元一般人、妖術師達の戦争で敵側ヒロインを襲い犯し奪い、褒美としてヒロインを抱きまくる、略奪ハーレム、現代バトル、主人公最強、現代ファンタジー 作:三流木青二斎
一人。
悠然と廊下を闊歩する屍人骸。
袴に手を入れながら彼は歩き彷徨っている。
(バカみたいに広いな?違法建築じゃねえのか?)
そう思う屍人骸だが、榊家の建物内部は結界による迷宮と化している。
膨大な妖力による結界効果は屋敷以外の領地に展開している為、屋敷に関しての迷宮化は妖力のリソースを割いてはいなかった。
それでも、何も知らぬ妖術師が侵入すれば惑うのは必然である。
「侵入者ッ」
「龍家の者を発見ッ」
「迎撃を開始するッ」
単独で移動する屍人骸の姿を認識する妖術師たち。
漸く敵が出現した事で、退屈を噛み締めていた屍人骸は敵対者に興味を示す。
「来たかオイ、掛かってこいよ、全員まとめて潰してやる」
手招きを行う姿は余裕に満ち溢れていた。
彼の口調に憤りを覚える榊家の妖術師たち。
「『
肉体を侵蝕する妖力から生成される樹木の先端。
掌から突き出る挿し木の穂先が屍人骸を刺突する勢いで接近するが、その攻撃を屍人骸は片手で簡単に払うと拳を作り、顔面を強打する。
「がぶぉごほぉっ!?」
奇怪な声を漏らす榊家の妖術師。
殴られたと同事に肉体が縦に半回転し、足が天に、頭が地を繰り返しながら壁に叩きつけられた。
拳を開いたり閉じたりしながら妖力の流れを確かめる屍人骸。
「こんなもんかよ、妖術師の名が泣くぜ?」
煽りを忘れずに、地面を強く蹴り上げる。
近くにいた妖術師に瞬間的に移動を行うと、目と鼻の先、屍人骸の姿が視界内に映り込む。
思う様に動けない妖術師、否、動く事は出来る。
だが、動けば、確実に狩られる、それ程までに妖術師の圏域では完全に屍人骸が掌握していた。
であれば、生殺与奪の権利は屍人骸が握り締めており……もっと言えば、その妖術師は詰んでいる。
「死の最中だぜ?オマエ」
股の先を狙う鋭い蹴撃が股間を潰し、天を突き抜ける威力と共に妖術師が天井に突き刺さる。
圧倒的武力を前に、妖術師たちは思わずたじろぐ。
「なんだ、この男は……、」
「いや、なによりも……この妖力ッ」
彼らの目に映る屍人骸と言う男。
肉体から漏れ出る膨大な妖力は周囲に怖気を引き起こす程の憎悪に満ち溢れた代物だった。
しかし、そんな屍人骸の妖力に気圧されない者もいた。
「侵入者か、貴様」
妖術師を掻き分けて前に出る偉丈夫。
屈強なる筋肉が衣服の上からでも十分に分かる。
その男もまた、圧倒的な気迫を発して、屍人骸の表情は鋭い視線を向けた。
「そうだとしたら何だってんだ?」
「運が悪いと、言っておこう……貴様は今、この俺と出会ってしまったのだからな」
大口を叩きながら、屍人骸の前へと接近する。
悠然とした佇まい、その歩みは正しく強者のみにしか許されぬ覇道の徒歩。
「へぇへぇ……んなら聞くけどよ、お前、強さで言えば何番目?」
屍人骸の子供の質問の様な言葉に男は妖力を肉体に侵蝕させながら叫ぶ。
「無論、一番ッ」
それと共に、肉体から無数の昆虫の触手が噴出していくと、それは彼の肉体を守る鎧となり、強力な肉の刃と化す。
黒光りする無双の装甲、黒鐵の甲殻を全身に展開し、肉体は常人の約三倍にまで膨れ上がった。
「見るが良い、我が妖術をッ!!『
そして、其処に至るは筋肉の塊。
蟲の王と呼んでも差し支えない威光を知らしめる大甲虫が顕現する。
「圧倒的堅牢、絶対的筋力、向かう所敵無しの無敵形態ッ!!破れるものかよォ!!」
巨大な腕を振り上げる。
一撃で人間を叩き潰せる重機の如き腕を振るう。
それに合わせる様に、屍人骸は、相手に向けて拳を重ね合わせた。
瞬間……、鬼兜蟲たる妖術を扱う妖術師の腕が吹き飛んだ。
「は……?」
唖然とする鬼兜蟲の妖術師。
この男の間の抜けた表情は、次に迫る屍人骸の足蹴りによって頭部そのものが弾け飛んだ。
「虫螻に、強いも弱いもねえだろ」
一撃を与え、最強を謳う戦士を斃した屍人骸。
赤黒い血を噴出する妖術師を呆然と見下ろす妖術師たちは思い知る。
「ば……」
「ばけもの、だ……ッ」
彼らの畏怖する様に、屍人骸は彼らの台詞に応える様に手を挙げる。
「よせやい、ジンちゃんで良いぜ?」
そして……蹂躙が始まる。
(鱗紋―――『蛇躬』)
静謐を保つ入り組んだ廻廊を見据える龍艶媚。
自らの肉体に生える矮小な鱗の密集、彼女の瞳は鋭い瞳孔と化す。
肌で感じ入るは微かな温度差、蛇の性質を持つ彼女は些細な温度ですらも見分ける視線を得る。
温度の流れ、空気の澱み、微かな呼吸から発生する小さな熱すらも見抜き、誰が何処から来るのか、廻廊の曲がり角から熱の揺らめきを感じると共に龍艶媚は龍家の妖術師に構えさせる。
「水印持ち、構えッ」
狙いを定めたと同時、曲がり角から出て来る榊家の妖術師達。
発見と同時に腕を構えて指を相手に向ける。
「『
榊家直伝の妖術を使役する妖術師。
その攻撃を放つよりも早く、既に出待ち状態であった龍家の妖術師が妖術を使役。
「『咬威』ッ!!」
両手を地面に点け、水印の特性である『流動』を使役。
妖術を宿す妖力は地面の表面を沿って動き、榊家の妖術師達の足に向かい奔らせる。
地面と接地する脚部を通して妖力が表面を走り抜けると同時、榊家の妖術師達の胸元に『咬威』が発動、胸部を抉られ、血肉を噴出しながら斃れる妖術師。
「急ぐぞッ」
そう龍艶媚は叫んだ。
「奴らの熱の残滓を追っていけば、重要な施設へと向かう筈ッ」
彼ら妖術師はポッと出でリスポーンされたNPCではない。
必ず、彼らには生活があり、人生があり、基点が存在する。
その順路を追えば、人を惑わす迷宮内部でも、必ず彼らが密集する場所へと向かうだろう。
そう彼女は確信し、熱を頼りに廻廊を突き進んだ時。
廻廊を抜けた先、地下へと降りる階段を発見した。
地下へ続く階段は、彼女の眼では奥がどうなっているか分からない。
熱を掻き消す程に冷たい空気が流れていた。
「線は書いたか?」
龍家の妖術師に話し掛ける龍艶媚。
榊家の妖術師の一部から流れる血液を使い、目印となる血痕を残していた。
榊家の妖術師に気付かれる可能性もあるが、見方が迷わず向かってきてくれるメリットの方が大きいと考え、その様に記したのだ。
「携帯端末は……圏外か、当然だな」
連絡手段がある以上、報告はするべきだが、当然の様に電波は遮断されている。
他の隊に対する連絡手段がないが、その事は予め考慮されている事だった。
「良し……行くぞ」
後に続く血の道が、どの様な結果を齎すかは、この戦が終わった後に知る。
良い方向か、悪い方向か、それを知るのは生き残った方だ。
「我々は階段を降り、地下に入る、先遣隊、前へ」
『土印』を使役する妖術『竜鎧』を持つ妖術師を先頭に出す。
目の前に敵が出て来ようとも、彼らの持ち前の防御力と耐久性で凌ぐ事が出来る。
「数名は階段前で待機、榊家の妖術師が来れば応戦、貴様は伝令係として」
龍艶媚の声と共に階段を降る先遣隊。
その後ろに続き、龍艶媚、そしてその後ろには後続から来る榊家の妖術師を抑え、出口を確保する妖術師を備える。
準備を整えた後、……龍艶媚達は、地下へと降り始めた。
龍艶媚が地下へ降った先は訓練場であった。
殺風景な混凝土の壁と床、陥没と瑕疵が遺る密室の空間。
その中心に膝を曲げて尻を浮かせた状態で座る細長い男の姿があった。
蟲家の三枚翅、
罅割れた唇の奥に自らの指を咥え込みながら来訪者を待ち続けている。
そして、龍艶媚と視線が合った時、互いに言葉は不要だった。
(敵だなぁ)
片腕を伸ばす蟲翅伴。
腕に妖力を流し込み変質。
蟲家の相伝妖術である『蠱胞』は妖力を肉体に浸蝕する事で肉体そのものを蟲に変化させる能力である。
妖力の性質で相性が良いのが『水印』と『木印』、蟲翅伴は両方の属性を宿す二重属性持ち。
肉体に浸透し易い『水印』と、肉体に浸蝕し易い『木印』を宿す彼は、正に妖術に愛された者と呼べるだろう。
(『
細長い枝の様な腕を伸ばすと妖術を行使し水印と木印が腕部を変質し……巨大な百足の形状をする腕部を構築。
その腕を振るうと共に、腕部が延長していき、鋭い百足の顎が先遣隊へ突っ込む。
「ぐッ」
「があッ」
即座に防御をするべく妖力を増強、『竜鎧』を強めた状態で受ける。
垂直に張った蟲翅伴の腕部がしなると、妖術師の防御を取った腕に『具足百足』の顎を食い込ませる。
「『
百足の顎、その喉奥から噴出する無数の針が『竜鎧』の防御を貫通して臓器にダメージを与える。
「ぐふッ」
絶命の一撃を受ける龍家の妖術師。
だが気合と根性を以て絶死の寸前まで己が役割を全うする。
蟲翅伴の腕を掴み離さぬ様に強く抱き締める。
自らの片腕が封じ込まれる蟲翅伴。
「お嬢様ァ!!」
叫ぶ先遣隊の背後から左右両方に飛び出る妖術師の群。
二手に分かれての行動、即座に蟲翅伴は新たなる妖術を使用。
(『蟲胞』―――『
自らの額、こめかみに当たる部分に眼球が生成。
合計で八つの眼球は蜘蛛と同等の個数であり、これにより視覚の範疇を広げると同時に、その眼球の内部に約2万個の矮小な個眼が密集し、明確にして正確な情報が脳内に供給される。
相手の動作をコマ送りで認識している様なものであり、相手がどの様に動くのかいち早く察する事が出来る。
(相手の動き、まだ攻撃の構えじゃない、こっちの方が、まだ速ぁ、い?)
左右から飛び出る妖術師達の動きを完全に捉えていた。
故に、その両方に龍艶媚の姿が無い事を察した。
龍艶媚は、どちらの妖術師の隊に加わっていない。
「『鱗紋』―――『
水印による妖力特性による『流動』。
自らの影を媒介に、一過性の実体と化して無数の蛇の群れを妖力で生成。
先遣隊の背後に身を屈めて隠れていた龍艶媚は、加えて先遣隊の影を利用し更に巨大な影の蛇を生み、蟲翅伴へ向けて蛇行させていた。