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「二号機。今けーったぞ!」
「なにも工房長が自分でテストしなくても」
「ケジメってやつよ。キッス家だけじゃなくてポーの家も呼んだしな」
ゼット・ライトがオーラバトラーを操り機械の館へ帰還した。
ビランビーをベースにした試験型の二号機で、大型オーラコンバーターの試験用である。コンバーターの砲口と両腕に付けた銃口が共に煤けており、射撃試験を行って来たものと思われる。
「やっぱり正面だとコンバーターに搭載すんのが一番安定するな」
「弾薬の最大搭載量も増えますしね。メインの用の火器はここでしょう」
「火力重視のロングバレルのオーラキャノン、当て易い大口径オーラバルカン、安定型のフレイボムの三案ってとこか。これに腕の火器は逃げた敵に合わせ易いってのを考慮すると、最終的な組み合わせが決まって来るな」
二号機は後から仕上がったが、面白い事に完成はこちらが先のようだ。
ビランビーより上でありさえすればいい、撃ちまくれるドラムロ乗りが不満を覚えない程度あればいい。その水準で固定化しているので、後は火器の理想的な配置を探るだけだ。ひとまず完成系までこぎつけ、一号機で得られた成果を組み込んで第三世代機として完成させれば良い段階まで仕上がっていた。
「腕にバルカンを装備が確実でしょう。そうなればやはりフレイボムですか」
「それでドラムロの後期型とおんなじだからな。精鋭ならキャノンでもいいが」
「まずは完全な上位互換の量産機。キャノンは聖戦士用の案でしょうかね」
「んなところだろ。全身にバルカンとランチャー配置とか面白いけどな」
二号機がそのまま採用されるならフレイボムを主に、バルカンが副だろう。
正面に対する突撃時に余裕のあるフレイボムを撃ちまくり、相手が避けたらバルカン系で追撃を掛ける。あるいは数機で攻める際にバルカンで弾幕を張り、足を止めたり逃げる相手にフレイボムで片を付けるという流れだ。米軍パイロットであったトッド・ギネスの意見次第だが、反対されるほどの意見ではあるまい。
「第三世代機にする際に一から作り上げるとして、他に何かします?」
「大型コンバーターは分割できる。そこからどう進化させるかってとこだな」
「まずは分割化させずに強化するか効率化……は要らないですか」
「今の装備案は二門で一対だから分けて問題ないだろうよ。二分割で強化するか、更に正副へ分けて特殊な移動を可能にするか、さもなきゃ外付けでちょっとした武器を追加くらいだな。一号機で得られる成果は本体へ採用するから、今はどうしようもねえ」
若い鍛冶師の質問にゼットは分割型コンバーターへと話題を移した。
これは大型コンバーターを幾つか試す過程で得られた知見で、中型の物を一対で使う案が完成したのだ。武装の二門一対案は元から存在しており、これに吊られる形で『どうせ一対稼働用の配線を組見み込むなら』と試してみたわけだ。出力自体は大きく変わらなかったものの、半分ずつ完成させることで製造が容易くなったり、各パーツの調整がし易くなるのが分かったのである(偏向ノズルならぬ副コンバーターもその一つ)。
「では中型コンバーターを可能な限り大型化するので一つ目ですね」
「今のやつに副器付けるのは聖騎士用だろうな。となると武装は一般兵か」
「単純に武装が増えれば戦い易そうですしね。とはいえ余裕はないですが」
「まずショットクロー。次にオーラランチャーを単発、できれば双発ってのが精々だろうよ。それ以上は外付けじゃ無理だし、中に入れたら主武装のフレイボムを圧迫しちまうぜ」
ここまでくると改良にも限界が出て来るのは当然だった。
分割型コンバーターは正常に機能するか分からないので、中型にしてどちらか片方でも飛べるようにしている。その機能を省くわけにはいかないし、フレイボムを主兵装にしたのならば撃てる数は可能な限り多い方がいい(熱暴走で引火しない工夫も必要)。となると出来ることはそのまま大きくするか、さもなければ副器を添え付け、あるいはコンバーターの上にちょこんと載せるのが限界であった。
「ミの国の攻略も終わりましたが、今から改修してみますか?」
「三号機もあるし閣下が戻られるまでに時間もねえ。クローでも頼むわ」
「そのくらいなら何とかなると思います。三号機は調整以前ですからね」
「そいつを何とかするのが俺らの仕事ってやつよ。ま、今日・明日動かす代物じゃないからってのもあるけどな」
試験型の開発中にミの国を攻略し終わっていた。
原作自体がアッサリ描写だったので順調なのかよく分からないが、ドレイクのスケジュールが調整し易くなると見分する可能性が出て来るだろう。先行した一号機は色々と武装を試しているだけであり、二号機もそろそろ仕上がるというのは伝わっているはずだ。三号機は急遽でっち上げた急造品であり、ドレイクは知らない筈なので何かの拍子にやって来かねなかった。
「よう、ミュージィ。少しいいかい?」
「あら、工房長。ごきげんよう、精が出ますわね」
「三号機が気になってな。背中の
「良い音が出るようにはなりましたわね。思うように動かせておりませんが」
ミュージィ・ポーが調整する三号機と呼ばれた存在は異様であった。
ビランビーの上半身だけが置かれており、コックピットはむき出してそこに仏塔のような装備が繋がれている。よく見るとそれらは複数のオーラコンバーターであり、三対六基のコンバーターが陳列されていたのである。三重塔に見える姿を見て、ショットが
「そうか。無理はしないでくれ、ショットの奴に申し訳が立たねえしな」
「そうさせてもらいますわ。ですが普通のオーラバトラーよりは、あの方のお役に立てます。それに何よりこの操縦装置は私にしか動かせませんもの」
三号機が異様なのはそれだけではない。
むき出しのコックピットには様々な装置が添えられているが、もっとも異様なのはシンセサイザーのような鍵盤状の調整装置である。それぞれが各計器の微妙な上げ下げを担当し、異なる音で変化をミュージィに伝えている。音楽家である彼女の為に音の種類や質こそ調整しているが、はた目からはどんな事をしているのかまったく分からなかった。
「改めて言うまでもねえが、最も重要なのはオーラの流れを理解する事だ」
「心得ておりますわ。あの方の研究が進むという事が重要なのですよね」
「そうだ。どの計器が反応しているか、何をすればオーラを移動させられるか。それを理解できることは大きな意味を持つ。戦闘に参加することなんか目じゃねえ。他のオーラバトラ0に乗ったり、三号機を実際に動かすことよりも解明が重要、ショットへ送るデータを少しでも集めてくんな」
ミュージィの食いつきが妙に良いのでゼットは釘を刺す事にした。
ザっと原作を覚えているに過ぎない転生者としては、この時期はミュージィの一方的な片思い。原作ではしばらく先にオーラが高いから戦士になる事を要請され、ただの愛人として扱われるよりも、ショットの為になりたいと思っていた事など知らなかったのである。
「オール! ピピ! お前ら、姉ちゃんの面倒見てやれよ! この計画はミュージィさえ無事なら幾らでもやりなおせるんだ。徹夜で仕事してたら眠らせろ、機体の反応が怪しければ安全な距離まで下がらせろ。死ぬよかマシだからな!」
「「はい!」」
ここには相性の調査目的でミュージィの家族も連れてきている。
オールとピピという弟たちがおり、ゼットは彼らに細々とした雑用を任せていた。警護だとか戦う時は一緒に乗るとか任務が無いではないが、その辺りは専門家に任せた方がよいものだ。そういう意味では父であるペンチが周辺警戒を担当し、今も部下を連れて哨戒しているところだった。
(家族だから相性はいい。家族間でも差があるし、おそらくは最高の相性でもねえ。この事が分かっただけでも大した進歩だが……オーラバトラーに二人乗りはやっぱキツイよな。ウイングキャリバーに乗った状態で発揮できるかを試すか……フォウの構造をパクればいけるだろ。ダーナ・オーシーやボゾンはドラムロのパクリだし、こっちがフォウをパクっても構わねえだろうよ)
ポー家の者たちを見ながらゼットは思案を巡らせる。
ミュージィは一流のオーラバトラー乗りになり得るし、音楽による貢献やらショットとの信頼を考えれば聖戦士並みの扱いをしても良いだろう。そこに家族まで含めるかは別の話だが、待遇を良くするという意味では悪くはない。とはいえ戦闘力を担保するのであれば、配分を考える必要があった。
(合体ついでに浮遊装置とコンバーターの一部を移すとなればバラウじゃ無理だな。開発中のズロンを元にして、オーラキャノンもこっちに持たせるか。二機合体モードでロングバレルのオーラキャノンによる狙撃を担当。敵が近づけば分離して離れるか、オーラランチャーとオーラバルカンで迎撃するってとこかねえ。いや、護衛用ってんならそれこそ、こっちにオーラバルカン山盛りの駆逐仕様ってのも悪くはねえなあ)
ゼットは現実的な男だったので、ロマンと実用を分ける事にした。
現状のコンバーター六基などまともに稼働するとは思えないし、疑似発生装置や浮遊装置などもガラバ等のテストのために付けているだけで、そもそも単独飛行できるオーラバトラーには不要である。だから三号機から不要な部分やオーバースペックな処を移し、完成し易くすると同時に護衛用としても機能し易く処理していったのだ。
「工場長。どうなさったのですか?」
「馬鹿! 何かお考えなんだ。邪魔するな」
「ちょうど考え終わったところだ。てめえらにやるウイングキャリバーをよ」
「「本当ですか!?」」
オールとピピに話しかけられたところでゼットは思案を切り上げた。
どうせこの場で設計できるわけではないし、今の自分が思い付きに動かされているという自覚はある。一度切り上げて頭を冷やし、現実的に整え直す。その結果が最終目標に向かって居れば問題ない。そんなところがゼットにはあった。
「よいのですか? 弟たちにまで専用機を用意していただいて」
「構わねえよ。どうせバラウより大きなのを設計してたし三号機にも必要だ」
「三号機にもですか? それはどのようなウイングキャリバーなのでしょう」
「今のままだと完成にゃあ程遠い。だからデータが取れたところで一部をウイングキャリバーに移す。このまま時間をかけるよか、合体した時に最大の力を出せるようにすればてっとり早ええだろうよ」
最初は申し訳なさそうだったミュージィだが途中から食いついて来た。
画期的ではあるがまともに機能しないと思われているのが三号機である。黄色いアゲハ蝶状の装甲を用意されてはいるが、組み上げて戦う事は計画されてない。あくまでテスト用であり、動かす時が来た場合に備えての物だ。ミュージィ自体もデータを通してショットに貢献できることを喜んでいるものの、あまりにも多い作業にとうてい完成にまでこぎつけることが可能だとは思いもしていなかった。それを何とかすると言い切ったのがゼットである。
「二つに分けて……確かにそれならば。しかしそれでは調整が難しいのでは」
「だからウイングキャリバー側とコックピットをくっつけるんだ。今みたいに座るんじゃなくて、覆い被さる形で機器を一つに繋ぎ直せるようにする感じだな。二機に分けるとは言ったが、この状態で遠距離攻撃を繰り返すのがこいつの役目になるだろうよ。分離機能はオマケというか、数や連携が必要な時だな」
分離させて解決し、合体で補うというのは確かに合理的だ。
しかし調整し難くなることにミュージィは難色を示した。その姿で分かる通り、現時点で調整し難い状態なのだ。合体した状態で詳細を把握できるとは思えないのだろう。そこでゼットはフォウを参考にしつつも、フォウが活かしていないコックピット連結状態に着目したのである。
「なるほど! それは素晴らしいですわね。お願いいたします」
「おう、完成させるのは俺の領分だ。だからお前さんはショットのために頑張んな。三号機を分割して、オーラ発生機と兄弟機の二つに分けて完成させてやるぜ」
納得がいったところでミュージィが頭を下げる。
ゼットは片手を上げてそれに応えつつ、工房に戻って新しい三号機の形を設計しつつ、二号機の調整を見るために向かったのである。
予約するつもりで間違えて投稿した為、昼ですがUPしますね。
今回で第二世代分のおおよそを把握し、第三世代に移る準備が終了。
パーツさえ選定すればレプラカーンとビアレスが完成、技術を突き止めればライネックとズワァースが出来るところまでは辿り着けると思います。
その上で迫りくるゼラーナ隊とかラウの国に対して、戦闘試験しつつガラバとか研究ですかね。