第一節:喧嘩
「やめろ!!なぜ大会にエントリーした!!?レベッカ!!!」
コロシアムの上層。無情にも分かたれた冷たい鉄格子越しに、二人の人物の叫び声が激しくこだまする。
片足の兵隊――かつてドレスローザの伝説的闘士であり、オモチャの呪いによってその記憶を世界から消し去られた男、キュロス。 彼は半ばからなくなっている片足を感じさせない勢いで激しく石畳を蹴り、レベッカのもとへと駆けつけていた。そのブリキの体からは、関節が軋むキーキーという甲高い音が鳴り響いている。
レベッカが、あの『メラメラの実』争奪特別大会へエントリーした――。 その報せを聞いた瞬間、兵隊の全身を駆け巡ったのは、冷たい恐怖と絶望だった。
「今回の大会に集まっているのは、お前がこれまで相手にしてきたようなコロシアムの剣闘士や、増長した賞金首などではない! 新世界の海を血で洗ってきた怪物どもだ! 凶悪な海賊、暗殺者、王国の警護隊長……どれをとっても、お前の手におえる相手ではないんだぞ!! すぐに出場を取り消せ!!」
兵隊は必死の形相で、ブリキの太い指先をレベッカの肩へ伸ばした。 だが、その手はレベッカの身を削るような鋭い拒絶によって、力なく空を斬った。
「……嫌だ! 私は……私は逃げない!!」
レベッカは自分の服の胸元をその細い指で握りしめ、涙に濡れた顔を跳ね上げた。 16歳の少女の華奢な体が、抑えきれない激情で激しく震えている。CP-0のアナウンスによって、一度掴みかけた平穏を無残にも叩き潰されたばかりだった。叩き込まれた絶望は、彼女の理性を焼き尽くすほどの衝動へと変わっていた。
「兵隊さんはいつも私を守ってくれた……! 小さい頃からずっと、私に剣を教えて、ご飯を作ってくれて、危険から庇ってくれた! でも……私だって、もう子供じゃない!!」
「バカ者!!!」
兵隊の怒号が、暗く湿った通路を破裂するように揺らした。
「たかだか16になったからといって、大人になったつもりか!? 私がお前に剣を教えたのは……誰かを叩き伏せるためでも、命を投げ捨てさせるためでもない!! お前が……お前自身が血も流さず、誰からも手傷を負わされずに、生きて……生きて生き抜くためだ!! 一時の感情でやけを起こしおって!!死にに行くような真似をするんじゃない!!」
「私だって……私だって、兵隊さんと、アルと一緒に……普通に笑って暮らせる国を取り戻したいの! そのためなら、どんなに小さいチャンスだってつかみに行きたい!!伝説の英雄キュロスだって……アルが言う通りただの偶像じゃない!!あんな銅像にすがって外への夢を見るくらい、みんな追い詰められてるんだ!!だから!!!」
感情が激しくヒートアップし、言葉の応酬は歯止めを失っていく。 兵隊の胸に、激しい痛みが走った。キュロスは偶像などではない。今、目の前でお前を止めようと叫んでいる私自身なのだと、どれほど叫びたかったか。
「頼む……頼むから聞いてくれ、レベッカ! 私の言うことを聞いてくれ……!作戦は必ず完遂する! 私の命をなげうってでも! だが、お前が死んでしまったら……私は……私は……!!」
兵隊のなりふり構わぬ哀願。だが、その言葉を聞いた瞬間、レベッカの胸の中に凄まじい「恐怖」が走った。
(私の命を投げうつ……? 嘘……やだ……なにそれ‥‥‥兵隊さん、どこか遠くに行っちゃうの……!? 私を置いて、死にに行っちゃうの……!?)
さきほどから兵隊さんが見せる覚悟を決めた兵士かのような様子。まるで二度と会えない場所へ旅立ってしまうかのような、哀しい覚悟。 兵隊さんを失ってしまうかもしれないという激しい恐怖が、16歳の少女の理性を完全に吹き飛ばした。彼女は胸の奥の恐怖を遮るように、本心とは正反対の、最悪の言葉を叫んでしまっていた。
「なによ……!! 親でもないくせに!!! それに作戦て何!!? ドフラミンゴになんて勝てるわけない!! だってあなたはただの……片足のオモチャじゃない!!!」
――カタン。
静寂が、通路を支配した。
叫んだ瞬間、レベッカは己が口走った言葉の重さに血の気が引き、顔面を蒼白にさせた。
「あ……」
言いたくなかった。そんなこと、微塵も思っていなかった。 大好きな兵隊さん。自分を育ててくれた、世界で一番大切な存在。 それなのに――一番傷つけてはいけない言葉で、彼の存在そのものを踏みにじってしまった。
ブリキの兵隊は、伸ばしかけた手をゆっくりと下ろした。 表情の変わらない鉄の顔。だが、その背中からは、声もない絶望と痛恨がにじみ出ていた。
「……そうか。……そうだな。私は……ただのオモチャだ。至極……もっともだ。」
「ち、違うの……! 兵隊さん、私……! ごめんなさい、私そんなつもりじゃ……っ!!」
レベッカはパニックになり、震える手で兵隊の腕を掴もうとした。だが、兵隊はゆっくりと背を向け、静かに歩き出した。
「お節介が過ぎたようだが。……願わくば、大会には出ないでくれ」
「兵隊さん!! 待って!! ごめんなさい!! 兵隊さんっっ!!」
レベッカの悲痛な叫び声も虚しく、カタ、カタと寂しい金属音だけを残して、兵隊の姿はコロシアムに集まる観客の人混みへと消えて行った。
第二節:後悔と覚悟
「う……うぁぁぁぁぁっ……!! 兵隊さん……っ、ごめんなさい……っ、ごめんなさい……っ!!」
兵隊の姿が見えなくなった瞬間、レベッカはその場に崩れ落ち、頭を抱えて石畳に突っ伏した。 激しい嗚咽が、薄暗い廊下に響き渡る。
自分が放ってしまった酷い言葉。傷つけてしまった兵隊の背中。そして、「どこか遠くへ行ってしまうのではないか」という予感。全ての感情が一気に押し寄せ、16歳の少女の心は完全に破綻していた。
「……レベッカ」
通路の影から、静かな足音が近づいてきた。 黒槍を背負った青年――アルバーン。彼は少し驚いた顔を向けながら、その歩調はどこか痛みを気遣うように緩やかだった。
「アル……っ!! アルぁぁぁっ!!」
レベッカは這いずるようにアルバーンへ縋りついた。涙に濡れた手で、彼の黒い衣の裾を強く、固く握りしめる。まるで、彼までどこかへ消えてしまわないようにと願うかのように。
「私……酷いこと……酷いこと言っちゃった……っ! 兵隊さん……どこか遠くに行っちゃう気がして……怖くて……っ! 私を置いて、死にに行っちゃうみたいで……っ!!」
しゃくりあげながら、幼子のようにボロボロと涙を流すレベッカ。 アルバーンは、自分の衣を濡らす少女の頭を冷ややかに見下ろしていたが、やがて小さく、重い息を吐き出した。
「……あいつは、死にに行くんじゃない。戦いに行くんだ」
「え……?」
レベッカが涙で濡れた顔を上げる。 アルバーンは背中の黒槍の柄をぎりっと握りしめ、冷徹な声の中に、わずかな温もりを込めて語りかけた。
「あいつはお前を捨てたりしない。……お前を助けるために、あいつは自分の戦場へ向かっただけだろ。なら、お前が今やるべきことは、後悔で泣き叫ぶことじゃないだろ?」
アルバーンはゆっくりとハンカチを取り出すと、レベッカの涙と鼻水で汚れた頬を乱暴に拭った。
「言ったはずだ。俺がお前の無茶に付き合ってやる」
「アル……」
「俺はAブロックだ。お前はDブロック。……助けてはやれない。だが、俺が真っ先に決勝へ上がり、ファミリーの幹部どもを一人残らず倒す。決勝では、お前が戦う前に……すべて終わらせてやる」
冷酷な殺意の裏に隠された、アルバーンなりの不器用な庇護。 レベッカは鼻を鳴らしながら、その言葉を胸に深く刻み込むように、何度も何度も頷いた。
「うん……っ! ありがとう、アル……! 私、負けないから……絶対に勝ち残って見せるから……っ!」
少女は立ち上がった。 兵隊さんを傷つけてしまった後悔と、それでも諦めない決意を胸に抱き、刃の潰れた騎士剣を握り直す。
その背中を見送りながら、アルバーンは闇の奥へ向かって低く呟いた。
「……見ていたんだろう、兵隊」
影の中から、微かな金属音が響く。 柱の陰に隠れていた片足の兵隊が、そっと姿を現した。そのブリキの瞳は、見えない涙で濡れているようだった。
「……アルバーン君」
「何を言われたか知らないが、あいつの言葉を真に受けたわけじゃないよな」
「フ……まさか。あの子の優しさは、私が一番よく知っている」
兵隊は苦笑するようにブリキの頭を下げた。自分のために傷つき、後悔して泣いてくれた愛娘の姿。それだけで、父キュロスの心は救われていた。
「……必ず君たちを助けて見せる。あの子を……頼む!」
「……死ぬなよ、兵隊」
二人は二度と振り返ることなく、それぞれの死地へと歩み出した。
第三節:ルーシー参戦
同じ頃――ドレスローザの玄関口である港町「アカシア」。
南国の太陽が燦々と降り注ぎ、街の至るところで「生きているオモチャたち」が人と微笑ましく行き交い、情熱的なドレスローザの音楽が鳴り響いていた。
「よし! ここからは二手に分かれるぞ!」
『死の外科医』トラファルガー・ローは、心臓を奪われ恐々としているシーザーの首根っこを掴みながら、ウソップとロビンを連れて「グリーンビット」の引き渡し現場へと向かう。
一方、残されたルフィ、ゾロ、サンジ、フランキー、錦えもんの5人は、目的である「スマイル工場の破壊」と、錦えもんの同胞である「勘十郎の捜索」のために街へと繰り出した。
……だが、上陸して数分も経たないうちに、一味のチームワークは崩壊する。
「あァ!? 俺の『秋水』がねぇ!! 待てコラ妖精! 刀返せ!!」
「おいゾロ待て! どこへ行く迷子太郎ーっ!」
「ゾロ殿、某もお供するでござる!」
名刀『秋水』を何者かに盗まれたゾロが街の雑踏へ突っ込み、それをサンジと錦えもんが慌てて追いかけて姿を消してしまった。
「……あいつら、一瞬でいなくなりやがったな」
「まぁいいさ! 俺たちはメシ喰いながら工場を探すぞ、フランキー!」
残されたのは、麦わら帽子をかぶった船長モンキー・D・ルフィと、サイボーグのフランキーの二人。
二人は変装用のサングラスと付け髭を装着すると、レストランで肉を喰らいながら情報を集め始めた。そして、店を出たところで通りかかった先ほど盲目の人物にとばくで敗れ、無様にも叩きのめされたドンキホーテファミリーの下っ端二人組を、容赦なく路地裏へ引きずり込んだ。
「ひえぇぇっ! な、なんだお前らは! 俺たちはドンキホーテファミリーの――」
「おい下っ端! この国にある『SMILE工場』はどこだ? 吐かねぇと吹っ飛ばすぞ!」
フランキーがゴツい鉄の拳をチラつかせると、下っ端たちは悲鳴を上げて首を振った。
「こ、工場なんて知らねぇよ! 俺たちが知ってるのは……今日のコロシアムのことだけだ!」
「コロシアム……? なんだそりゃ」
「あ、今日コロシアムで特別大会があるんだよ! 王宮から持ち出された『ある悪魔の実』が優勝賞品になってて……街中その話題で持ちきりなんだ!俺もコロシアムに呼ばれてる!」
ルフィは肉を咥えたまま、興味なさそうに尋ねた。
「悪魔の実ぃ? なんだそれ」
「『メラメラの実』だよ! かつて『火拳のエース』が食べてたっていう、あの自然系の凄ぇ実だ!!」
「――――!!」
ルフィの動きが、ピタリと止まった。 咥えていた肉が地面に落ちる。変装のサングラスの奥で、ルフィの瞳がカッと見開かれた。
亡き兄・エースの遺した炎の能力。それが今、この島のコロシアムで「見世物の景品」として扱われている。
「……エースの実……」
「おいルフィ、待て! お前の顔は世界中に知られている! トラ男の作戦もあるんだ、目立つマネは――」
フランキーが制止しようとしたが、ルフィの握り拳は激しく震えていた。
「知らねぇ奴に……エースの実を渡せるかよ!! 俺が……俺が絶対に奪い返す!!」
そのまっすぐな瞳と激しい怒りを見たフランキーは、ニッと白い歯を見せて笑った。
「……ヘッ、そうか!そう来なくっちゃな! よしわかったルフィ、大会にはお前が出ろ!工場破壊と侍捜索は、この俺様が責任を持ってやってやる!」
「フランキー……! サンキューな!」
ルフィは変装をさらに固め、胸を張ってコロシアムの受付へと走り出した。
その名も――「ルーシー」。
この「嵐を呼ぶ男」の参戦によって、ドフラミンゴが仕掛けた殺戮の劇場『メラメラの実争奪戦』は、主催者の意図を遥かに超えた巨大な渦へと巻き込まれていくことになる。
第四節:怪物の巣窟
コロシアム地下の選手控え室。 そこは、世界中から集まった500人以上の猛者たちが発する、重苦しくドロリとした殺気と熱気で充満していた。
「おい……見ろよ、あの巨漢。『プロデンス王国』の戦う国王、エリザベローII世だぞ……」
「隣にいる軍師のダガマが、何か良からぬ企みを吹き込破んでやがる……近づかねぇ方が身のためだ」
「けっ、向こうで床にツバ吐いて寝転がってる奴は……あの『人喰いのバルトロメオ』じゃねぇか! 相変わらず煽るようなツラしやがって……!」
控え室の各地で、新世界の猛者たちがギラついた目でお互いを牽制し合い、ヒソヒソと探り合っていた。気品と殺気を漂わせるキャベンディッシュ、八宝水軍の首領・チンジャオといった大頭目たちも、不気味な沈黙を保ったまま腕を組んでいる。
その中で、あまりにも異様な圧迫感を放ちながら控え室にどっかと鎮座していたのは――Mr.ストアと名乗る巨大な仮面男。 謎の覆面で顔全体を隠し、腰には輝くチャンピオンベルトを誇らしげに巻いた男――
「ウィーッハッハッハ! 雑魚どもが群れてやがる! メラメラの実は、この俺様『Mr.ストア』がいただくに決まってんだろ!」
覆面の奥から豪快に笑い飛ばし、極太の丸太のような腕を叩き合わせるMr.ストア。周囲の海賊たちがその異様な巨体と圧倒的な圧力に気圧されて距離を置く中、彼のすぐ背後の壁際で、静かに漆黒の長槍を磨く青年がいた。
アルバーンだ。 彼は赤と黒の剣闘士の衣装に身を包み、鋭い見聞色の覇気を周囲に巡らせていた。
アルバーンが割り振られたのは――「Aブロック」。
並みいる世界の上澄みの実力者が勢揃いし、多くの選手が緊張の面持ちで武器を磨く。しかしアルバーンの顔に一切の動揺はなかった。あるのはただ、冷徹で深遠な殺意のみ。
(覆面で正体を隠そうが……その威圧的で異様な覇気、只者じゃないな。だが……Aブロックを最速で粉砕し、一番乗りで決勝へ上がる。そして……ドフラミンゴの足元で、ファミリーの幹部どもを一人残らず血祭りにあげてやる)
アルバーンの全身から立ち上る漆黒の武装色の覇気が、周囲の空間を微かに歪ませる。その只者ではない殺気に、さっきまで高笑いしていたMr.ストアもピタリと動きを止め、覆面の目穴からギラついた目を覗かせてアルバーンを睨みつけた。
「……ほう。見ねぇ顔だが……いい殺気を出してやがるな、小僧」
「喋るな。耳障りだ」
冷たく言い捨て、アルバーンは黒槍の柄を静かに握り直した。
「おいおい見ろよ……ありゃあ『無敗の女剣闘士』レベッカじゃねぇか」
「ケッ、観客から吐き気を催すほど嫌われてる、あのクソ王、リク王の孫娘だろ?」
控え室で、無遠慮な嘲笑と卑猥な視線を浴びながら、レベッカは胸当てを抱きしめて佇んでいた。 16歳の少女の瞳は、恐怖に揺れながらも、兵隊さんへの後悔と、アルバーンへの誓いを胸に、決して折れることのない凄絶な光を宿していた。
(私……負けない。絶対に勝ち残ってみせる……!!)
第五節:開戦の号砲
「さぁぁぁぁーっ! お待たせいたしました、全国のドレスローザ市民! そして世界中から集まった熱狂的な観客の皆様ぁぁーっ!!」
実況ギャッツの血を吐くようなダミ声が、地鳴りのような爆音とともにコロシアム全体に鳴り響いた!
「本日開催されますのは、我がドレスローザ史上最大! 過去最高スケールでお送りする特別大会! 優勝者に与えられるのは――そう! 自然系悪魔の実の最高峰……『メラメラの実』だぁぁぁーっ!!」
ウオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!
数万人の観客席から、地盤を叩き割らんばかりの狂乱の大歓声が巻き起こる!。金を賭け、血を求め、死を欲望する観客たちの品性なき熱気が、コロシアムの空気を焼くように熱く湿らせていく。
「ご覧ください、この豪華極まりない挑戦者たちの顔ぶれをォォーッ!!」
ギャッツが大きく手を掲げると、会場の大型モニターや場内アナウンスで、各ブロックの怪異な猛者たちが次々と映し出されていく。
「ディアス海戦の英雄、『首はね』スレイマン!
新世界セントラル格闘会XXX級ボクサー、『破壊砲』イデオ!
足長族の脚技の鬼、ブルー・ギリー!
賞金稼ぎの兄弟船、アブドーラ&ジープ!
魚人空手の達人、ハック!
そして『戦う王』エリザベローII世にその軍師ダガマ!
あの残忍非道なる億越えルーキー、『人喰い』のバルトロメオぉぉぉーっ!!」
さらにさらにィ! 美しき海賊団船長、『白馬』のキャベンディッシュ!
八宝水軍第12代頭領、かつて頭突き一つで氷の対陸を叩き割った伝説の海賊『首領』チンジャオォォーッ!!」
凄まじい実績と凶名を持つ怪物たちの名が読み上げられるたび、観客席は地揺れのような歓声と罵声に包まれていく。
王宮の特別席では、ドフラミンゴがワイングラスを傾け、サングラスの奥で凶悪な嘲笑を浮かべていた。
「フッフッフッ……始めろ、ディアマンテ。この泥沼の劇場で……バケモノどもを踊らせてやれ」
「任せろ!ドフィ!!」
ゴゴゴゴゴ……っ!
控え室の重い鉄格子が、一斉に音を立てて持ち上がり始める。
「さぁ、この過去最大の大会の口火を切る『Aブロック』の始まりだぁぁぁーっ!!」
まばゆい南国の太陽光が、暗い地下通路へと射し込んでくる。 巨大な歓声の渦へと足を踏み出すのは、腰に輝くチャンピオンベルトを巻き、覆面越しに高笑いする謎の強豪『Mr.ストア』――。 そして、その背後から静かに現れる、漆黒の長槍を握り、氷のように冷たい殺気と地獄の業火のごとく燃える闘志を滾らせる『黒槍』アルバーン。
逃げ場のない死地。 裏切りとペテンで塗り固められたドレスローザの命運を賭けた、地獄のコロシアム特別大会。
ついに、運命の開戦のゴングが轟き渡った――
補足
アルバーンはメラメラの実にはあまり興味はありません。「食えたら食うか」くらいにしか思ってないです。
彼が大会に出る理由は、決勝に出場するドンキホーテファミリーの幹部を全員討ち取ることでした。そしてドフラミンゴを引きずり出すことが最大の目的です。
あと大会のエントリーが済んでレベッカのもとへ行ったら、なんか号泣してたので内心ビックリしてました。それで話を聞いてなんとなく「兵隊と喧嘩したんだな」と察しました。