第一節: 封印された死神
ドフラミンゴがドレスローザの王位を簒奪してから10年。そして、アルバーンがドフラミンゴに挑み、その圧倒的な実力差の前に惨敗を喫してから、5年の歳月が流れていた。
19歳となったアルバーンは、あの日以来、さらなる強さを求めリングへ立ち続けた。 この5年間で積み重ねた公式戦の数は、実に二千戦を超えている。 魚人空手の衝撃波、六式の体術、見聞色の気配察知、そして黒く硬化する武装色の覇気――あらゆる強者の技を肉体へ刻み込み、自らの「武」へと昇華させたアルバーンは、もはや「手がつけられない」死神と化していた。
もはや巨人や魚人などの異種族の強者も、偉大なる航路の荒くれ者も、誰も彼の脅威になりえなかった。
「……また、アイツが勝ったのか、ディアマンテ」
王宮の執務室で、ドフラミンゴが冷ややかに言い放つ。 最高幹部ディアマンテは、額に冷や汗を浮かべながら自らの王に頭を下げていた。
「す、すまないドフィ! 刺客も、新世界の猛者も、奴の前ではただのカカシ同然……! 今や奴がリングに立つだけで観客は絶叫し、コロシアムの賭けすら成立しない状況だ」
あまりの強さゆえ、ディアマンテはアルバーンの試合出場回数を極限まで「制限」せざるを得なくなっていた。奴を野放しにすれば、コロシアムという劇場の支配権がドンキホーテファミリーからアルバーンへと移ってしまう――ディアマンテは本能的な恐怖を感じていたのだ。
だが、ディアマンテの苛立ちはアルバーンだけにとどまらなかった。
「……あの小娘、レベッカもだ。誰も傷つけずに勝ち進むせいで『無敗の女剣闘士』などというふざけた異名までつく始末。あの二人は、このコロシアムの不快な異物だ」
ディアマンテの瞳に、邪悪な闇が宿る。
「今日の試合……。『紫蜂(シホウ)』を大金で招集した。あの小娘を徹底的に痛めつけ、毒でのたうち回らせ、観客の前で無様に泣き叫ばせて殺す。このコロシアムで「無敗」などと思いあがった罰だ。あの死神にも『お前が大事にしているものは何一つ守れない』という絶望を叩き込んでる」
第二節:仕組まれた死地
事前の予告も何もない、完全な「奇襲」だった。
「おい、出ろ! 今日の試合の時間だ!」
コロシアム地下の冷たく湿った牢獄。16歳になったレベッカは、突如現れたファミリーの看守たちによって、強引に牢から引きずり出された。
「え……!? 試合の予定なんて、今日は聞いてない……!」
「黙って歩け! 若様のご意向だ!」
抗議する猶予すら与えられず、彼女の手には無造作に武具が握らされた。 だが、手にした瞬間、レベッカの指先に嫌な違和感が走る。いつも使っている武具ではない。柄の噛み合わせは緩く、刃はいつも通り潰れているが粗悪な金属で脆く、丸盾に至っては少し強い衝撃を与えれば容易に叩き割れそうなほど、意図的に強度が落とされた「ナマクラ」だった。
最初から、彼女を生きて返す気などない――完璧に仕組まれた処刑舞台。
「傷つけちゃダメ……誰の血も流しちゃダメなんだ……」
渡された粗悪な武具を固く抱きしめながら、レベッカは胸の中で亡き母・スカーレットの微笑みを思い浮かべた。
『レベッカ、どんなことがあっても、人を傷つけない、優しい人になってね』
そして、自分自身を守るため、幼い自分に剣を握らせ、血の滲むような特訓を重ねてくれた「片足の兵隊さん」の熱い言葉。
『いいかレベッカ! 私がお前に剣を教える。お前が傷つかないための剣を! 私はお前を、絶対に死なせはしない!』
「お母様……兵隊さん……。私、逃げないよ。武器がなんだって関係ない……!お母様の願いを守って、最後まで戦い抜くから……!」
レベッカは強く唇を噛み締め、血が滲むのを感じながら、悪意に満ちた死地――リングへと一歩を踏み出した。
第三節:『紫蜂』
「さあぁぁ!開幕いたしました! 本日の舞台に揃い踏みいたしましたのは――なんと! 裏社会でその名を聞けば誰もが身震いするという、あの伝説の暗殺結社……『紫蜂』の面々だぁーっ!!」
実況ギャッツの声がコロシアム全体に激しく響き渡り、観客席が一瞬にしてドッと湧き立つ。
「かつて新世界のさる王国にて、警護隊300人をたった一夜で毒殺! 国王の首を易々と奪い去ったとされる絶望の処刑人集団! 筆頭『毒刃のガラ』! 遠距離の死神『影縫いのゼノ』! そして怪力無双『処刑人ブロー』! 一度狙った標的は王族だろうと海賊だろうと確実に毒殺するプロ中のプロが、なぜかこのコリーダコロシアムに集結しているぞぉぉーっ!」
ギャッツの興奮した煽りに乗せられ、客席からは下品な大歓声と口笛が吹き荒れた。
「殺せーっ!」
「あの生意気な小娘を毒で苦しめろ!苦しめて殺せ!」
「本物のプロの拷問を見せてみろ!」
「対するは、我らがドレスローザの嫌われ者! 傷つけず、戦わない『無敗の女剣闘士』レベッカ! 果たしてこの絶望的な暗殺陣形から、一分でも生き残ることができるのかぁーっ!?」
ガチィィィィンン!!!
ギャッツの叫びと同時に開始のゴングが鳴り響く。
「シャァァァアア!!」
紫蜂の筆頭、ガラが速攻でレベッカに襲い掛かる。毒が塗られた曲刀を振りかざしながらその刃をレベッカの細く柔らかい首元へと差し向ける。
「早い!…すぐにいつもの場所へ!」
ゴゴゴゴ……!
ガラの毒の斬撃を避け、レベッカがいつも背水の剣舞を行う位置へ移動しようとステップを踏んだ瞬間、罠が発動した。足元の石畳が崩落し、下には鋭い牙を剥く「闘魚」が群がるプールが覗く。
「…ッ!?‥‥‥そんな!足場が!?」
「逃がさんぞ、小娘」
宙に浮いた無防備なレベッカに対し、ゼノが音もなく無数の麻痺針を放った。
「くっ……ああっ!!」
空中での回避は不可能。肩、太もも、背中、鎧に守られずに素肌をさらす箇所に容赦なく針が突き刺さる。紫色の劇薬が体内へ侵入し、全身の神経を焼くような激痛と、急速に感覚が奪われていく麻痺がレベッカを襲う。着地の体勢すら整えられず、彼女は石畳へ激しく叩きつけられた。
「グハハ! 刺さったぞ! これが我が『紫蜂』の秘毒だ!」
間髪いれず、ブローが巨大な大斧を振り下ろす。レベッカは麻痺する腕を必死に動かし、粗悪な丸盾でそれを受け止めた。
――バキィィィンッ!!
「がはっ……!!」
ブローの凄まじい怪力に耐えきれず、渡された粗悪な丸盾は一撃で木粉となって弾け飛んだ。直撃した衝撃がレベッカの身体を直撃し、口から鮮血が噴き出す。衝撃でそのまま数メートル滑り落ち、崩れかけたリングの端まで吹き飛ばされた。
「痛い……っ、体が……動かない……」
盾を失い、毒が全身を駆け巡り、激痛で視界が真っ赤に染まる。 そこへ、ガラが毒液の滴る曲刀を手に歩み寄り、動けないレベッカの髪を容赦なく掴み上げると、強烈な膝蹴りを何度も兜が外れた彼女の顔面とさらけ出した腹部に叩き込んだ。
「ガハッ! ……ゲホッ……!…クッ!‥はウッ!…ウアァアアッ!‥‥‥ぃヤアアァァアアッ!!」
血反吐をぶちまけ、冷たい石畳の上でのたうち回るレベッカ。観客席からは「もっとやれ!」「内臓をぶちまけさせろ!」という残酷な大歓声が巻き起こる。
激痛。屈辱。絶望。 しかし、16歳の少女の瞳から、光は消えていなかった。
「……ぁうっ‥‥‥うぅ‥‥‥ッ!」
(倒れちゃ、ダメ……! 兵隊さんが……私を守ってくれたみたいに……! 私も……絶対にあきらめない……!!)
レベッカは血塗れの顔を上げ、麻痺して震える手で、刃の潰れたナマクラな剣の柄を固く、固く握り直した。両肘で床を擦りながら、膝を立て、血反吐を吐きながらも再び立ち上がろうとする。傷だらけの少女が見せたその狂気的なまでの闘志に、観客席の品性なき歓声が、一瞬だけ引きつるように静まり返った。
「へっ、往生際の悪いアマだ。首を撥ねて終わりにしてやる!」
ガラが顔を歪ませ、毒の曲刀を高く振り上げた。殺った――誰もがそう確信した。
――その凄惨な光景を、控え室へ続く暗い通路の影から見つめていた男がいた。
「……退け」
アルバーンが黒槍の柄を握り締め、一歩踏み出す。その全身から溢れ出る殺気は、周囲の空気を凍らせるほどに重く、鋭かった。
だが、通路を埋め尽くすように、重装備を施した数十人のファミリー兵士たちが武器を構えて立ちふさがる。
「へっへっへ……どこへ行こうってんだ?黒槍さんよ」
隊長格の男が下衆な笑みを浮かべ、アルバーンの胸元へ剣を突きつけた。
「若様とディアマンテ様からの伝言だ。『あの女が惨めに毒でのたうち回り、首を撥ねられて死ぬところを……指をくわえて黙って見ていろ』となぁ!」 「ぎゃはは! お前が大事に囲ってた小娘だ、最高のショーだろ! そこでじっくり観賞し――」
ガッ……!!!!
兵士の言葉は、最後まで続かなかった。
アルバーンの瞳から感情が完全に消え、黒く硬化した左拳が、喋っていた男の顔面を骨ごと打ち砕いていた。
「……どけと言っている」
「ひっ……! 殺せ! 奴を外に出すな!」
戦闘が始まるコロシアムの通路、数十の兵が武器を鳴らして襲い掛かる。
アルバーンは長槍を引き抜き、圧倒的な破壊衝動を全身から滾らせながら歩みを進めた。
第四節:不殺
「へっ、往生際の悪いアマだ。首を撥ねて終わりにしてやる!」
「ぃや……っ、まだ……!」
立ち上がろうとするが、毒と激痛が彼女の身体を痛めつける。観客席からは「もっと痛めつけろ!」「死ね!」という惨酷な歓声が響き、バルコニーのディアマンテは歪んだ愉悦に浸っていた。
「ぅ……あぁ‥‥‥‥‥。」
(もう、ダメ……ちからが……)
意識が薄れゆく中、レベッカの視線が、控え室の暗闇へと向けられた。 そこに、あの人がいる。今まさに戦いの場を奪われ、かつては誇りを奪われ、そして約束を奪われ、冷たい顔をしながらも彼女を守ってくれた、「優しい死神」が。
(兵隊さん‥‥‥アル‥‥‥‥‥‥‥ごめんなさい……)
その小さな声が途切れかけた、次の瞬刊だった。
――ズゴォォォンッ!!!!!
次の瞬間、コロシアムの地下通路から建物全体を揺らす凄まじい爆発音が響き渡った。
「な、なんだぁぁーっ!? 控え室側から煙が――!?」
出入口の重い鉄格子が、内側から吹き飛んできたファミリー兵士たちの肉体によって木端微塵に打ち破られた。血煙が舞い散る回廊の奥には、数十の警備兵たちが折り重なるように全滅していた。
冷徹な覇気と共に煙の中から姿を現したのは、自身の覇気が浸透した黒の長槍を携えたアルバーン。 10年間の地獄を生き抜き、二千の戦いを越えてきた男の身に纏う覇気は、もはやコロシアムの空気を物理的に重く沈めていた。
「アルバーン!? 貴様、兵をなぎ倒してきたのか!」
バルコニーからディアマンテが身を乗り出し、狂ったように叫ぶ。
――轟っ!!!!
コロシアム全体を揺るがす、鼓膜を破らんばかりの破空音が鳴り響いた。
放たれたのは、一筋の「黒い彗星」。アルバーンが、武装職の覇気を込めて投擲した、一振りの長槍。
音速を超えて放たれた槍は、レベッカの首を撥ねようとしていたガラの曲刀を、寸分違わず一撃で粉砕する。 そのまま石畳に深々と突き刺さり、猛烈な衝撃波が『紫蜂』の刺客たちを丸ごと吹き飛ばした。
「あ、…ある……きて……くれたの……?」
「立ち上がれ、レベッカ」
アルバーンは石畳から黒槍を抜き取り、倒れる少女の前に立ちはだかった。 血を吐き、毒に身体を蝕まれ、壊された盾の破片の中でなお、刃の潰れた剣を握り締めているレベッカ。
かつて二人が初めて言葉を交わし合ったあの日、アルバーンは彼女に言い捨てたはずだった。 『この血塗られたコロシアムで、人を傷つけずに生き残るなんて無理だ。お前の不殺はただの幻想だ』と。
だが――彼女がコロシアムに立って数年間、どれほど観客に罵倒されようと、どれほど卑劣な罠に嵌められようと、彼女は一度たりとも誰の血も流さず、誰の命も奪わなかった。 「不可能な幻想」などではない。これは、死に瀕しても折れない誇りある「信念」なのだと、アルバーンは目の前の少女に教え込まれた。
(……こんなザマになってまで、)
傷にまみれ、毒で皮膚が変色したレベッカを見て、アルバーンは呆れ気味に息を吐くと、黒槍の刃先を『紫蜂』の刺客たちに向けた。
「おい、レベッカ」
「え……?」
「俺は、このイカれたコロシアムで『不殺』なんて無理だと……ずっと思っていた。だが、お前がその夢みたいな信念を死んでも捨てないってんなら――俺がどこまでも、その無茶を叶えてやる」
「‥‥‥!!…どうして‥‥‥」
「‥‥‥別に。…ただ俺はこの地獄みたいなコロシアムで、お前が家族との約束を握りしめて、戦う姿をずっと見てきた‥‥‥。ずっと見てきたんだ。‥‥‥そんなものを何年も見せられたら‥‥‥、応援くらい、してやりたくなるだろ‥‥‥!」
「!‥‥‥アル‥‥‥ッ!!」
低いが、絶対に揺らがない男の背中。それだけで、レベッカの全身を支配していた絶望が、嘘のように消え去っていった。
第五節:逆転
「なんだこのガキは!? 」
「構わん、陣形を組め! 二人まとめて毒で溶かせ!」
ガラ、ゼノ、ブローの三人が即座に体制を立て直し、死角のない連携で二人を包囲する。遠距離の毒針、中距離の鎖鎌、近距離の大斧――スキのない死の連鎖。
「遅い」
アルバーンは黒槍を背に構え、レベッカと背中を合わせた。
「左、三歩後退! 斧の柄を滑らせろ!」
「……うんっ!」
アルバーンの指示と同時に、レベッカが身軽に舞う。 ブローが振り下ろした大斧の側面に、レベッカがナマクラな剣の側面を添え、円を描くように力を逃がした。巨大な斧の軌道が大きく逸れる。
「何っ!?」
体勢を大きく崩したブローの隙へ、アルバーンが目にも留まらぬ速度で肉薄。 魚人空手の衝撃波を乗せた槍の柄で、ブローの腕関節と大斧の柄だけをピンポイントで破壊した。
「ガハッ!?」
「毒針が来る! 上段へ弾け!」
「やああッ!!」
アルバーンの見聞色が空間の全てを捉え、レベッカの「剣舞」が敵の攻撃のベクトルを滑らかに書き換えていく。アルバーンの圧倒的な制圧力が、レベッカの受流しの隙を完璧に補い、レベッカの不殺の演武が、アルバーンの黒槍に「優しさ」を与えていた。
「な……なんだあの動きは! 完璧に連動している!」
「あの殺し屋どもの毒刃が、一枚も掠りもしないだと!?」
ギャッツの実況も完全に止まる。 王国を一夜で滅ぼしたプロの暗殺集団『紫蜂』が、血の一滴も流されることなく、次々と武器を打ち砕かれ、崩れた足場の外――安全な外縁の欄干へと弾き飛ばされていく。
「これで……終わりだ!」
アルバーンがガラの曲刀を槍の石突で叩き折り、打ち上がったガラの身体を、レベッカのナマクラな剣の側面が鮮やかに薙ぎ払い、リング外へ叩き落とした。
――ドスン!!!
場を支配するのは、静寂。
リングの上に残ったのは、気高く武器を掲げ、勝利を誇る二人だけ。 『紫蜂』の暗殺者たちは一人として死んでいない。全員が、レベッカの「不殺」の流儀のまま、完全に無力化されていた。 かつて「不可能な理想」と切り捨てていた不殺を、アルバーンが自らの武で証明してみせた瞬間だった。
観客席からは「ちくしょう、また死神か!」「レベッカのくせに生き残りやがって!」という下品な罵声と狂乱のどよめきが渦巻いている。だが、今の二人にとって、そんな雑音はどうでもよかった。
レベッカは肩で息を突きながら、隣の青年を見上げた。
「アル……私たち、勝てたよ。誰も傷つけずに……」
アルバーンは槍を背中に引き寄せ、ぶっきらぼうに息を吐いた。
「お前がへばるから、余計な体力を使った。……次は自力で立て」
言葉は冷たい。けれど、差し出された彼の大きな手が、レベッカの小さな肩をそっと支えていた。その手はタコだらけだったが、陽だまりのように温かく、優しかった。
周囲の罵声を無視し、アルバーンは満身創痍のレベッカを庇うように抱きかかえ、暗い控え室へと歩き出した。
一方、王宮のバルコニーでは、ディアマンテが怒りに震え、手すりを握りつぶしていた。
「クソが……! あの『紫蜂』をあそこまで完璧に破るとは……!ドフィ、すまねぇ! これではコロシアムの面目が――」
「フッフッフッ……いいさ、ディアマンテ」
ドフラミンゴはいつも通り不敵な笑みを浮かべて二人を見下ろしていた。
「あいつらの茶番で観客の熱が変な方向へ向いているな。ならば、もっとデカい『餌』を撒いて、この空気を完全に塗り替えてやればいい」
「デカい、餌……?」
ドフラミンゴは懐から、渦巻き模様が刻まれた赤く燃え盛るような果実を取り出した。かつて海賊王の血を引く男が有していた、悪魔の実の中でも最高峰の秘宝。
―――メラメラの実
「コイツを景品にした、過去最大規模の大会を開催しよう。新世界の猛者、海賊、世界中の強豪をドレスローザへ呼び寄せる」
ドフラミンゴのサングラスの奥で、凶悪な光が閃く。
「あのガキも、あの小娘も、世界中から集まるバケモノどもの狂乱の中に呑み込んで消してやればいい。……フッフッフ、それにだ」
ドフラミンゴは遠い北の海の方角へ、嘲笑うような視線を向けた。
「シーザーを攫い、パンクハザードを潰した『最悪の世代』のガキども……ロー、そして麦わらの一味。あいつらがこのドレスローザへ足を踏み入れる日も、そう遠くないだろう。麦わらもコイツをみすみす誰かに渡したくないだろうさ。 ローも、麦わらも、リク家も、アルバーンも、纏めて消し去ってくれる!」
暗闇の中で育まれた二人の不器用な絆と、数多の欲望を呼び込む「メラメラの実」、そして世界を揺るがす「最悪の世代」の影。ドレスローザの命運を巻き込む巨大な嵐の決戦が、刻一刻と、近づいていた。
本作品を書くにあたってアニメと原作を見直したんですけど、「レベッカ虐められ過ぎじゃない?」って思いました。でもあれだけ魅力的なヒロインとして描かれるのだから作家や編集の方々は凄いと改めて実感しました。