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『このお!』
「おっと! その手は食わねえぜ!」
ダンバインが位置を変えてオーラショットを放って来た。
ゼットはズワァースを操りゴラオンが向かった方角への道を塞ぐ。ショウがボゾンが落ちた場所へ降下しようとするのを見逃しはするが、ゴラオンへの救援はさせないと分かり易く動いて見せたのである。
『ショウ! あいつ速いよ!』
『新型だ。相当に出来るぞ!』
「そりゃそうだ。あれから二機挟んでるんだぜ」
ゼットはあえてゆっくり目に飛んだ後で急加速を掛けている。
相手の視線を誤魔化すことで機動力を把握させないためである。決して最大側では飛ばず、かといって急加速が難しい程には減速を掛けない。最もエネルギーを使う上方への遷移を含めることで、常に300リルから320リル前後を維持したS運動で翻弄し続けた。接近して飛び抜け、ターンしてまた迫る。
『以前よりもパワーが上がってる。押し切れそうにない』
「逆だよ。以前よりも限界が上がって乗り手のパワーを伝えられるだけさ」
鍔競り合いから剣をひねり合って力を上に逃がす。
そのまま上段斬りに行こうというのを互いに見逃さない。上へ上へと推移してパワー勝負でスペックが劣る筈のダンバインがむしろ押しているような気配すら見える。それは限界オーラ力が存在しないダンバインが、ズワァースが持つ素のスペックよりも高まっている証左だ。
『ならオーラショットよショ……』
「おおっと。余計な差し出口は止めてもらおうか。マーベルさんよ」
先ほど回収したマーベルが居るので精神攻撃が効かない。
だからこそゼットも言葉で追い込みはしなかった。総構えの西洋式城を攻撃するのは、町を焼くのも当然だと言えばショウは精神的に揺らぐだろう。だがマーベルが乗って居たらそれは無理だ。彼女を凹ませるには東京大空襲をした鬼畜ルメイが戦後日本において、英雄にさせられた話でもする必要があるだろう。だが、それをアメリカ人であるゼットが口にするのはおかしな話だし、言葉責めをするのにも飽きて来たというのもある。ゼットはダンバインのオーラショットをシールバッシュで殴り飛ばし、剣と剣の真っ向勝負を続けることにした。
(マーベルも相性が良い方だから今のダンバインは比較的にオーラ力が高い。だが、最高の相性ってわけでもねえ。だから奴の方が少し上か、同じくらいってとこだな。この辺はチャムと二人だけの時より平均化されてるせいだろう。なら……戦うなら今ってこった。今ならハイパー化されることも無ければ、オーラロードも開かれねえからな)
ゼットはポー家を対象にした実験を思い出していた。
オーラ力が高く調整も得意なミュージィを中心にして、あの家族が協力し合っても決して高過ぎるという事は無かった。それは数人単位でオーラを合わせて高めるという事の難易度が高いということだ。ゆえにダンバインのオーラが高くとも、もの凄く高いという程ではないというこに安心する。相手の方がやや上、しかしオーラバトラーのスペック込みで互角だと思えば丁度良い相手なのだ。
「悪りぃ事は言わねえ。ナの国が新型送ってきたら乗り換えな」
『ゼット・ライト! お前はいったい何様のつもりなんだ!』
「てめえの戦い方がなってねえっつってんだろ! 機体の性能に頼るなら新型の方がマシだ。ダンバインの特性はそうじゃねえよ!」
ダンバインから溢れるオーラを感じるがそれだけだ。
パワフルに叩きつけて来るがズワァースならば耐えられないほどではない。耐えられるから剣でいなし、方向性を替えれば普通に受け流すことが出来る。そうなればオーラ斬りに至っていても戦う事が出来る。やってる事が9メットのビランビーやビアレスと大差ない事なので、彼ら相手に行う訓練と大差は無かった。
『上から目線で惑わして! お前は何がしたいんだ!』
「決まってんだろ! 騎士や聖戦士が戦の全権代理人になって民が死なねえ世界だ! そこで上を目指すのさ! オーラマシンも、俺様もな!」
再び剣と剣をぶつけ合うが今度は鍔競り合わない。
飛び抜けてノズルを使って横回転、更に前に出てダンバインが向き乗ろうとした更に裏を取る。驚いて前に向かって急加速しようとしたところで、ショットクローをダンバインの移動位置に置くように放った。
『爪が来るよ、ショウ!』
『なぜ撃たない! 憐れむ気か!』
「どうかな? たが判ってるのは一つだ。てめえの組み立てはなってねえ!」
チャムの忠告でショウは剣を振って絡みつかれるのを堪えた。
だがその間にゼットは再び位置を変え、今度は上方に遷移する。その際には機体をひねると同時に尻尾を振った。蛇腹式のパーツが猛烈な反動で飛び出し、ショットクローなど比較にならない勢いでダンバインへと叩きつけられたのだ。
『キャア!?』
『チャム! マーベル!』
『私は大丈夫! 剣を飛ばされたわ! ゼットから離れて!』
「流石に二度目で直撃は難しいか。だが、これで十分だぜ!」
事前にボゾンを落す時に尻尾を使ったせいだろう。
ショウは咄嗟に剣を立ててガードに成功した。だがそれだけで、機体がふっ飛ばされて回転し掛かる。その際に剣は取り落しているし、ゼットは既に再加速が可能な態勢に居たのだ。どちらが有利になったかは言うまでもないだろう。
「そらよ! こいつで終わり……ぬ!?」
『南無三! 捕まれ、二人とも!』
「ワザと落ちやがったか! やる!」
ダンバインは突撃して来たズワァースの動きに逆らわなかった。
蹴り飛ばすように剣へ足を向け、そのまま下方へと落下したのである。距離を取るというよりは生き延びるために足を犠牲にしたという動きだ。実際のところ、オーラバトラーは足が無くてもほとんど問題はない。どちらかと言えば落下に近い状態なので、地面や樹々に激突するかそれともギリギリで態勢を立て直すかのどちらかであるのが問題だった。
(……行動を決め打ちしてたのがバレてたな。先んじて動くにゃ必要だったが……ま、カウンターを喰らわなかっただけマシだと思っておくか。弾丸があれば追撃一択なんだが……残ってたら途中使う事を悩んでたわけだし、しゃーねえか)
ゼットは撃てなかったが、撃たなかったからこそ先制し続けていた。
余計な行動を挟まずに、ズワァースが出来ることをフルに使ってタイミングを反らした。そして次の行動を大まかに決めて、上手くいった場合とそうでない場合に分けつつも、ダンバインを追い込む方向で連続行動を行っていたのだ。相手の動きを制限し、自分だけが機先を制するのだから有利に決まっている。問題はそれを読まれて脱出されたことだろう。三人いるのだから誰かが気付いたのかもしれないし、相手も同じことが出来るのだから落下時にオーラ操作やホバリングでダメージを軽減くらい狙って居るかもしれない。
(森に隠れられた。弾丸が無い以上は無理をして追い詰めるのは危険だ。ダンバインにはもう一丁オーラショットが残ってる。その上で俺を無視してゴラオンに向かわれたら問題だからな。ゴラオンを沈められるかが掛かっているなら、ここは無茶をすべきじゃない)
ゼットはズワァースを操ってゴラオンへ迎えるルートを塞ぎに向かった。
今ごろダンバインは損傷を確認しつつ、戦い続けるかゴラオン救援に向かうかを悩んでいる筈だ。そこでゼットが先にゴラオン側の道を塞ぎ、三人はゴラオンの事を知らない状態である。こうしてしまえばゴラオン救援に向かう可能性は限りなく低くなるはずだった。ゼットとしても空中で飛び回っている所にオーラショットで狙い撃ちされたくないので、妥協の産物としてこの手を選んだのである。
(あの爆発は……トッドがゴラオンか守備隊にミサイルぶっ放したな。もう少ししたらウイルウィプスとライネック・キャノンが最後の詰めに引き返して来る筈だ……そうなればここでの戦いは仕舞いだ。損傷したダンバインじゃもうどうしようもねえ、ゴラオンどころかカラカラ山岳地帯が落ちるだろうよ)
そうこうする間にガラリア隊が向かった方角が爆発した。
ライネックが持っているミサイルの残りを盛大にぶっ放したのだろう。そこまでする相手とはゴラオンそのものか、あるいは最後まで守ろうとする守備隊と思われた。ならばこの場での戦いも終わりであろう、ゼットはズワァースを駆ってガラリア隊との合流を目指す。あの爆発を見てショウが何時までもその場に残るとは思えなかったからだ。グズグズグしていると仮に機体が無事だったとしても奪取すら不可能になるのだから。
こうしてゴラオンは沈み、カラカラ山岳地帯は陥落したという。
というわけで、一応決着が付きました。
ダンバイン中破・ゴラオン中破の状態で、ゴラオン撃破の為に動いたから勝利。
もし弾薬が残ってたらダンバインも倒せてたかなー? その時は良く書いて妖しかったかなー?
という戦況でした。まあズワァースの方が強いのですが、ダンバインはオーラの限界が存在しない。そしてゼットが戦いの専門家ではないから、安パイに走った結果ですね(ゴラオンが落ちれば、ダンバイン無視しても勝ち切れるのもあります)。