠状態に入ってしまっているのではないか、とレオは推測したのだ。
「なるほどな。欠片だけなら何も起きないのか……。それにしても、本当に綺麗だな……」
ガイルは納得したように深く頷くと、興味深そうに目を大きく見開き、そしてどこか嬉しそうな表情を浮かべながら、手元で妖しく輝く綺麗な欠片を見つめて呟いた。
「じゃあ……これ、一回食べて見るのはどうです? ただ綺麗に輝く石に見えますけど……何もわからないんじゃ、今後の話し合いも進みませんし。何なら、俺がいくつか持って帰って、何か分かったらお二人に話をしましょう」
ルイは机の上の欠片を何個か器用に手のひらに乗せると、レオとガイルの顔を交互に見つめながら、危険を顧みない好奇心に満ちた目で静かに提案を持ち出す。
美食屋や再生屋とも違う、純粋な研究者としての狂気が、ルイの口元を嬉しそうに緩めさせていた。
「なるほどな……。ルイ、お前こういう感じの研究をしてたっけ?」
レオが、ルイのその異常なまでの探究心に対して少し意外そうに眉を動かして問いかけた。
「はい! してます。こういう謎に満ちた感じの研究、大好きなんですよ。家でもいろいろな研究をしてますから」
ルイは誇らしげに胸を張り、楽しげな笑みを浮かべて頷きながら答える。
未知の物質を自らの体で試し、そのデータを蓄積することこそが、彼の最高の喜びだったのだ。
「いいだろう。その実験結果次第で、また集まろう。その時はまた、少し人数も増えるだろうしな」
レオがこの場を締めくくるように、重みのある声で二人に話す。
この謎の石の調査が進めば、さらに多くの協力者や、裏で動く重要人物たちがこの研究室に引き寄せられることになるだろう、という予感があった。
それを聞き、ガイルとルイも満足そうに深く頷き返した。
こうして、謎の七色の石を巡る、レオ、ガイル、ルイによる一回目の集まり会は静かに幕を閉じるのだった。