七時の権兵衛作切り光短編集   作:七時の権兵衛

3 / 3
こうなったら覇手と魔王に会っててもおかしくないよね

「たーのもー」

 

 MeeKingのドアを空け、入ってきた存在は真珠色のサイドテールをたなびかせる少女。その胸は豊満であった。

 店には常連と店員しかおらず、少女が奇異の視線にさらされることはなかったのだが、それが少女にとっては不思議でしかなかった。

 また随分と面白そうな子が入ってきたなぁと何処か他人事とばかりにボケっとしてレジに立つ地柩セト。その胸は豊満であった。

 フツさんとお話しようと思ったら兄と呼ぶ存在に危機感を覚え一戦している天儀ドロシーとフツ兄と仲良さそうな人とファイトできて楽しい人刹マリカ。その胸たちは豊満であった。

 

「貴女が元十二位のセトさんで合ってる?」

 

 あからさまに店のものですと言わんばかりな格好のセトに近づき、ニヤニヤとあざ笑うようにも見える笑みを浮かべながら十二聖座(ラスール)に関わることであると情報提示する。

 そんな少女に対して殺意に似た視線を送る祇浄ユウキ。その胸は平坦であった。

 

「うん、私は地柩セト。その認識で合ってるよ。君は?」

「あたしは現(・)十二位、加藤リオ」

「っ━━! そっか、君が……」

 

 何処か剣呑な雰囲気が漂う中、バックヤードの方から一人の青年━━我等が茂札普夫が現れた。その筋肉は豊満であった。

 

「店長、このカード登録されてな「おにーさん……?」えっ?」

『え゛っ』

「おにーさん! やっぱりおにーさんだ! あたしのこと覚えてる!? 覚えてるよね!」

「えっあぁ、リオちゃん……だったよな?」

 

 先程までの人を小馬鹿にしているように見えた少女の態度は鳴りを潜め、良くも悪くも年相応な情動に身を任せる少女に圧倒される普夫。

 両手を顔の辺りまで上げるハンズアップ――降参の構えを取りつつ、同志を前にしたオタクのように早口かつ相手の事をあまり考えないあっちへこっちへ飛ぶ会話術を披露する少女を慈しむ様な視線を送る。

 

「そうだ、前は夜疾猟団(ナイトレイダー)のストーリーについて話してたけど、その続きというか、行き着いた先の存在がいるんだよ。見る?」

「! 見たい!」

「そっか。店長、そういうことなんで奥のスペース借りますね?」

 

 そうセトに告げ奥に行こうとする普夫。しかし返事がなく、不思議に思い振り返るとセトだけではなく、この場にいた常連の全員が自分の方を見ているのだから困ったもの。

 ひとまず少女が帰るまで相手をしている事と帰ったらその辺りの事情を話すと約束を取り付けられ、なぜこんなことになったのか疑問符を浮かべながら奥のスペースに消えていく。

 

 

「ムニュって……ムニュってなるくらい押し付けてた……チクショー」

「マリカちゃん、何か知らない?」

「んーん、フツ兄あんまり外でのこと話してくれなかったから~」

「幼馴染……! これは、もっと攻めなくちゃ、です!」




「ところで何のためにうちに来たんだ?」
「……なんでだっけ?」
「もう一ついいか?」
「なあに?」
「なんで膝に座る?」
「――えへへ、ナイショっ!」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

災禍に祈りは届かない(作者:天都ダム∈(・ω・)∋)(原作:俺の切り札は光らない)

 Life最大の祭典、<シリウス>につながる大一番。▼ 秋のプロアマ混合大会、フォーマルハウトの決勝戦。▼ 若干十二歳で王手をかけた名門の天才、花守ハオリに対峙するは、▼ 【百命】が八十六位、五十嵐レンジ。▼ 後々まで語り継がれる激戦を見守る邪悪な双眸に、まだ気づく者はいない――――。▼「……え? あたし? モブだよモブ。だって全然、かんけーない…


総合評価:1097/評価:8.53/連載:4話/更新日時:2026年07月27日(月) 17:00 小説情報

IFルート ~早期にリナ先輩と接触ルート~(作者:oota)(原作:俺の切り札は光らない)

IFとして、ドロシーちゃんが体験入部に来る前の頃に。▼荒れていた時期のリナ先輩が気まぐれで部活の様子を見に来て、部員達に喧嘩売ったら普夫くんが買って。その結果仲良くなる話。▼ツイッターで見たジグ部長ルートについての話題から、このIFルートについて想像し、楽しそうだと思い書きました。▼リナ先輩良いよね……という個人的な思いを燃やして書きました。▼本作品では一部…


総合評価:749/評価:7.88/短編:13話/更新日時:2026年09月20日(日) 09:00 小説情報

店長のレガシーカードが別のカードだった妄想(作者:恒河沙)(原作:俺の切り札は光らない)

全5話予定。▼主にカードショップMeeKingを舞台にした日常編となります。▼ファイト? そんなもの、うちにはないよ…。▼この作品は原作のネタバレを含みます。▼この作品は"雨 唐衣”氏原作の「俺の切り札は光らない」の二次創作となります。▼ハーメルン作品URL_https://syosetu.org/novel/380950/▼レガシー編までのネタバ…


総合評価:37/評価:-.--/連載:4話/更新日時:2026年09月28日(月) 20:02 小説情報

転生したら周回向けの☆1生徒なんだが (作者:きゃしゃーん)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

俺は周回に向いてるだけの雑魚。ガチャで言うと星1のモブでしかない……なのに主人公不在で、本来の原作を知ってるのは俺だけってマジですか?


総合評価:793/評価:8.56/連載:6話/更新日時:2026年09月13日(日) 07:49 小説情報

OVA:共鳴を使わない男を、共鳴最強の世界三位にぶつけてみた(作者:檻@102768)(原作:俺の切り札は光らない)

 共鳴最強の世界三位。▼ 対するは、エニグマを握るモブ。▼ 望むカードを引き寄せる者。▼ 望むカードを引かずとも、勝ち筋へ辿り着く者。▼ 共鳴という奇跡が実在する世界で。▼ その頂に立つ共鳴使いへ、共鳴を使わない男が挑む。▼ これは、奇跡に祈らない男のエキシビションマッチ。▼※フツオくんのエニグマで、共鳴最強の世界三位に挑む番外編です。▼※一話は導入。▼※二…


総合評価:17648/評価:9.18/連載:29話/更新日時:2026年10月03日(土) 18:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>