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「意外だな。オレの機体なんて後回しにするかと思ったのに」
「そうしたいところだが色々理由があってな。一つは同盟国の王様が来るのさ。量産機としてドラムロの販売は決まってるが、上級機体の選別もせにゃならんだろ」
工房艦の艤装も忙しい中、トッド・ギネス用の一号機が仕上がった。
複数の目的が存在する中、一番の理由はクの国の国王であるビショット・ハッタがやって来るのだ。アの国の国王はフラオン・エルフであるが、ドレイク・ルフト個人と同盟を結ぶ関係であり、工房長であるゼット・ライトとしてはビショットを優先する必要があったのだ。
「研究用の三号機は論外にしても、一号機は瞬間火力があるものな」
「そう言う事だ。ミサイルが順調に開発できれば、一号機の方が有望まであるってのも大きい。今の時点で技術供与するならともかく、その辺りの説明込みで一号機を第三世代後半の機体として売り込むかどうかってとこだな」
正直な話、原作おけるビアレスに相当する二号機は既に仕上がっている。
その能力傾向に向いた強獣を倒して、一から素材を吟味するだけで次期主力機としての上級機体としては十分だ。しかし現状でもミサイルならぬランチャー一斉発射を使った瞬間最大火力としては魅力的である。それがミサイルの完成込みで仕上がれば、第三世代機としてはこちらを主力とするのも十分アリというのが彼らの見解であった。二号機は使い勝手の面でドラムロとビランビーの完全上位互換。一号機は攻撃機という意味では、ドラムロの二段階上の機体なのだから悩ましいところである。
「そういえば一号機のコンバーターに何で火器が無いんだ?」
「単純にミサイルの暴発が怖いからだよ。肩周り配線で面倒なのもあるがな。コンバーターにミサイルは仕込みたくないし、かといって腕にミサイル仕込むと総弾数が減っちまう。敵が先に攻撃して来た時に、腕で庇って暴発ってのも馬鹿馬鹿しいからな。ミサイル諦めて完全にレイアウト変えるなら問題ないけどな」
結局のところ、命中精度と火力の両立できるミサイルに期待している。
だから弾数を詰め、暴発の危険が少ない肩にミサイルという前提を崩せないのだ。フレイボムを撃ちまくりというのはドラムロに任せればいいし、その乗り手が腕を上げたらビアレスを与えればいい。第三世代後半に移る頃にはミサイルが完成するだろうし、『量産機としては』ミサイルを主体にしたライネック仕様が順当であろう。そうなると撃ち終わった後はオーラバルカンだけでは心もとないので、使いべりしないショットクローをコンバーターに積んで、腕の物と合わせて四本爪という構成は悪くないのである。
「8メットを目指して小さくすればスピードも上がるし、限界オーラを今と末置きにすれば量産機としては完成だよ。同じ機体で限界オーラを底上げした精鋭用の場合は別の装備を付けてもいいが……バス・トールと同じ突撃仕様だったら、初っ端に全弾撃ち尽くして身を軽くすんのも悪くはねえな」
「そんなもんかねえ……。ま、あんたの構想があるならオレには関係ないか」
「そんなところさ。アレの開発は多分間に合うだろうよ」
原作と同じ部分もあれば、そうでない部分もある。
原作のライネックは高級量産機なのに限界オーラ力が高く、逆に最精鋭用のズワァースは限界オーラが低くなってしまっている。これは要求された能力を詰め込まなかったライネックと詰め込みまくったズワァースの差とも言えるし、開発主任であったゼットの現実性と設計者であるショットの理想の差でもあろう。だから転生者のゼットとしては調整する気なのだ。なお、この時点でトッドにはガラバの構想を聞かせているので、飛行機乗りであった彼にはスワァースの事はどうでもいいらしい。
「他の理由はやっぱりゼラーナとダンバイン対策か?」
「そうだな。連中の狙いは大きく分けて三つに絞れる」
「それは興味深いね。是非とも聞かせてくれよゼットさん」
「今後、ゼラーナの行動はおおよそ次の三つだ。まずゼラーナは森や海に隠れながらスポンサーを求めて他の国へ逃げ込む。その際にダンバインは半分以上の可能性で、囮を務めて森なり島で戦うんじゃねえかな。次に三割くらいの可能性で、ミの国に戻って略奪をやってる連中を叩くってところか。それで十分に囮の代わりになるし、ミの国の人々は庇ってくれるだろう」
一号機を仕上げた理由はもう一つ存在する。
当然ながらダンバインを倒す為であり、トッドがこの場所に居る以上はさっさと仕上げて慣熟訓練でもした方がよいと考えたのだろう。その事を理解してトッドも大人しく話を聞き始めた。
「で、最後の襲撃場所は?」
「決まってんだろ、此処だよ此処」
「悪の総本山に切り込むってか? 剛毅だねぇ」
「本拠地を叩けば野望も潰せるかもしれねえ。リムル様はニーの恋人だから協力してくれるかもしれねえ。機械の館を叩けばそれだけで戦力が減らせる。このラース・ワウを狙いつつ、その中で一番可能性のある場所に切り替えるのが妥当ってところだろうよ。それでも可能性は一割あるかないかってとこだが……ボス戦って燃えるだろ」
トッドとゼットはニヤリとしながら笑い合った。
ドレイク軍の本拠であるラース・ワウ襲撃。これは以前に何度かあった事であり、決して行えない事ではない。今は警戒が厳重になり戦力が増えたのでやってないのと、ゼラーナが追われてミの国へと逃げ込んだというのも大きい。だが、ドレイク軍を引き返させる為の囮としては、十分以上に機能するのではないだろうか? ならば可能性が一割りであっても、対策して損のない事なのである。
「相手がゲストに合わせてやってきた場合は、申し訳ねえが以前と同じだ」
「そこのところは仕方ないさ。ミサイルで十分強かったし申し分ないだろう」
「自分でてめえの城を焼いてどうすんだ。その時は四本爪とバルカンだけだ」
「それもそうか。までも許可が出たらミサイル使ってもいいんだろ? 王様の前だし遠慮するなって言われるかもよ」
再度組み上げた一号機はライネック仕様で肩と腰にミサイルである。
しかしそんな物をラース・ワウで使用するわけにはいかないので、基本的には腕のオーラバルカンだけで戦う事になるだろう。トッドはその事を理解しつつも、ドレイクが許可を出す可能性を考えていた。
「その時はそん時だな。で、それ以降の場合はア-マード仕様に改装する」
「そいつは強いのかい? 重装甲でも遅いんじゃダンバインを倒せないぜ」
「安心しろよ。腰と足の装備をオミットする代わりに、浮遊装置を追加する」
「浮遊させて重さを無くすのか……でも微妙な装備でも数が減るんじゃなあ」
新しい試みとして、三号機で試した自立用の浮遊装置を使用する。
これを使う事で重装甲にしてもそれほど移動力が落ちず、機動力も問題ないようにすることになっていた。だが改良はここからであり、真骨頂もまたここからである。
「安心しろよ。装甲は装甲でも、武器を仮止めするための追加装甲だ」
「おっ! という事は武器の数は減らないって事だよな? ゼットさんよ!」
「あたぼうよ! 両肩には追加の散弾。こいつはミサイル装備型対策だ」
「その散弾を装備しても、当然ミサイルもあるんだろ? いいじゃないか!」
この追加装甲のよいところは武器をマウントできることだった。
通常、オーラバトラーは機動力を重視する兵器なので重装甲で遅くなっては意味がない。ギ・トールでそのことを痛感したのだが、ここで一つ分かったことがある。本陣防御用など足が遅くても問題のない場所もあるという事だ。そして地上の装甲の中には切り離して軽くするタイプもあるため、武器を仮止めするために装甲を使う事にしたのだ。
「腰のミサイルは二発ずつだし、投擲剣は使わない奴も居そうだしな」
「それを考えたら削ってしまうの確かにありかもな。四発ずつ……も一回か」
「今のところはそうなるな。そんで腕は盾を外して三連バルカンを基本として、外付けで大型バルカンを仮止めにするつもりだ。盾と同じように両用出来るなら、仮止めじゃなくて腕の装甲自体を入れ替えてもいいけどな」
腰と足の装備を削ったのは、今のところは微妙だからである。
投擲剣だけを削って四連ミサイルにすることもできるのだろうが、改良するまでは四発同時に使うしかない。そうなると多少火力が上がるだけだし、浮遊装置を付けることで重装備になったオーラバトラーが普通に戦えるならばそちらの方がマシであろう。もちろんその試みが上手くいかない可能性もあるが、一号機は正式採用機ではなく試験用なので問題はない。今のままだと第三世代の後半に完成する為、いくら調整しても損はないだろう。
「それと頭に一門だけ付けるバルカンと牙は止めた」
「そりゃ弱いだろうけど歩兵対策やカメラ破壊くらいなら使えるんじゃ?」
「そう思ったんだがな。デッカイ角を付けて頭突きでもする方が強かろ」
「ん? うーん。まあオーラバトラーは飛ぶし、鍔競り合い時に使うかもな」
そして最終的に頭に火器は付けない事になった。
通常サイズのバルカン一門では火力が低く、弾薬だって頭部では対して詰めない。だが本体の容量を少しでも減らし、強化パーツやら増幅器に浮遊系統など様々なパーツ設置を検討している段階だ。もしかしたら相手のカメラを壊せるかもしれない、歩兵が取り囲んだら対策になるかもしれない。その程度の目的のために火器を用意するよりは、センサーの一部でも頭に詰め込んだ方が良いのではないかということになったのである。
(転生しているからよく覚えてないってのもあるが、ゲームだとプレイヤーの行動で順序変わるからよく分からねえんだよな。ビショットの訪問もだいぶ時期が違うし、とりあえず襲撃される前に戦力が用意できたってことでよしとするか)
当たり前なのだが、みんな自分の都合の為に生きている。
ゼラーナ隊は自分たちが出来る範囲でドレイクの野望を打ち砕こうとしている。だからゼラーナが迂闊に動けなくなって機体が減れば、やれることはゲリラ活動くらいになる。そして相手にとって狙い易い場所と時間を選ぶわけで、ゼットが身構えている間にやって来ない可能性はあった。少なくともビショットが訪問している時にはやってこないだろう。だがそれでも、ゼットが用意できる戦力を増やせたことは良い事であるはずだった。
TRPGとか無かったので、時間があったため執筆。
明日の心算でしたが、本日UPしました。
まあトッドの為に機体を用意したとか、その内こうなるって予定の話ですが。
『ビランビー試験型一号機』アーマード・ライネック・ギガンテス
腰・足のハードポイントを削除して、浮遊装置を設置。
追加装備とそれを押さえつけるための装甲を設置した。
移動力と機動力はそれほど落ちていないが、装甲としてはオマケレベル。
追加0:浮遊装置
追加1:散弾x2(合わせて一発分)
追加2:オーラソード(コンバーター脇)
追加3:額の大型角
追加4:大型バルカンx2
腕変更:三連バルカンx2
削除:腰の連装ミサイルx2、足の投擲剣x2、左腕のシールドと剣、牙と単装バルカン
ちなみに第三世代前半はビアレス、後半はライネック生産予定。
精鋭用は装備が違うのと、限界オーラに強弱をつけているので生産性が原作と違う。
(ビアレスの精鋭はグルビデンス、ライネックの精鋭はズワァースで共に限界オーラが2くらい高く、オーラ誘導装置が付いている)