元一般人、妖術師達の戦争で敵側ヒロインを襲い犯し奪い、褒美としてヒロインを抱きまくる、略奪ハーレム、現代バトル、主人公最強、現代ファンタジー 作:三流木青二斎
地下施設の内部では予想外の戦況に陥っている事に、榊天吏は爪を噛み締めている。
その行動から察するに敵は予想以上に強く、自陣の損失が大きい様子だった。
(こんな筈では無い、相手側の行動力が私の想定を遥かに上回っていたとしても、本家に責め込まれた際の迎撃プランは用意していたのに、その悉くが打ち砕かれている)
龍艶媚、龍桜尾、龍憂媚。
この三名の実力は内通者からのリークによって能力は重々察知していた。
龍艶媚の能力である『肉体の蛇化』に対して敢えて囮の妖術師を使い地下施設に引き込み、三枚翅である蟲翅伴と相対させる事で撃退が可能。
事実、龍艶媚は蟲翅伴と戦闘を行い、敗北したのだ。
予定は順調、全ては彼女の掌の中であったのに……その中に本来存在しない筈の妖術師が存在していた。
(龍桜尾は持ち前の補助的能力があるが故に、戦闘能力自体は其処まで怖ろしくは無い、けれど、万が一を考えて三枚翅の中でも一番強い
蟲翅鬼。
『土印』の妖力より更に上位に位置する『土印』と『木印』が合わさった『
蟲家相伝の『蟲胞』の妖術と組み合わせる事で肉体の表層は硬く、内部は筋肉が増強し強靭な肉体を得る事が出来る。
これによる無類の破壊力と防御力を欲しいままにする『鬼兜蟲』は正に無敵と言えよう。
……そう、本来ならば龍桜尾が相対するのが、蟲翅鬼であった。
それが、榊天吏の計画であった、だがそれは彼女の計画の範疇から外れた妖術師によって文字通り打ち砕かれたのだ。
「あの男さえ、居なければ……屍人骸ッ」
屍人骸。
龍家に迎え入れられた新たな家臣。
元々は一般人であったが、何の因果か龍家に召し使える存在となっていた。
その情報を聞いた榊天吏は思わず鼻で笑ってしまった。
彼女の知り得る中の情報では、屍人骸は元一般人の妖術師である、と言う事。
同時に、龍家は貧困としており、屍人骸を迎え入れた理由は単なる人手不足。
少なくとも、龍家の内通者との情報は、その様に聞いていた。
(まさか、出し抜かれた……私が情報戦で後れを取るだなんて)
無論、榊天吏は知らない。
龍家の一族の性格は傲慢と見栄っ張り。
本当の情報を榊天吏に流せば、興味を持つ可能性がある。
そして屍人骸すらも榊家に引き抜かれたとすれば……それこそ、龍家の内通者達は立つ瀬がない。
屍人骸も同様に陣営に加われば、彼らの重鎮としてのポストも即座に奪われてしまうと危惧した結果、屍人骸と言う存在に対し、龍家の内通者は評価を最低限以下にする様に情報操作をしていたのだ。
結果、屍人骸は、榊家にとってのダークホースとなってしまったのだ。
榊天吏は榊家との同盟の為、蟲家の長女を嫁がせた後に出産した子供である。
榊家と蟲家の両方の血筋を持つ彼女は生憎妖術師としての才覚はあっても虚弱体質として生まれた。
これにより妖術師としてどれ程努力を重ねても、武力の高い妖術師よりは劣ると言う欠落の印を押される。
本来ならば、次世代の妖術師を産む為の道具として扱われるのだが、彼女は自らの母親と同じ末路を辿る事だけは許容しなかった。
(あの女の様に惨めに妖術師に媚を売る様な、そんな女にはならない)
はぁ……はっ、ぁん。
はい、わた、くしはぁ……みなさまっのぉっ~~ぃっ!
日頃、の……お疲れを労わるため、っんぁっ……はっ、はっあっ。
せいいっぱいっ……ごほんぼっ、くぷっ、くぽっ……んっあ。
じゅる……ぢゅぅぅ……ぽはっ……はっ……どう、ぞ。
わたくしめを、おつかいください……。
蟲家のオンナの、……蠱毒をどうぞ、皆さまのツノでお埋め下さいまし……。
榊家の妖術師達を繋ぎ止める為に、自らの身体を使い奉仕を行う。
妖術師として大成しなかった母親が出来る最低限の処世術。
それを榊天吏は低能の行為であると蔑み、最期まで色欲に狂い果てた母親を、彼女は生涯嫌悪し続ける。
(私は成り上がる、あんな女と同じ道は進まない、だから努力をしてきた、武力が足りなければ知性を以て妖術師の上を行く事に決めた……なのに、何故、こうも私の道を邪魔するッ)
感情が昂る榊天吏は理性を失い掛けた所で背後から迫る者が肩に触れる。
その瞬間、先程まで考えていた事が吹き飛ぶと、背筋が凍り付く様な嫌な感覚に見舞われた。
視線を横に向けると、肥えた男がにやりと笑みを浮かべて榊天吏を見詰めていた。
「ぐふ、ふっ、て、天吏ぃ……どうだぁ?龍家は、滅ぼせれるかぁ?」
頭部を短く刈った、いや、不毛地帯と言うべき禿の頭。
片目は瞼が痙攣し、眼球が飛び出そうな程に見開いている。
榊天吏を見詰める瞳は、肉親に対するものではなく異性として欲情している目付きだった。
母親と同じ淫欲を抱く瞳に彼女は不快感を示しているが、笑みを崩す事無く対応する。
「はい、叔父さま……多少、アクシデントはありましたが、最終的には、我らが勝ちます」
そう取り留めのない事を告げると、男の肩を掴む手が滑り込み、彼女の蕾の様な乳房を服の上から摘まむ。
「ふぅ、ふぅぅ……なら良いんだ、んふぁ……良い臭いだなぁ、天吏ぃ、お前のお母さんにそっくりだぁ……はぁぁ」
蟲家棟梁、蟲
彼は肉親である長女を、榊天吏の母親を性的に愛していた。
その気味の悪い見た目故、多くの妖術師は嫌悪しているが、実力は相応。
「叔父さんに頼めば……いつでも、力を貸してやるからなぁ?……ぐふぁ」
黄ばんだ歯を見せつけ、粘り気のある唾液が口の中で糸を引いている。
榊天吏を玩ぶ指先に、次第に彼女は難色を示し眉を顰めながら指摘する。
「叔父様、手が……」
其処で漸く気が付いた様に、パッと手を離すと、彼女を触れた指先で鼻元に近付けながら吸い上げる。
「んふぅ……す、スキンシップさ、可愛い姪の成長のねぇ……ああ、たまんねぇ」
彼女の匂いを堪能した末に、蟲翅彪は白目を剥きながら麻薬を打った様にトリップする顔をしていた。
(っ……ああ、嫌だ、この男だけは、本当に)
母親が死去した後、その血筋である榊天吏を手籠めにしようと画策している。
それを理解し、あらゆる手を使い貞操を守っているが、もしも今回の合戦が失敗すれば、妖術師としての才覚なしとして、それ以外の用途として使われる。
即ち、母親と同じ妖術師の奉仕を行う役目である、むしろ、蟲家の棟梁はそれを狙っている節があった。
「上機嫌だったねえ、アニキ」
入れ替わる様にやって来る蟲翅伴。
彼の姿を認識すると、少しは真面な面と性格をしている妖術師がやっていたと安堵の息を漏らすが、その男が担いでいる女性と、欠損している腕を交互に見比べて聞く。
「どうしたのですか?」
その言葉に、蟲翅伴もどちらの事を聞いているのか、榊天吏に聞き返す。
「どっちの話よ」
優先的に聞くべきは、女の方であると榊天吏は思った。
何故ならば彼女の肉体に絡みつく百足は他ならぬ蟲翅伴の腕部であった為だ。
其処から察するに、この女との戦闘で腕を喪った、と考えるのが妥当だ。
だが、そうなれば少し腑に落ちない事もある。
何故、蟲翅伴は殺さずに彼女、龍艶媚を連れて来たのだろうか、と。
「この女、大将首らしいんだけどよ……、だけど交換とか、交渉の材料にする気はねぇんだよなあ。俺の妖術を使えば、逆算的に肉体に蟲系の妖を繋ぎ合わせると人間の肉体になるのは知ってるよな?、強い蟲を沢山ぶち込んで置けば俺も強くなる、だからよぉ、この女、良い素材になる、そう断言出来るんだわ」
何時になく饒舌に喋る蟲翅伴を見るに大怪我を負った際のアドレナリンの分泌が起因しているのだと、榊天吏は思った。
「今から、この女ぁ蟲家の蟲壺に突っ込んでガキを孕ませてくるわ」
「……今は戦時中だと言うのに、悠長な真似をしている場合では無いでしょう」
蟲壺。
蟲家の妖術強化の際に使われる小妖級の妖がひしめく蟲毒である。
其処に妖術師の血筋を持つ女を入れる事で、蟲が妖術師に卵を植え込ませて蟲を出産させる。
これを妖胎と呼んでいる。
「大丈夫だろ、だってここまで来れるワケがねぇ」
その言葉に、少なからず榊天吏は確かに、とそう思った。
(……よくよく考えれば、如何にその屍人骸と言う男が強くても、此処に辿り着く事は先ず有り得ない)
地下施設は第一階層から第七階層まである。
第一階層は若手の妖術師が使用する第二訓練場。
第二階層は人工的な妖術師や妖を生成する工場。
第三階層は侵入者が来た場合を備え、結界を操る妖を式神化して迷宮化させたもの。
第四階層は大妖級の妖を大量に配置した地獄絵図のモンスターハウス。
第五階層は榊家・蟲家の妖術師の為に用意された第一訓練場。
第六階層は榊家・蟲家の為に用意された本拠点にして総本山、様々な研究施設もここに入る。
そして第七階層には榊家の当主、榊天樹が根付く巣窟であった。
第一階層には既に、新たな妖術師が配備され、第二倉庫には小妖級の妖が配置。
そもそも、第三階層の時点で通常で攻略するのに三日は掛かる。
榊家・蟲家のみを最短の道を通す妖の結界である為、敵である龍家の妖術師は到達するのは難しいだろう。
強力な妖を相手にして例え勝利し、この第六層まで来れたとして、三枚翅の二体が居る以上、龍家の勝ち目は薄い。
むしろ、榊天吏の方が杞憂を浮かべているようなものだ。
(……けど、本当に?)
疑惑、疑心、そういったものから頭が離れない。
心の奥に感じ入る最悪が、万が一にもあるとすれば……。
そう考え、そう感じ、その結果……彼女の予想は的中する事になる。