気が付けばゼットだった件   作:ノイラーテム

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オールグリーン

「暫くしたら一回目の申し入れがある! それまでに拾えるもんは拾っとけ!」

 

「降伏勧告ですか? ラウの国王様は乗って来ますかね?」

 

「ねーよ。だがその時間を使ってボゾンを量産するだろうな」

 

「ですよね。それにこんなの落されたままじゃいられないでしょう」

 

 カラカラ山岳地帯をドレイク軍は占領していた。

 

建造中のゴラオンを大破させただけでなく、山岳地帯にある砦群そのものからラウの国軍を追い出すことに成功していた。現在は急ピッチで残った資材や落したオーラマシンの回収を行っていた。ゼット・ライトたちは工房艦を使って忙しく働いている。

 

「オーラノヴァ砲だっけか? アレが残ってないのは痛てえな」

 

「残ってたら目の色変えてたでしょうね。ただ、どっちも(・・・・)残さないでしょう」

 

「だろうな。ガラリアは真っ先にぶっ壊したって言うし、乗組員の生き残りも制御系を出来るだけぶっ壊したって言ってたぞ」

 

 当たり前だがラウの希望であったゴラオンは重要機密の塊だ。

 

大砲を放ってはおけないから突撃隊は壊したし、乗組員も着底時に制御系を壊してから降伏している。艦長以下重要人物は戦死するか自決していたので、それ以下の者たちからの事情聴収ではそうなっていた。

 

「まっ。その辺はライネック・キャノン次第で何とかなるだろうさ。主器は壊させるな、あれもいいものだ」

 

「はい、工房長。大きの割りに相当な速さでしたしね、楽しみです」

 

 ゴラオンには素晴らしい技術が二つ存在した。

 

オーラノヴァ砲は言うまでもないが、メインエンジンとしてのコンバーターや浮遊装置その他も優れている。原作では四大オーラシップの中で最高速度の巡行性能を誇っており、ラウの国の底力を見る思いであった。

 

「よう。聞いたぜ。降伏勧告出すんだってな」

 

「一応は和平案だが実質的にそうなるな。ラウにいいところがねえ」

 

「受けもしない交渉するくらいなら、このまま囲んだ方がいいんじゃないか?」

 

「うちはクの国に要請を受けた身だからな。誰も一人勝ちしないようにする必要があるのさ。形式的にも同盟国を守るために声をかけるって必要もある事だしな。……勝たせたくないのがクの国ってのが厄介なんだが」

 

 大手柄を上げたことになってるトッド・ギネスがやって来た。

 

彼もまた先ほどの鍛冶師と同じ問いを行った。鍛冶師と違うのは何でそんなことをするのかという面倒極まりない政治の理屈である。

 

「同盟国なんだろ? なんでまた」

 

「今回の事態で一番得をするっつーか、奴らが黒幕だからさ。出来ればラウの国は攻め込んだクの国から撤兵、賠償金を払うってところで収めたいところだね。うちもここから撤退する代わりに、共同管理として砦を一部拝借するってのが妥当な処かな。そうすりゃ三方が少しずつ得と損をして収まるってもんだ」

 

 クの国がラウの一部を奪うというのが避けたい流れである。

 

フォイゾン王の激怒を誘い、ラウの軍を誘き寄せたクの国は防衛戦で経験値を稼いでいる。町を焼かないように気を付けている筈だし、ラウだって世論の話しにもつれ込んで居るのだから避けるだろう。そうなるとラウの一人負けで賠償金と戦死者の分だけ痛いはずだが、それでもタータラ城を包囲されて落されるよりもマシな筈だ。アの国としては『次回の戦い』がれば有利に立てるくらいで良いのだが、それでも絶対に成立しないという自信がゼットにはあった。

 

「今どきの戦争が小競り合いで終わったなんて話は聞いたことが無いぜ?」

 

「だろうな。クの国は交渉を決裂させて攻め込みたいはずだ。ラウの国はかなりヤバイ状態だが、貴族共は『国境が破られた程度。この程度の危機は建国以来よくあった』とでも言って断るだろうさ。それならうちの国はカラカラ山岳地帯の完全併合を目論見るが構わないのか? と挑発してしまう感じだろうねぇ。つーか、少なくともショットの奴はそう言うだろうね」

 

 停戦交渉には丁度良い段階だが、誰もが受けようとしない茶番劇。

 

それでも誰もが話し合いだけはしようという。それは大義名分の為であり、その間に次の戦いの準備をする為でしかなかった。

 

「その辺はいいさ、戦いがあれば戦うのが聖戦士ってもんだ」

 

「お前さんはそうしとけ。累代の身分を手に入れたんだろうがよ」

 

「まだまだ騎士で貴族って言うにゃあ遠いけどな。後は緑備えって隊」

 

「親衛隊と総予備を兼ねた部隊になる予定だな。グルビデンスとライネックを手元に揃えて置いて、戦線が膠着したら投入されるって美味しい役どころさ。バーンの奴に奪われるんじゃねえぞ」

 

 ゴラオン撃破に功績のあったトッドはこの時点で褒章を与えられていた。

 

土地持ちの上級騎士としての身分であり、地上で言えば勲爵士から準男爵に相当する。バーン・バニングスの生家と同じくらいであり、他にもキブツ・キッスがギブン家に仕えていた頃の身分でもあった。要するに生まれた子供の才能次第で未来の騎士団長にも成れる家格といえば判り易いだろうか。

 

「ライネックは分かるが、グルビデンスはビアレスの騎士用だったっけ」

 

「ビアレスの装甲で支えて、ライネックでふっ飛ばす。分かり易すかろ」

 

「そりゃ確かに親衛隊向きだな。お前さんが乗ってた新型はどうよ?」

 

「ズワァースは装備の見直しだな。実はダンバイン戦で弾切れだったんだよ」

 

 グルビデンスもライネックも緑色なので、緑備えと呼ばれる部隊が作られる。

 

この部隊は戦いが膠着して、戦線が動かなくなったところで投入されることを想定して、決定的な攻撃力と防御力を備えた部隊となる計画であった。グルビデンスの元となったビアレスは装甲重視の機体だが大型の分割コンバーターで機動力を備えているし、限界オーラを高くして武装もフレイボムからオーラキャノンに変更した癖の強い機体であった。普段は本営を守るために存在して、イザとなればライネックのミサイル部隊をエスコートして突撃する役目を備えていたのである。

 

「あらま。どうりで撃たねえと思った。情け掛けたわけでも無かったのな」

 

「相手は容赦ねえってのにか? よせやい、そこまで善人には成れえねえよ。あとはまあ、俺は戦い向きじゃねえからな。ゴラオンから引き離すのに、紳士ぶる方が楽だったのは否定しねえよ」

 

 ゼットに転生した男は自分が善人でも悪人でもないと思っていた。

 

もしダンバインを確実に撃墜できると思えば狙っただろう。だがそのチャンスは無かったし、ならば余裕ぶって居る方が、悪意のオーラを好んで居ないと思わせる方が良いと思っただけだ。もちろんこの世界がゲームの世界か、それに近い平行世界であれば、悪意のオーラ対策はしたいところだ。だが、その為に自分が危険に陥る程に善人ぶりたいとは思っても居なかった。

 

「その調子でアレは大丈夫なのか?」

 

「アレの方は大丈夫さ。試作品のオーラショットは上手くいったからな」

 

「それが本当な事を願うぜ。好みもあるが、あっちお方が得意なんでな」

 

 トッドもゼットも本命はガラバの完成である。

 

戦闘機乗りだったトッドは話を聞いただけで悪くないと思ったし、原作で最後に作っていた事を知っているゼットも作りたいと思っていた。そのためにズワァースで幾つかの事を試していた。一つはオーラ制御のノズルであるし、二つ目はバースト式のオーラショットとその給弾装置だ。原作でもシールド内蔵型のオーラショットが存在したが、ガラバの腕もまた三連オーラショットだった。給弾装置とバースト射撃には大いに期待していたのである。

 

『ズワァースの武装見直し案』

 

 時間が空いている時に、ゼットはそう板切れに記載した。

 

十機近いボゾンを叩き落としたが、あっという間に弾薬が尽きていた。その結果、ダンバインを落としそこなう羽目になったのだから、見直すのは当然だろう。

 

「有用な装備だけじゃなく、運用の見直しも必要かもな」

 

 そう言ってゼットは現状の装備を記載していった。

 

頭部への外付けバルカン。コンバーターへの掃射式フレイボム。バックラーとシールド内部のバースト式オーラショット。そして蛇腹式のオーラクローだ。それぞれが戦闘で有用性を示したが、同時にこれだけでは足りなかった。ここから改良しようと思っても、おいそれとは改良できそうになかった。つまり、装備位置やら種類そのものを見直す必要があると思ったのである。

 

(頭部はこのままの路線で、外付けバルカンの種類を増やしつつ質を高める。例えば対地攻撃用のバルカンで、トーチカを叩けるようにするとかだな)

 

 弄る余地が無いのが頭部の装備だった

 

基本的に何も内蔵せず、ただ性能だけを高めている。三つ目にしたことでカメラが増えたが、それ自体は悪くない。その上でバルカンでトーチカの火砲を叩いたのだが、もっと上手く運用したいと思ったし、弾薬も増やしたかった。既存の二門オートから削って、一門の小型砲でオート射撃くらいだろうか? 対空戦闘になったら別の物に入れ替えるという前提で、という話になるが。

 

(対空という意味では腕のオーラショットも固定だな。バースト射撃専用も悪くねえ。もし周囲をボチューンに囲まれたとしても、両手で撃ちまくればなんとかなる。ひとまずは弾薬を一斉射撃分だけでも多くするってところか。とはいえこれ以上増やすとなると……整備性を捨てて、完全に一体型の腕にするくらいかな)

 

 もっとも評価したのはバースト式のオーラショットだった。

 

三点バースト射撃はオーラバトラーに命中させることに向いている。両方向けて撃てばまず当たるし、片手でも連射すれば逃れるのは難しい。一発の軽い大型オーラバルカンよりも頼もしかったくらいである。途中からはオーラソ-ドと組み合わせて突撃戦をしたが、当ててからトドメを刺しに向かったり、その逆に剣で動きを止めて直撃を狙う事も出来た。バースト射撃前提なので無駄弾が多くて速攻で弾が尽きる理由でもあるが、それが特性なのだから仕方はあるまい。

 

(妥協案としては股間から尻に掛けて装備している尻尾を削って、原作のオーラキャノンに近い運用でオーラショットなり大型バルカンをここに用意する事かな。問題は腕と違って正面にしか向かねえから、弾幕張るとか、正面突撃時の牽制くらいになる訳だが……。白兵戦装備としては、結構有用だったんだがなあ……一般兵を考えたら見切るか)

 

 股間のキャノンは原作で役に立ってなかった。

 

だから蛇腹式の尻尾に変えたのだが、あれだけ弾薬が足り無いならば、ここにも火器を付けるべきかもしれないとゼットは感じた。やはり原作のデザインには意味があるのかと思いつつ、それはそれとして蛇腹式のクローにも未練があった。連続攻撃に組み込めば当てることは難しくないし、予備の白兵戦武器があるならば、今回のように継続戦闘自体は出来るからだ。オーラショットに換えれば弾薬問題に多少の整理が付くが、決定打としては尻尾の方が強いというのが問題だろう。自分の専用機ならば尻尾だが、部隊としてはオーラショットか大型バルカンと言う処か。

 

(一番有用だが悩ましいのがコンバーターのフレイボムだな。掃射モードにすると必殺技になるが、油を一気に使っちまう。普通に使うならここをオーラショットか大型オーラバルカンにした方が安定するわけだが……ズワァースで敵拠点や戦艦狙うなら、こっちの方が安定するよな。問題なおはコンバーターは作戦に合わせて変更できるような装備じゃねえことだ)

 

 悩ましいのがコンバーターに装備する武装である。

 

ここにはかなり大きなハードポイントが存在する。だからここをバースト式オーラショットにしてしまえば、当て易いという意味も含めてかなり安定するだろう。それこそ股間部と合わせて正面戦闘に使い分けても良い。ただしフレイボムは戦艦や拠点攻撃に向き、一発撃ちではなく掃射モード前提にするならば、必殺技レベルに達していることもあって惜しいのだ。三機運用を前提にした場合、目標地点に辿り着いた時点で襲撃が達成できると保証できるレベルの火力に達するのだから。理想的なのは襲撃任務なら掃射型フレイボムにして、対空戦闘ならオーラショットにすることだろうが、そうはいかないのがコンバーターであった。オーラショットにする場合は単騎運用で、ランスロット・アルビオンみたいな駆逐用オーラバトラーにするなら適正があるというところだ。

 

(最後に他の部位に装備を積むという物。問題は肩や腰に追加すると、8メット8ルフトンで今の性能に収めた能力から出ちまう事だな。重くなる程度ならいいが、限界オーラが落ちたらことだ。オーラ関係のパーツを目いっぱい詰め込んだからな。キュベレイ……いや、アルパ・アジール式にして武器を付けると白兵戦の邪魔になる。腰に付けるとしたら股間部の武器を外すべきだ。継続戦闘を強化すんならやっぱ手持ち式の武器って結論になるか)

 

 最終的な結論は手持ち火器であった。

 

肩に載せると邪魔、腰につけると股間部と択一になるという結論なので、手持ち武装で補うしかないと判断したのだ。そしてビルバインはビームライフルみたいなのを持っていたし、ダーナ・オシーはミサイルランチャーを所持している。初動の接近時にはガトリング式のバルカンかミサイルランチャーを持って、邪魔なら捨てるかズロンに置いて置けばよいのではないかと思った。装備を見直してみたが、基本的に弄り様が無いからである。

 

(後はあれだな、ガラバと組むことを前提にするとか、三機編成を前提にするのを本格的にするしかないな。となると対空戦闘はガラバや連携で何とかなるから、コンバーターは掃射式フレイボムだろうなあ)

 

 追加案としては当初から考えた三機編成、そしてガラバとの共同案だ。

 

そうなればオーラショットを連射して敵を排除する必要がなくなる。ガラバの設計はノズルを兼ねた足を追加して六本にするくらいであるし、そのくらいならばほどなくして設計だけならば完成するであろう。こうしてゼットは案をまとめると、清書を始めるのであった。

 

(この後はタータラ城攻めになるだろうがどうなるか判らねえ。落ち着いてるから後方行きだと思うが、ズワァースの一時改修してからガラバの建造だな)

 

 ゼットは仕事人なので物事の順序をはっきりつけた。

 

自分も前線で戦う必要がある場合に合わせて、ズワァースの一時改修をしながら前線で修理作業。次に後方で生産活動に従事しながらガラバの建造を進めていく。その上で装甲形状を弄るような二次改修をズワァースに施すという処だろう。作戦としては順調、オールグリーンの未来に向けて進むことにしたのである。




 という訳でゴラオンが落ちたのは確定です。
オーラノヴァ砲が壊れ頭から着底、大破炎上。エンジン系は残ってる感じ。
ドレイク軍は和平案出してる間に、データと物資を全部かっらう予定です。

●トッド
 正式に上級騎士の身分と爵位・土地その他の処理。
ガラリアは元から騎士身分で、養父の名誉回復が重要なので後日発表。
総予備を残してぶつける戦術が有用だと判断されたのと、バーンが戦力奪った問題が発覚したので、『緑備え』という部隊が組織される感じですね。

●ズワァース改良案「襲撃仕様」「駆逐仕様」「緑令龍」
 ガラバありきなのと、強襲用の襲撃機なのでさほど変わらず。
ゼットが取り置きする機体に尻尾があって、通常機は股間にバーストオーラショットにするか大型バルカンになるでしょう。前にしか向かないのが一番の問題。なおボチューンの足バルカン(オーラショットとコンパチ)をパクらないのは、ズワァースが猫背で自分に当たる可能性があるからです。

「襲撃仕様」普及型
 緑色と臙脂色に塗装されている。一応この仕様が普及型である。
常時三機ほど生産され、ガラリアが隊長を務める突撃隊を構成する予定。
頭部バルカンがS型の小型四門なのがガラリア機、大型一門が一般機。
股間部は大型バルカン二門となり、頭部込みで対地攻撃や弾幕用になっている。

「駆逐仕様」ゼット機
 緑色と青色に塗装されている。駆逐仕様の対オーラバトラー用。
事実上のゼット専用機で、試験用に一応取り置かれているに過ぎない。
コンバーターの武装が三点バースト式オーラショット二門に変更され、股間部が尻尾のままなのが特徴(頭部バルカンは任務で変更予定)。どこまでいってもガラバの繋ぎに過ぎず、後に緑令龍に改装される予定。

「緑令龍」リョクレイロン/ドラグーン
 取り置きされたゼット機を元に装備一体型で弾薬量向上を図る機体。
右手のバックラーと左手のシールドが腕と完全一体化して、大型施設でなければ弾薬交換すらできなくなくする代わりに、装弾数を増やす予定。コンバーターの武装も掃射型フレイボムに戻され、龍の口の形をしたロングバレルのノズルに変更されるのが特徴。このことにより、イメージモチーフが悪魔から龍へと変更されている。(頭部バルカンは取り外され、ロングバレル・ノズルと抵触しない専用のカメラに置き換えられた)
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