「たーのもー」
MeeKingのドアを空け、入ってきた存在は真珠色のサイドテールをたなびかせる少女。その胸は豊満であった。
店には常連と店員しかおらず、少女が奇異の視線にさらされることはなかったのだが、それが少女にとっては不思議でしかなかった。
また随分と面白そうな子が入ってきたなぁと何処か他人事とばかりにボケっとしてレジに立つ地柩セト。その胸は豊満であった。
フツさんとお話しようと思ったら兄と呼ぶ存在に危機感を覚え一戦している天儀ドロシーとフツ兄と仲良さそうな人とファイトできて楽しい人刹マリカ。その胸たちは豊満であった。
「貴女が元十二位のセトさんで合ってる?」
あからさまに店のものですと言わんばかりな格好のセトに近づき、ニヤニヤとあざ笑うようにも見える笑みを浮かべながら
そんな少女に対して殺意に似た視線を送る祇浄ユウキ。その胸は平坦であった。
「うん、私は地柩セト。その認識で合ってるよ。君は?」
「あたしは
「っ━━! そっか、君が……」
何処か剣呑な雰囲気が漂う中、バックヤードの方から一人の青年━━我等が茂札普夫が現れた。その筋肉は豊満であった。
「店長、このカード登録されてな「おにーさん……?」えっ?」
『え゛っ』
「おにーさん! やっぱりおにーさんだ! あたしのこと覚えてる!? 覚えてるよね!」
「えっあぁ、リオちゃん……だったよな?」
先程までの人を小馬鹿にしているように見えた少女の態度は鳴りを潜め、良くも悪くも年相応な情動に身を任せる少女に圧倒される普夫。
両手を顔の辺りまで上げるハンズアップ――降参の構えを取りつつ、同志を前にしたオタクのように早口かつ相手の事をあまり考えないあっちへこっちへ飛ぶ会話術を披露する少女を慈しむ様な視線を送る。
「そうだ、前は
「! 見たい!」
「そっか。店長、そういうことなんで奥のスペース借りますね?」
そうセトに告げ奥に行こうとする普夫。しかし返事がなく、不思議に思い振り返るとセトだけではなく、この場にいた常連の全員が自分の方を見ているのだから困ったもの。
ひとまず少女が帰るまで相手をしている事と帰ったらその辺りの事情を話すと約束を取り付けられ、なぜこんなことになったのか疑問符を浮かべながら奥のスペースに消えていく。
「ムニュって……ムニュってなるくらい押し付けてた……チクショー」
「マリカちゃん、何か知らない?」
「んーん、フツ兄あんまり外でのこと話してくれなかったから~」
「幼馴染……! これは、もっと攻めなくちゃ、です!」
「ところで何のためにうちに来たんだ?」
「……なんでだっけ?」
「もう一ついいか?」
「なあに?」
「なんで膝に座る?」
「――えへへ、ナイショっ!」