元一般人、妖術師達の戦争で敵側ヒロインを襲い犯し奪い、褒美としてヒロインを抱きまくる、略奪ハーレム、現代バトル、主人公最強、現代ファンタジー   作:三流木青二斎

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奇襲宣告

三十分前。

時刻は屍人骸と龍艶媚が妖の元へ向かう道中であった。

その時間帯、朝早くから龍家本殿へと訪問する者の姿がある。

白き髪を揺らしながら杖を突く女性とその付き人達。

本殿前の守衛に軽く会釈をすると共に話し掛ける。

 

『こんにちは。龍家の御当主に逢いに来ました』

 

悠然とした佇まい。

さも会合の予約をしていたかの様な口調に守衛は本日は他家との連盟決議があるのかと錯覚する程。

懐から携帯端末を取り出し、本日の来訪者の名前を確認するが、記載は無し。

 

『誰だ?面会の予定は?』

 

何か間違えてはいないか、その様に聞く守衛に対し。

 

『ああ、そんなものはありませんよ?何せ襲撃ですので』

 

その言葉と共に、白銀に輝く彼女から漏れる妖力が小さな塊と化し、守衛の首筋に突き刺さる。

一瞬の痛覚を覚えた守衛は肉体に感じる違和感を覚え……発狂する。

 

『な ぐぁぁッ!!か、身体が、熱ッ、ぁあッ』

 

その場に蹲る守衛の姿を見据えながら、杖を使いながら龍家へと侵入する。

 

『さあ襲撃ですよ、龍家の皆様方』

 

道中は静かだった。

龍家の人間が少なからず本殿を守護している筈だが。

驚く程までに簡単に、龍憂媚が座する大広間へと到着する。

 

『……んん、何じゃ、貴様らは』

 

携帯端末を操作しながら苦悶の表情を浮かべていた龍憂媚。

闖入者の周囲には、彼女以外にも龍家の家臣が居た。

不届き者を誅する事なく、隷属する様に少女と共に行動している。

 

『どうも、龍家の当主様、私達は榊家を筆頭にした蟲樹天連盟と申します』

 

そして彼女は自分が何者であるのか口にする。

その言葉に敵であると認識した龍憂媚は慌てる事も無く、むしろ不思議そうな顔をして首を傾けている。

 

『妾の妖力察知も劣ったかの?……何故、貴様らから龍家の妖力を感じ入る?』

 

龍憂媚の能力の一端として、自身の領土に関する力を宿す。

その中で自身の血筋である妖力以外のものを識別する事が出来るのだが、今、彼女の目の前にいる闖入者たちが龍家の血筋である妖力を放っている様に錯覚していたのだ。

不可解だと感じる龍憂媚にくすり、と笑みを浮かべる少女。

 

『それは勿論、内通の方々と手を組みましたので』

 

家臣達の半数が、闖入者である少女の後ろに立つ。

さして罪悪感など感じていない様な謝罪の言葉を口にする。

 

『申し訳ありませんなぁ、龍神様』

『軍門に下れば相応の地位を与えてくれるとの事』

『屍人骸などと言う餓鬼に血迷う貴方よりかは此方の方が幾分もマシでしたので』

 

ふす、と思わず龍憂媚は笑う。

家臣らが裏切る事に対して、別段、ショックは受けていない。

むしろ、自分の事を裏切る者が半数も居る事に笑ってしまった。

どれ程、自分と言う存在に対し人望が無いのかと思っている様子だ。

 

『半分もかえ?……それも古参の殆どとはの』

 

とはいうが、大方の理由はついている。

彼女からすれば、古参の家臣達は腰抜け、と言う他無い。

家臣らは是迄溜まり続けて来た鬱憤を晴らすかの様に当主に向けて叫んだ。

 

『我々は古き秩序を重んじる、時代が変わり思想も変わった貴方様には付いていけませぬッ!!』

『ですが安心して下され、殺すまでとは行きませぬ……龍家の新たな御子息を孕んで頂きまする』

『ついでに二人の娘達も、我々が子を孕ませましょうぞッ!!』

 

傲慢で家臣らを蔑む当主に対し、彼らは勝利に酔い痴れ、勝ちを確信している。

剰え、その先の事、敗者に与えるべき凌辱を想像し、股間を膨れ上がらせていた。

痴女に近しい服装をする龍憂媚を喘がせ、屈服させ、性奴隷へと堕とす、ただそれだけを夢想している様子だった。

 

『……貴様らの処分は追々、それで貴様、名は?』

 

一先ず、家臣らは無視をして、次に龍憂媚は少女に視線を向ける。

優雅に脚を組みなおしながら、強者としての余裕を見せる龍憂媚に対して彼女は微笑を崩さぬまま、勝者の顔を作り続けている。

 

『はい、(さかき)天吏(てんり)と申します、最期のご挨拶ですよ?龍憂媚さん』

 

貴方は此処で終わりだと洒落た事を口にする少女……榊天吏の言葉に、龍憂媚は小さく噴き出す。

 

『……んふ、良い名じゃの、して、妾が聞いたのは、その銘では無い』

 

名前を聞いたわけでは無い、だとすれば何を聞いたのか?

 

『?』

 

細やかに首を傾げる榊天吏に対して、龍憂媚は手を彼女の方に向ける。

同時……手から放たれる雷電の如き妖力の迸りに、龍憂媚は殺意を乗せた。

 

『墓石に記す戒名を名乗れ、雑草』

 

死した後の名を教えろと、龍憂媚は彼女に告げた。

 

古参の殆どは龍家の血縁者ではあるが、家系図から見れば遠縁である。

それでも彼らが龍家を名乗れるのは、肉体に刻まれた妖術故の事だからだ。

 

咬威(かむい)ッ」

 

龍家の血筋を持つ者が扱える下位互換と称される妖術の使役。

妖力に流れる属性に応じて、その発出形態は様々だ。

 

両腕を構える事で妖力を前方へ押し出す斬撃。

両手を妖力で纏う事で指先を硬化させる強化術。

 

近接、中距離からの攻撃に、龍憂媚は涼やかな口調と共に声を漏らす。

 

「『妃龍(ひりゅう)』」

 

銘と共に彼女の周囲を守護する、一体の龍の出現。

蜷局を巻く様に龍憂媚の肉体を守護すると、古参による攻撃は龍の護りによって無力化される。

 

(龍憂媚様の妖が出現した)

(この地を守る龍神の本質ッ)

 

妖と契約する事で自らの力の一端を式神に加算した状態で能力を行使出来る。

龍憂媚が契約した『妃龍』は龍家領土を上空から観測し龍家の妖力以外の妖術師を弾く『咬威』を放つ事が出来る。

 

龍家の守護神の顕現、龍憂媚の力の本質である。

 

「だが、弱々しい見た目だな」

「儂らが恐れていた龍神がそんなものだとはなッ」

 

龍憂媚を守護する妃龍は大広間にすっぽりと入り込む程に小さな身体だ。

戦うとなれば、案外、簡単に排除出来ると、そう思っていた。

 

「三百年……妾と共にし続けて来た龍神じゃぞ?弱い訳が無かろうが」

 

『妃龍』が口を開くと共に周辺に無数の雨粒が生成される。

室内が湿気によって潤いが満ちて来たかと思えば、龍憂媚は胎児程の球体と化した水の球に触れると共に、指先から紫電の妖力を発生させる。

 

「鱗紋・雷咆(らいほう)

 

妖力には属性が存在する。

その属性によって、妖力の性質も変化する。

咬威を使役する事が出来る古参、その内の一人は『土印』と呼ばれる属性を持つ。

土印の性質は『硬質』、体内に基点を作る状態で妖力を流し込むと、その部分が硬質化する。

指先に込める事で、龍の爪の様に硬く鋭い刃となる。

 

他にも、『水印』を使役する属性ならば、性質は『流動』、術式である咬威を放出すると、壁や地面を伝い対象へと流れ込む様な術式になる。

 

他にもあるが、妖術と妖力の性質によって属性不一致による妖術の使用不可と言う状態に陥る事がある。

逆を言えば、妖術と妖力が尤も適した属性合致であれば、強力な術式として運用する事が可能、と言う事。

 

龍憂媚の属性は『雷印』、性質は『伝播』、妖力が電気の性質を帯びる事で伝導率の高いものに妖力を流し込み、帯妖させる事が可能、というもの。

 

生成された雨の礫に流し込む事で、龍憂媚は相伝妖術である『鱗紋』を発動。

 

『鱗紋』は妖力を流した物質や生命に『鱗』に関する生物に構造を組み替える。

 

彼女の娘である龍艶媚は自身の肉体を使い『蛇の性質』を模倣した。

そして龍憂媚の妖術は伝導させたものに『龍』の性質を与えると言うもの。

 

複数の雨粒が龍のカタチを模倣する。

そして、古参らに標準を合わせると共に、龍憂媚は命令を下す。

 

「咬威」

 

龍の咬威は全身の動きを加速させ、硬質化させた頭部で相手に向かい突進する技である。

龍が使役する事でその力は本来の用途として扱う事が可能であり、その威力は妖力で防御した肉体すら容易に貫通する程の一撃を宿す。

 

「貴様らが遠縁で血の繋がりがあろうとも……龍家を腐らす壊死の分類、早々に切除するつもりじゃったが、手間が省けたえ」

 

笑みを浮かべながら、龍憂媚は無類の力を以て家臣を虐殺した。

 

 

龍家本殿へと足を踏み入れた時。

其処に広がる遺体の数々に辟易とする龍艶媚。

遺体の内の一体の髪を掴んで持ち上げる屍人骸は死体を確認する。

 

「お、これ見た事あるな、……龍神様に仕える家臣か?」

 

顔を見ずとも家紋が刺繍された着物を見れば明白である。

 

(お母様が乱心を起こしたか……謀反か)

 

そのどちらかと思いながら龍憂媚へと謁見する二人。

 

「おお、来たかえ?」

 

部屋の中に入ると、悠然と寛ぐ龍憂媚の姿。

傷一つ付いていない彼女の姿に拍子抜けしてしまう龍艶媚。

 

「お母様、これは一体、どういう事ですか?」

 

現状の把握の為、説明を求める龍艶媚。

楽な恰好をした状態で、龍憂媚は簡単に説明を行う。

 

「……そして、反逆者共は殺したが、それに乗じて闖入者は逃げ出したと言う訳じゃ、尤も、奇襲ではあるが扱いは使者ゆえ、手を加えるのは御法度じゃがな」

 

……説明を終えた時。

納得の表情をする龍艶媚。

 

「それで、この惨状と言う訳ですか」

 

龍憂媚に仕える女中達が粛々と室内を清掃する。

穿たれた遺体の殆どは年老いた老人、古参連中であった。

顔見知りの老臣も居た為、少なからず衝撃は大きい。

 

「元々、粛清するつもりじゃ、手間が省けたえ」

 

優雅に脚を組み、横たわる遺体の数々を見据えながら龍憂媚は言い放つ。

粛清をするとは、一体、どういう事であるのか疑問を浮かべる龍艶媚。

 

「妾以外の龍家の妖術師は成長が発達しておらん、他家に攻め入る程の実力を備える努力も鍛錬も行わず、地位と名誉のみに胡坐を掻く様な老害は、存在するだけで邪魔じゃからの」

 

保守だ、穏健だ。

その様な言葉で常に濁す古参の家臣らに諦観した龍憂媚。

次の後継者争いで、どの派閥に属すれば老後は安泰であるかと言った話しかしない。

 

「老いは人を変えると言うがの、あそこまで朦朧するとは思わんかった……故に間引いたのじゃ、妾たちは妖術師、この地に眠る霊脈を独占する事こそ一族の悲願」

 

それを忘れた者など不要。

故に何れ殺すつもりだったのだと、そう龍憂媚は説明したのだ。

 

「そして、間が良い事に敵襲が来るとはの、戦力は減ったが好都合でもあろうて」

 

その言葉を最後に、龍憂媚は二人に視線を向ける。

 

「妾の陣地に足を踏み入れた不届き者は誅する、榊家と言う小生意気な小娘に圧倒的な力と言うものを叩き込ませてやろうぞ」

 

龍憂媚の表情は戦の強者の顔つきだった。

三百年を生き永らえる魔女の憤りは娘ですらも緊張が走り固唾を呑み込む。

唯一人、その場で話を聞く男だけは、不敵な笑みを浮かべながら目を爛々と輝かせていた。

 

「坊、なんじゃ、その顔は、今すぐにでも暴れたい、と言った様子じゃのう?」

 

好戦的な目。

それこそ、龍憂媚が愛おしく思える顔だった。

 

「はっは!!当たり前じゃないっすか、龍神様、憂媚さん、命じて下さいよオレに、オレをッ!!奪えと、犯せと、滅ぼせとッ」

 

喉奥から鳴らす様に、歓喜の声を挙げる。

 

「愛い愛い、根っこからの妖術師じゃのう、坊は、故に愛おしいえ」

 

頬に手を添えて蕩ける顔を浮かべる龍憂媚。

彼女が求める妖術師の精神性を体現している屍人骸を気に入らない筈が無かった。

 

「では……龍艶媚、屍人骸、そしてここにはおらんが、(おろち)桜尾(おうび)、三名を筆頭に榊家への侵攻を申し付ける―――潰せ」

 

そうして、戦が始まる。

 

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