異世界から来た少女を拾ったら追跡者に狙われました 作:たけのこ教徒
ショーゴさんが学校へ向かった後。
わたしはトーコさんと一緒に、朝食で使った食器を片づけていた。
流し台へ運び、教えてもらった通りに食器を重ねる。
水を出すための銀色の取っ手を動かすと、すぐに透明な水が流れ出した。
昨日もお風呂で見たけれど、やっぱり不思議だ。
魔石も魔法陣も見当たらないのに、温かい水と冷たい水を自由に出せる。
「レイチェルちゃん」
隣で食器を洗っていたトーコさんが、わたしを振り返る。
「洗い物が終わったら、買い物へ行きましょうか」
「買い物、ですか?」
「ええ。昨日は急だったから、何も用意できなかったでしょう?」
言われて、自分の姿を見る。
今着ているのは、トーコさんから借りた浴衣だ。
着ていた服は、洗ってもらっている。
他に持っているものといえば、向こうの世界から持ってきた小さな鞄くらいだった。
「歯ブラシにタオル。それから部屋着と、着替えも必要ね」
「でも……」
「必要なものなんだから、遠慮しないの」
断ろうとする前に、トーコさんが笑って言った。
「けれど、わたしはお金を持っていません」
「それは私が払うから大丈夫」
「そんなの、駄目です」
思わず、少し強い声が出た。
助けてもらった。
泊めてもらった。
食事も用意してもらった。
その上、生活に必要なものまで買ってもらうなんて。
「わたし、自分の国のお金なら少し持っています」
「たぶん、この国では使えないわよね?」
「……はい」
この世界のお金がどんなものなのかも、まだ知らない。
お父様が見せてくれた本には、紙でできたお金と、丸い金属のお金が載っていた。
けれど、それが今も使われているものなのかは分からない。
トーコさんは洗い終えた皿を水切り籠へ置いた。
「今すぐ返そうとしなくていいの」
「でも……」
「レイチェルちゃんは、まだ身体も本調子じゃないでしょう?」
そう言われると、何も返せなかった。
頭の重さは朝よりも薄れている。
けれど、魔力はほとんど戻っていない。
急に動けば、また倒れてしまうかもしれなかった。
「まずは、ここで普通に生活できるようにすること」
トーコさんは、わたしの目を見て言った。
「返すことを考えるのは、それからでいいのよ」
「……はい」
完全に納得できたわけではない。
それでも、これ以上断り続ける方が失礼な気がした。
わたしは小さく頭を下げる。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
トーコさんは満足そうに頷いた。
「じゃあ、早く片づけちゃいましょう。お昼前に出たいから」
「はい」
わたしも袖を少しまくり、食器を拭くための布を手に取った。
◇◆◇
出かける準備を終えると、ミィルが客間からついてきた。
トーコさんの前では言葉を話さず、普通の動物のふりをしている。
今朝も食事中に、キツネとは思えない妙な声で鳴いていた。
本人なりに考えた結果らしい。
「ミィルも一緒に行く?」
トーコさんが玄関で靴を履きながら尋ねる。
ミィルはわたしの足元で、尻尾をぱたぱたと振った。
「一緒に行きたいみたいです」
「そう。じゃあ、迷子にならないようにしないとね」
ミィルが少し不満そうな顔をする。
自分は子供ではない、と言いたいのだろう。
でも、声には出さず、わたしの肩へ軽く飛び乗った。
外へ出る。
雨は完全に上がっていた。
昨日とは違い、空は明るい。
濡れた道が日の光を反射している。
この世界へ来てから、初めて落ち着いて外を歩く。
門を出たところで、わたしは辺りを見回した。
同じような形の家々。
細く整えられた道。
音もなく並んでいる金属の箱。
「あれは何ですか?」
道路脇に停められていたものを指差す。
「車よ」
「車……」
「人を乗せて走る乗り物」
「馬はいないんですか?」
「馬?」
トーコさんが少しだけ目を丸くした。
「ああ、そういうことね。馬は使わないの。中に機械が入っていて、それで動くのよ」
「機械……」
お父様の話に何度も出てきた言葉。
向こうの世界では、魔法の代わりに機械が働く。
分かっていたつもりだった。
けれど、目の前で見ると、どれも信じられない。
しばらく歩いていると、大きな音が近づいてきた。
振り返る。巨大な車が道路を走ってくる。
「……っ」
反射的にトーコさんの袖を掴んだ。
車はわたしたちの前を通り過ぎ、そのまま遠ざかっていった。
トーコさんが、驚かせないようにゆっくり尋ねる。
「怖かった?」
「少しだけ……」
「あれはバス。たくさんの人を乗せて走る車よ」
「竜車より速いです」
「竜車?」
「い、いえ。何でもありません」
思わず口にしてしまった。
トーコさんは不思議そうにしたけれど、追及はしなかった。
わたしが掴んでいた袖へ視線を落とし、優しく笑う。
「離れなくていいからね」
「……はい」
袖から手を離す。
今度は、置いていかれないように少し近くを歩いた。
◇◆◇
住宅街を抜けると、人や店が並ぶ通りへ出た。
トーコさんによれば、商店街という場所らしい。
道の左右に、いくつもの店が並んでいる。
野菜。魚。肉。パン。
見たことのあるものもあれば、初めて見るものもあった。
「灯子さん、おはよう!」
店先から声を掛けられる。
色とりどりの野菜を並べていた男の人が、こちらへ手を振っていた。
「おはようございます」
トーコさんが自然に返事をする。
男の人の視線が、わたしへ移った。
「そっちの子は?」
「しばらく、うちで預かることになったレイチェルちゃん」
「レイチェル・ラディーナです」
少し緊張しながら頭を下げる。
「よろしくお願いします」
「こりゃまた礼儀正しい子だな」
男の人は大きく笑った。
「海外から来たのかい?」
「はい」
嘘ではない。
海よりも、もっと遠い場所から来た。
「日本語上手だなあ」
「まだ、勉強中です」
「十分うまいよ」
褒められて、どう返せばいいか分からず、もう一度頭を下げる。
男の人は、わたしの肩にいるミィルへ気づいた。
「おっ、その子も一緒か」
手が近づいてくる。
ミィルは一瞬だけ耳を伏せたけれど、逃げなかった。
頭を撫でられ、仕方なさそうに目を細める。
「かわいいなあ。キツネか?」
「たぶん、違うと思います」
「たぶん?」
「詳しい種類が、分からなくて」
「珍しい子なんだな」
ミィルが、キツネ扱いされたことに不満そうな顔をする。
けれど、男の人は気づかない。
「これ、食べるか?」
小さく切られたリンゴを一つ差し出される。
ミィルはわたしを見た。
食べてもいいか、と目で尋ねている。
「いただいてもいいですか?」
「もちろん」
「ありがとうございます」
ミィルへ渡す。
しゃくり、と小さな音を立ててかじる。
気に入ったらしく、尻尾が大きく揺れ始めた。
「分かりやすい子だなあ」
男の人がまた笑う。
その後も、パン屋の女の人。
花屋のお婆さん。道ですれ違った人たち。
何人もの人がトーコさんへ挨拶をした。
そのたび、わたしとミィルも紹介された。
知らない人から次々に声を掛けられるのは、少し緊張した。
城下町を歩いている時も、わたしへ話しかける人はいた。
けれど、みんなわたしをラディーナ家の娘として扱っていた。
頭を下げ、距離を取り、言葉を選ぶ。
ここでは違う。
レイチェルという名前の、ただの女の子として話しかけられている。
それが不思議で少しだけ、嬉しかった。
「トーコさんは、皆さんとお知り合いなんですね」
「ここに長く住んでるからね」
「すごいです」
「そう?」
「はい。皆さん、トーコさんを見ると笑顔になります」
トーコさんが少し驚いたように瞬きをする。
それから、照れくさそうに笑った。
「それは、私も笑ってるからかもしれないわね」
◇◆◇
商店街を抜けた後、わたしたちは大きな建物へ入った。
入口の前へ立つと、透明な扉が勝手に横へ開いた。
「……!」
思わず足を止める。
ミィルは驚いて、カバンの中に隠れる。
「どうしたの?」
「扉が、勝手に」
「自動ドアよ。人が近づくと開くの」
「誰かが見ているんですか?」
「上に人を見つける機械があるのよ」
見上げる。
小さな黒い箱が付いている。
あれが、近づいてきた人を見つけているらしい。
恐る恐る中へ入る。
扉が背後で閉じた。
建物の中は、とても広かった。
天井には、昼間なのに眩しいほどの光。
左右には、何列もの商品棚が並んでいる。
人も多い。大人。子供。家族。
大きな籠を押して歩く人。
わたしたちみたいに動物を連れている人もいる。
店員らしい服装の人。
「ここは……市場ですか?」
「まあ、近いかしら。いろいろなものを一つの建物で売っているの」
「全部ですか?」
「食べ物から服、日用品までね」
わたしは、ただ店内を見回した。
城下町の市場も広かった。
それでも、店の種類ごとに場所が分かれている。
こんなに多くの商品が、一つの建物へ集まっている光景は見たことがなかった。
「迷子になりそうです」
「私から離れないでね」
「はい」
さっきの車の時と同じように、トーコさんの近くを歩く。
ミィルも人の多さに驚いたのか、カバンの中からじっと周囲を見ていた。
最初に向かったのは、歯を磨く道具が並ぶ場所だった。
「好きなものを選んで」
「……これを?」
「ええ。歯ブラシ」
棚には、同じような道具が何十本も並んでいる。
色。形。大きさ。毛の柔らかさ。持ち手の太さ。
「どうして、同じ道具がこんなにあるんですか?」
「人によって好みが違うから」
「どれが一番いいのでしょう?」
「レイチェルちゃんが使いやすそうなもの」
「使ったことがないので、分かりません」
「じゃあ、普通の硬さで小さめのものにしましょうか」
トーコさんが、薄い桃色の歯ブラシを一本選んでくれた。
続いて、歯を磨くための白い薬。髪を洗うもの。身体を洗うもの。
櫛とタオルは自前のものがあるけど、どれもかわいい。
そのたび、トーコさんが違いを説明してくれた。
「このタオル、柔らかい」
棚に並んだ一枚へ触れる。
ふわふわしている。
「それにする?」
「でも、こちらの方が安いです」
値札に書かれている数字を見比べる。
数字は読める。
ただ、それが高いのか安いのかは分からなかった。
「値段の違いが分かるの?」
「数字が小さい方が安いのでは?」
「それはそうだけど」
「なら、安い方で十分です」
トーコさんは一度、安い方のタオルへ触れた。
それから、わたしが最初に触っていた柔らかい方を籠へ入れる。
「あっ」
「毎日使うものだから、気に入った方がいいでしょう?」
「でも」
「数百円の違いだから」
数百円。それがどれくらいなのか分からない。
分からないからこそ、余計に不安になる。
「こちらのお金は、どういう仕組みなんですか?」
「仕組み?」
「この数字で、物の価値を表すんですよね?」
「そうね」
トーコさんは財布から硬貨を何枚か出して見せてくれた。
丸い金属。色や大きさが違う。
「これが十円。こっちが百円。そして、これが五百円」
「同じ金属なのに、価値が違うんですか?」
「決められた形と数字で分かるようになってるの」
次に、紙でできたお金を見せてもらう。
「これは千円札」
「紙なのに、金属より価値が高いんですか?」
「そう」
「破れたらどうするんですか?」
「普通に使っていれば、そんな簡単には破れないわ」
お父様の本で見たものと似ている。
けれど、実際に触れると、ただの紙とは少し違う手触りだった。
その後。部屋の中で着る服。眠る時に着る服。靴下など必要な衣類を選んだ。
下着の売り場では、わたしが何を選べばいいか分からず固まっていると、トーコさんが自然に助けてくれた。
「大丈夫。サイズを確認して、必要なものだけ選びましょう」
「すみません……」
「謝らなくていいのよ」
人に身体の大きさを測ってもらうのは恥ずかしかった。
それでも、トーコさんはからかったりせず、必要なことだけを説明してくれた。
まるで、お母様と買い物をしているようだった。
お母様も、わたしが迷っているといつも少し先に気づいてくれた。
何も言わなくても、手を差し伸べてくれた。
胸の奥が、きゅっと痛くなる。
「レイチェルちゃん?」
「……何でもありません」
「疲れた?」
「……少しだけ」
「じゃあ、これを選んだら休憩しましょう」
「はい」
トーコさんは、わたしが何を思い出したのか聞かなかった。
ただ、歩く速度を少しだけゆっくりにしてくれた。
◇◆◇
買い物を終え、会計の場所へ並ぶ。
籠の中には、たくさんの商品が入っていた。
わたしのためのものばかり。歯ブラシ。タオル。髪を整える道具。部屋着。眠る時の服。着替え。
必要だと言われても、申し訳ない気持ちが消えなかった。
店員が商品を一つずつ機械へ通す。
そのたび、短い音が鳴る。
最後に表示された数字を見て、息を呑んだ。
それがどれだけ大きな金額なのかは分からない。
けれど、数字がたくさん並んでいる。
「トーコさん」
「何?」
「やっぱり、少し減らしましょう」
「どうして?」
「こんなに買っていただくわけにはいきません」
「全部必要なものよ」
「でも……」
「レイチェルちゃん」
トーコさんは、困った子を見るように笑った。
「必要な物なんだから、気にしないの」
朝にも言われた言葉。
「けれど、わたしは何も返せません」
「もう返してもらってるわよ」
「え?」
「今朝、朝食の支度を手伝ってくれたでしょう?」
「それだけです」
「私には助かったの」
「でも、買っていただく金額とは」
「比べなくていいの」
トーコさんの声は優しい。
けれど、断ることを許さない強さがあった。
「誰かにしてもらったことを、すぐ同じだけ返さなくてもいいのよ」
「……」
「レイチェルちゃんが元気になって、安心して暮らしてくれれば、それで十分」
何も言えなかった。
お母様にも、似たようなことを言われたことがある。
子供が親に返すことを考えなくていい。
元気に育つことが一番だと。
でも、トーコさんは、わたしのお母様ではない。
昨日出会ったばかりの、他人だ。
どうして、こんなに優しくしてくれるのだろう?
「……ありがとうございます」
声が少し震えた。
トーコさんは、何も言わずにわたしの頭を撫でた。
その手が温かかった。
◇◆◇
帰り道。
買ったものは大きな袋へ分けて入れられていた。
わたしも一つ持とうとしたけれど、トーコさんは軽い方しか渡してくれなかった。
「身体が治ったばかりなんだから、無理しない」
「もう大丈夫です」
「自分で大丈夫って言う人ほど、無理してるものよ」
「そうなんですか?」
「少なくとも、正護はそう」
トーコさんが笑う。
「ショーゴさんも?」
「熱があっても学校へ行こうとするし、怪我してても部活の助っ人へ行こうとするし」
「危ないです」
「でしょう?」
「帰ってきたら、気をつけるように言います」
「あら。レイチェルちゃんからも言ってくれる?」
「はい」
「正護、困るでしょうね」
楽しそうなトーコさんを見て、わたしも小さく笑った。
昨日まで、わたしはこの世界で一人だった。
ミィルがいてくれたけれど、それでも、何も分からない場所に取り残されたと思っていた。
今は、隣を歩いてくれる人がいる。
帰る家がある。
自分のために選んでもらった物が、袋の中に入っている。
ずっとここにいられるわけではない。
帰る方法を探さなければいけない。
それでも、今だけは。この温かさを受け取ってもいいのかもしれない。
◇◆◇
家へ戻る頃には、日が傾き始めていた。
「ただいま」
「……ただいま、です」
トーコさんに続いて言う。
誰もいない玄関へ向けて言うのは、少し不思議だった。
それでも、ここへ帰ってきたのだと思うと、胸の奥が温かくなる。
客間へ荷物を運ぶ。トーコさんと二人で、買ってきたものを収納していった。
タオルは棚の上。部屋着とパジャマは、引き出しの中。歯ブラシは、あとで洗面所へ置く。
「ここ、レイチェルちゃんが使いやすいようにしていいからね」
「わたしが?」
「ええ。しばらく使う部屋なんだから」
自分専用のタオル。自分専用の歯ブラシ。自分のために選んだ服。昨日まで空いていた部屋へ、少しずつわたしの物が増えていく。
それは、わたしの居場所が、この家の中へ少しだけできていくように感じられた。
「これで大体終わりね」
トーコさんが立ち上がる。
「私は夕食の支度をしてくるけど、レイチェルちゃんは休んでいて」
「わたしも手伝います」
「少し休んでからね」
「……はい」
トーコさんが客間を出ていく。
襖が閉じる。
ミィルは部屋の隅に置かれていた座布団の上で、丸くなっていた。
商店街でも大型店でも、ずっと普通の動物らしく振る舞っていたから、疲れたのかもしれない。
「ミィル」
呼びかける。
「もう喋っても大丈夫だよ」
「……疲れたわ」
ミィルが顔を上げた。
「知らない人に何回撫でられたと思ってるのよ」
「嫌だった?」
「嫌ってほどじゃないけど」
「リンゴもパンももらってたよね」
「それとこれは別よ」
ミィルは立ち上がり、大きく身体を伸ばした。
「随分たくさん買ってもらったのね」
「……うん」
袋からパジャマを取り出し、引き出しへ入れる。
「トーコさん、本当に優しい人だね」
「そうね」
「何も返せないのに」
「またそれ?」
「だって……」
ミィルは座布団から降り、わたしの足元へ歩いてきた。
「今は甘えておけばいいのよ」
「ミィルまで、トーコさんと同じこと言うの?」
「倒れたままじゃ、帰る方法だって探せないでしょう」
「それは、そうだけど」
「元気になってから考えればいいの」
ミィルが前足で、わたしの足へ触れる。
「助けてもらった分は、いつか返せばいいわ」
「……うん」
ミィルの言う通りなのだと思う。
今すぐ全部を返そうとするのは、きっとただの意地だ。
まずは元気になる。
この世界のことを知る。
帰る方法を探す。
そのために、今はトーコさんたちへ頼る。
「ショーゴさん、もうすぐ帰ってくるかな」
「どうかしら」
「朝、昨日と同じくらいって言ってたから」
買い物の話をしたら、どんな反応をするだろう。
この服が似合うか、聞いてみようか。
そんなことを考えながら、新しい部屋着を畳む。
その時だった。
ミィルの長い耳が、ぴんと立った。
「……ミィル?」
さっきまでの疲れた様子が消えている。
尻尾の動きも止まっていた。
何かを探るように、目を閉じる。
「どうしたの?」
返事はない。
ミィルの額にある宝石が、微かに光った。
胸の奥に嫌な予感が広がる。
「ミィル?」
もう一度呼ぶ。
ミィルが目を開いた。
その表情から。
いつもの軽さは、完全に消えていた。
「レイチェル、まずいことになったわ。ショーゴが襲われたわ」