元一般人、妖術師達の戦争で敵側ヒロインを襲い犯し奪い、褒美としてヒロインを抱きまくる、略奪ハーレム、現代バトル、主人公最強、現代ファンタジー 作:三流木青二斎
蟲翅伴の蟲系統の妖を肉体の細胞として置換させた事で驚異的な戦闘力を宿す。
対して屍人骸は唯一の妖術持ちである黒漆が居ない状態での戦闘が要求されていた。
それでも尚、屍人骸は極めて冷静であり、蟲翅伴と相対すると共に拳を構えた。
(『爛蝿《スタレバエ》』)
体内に取り込んだ蟲を分裂させ、複数の妖として放つ。
一万体を越える極小の小妖級以下の蟲が屍人骸の周囲に集うと共に屍人骸は妖力を放出して蟲と自身の間に狭間を作る。
これにより蟲の群れは屍人骸に接触する事は出来ないが、屍人骸は無尽蔵の蝿に視界を遮られた。
(視界を遮るだけの技なら俺に傷一つ付ける事は出来ねぇよ)
そう思っていた屍人骸、しかし、蟲翅伴は両腕を構えると共に、指先が変形し其処からガスを噴出する。
ミイデラゴミムシをベースにした中妖級の蟲であり、放出するガスに可燃性の体液を混ぜ合わせ引火させる事が出来る蟲を使う。
それを周囲に散布した『爛蝿』に引火させる事で、連鎖的に蟲の群れが火を纏い、連鎖的に蟲が燃え広がると、空気を燃料に更に爆発的な威力と化す。
所謂、粉塵爆発の容量による攻撃であり、屍人骸をその爆発中心で放った。
燃え広がる空間の最中、蟲翅伴は確実に仕留めたとは思っていない。
今まで出会って来た妖術師の中で、屍人骸と言う男が、脅威的であり類を見ない強者である事を確信していた為だ。
(これで死んだら、ありがたいけどよぉ……死んでねぇだろうなぁ?)
だから次に備える為に蟲翅伴は腕部から無数の刃を展開する。
大柄な死神の刃を連想させる蟷螂の刃、もう片方の腕は先程、中妖級の蟲を使い接合し直したオオクワガタの大鋏。
加えて、肉体には疑似心臓と思考能力の要である脳幹を複数増殖。
これで頭部を仮に破壊されても生存する事が可能となる。
背中から無数の『具足百足』を展開させ、手数を増やす。
最早人間を越えた状態と化す蟲翅伴は、これを以て万全の状態として屍人骸と応対する事が出来る。
燃え盛る炎の渦、其処から徒歩で蟲翅伴の元へよる揺らめく影の姿。
其処に現れる一人の影、一人の化物、一人の鬼、一人の妖術師。
屍人骸の姿が認識したと同時、悪鬼は地面を跳ねた。
妖力を背中から排出し推進力を加算した速度で移動すると共に、拳を構える。
相手の動き、具足百足の触手の速度よりも彼の一直線で向かう速度の方が早い。
(くたばれ……化物ぉ!!)
全て準備してきたものが使えない選択肢であると認識した蟲翅伴。
胸部に全妖力を集中させ、小さな穂先を生み出す、それは次第に一筋の槍と化して、最高硬度を誇る『
三枚翅の一角、蟲翅鬼の奥義である一撃、鋭い穂先が屍人骸を貫こうとした、その寸前。
彼の拳が、その槍を砕き蟲翅伴の胸元に拳を貫く。
「ぐううううッ!!」
そのまま蟲壺の壁に叩き付けられると、屍人骸は相手の顔を見据えながら狂気に近しい顔付きで言い放つ。
「艶媚は俺の女だ、勝手に手ェ出してんじゃねぇよ」
至近距離による最大出力の妖力の圧。
壁に押し付けられる蟲翅伴は動く事が出来ず、巨大な隕石を肌で受け止めるかの様な膨大な熱を感じながら、屍人骸の単なる妖力操作で押し潰された。
どれ程の心臓核を残していようとも、……全身を潰されれば意味など無かった。
「黒漆、そのまま艶媚ちゃんを連れて戻ってろ」
龍艶媚の肉体に蜷局を巻いた状態で宙に浮かぶ黒漆は、肉体を震わせながら必死に自らの母親を浮遊させていた。
「龍家の妖術師に出会えば保護してくれる、俺ぁまだ戦いがあっから、宜しく頼むわ」
黒漆の顎元を撫でると、小さな龍を喉奥から「まぁぁう」とご機嫌な声を漏らしていた。
蟲壺の部屋から出ると、屍人骸と黒漆は別れて移動し、屍人骸はその後ろ姿を見送りながら自らの役目を全うする為に走り出す。
本拠地である榊家の内部、他の部屋よりも広い合議の間にて、その場に座りながら爪を噛む榊天吏は劣勢の状況に強いられて焦燥に駆られていた。
(不味い、不味い、このままでは、敗ける、何故?私は何処で、何処で間違えた?)
奇襲は成功した。
万全とは言い難いがそれでも十分な駒を用意する事が出来た。
迷宮もきちんと機能したし、どの様な状況でも対応出来る様に対策を立てた。
しかし、その悉くが、対策と言う計画そのものが壊された。
(お父様は、最早使えない、式神と同化した事で自我は消えた、頼れるのは蟲翅伴か蟲翅彪のどちらか、でも、例え勝利した所で、今回の作戦を計画した私に全責任が流れ込む……そうなると)
被害を取り戻そうと榊天吏を使い損害分を取り返そうとするだろう。
性能の良い妖術師を蟲壺に突っ込めば、優れた妖を生産する事も出来る。
しかし、そうなれば……榊天吏は死ぬまで肉体を利用され貪られてしまう。
母親と同じ末路を辿ってしまう、そう思うだけで、榊天吏は身震いを起こす。
(あれだけは……あの女と同じ末路に辿る事だけは、嫌ッ、そうなるくらいなら、死ぬ方がマシ……っ)
脳裏に過る母の淫靡な姿を想像した時、不思議と榊天吏の下腹部が疼く事に気が付いた。
戦争の最中であると言うのに、思考と相反する感情の点りに首を振って掻き消す。
自分はそうではない、その様な感情を抱いていない。
(私は支配する側、決して、ソッチ側じゃない……だからっ)
ここで負けるワケには行かない。
杖を強く握り締めて、彼女は立ち上がろうとした時。
廊下を激しく走り出す音が響いて来る、その音と共に榊天吏はビクりと身体を震わせる。
(翅彪……迎撃に出ると言って出ていったけど、もしかして戻ってきた?それなら……)
性的な目で榊天吏を見詰めている事が多い蟲翅彪。
彼が今回の戦いに勝利したとなれば、少なくとも責任問題は蟲翅彪の言葉一つでなくなるだろう。
(最悪、蟲翅彪は肉体関係を強要するでしょうが……言い包める、最悪、処女を捧げれば)
嫌悪感が勝るが、彼女の責任問題を不問に出来るのならば安いものだ。
せめて最低限の尻尾を振り好感度を上げて置こうと自ら出迎える為に襖に手を伸ばした。
「お戻りになられましたか?翅彪……」
そして、襖の前に立つ男は、肥えた中年男性では無かった。
「テメェがアレか?龍神様に舐めた真似しやがった女ってのは」
其処に立つのは……彼女が計画した作戦、その悉くを台無しにした男。
屍人骸が、彼女に憤りを向けていた。
此処に至るまで煮え湯を飲まされた屍人骸。
敵の全てを滅ぼさなければこの感情が収まる事は無い。
相手が女である事を認識すると、殺すよりも辱める方がより屈辱を与える事が出来る。
そう屍人骸は思考回路を切り替えると共に、彼女に向けて手を伸ばす。
「っ」
敵と認識した榊天吏はその手から逃れる為に後退する。
だが、屍人骸のピンチ力は凄まじく、彼女の衣服に人差し指と中指が触れたと同時にナイフで切る様に衣服が簡単に破けた。
そのまま後退する榊天地は自らの胸元を隠しながら息を荒げている。
(私が、こんな下種に、手を触れられるなんて……、この男は、……まさか、この男が、屍人骸?)
龍家の情報の殆どは自らの頭の中にインプットされている。
だが、龍家の妖術師の中に屍人骸の情報は無かった為に、その正体不明の存在が逆に屍人骸である事を察する事が出来た。
彼女が立てた計画を打ち破った男。
それが今、彼女の目の前に立っている、その時点で榊天吏の思考は恐怖から殺意に変わり出す。
「貴方さえ、いなければッ……」
屍人骸さえ居なければ、今回の計画は成功していたのだ。
ただ一人の存在によって覆された事実を、榊天吏は怒りと共に妖力を放ち出す。
「『
榊天吏の妖術『蠱蜜』。
蟲家の『蠱胞』と榊家の『蠢芽』が合わさった新世代の妖術である。
彼女の妖力は『水印』と『木印』の二種類の適性が組み合わさる『花印』。
妖力の性質は『散布』であり、花弁の様に小さな妖力を周囲に撒き散らす事が出来る。
この効果により、妖力が分散されると、周辺には妖術によって変化した『蠱蜜・穿蜂』が生成され、無数の針を持つ妖蜂が屍人骸へと飛んでいく。
(毒にも薬にもなる蜜を流し込む妖蜂の生成、解毒すら出来ずに苦しんで死ぬと良いッ)
無数の蜂が屍人骸に向けて針を向ける。
接触すれば簡単に人の命を失う事が出来る攻撃に対して、しかし屍人骸は敵意を向ける事は無く。
「……再三飽きたぜ、蟲はもう要らねぇよ」
体内に秘める妖力の大量放出。
小妖級に属する妖であれば迂闊に近付けば消滅する程の放出の圧。
それは彼女の妖術で生成された妖蜂を容易に焼き尽くすと、次第に榊天吏の表情は蒼褪めていく。
(私の蜂は、刺されば必中の毒を流し込める、……けど、刺す事すら、出来ないなんて)
相手が悪い。
他の妖術師ならば、容易に術中に嵌める事が出来ただろう。
だが、屍人骸に妖術師の常識など通用しない。
自らの奥の手が早々と潰された榊天吏は後退る。
「わ、私が、こんな男に、敗ける、なんて……」
そんな事はあってはならない。
在る筈が無い、折れ掛けた心が屈服し掛けた時……。