怪獣8号:RESTART FROM ZERO 作:スペア
明暦の大怪獣との戦いから10年の月日が流れた。
防衛隊員として、そして怪獣8号として、日々怪獣討伐に明け暮れていた日比野カフカ。
そんなある日、上空の雲が割れ、かつてない質量を持った影が姿を現した。
防衛隊本部には、凄まじい警告音が鳴り響いている。
オペレーター:「上空に超大型怪獣が出現! 各数値、上昇を続けています……嘘、フォルチュード計測不能!? 測定限界を突破しています!」
雲の隙間から降りてきたのは、青白い輝きを放つ、金色の巨大な鳥。
四ノ宮キコル:「なにあれ……ふざけたサイズ感じゃないの……!」
亜白ミナ:『各隊、総員戦闘配置。これ以上の降下を許すな。攻撃開始!』
防衛隊の総力を挙げた一斉攻撃が始まった。
しかし、激しい砲撃の煙が晴れても、その怪獣は微動だにしない。
鳴海弦:「チッ、全弾命中してこれかよ。キコル、オカッパと同時に畳み掛けるぞ!」
鳴海、保科、そしてキコルの3人が、防衛隊最高峰の斬撃を同時に繰り出す。
超高速の刃と力が怪獣の装甲に火花を散らした。
保科宗四郎:「おいおい、ワイらの攻撃、かすり傷一つ付いてへんで。ちょっと硬すぎへん?」
さらに、市川レノが全力の凍結弾を撃ち込み、動きを止めようとする。
市川レノ:「凍れ……ッ!」
凍りつくが、それすらも一瞬で容易に砕け散る。
亜白ミナ:『射線上から退避!――対大型怪獣固定電磁砲、発射!!』
地響きを立てて放たれたミナの主砲が、怪獣の胸へと直撃し、凄まじい爆発が周囲を包む。
だが、爆煙の向こうから現れた怪獣の身体には、傷一つ付いていなかった。
日比野カフカ:「みんなの攻撃が、全く効いてねえ……。こうなったら、俺が行くしかねえ!」
カフカは覚悟を決め、拳を握りしめる。全身の皮膚が弾け飛び、黒い外骨格が彼を包み込んだ。
怪獣8号(カフカ):「うおおおおおーーーッ!!」
8号へと変身したカフカが、音速を超えて怪獣の胸へと肉薄し、渾身の一撃を叩き込む。
ズウウウゥゥン!!
その瞬間、それまで無傷だった怪獣の強固な装甲に、初めてピキリと亀裂が入った。
鳴海弦:「……は? 俺たちの最大火力が通用しなかった相手に、お前の拳だけ通るってどういう理屈だ、日比野!」
怪獣8号(カフカ):「知るかよ! でも、俺の攻撃なら通る! だったら、ここでブチ壊すだけだあッ!」
カフカは猛烈な連続拳を叩き込む。
凄まじい衝撃波が空気を揺らし、金色の巨大な鳥の怪獣の装甲が、ボロボロと剥がれ落ちていく。
そしてついに、胸の奥で怪しく光る「核(コア)」が完全に露出した。
怪獣8号(カフカ):「これで、終わりだァァァッ!!」
カフカが核を破壊しようと、全エネルギーを右拳に集中させて放とうとした、その瞬間だった。
怪獣の核の前で、空間がぐにゃりと歪み、禍々しい「黒い渦」が突如として発生した。
怪獣8号(カフカ):「しまっ――、うわあああああ!?」
凄まじい引力が発生し、露出した核を殴ろうとしていたカフカの身体が、怪獣もろとも渦の中へと強引に引きずり込まれていく。
抗う間もなく、カフカと超大型怪獣が完全に飲み込まれた直後、黒い渦はパチンと弾けるように消滅した。
上空には、ただ静かな青空だけが広がっている。
四ノ宮キコル:「嘘……でしょ……? カフカ……? どこ行ったのよ、カフカ!!」
保科宗四郎:「おい、嘘やろ……。気配が完全に消えた。バイタルもロストや」
亜白ミナ:『オペレーター! 周辺域、上空、空間の歪み、あらゆるデータを計測して! 早く!』
オペレーター:「だ、ダメです! 熱源、エネルギー反応、8号の識別信号……すべて完全に消失しました! 何の手がかりも残っていません……!」
市川レノ:「そんな……先輩……先輩!!」
レノの悲痛な叫びが、誰もいなくなった空に虚しく響き渡った。
金色の巨大な鳥:バトスピの神凰兵フェニックス・ゴレムの姿