元一般人、妖術師達の戦争で敵側ヒロインを襲い犯し奪い、褒美としてヒロインを抱きまくる、略奪ハーレム、現代バトル、主人公最強、現代ファンタジー 作:三流木青二斎
榊家。
既に帰還を果たした榊天吏は龍家に対して確かな手応えを感じていた。
上機嫌な彼女は、計画の内の一つが達してした事で、次なる準備を進めている。
「さあ、万全にお出迎えをしてあげましょう」
榊天吏は微笑みを絶やさず、天使の様に可愛らしい表情を浮かべながら周囲の妖術師達に語り掛ける。
現状、この地でのトップは彼女であり、当主代行と言う権利を以て政策を行っていた。
その内の一つが人工的な妖術師の生成である。
妖力を持たない一般人を素材に榊家の妖力と蟲家の妖力で生成される特殊な臓器を移植する事で一時的ではあるが妖術師として使役する事が出来る。
適合率は約30%、10人に3人が妖術師になる事が出来るが、残りの7人は適性不一致による肉体の変異に陥り、人造的な妖へと変化してしまう。
「現時点での人造妖術師の数は?」
月に3体の妖術師の製造。
これを3年間続けている為に、総勢108体の妖術師を備える。
「では全てを榊家の屋敷を守る事に徹させます」
領地を守る為の兵隊を周囲に配備はさせず、籠城をさせる事に決める。
家臣らはその決定事項に口を挟まず了承する様に首を縦に振った。
「そもそも、彼らがこの地に足を踏み入れれば、我らの屋敷に来るまでにお陀仏ですよ」
榊家には守護者が存在する。
それは、榊家領土を防衛する守護式神である『蝕樹蟲』と呼ばれる妖。
その妖と現代の当主が融合する事で、膨大な妖力と広範囲に渡る妖術の効用を齎す。
即ち、妖力による結界であった。
「榊家と蟲家以外の妖力を感知すれば、蝕樹蟲の根が生えて術師を捕縛、妖力と体液を吸収し栄養失調による餓死を引き起こす、どれ程強かろうと此処に来るまでには大幅に体力を激減させて私達と戦わなければならない……そうなれば遅るるに足りません」
そして、榊天吏は屋敷の地下に監禁された人造妖に視線を向ける。
「龍家の妖力を移植した人造妖の数は?」
その質問に作業を進めている研究員は資料を確認する。
そして明確な数字を榊天吏に向けて語り始めた。
「252体中、150体が注入完了です」
失敗作である筈の人造妖を再利用し、龍家を襲撃する為の手駒を用意。
彼らの知能は改造を施され、与えられた妖力の所有者を求める様にした。
これにより自動的に龍家へと向かい、根幹である龍憂媚を求めて移動する様になった。
龍家の血筋の妖力以外は弾くと言う防衛を掻い潜る二重段階の策である。
成功した妖術師で自軍を防衛し、失敗作の人造妖で攻め入る、最大限のコストを無駄なく消費していると言っても良い。
「150もいれば、龍の首を獲るのは容易いでしょう、さあ、皆さま、戦争の時間です」
榊天吏はこれからの作戦を口にしようとした最中。
突如、地下施設すら揺らす程の振動を感知して体が動く。
元々足腰の弱い彼女は杖を突いていなければ歩行が困難だが、この衝撃によってその場に座り尽くしてしまう。
「……なんですか、今のは?」
予想にしていない事態。
頭を回転させて事態の原因を探るが、彼女の思考よりも早く焦燥の声が施設に飛び込んだ家臣の口から詳細を明かされる。
「お、龍家襲撃ッ、屋敷を直接叩き込んできましたァ!」
―――余りにも早い龍家の行動。
榊天吏は我が耳を疑ってしまった。
榊家。
その直上に位置する空。
雲の中に隠れながら移動を行う者達の姿がある。
「榊家は侵攻して来た妖術師を吸血する結界を持つと聞く、迂闊に領地に足を踏み入れば、即決奴らの餌となるじゃろ」
だから、龍憂媚は一つの策を思い付いた。
それは彼女の妖術により龍家の妖術師を生成した龍の上に乗せて移送し、上空からの奇襲である。
「奇襲には奇襲じゃ、奴らの吠え面を拝めぬのは些か不満じゃが、まあ良い」
龍憂媚の背後に居る屍人骸に視線を促す。
「坊、命令じゃ、妾を虚仮にした榊天吏と言う娘は必ず生け捕りにした後、妾の前に連れて来るのじゃ」
奇襲を仕掛けた相手に対して殺意を迸る龍憂媚。
その言葉に、必ずや、と了承の旨を伝える屍人骸。
「憂媚さんをバカにしたツケはカラダで払わせてやりますよ」
頼もしい言葉に思わず龍憂媚はうっとりとした眼差しを屍人骸に向けていた。
「と、取り敢えず、作戦は……奇襲を仕掛けた後、私、兄様、イヌの三手に分かれて攻撃、いち早く当主を討伐する、ざっと作戦はこれで良いですね?お母様」
遥か上空、落ちれば妖術師であろうと死ぬ、それくらいの高い位置に、龍艶媚は目を上に背けながら聞く。
彼女はどうやら、高い所は苦手であるらしい。
表情を強張らせる龍艶媚の顔を見る屍人骸は、その新鮮な顔付きに少なからず興奮を抱いていた。
「それで、このままゆっくり降りるのですか?そうすれば、見つかる可能性が出てくるとは思いますが……」
今は飛行している状態だ。
このまま飛行機が着陸する様に緩やかに下降していけば、榊家領地の守衛か、あるいは探索用の式神が探知するか、そういった可能性を考慮せねばならないのだが。
「?お前は、何を言っておるのかえ?」
龍憂媚はキョトン、とした顔を浮かべた末に彼女の言動に首を傾げている。
何か、嫌な予感を覚える龍艶媚は薄らと恐怖二張り付いた笑みを浮かべて聞き返す。
「お、かあさま?それはどういう……」
その言葉が最後まで言い切る事なく。
龍の頭の上に乗る龍艶媚と、首から後ろがにゅるりと分けられる。
元々は龍家の池の水を術式で龍にしていた為、その様な芸当が可能だが、……今はそれどころではない。
「妾は貴様らを連れてきた、後は……落ちるのみよ」
遥か上空。
龍家の勢力を乗せた飛龍が急降下を行う。
直下に向けて落ちる様は大粒の雨が雫を連想させる。
「きゃ、ッあああぁァああ?!」
高らかに叫ぶ龍艶媚。
彼女の絶叫は少なからず、その他の妖術師も同調さる様に叫んでいる。
ただ一人、龍艶媚の側に居る男は違った。
「艶媚ちゃん絶叫系嫌いなタイプ?ギャップあって最高じゃん、見る目が変わったわマジでさぁ、今度遊園地でデートしない?しおらしい娘がグッとくるんだよねぇ」
呑気にデートの誘いを行う屍人骸に対して、龍艶媚は涙を浮かべながら絶叫と共に叫んだ。
「今、言う事ではないだろうがァあああ!!」
そして、……榊家の屋敷へと、飛龍が墜落した。
榊家直下墜落と共に屋敷の屋根を破壊し建物内部に侵入に成功。
本来ならば絶命する筈の高所からの落下に妖術師達は持ち前の妖力で肉体を強化、あるいは妖術を使い衝撃を分散、そして、彼らが搭乗していた龍が元々は水分で出来ていた事から、妖力が切れた事で水に戻り、液体が衝撃を吸収した事で妖術師達に対する落下の衝撃は最小限に留まる事が出来たのだろう。
「はあ……はっ、死ぬ、かと思った」
心臓を抑え込みながら落下による恐怖を顔に張り付ける龍艶媚。
案外、悪くない顔付きをする屍人骸は衣服を整えながら歩き始める。
「さあて、敵地に入り込んだし……ぼちぼち、始めますかねっと」
屍人骸は単体で屋敷の中……廊下を歩き出した。
彼に付き従う妖術師は居ない、と言うよりかは、屍人骸自体が兵を持つ事を拒否した。
「俺一人の方が都合が良いし……むしろ邪魔だからよ」
曰く、そうであるらしい。
余りにも傲岸不遜だが、その言葉は事実であるのだから仕方が無い。
彼の言葉に誰も反論する事は無かった、むしろ貴重な戦力が本来は三分の一に分散される筈が、約半数で分散される事に有難味を感じる者も多い。
人が多ければその分、単純な戦闘力は上昇すると言うものだからだ。
「……イヌ」
呼吸を繰り返し精神を整えた龍艶媚は屍人骸に声を掛ける。
また何か耳が痛い事を言って来るのかと思った屍人骸は彼女に恐る恐る視線を向けるが。
「死ぬなよ」
彼女の言葉は単純に屍人骸を想っての言葉だった。
拍子抜けする程の優しい言葉に、屍人骸は自らの腕を叩く。
「俺は腕っぷしだけは買われてっから、心配すんなよ艶媚ちゃん、終わったらデートでもしようぜ?」
憎たらしい程までの軽口だが、敵地で緊迫するなか、チャラけた彼の言葉はむしろ安心感を引き起こす緩衝材だった。
屍人骸が廊下を歩き、その場から去る最中を認識すると、龍艶媚はもう一人の男に視線を向ける。
「兄様も、御武運を祈ります」
兄様と呼ばれた長髪の男は涼やかな顔つきをしていた。
「ああ」
言葉も最小限に留めると、腰元に携える刀を引き抜き戦闘態勢に入る。
「今より此処は死地、者共、妖術の使用を解放する」
その言葉と共に、龍桜尾の私設部隊である妖術師達が能力を行使。
龍家に伝わる妖術、その下位互換である「
龍桜尾は武術を重んじ、肉体に術式を反映させやすい『土印』や『水印』の属性を持つ妖術師で構成された、肉体に鱗を生成し防御力を上昇させる『地鱗隊』を率いて前進する。
兄を見送った後、同じ様に龍艶媚も自らの部隊を引き連れて、早々に駆け出した。
目的は二つ、榊家当主の首、及び、大地を支配する式神の討伐。
その二つの目的は、本来は一つである事を彼女達はまだ知らない。