ポケットモンスター EXCEEDS gun flame vengeance   作:テツノカシラ

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どうも!テツノカシラです!!

今回はシイナ origin の2話目ですね!

3話目でoriginは最後かな?


では、どうぞ!!


久瀬シイナ origin 2 覚醒

 

 

 

 

インターホンが突然鳴り響いた。

「ドラさんかな?」私はすぐにテレビのモニターに映る玄関カメラの映像に目を向けた。

 

そこに立っていたのは見知らぬ男だった。体格はがっしりとしており、表情は読み取れない。ただ、鋭い眼光だけが鈍い光を放っていた。

 

「シーちゃん?」セツナが小声で尋ねる。

「……知らない人」

 

私は瞬時にキッチンへ向かい、壁に掛けてあったショットガンを素早く取り上げた。セーフティは解除せず、しかしいつでも撃てるよう腰に差し込む。

 

「セツナ、ここで待ってて。見てくるから」

「うん……気をつけて」

 

私は玄関へ向かう。足音が重く響くのを感じた。

 

門から外を覗く。やはり同じ男だ。微動だにせず佇んでいる。

深呼吸をひとつ。

 

「どちら様でしょうか?」

「……おまえか」

低い声が湿った空気に溶けた。

私の背筋に冷たいものが走る。本能が告げていた——この男は普通ではない。

 

「用件をお伺いします」

「おまえが……魔人か?」

男の声には嘲笑にも似た響きがあった。

「質問に答えてください」

「ククッ……」男が喉を鳴らした。「ならばちょうどいい」

次の瞬間——男の口元が、不気味な笑みを形作るのが見えた。

 

轟音と共に門が吹き飛んだ。金属片が火花を散らしながら飛び散る。

 

私は咄嗟に身を屈め、衝撃波をかわす。

 

「おまえ……魔人だなぁ!? 食わせろ!! 俺に力を寄越せ!!」

 

 

男の片腕が変形していき,触手に変わる。

 

 

 

男は触手を振り回しながら襲いかかる。

 

 

私は攻撃をかわしてショットガンを取り出し,発砲する。

 

 

弾丸は男の体を貫いて出血させる。どうやら効果はあるみたいだ。

 

 

 

だが、男が倒れる様子はない。

 

 

 

(これは…人型の侵略種?それとも侵略種に寄生された人間?わかんないけど…とにかくヤバい!!)

 

 

 

 

 

「きゃあ!!!!」

 

 

 

家の中から悲鳴が聞こえた!!

 

 

 

「セツナ!?」

 

 

 

私は男に手榴弾を投げて爆発させてから急いで家に戻る。

 

 

 

 

 

 

家に入ると侵略種が私の銃のケースを盾にしたセツナを押し倒していた。 

 

 

 

「この!!!!」

 

 

 

私は侵略種を蹴り飛ばしてショットガンを何発も発砲して倒す。

 

 

 

 

「セツナ!大丈夫?」

 

 

 

「うん。何か怖い感じだったから念のため武器と弾を…」

 

 

セツナが私の猟銃や対物ライフルの入ったケースを渡す。

 

 

 

 

「さすがセツナ!」

 

 

「シーちゃん一体何が?」

 

 

 

 

「妙なのが襲ってきた。安全な場所に避難するよ。」

 

 

 

 

私はセツナを連れて家の裏口から外に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方 山道を軽トラで走っているハイドラ。

 

 

 

「(さっきの轟音…それにこの気配…間違いない。

 

 

 

 

魔人だ…狙いはシイナか…それともアレか?どちらにせよ早くしないとな…)」 軽トラのスピードを上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方 手榴弾による爆破をものともしていない男は強い気配を感じ取る。

 

 

「なんだ?…この気配…魔人…ではない…これは…

 

 

 

ポケモン人か…!!! 獲物は横取りさせない!!!」

 

 

男が咆哮する。

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然ハイドラの軽トラが激しく揺れた。

 

 

「おぉ!?なんだ!?」

 

 

 

突然の衝撃で蛇行してしまう車体。

 

 

 

そして車体の前面に侵略種が姿を見せる。車体にのしかかっているのだ。

 

 

 

「あぁ!くそ!!前が見えねぇ!!!」

 

 

 

 

ハイドラは仕方なく軽トラを乗り捨てて車外に飛びだす。軽トラは近くのガードレールに激突炎上した。

 

 

 

「あ〜あ…折角島の爺さんから譲ってもらったのにな…」

 

 

 

するとハイドラは取り囲まれていることに気づく。

 

 

 

 

 

 

無数の侵略種がハイドラの周りを蠢いている…

 

 

 

その数は10…20…100…否

 

 

 

 

総勢600体もの数がいた。

 

 

 

「おうおう…めちゃくちゃな数がいるね…余程俺を行かせたくないらしいな…」

 

 

ハイドラは指をポキポキと鳴らす。

 

 

 

 

「でも、悪いが…お前らと遊んでる暇はないんだわ…

 

 

 

 

全滅させてやるよ…」

 

 

 

 

ハイドラの両腕からサメの鰭と鋭い爪が生えてくる。

 

 

 

 

侵略種達は雄叫びをあげてハイドラに襲いかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方 シイナ達は

 

 

 

私はセツナを連れて安全な場所を探していた。

 

 

「ダメ!電話が通じない!」

 

セツナはスマホで猟友会や警察に電話するが,全く通じない。

 

ドラさんやキョウカさんにもかけたが、同じだった。

 

 

 

「ならしょうがない!私がなんとかするよ!」

 

 

 

 

私は襲いかかる侵略種を倒しながらセツナを連れて走る。

 

 

 

 

すると遠くから声が聞こえた。

 

 

 

「おーい!シイナー!!!」

 

 

 

「イブキ!?なんでここに!?」

 

 

 

イブキだ。息を切らして走ってきた。

 

 

 

 

「お前が心配で…母ちゃんに言われて…見に来たんだよ…」

 

 

「キョウカさんが?」

 

 

 

 

「それよりも何があったんだよ!?お前の家の方からすごい音聞こえたからびっくりしたぞ!」

 

 

 

「変なやつが襲ってきたんだ。人間の姿をしてたけど…侵略種みたいな能力持ってて…」

 

 

それを聞いたイブキの目の色が明らかに変わった。

 

 

「そいつはどうした!?今何処に!?」

 

 

 

「ショットガンで何発か撃って手榴弾喰らわせたよ。死んでるかはわからないけど…」

 

 

 

「それで逃げてきたのか…」

 

 

すると侵略種の唸り声が聞こえた。多分また来る…

 

 

 

 

 

「シイナ!!俺のところに逃げよう!そこなら安全だ!」

 

 

 

「え!?でもそれじゃああんたやキョウカさんも巻き添えに!」

 

 

「2人で逃げるよりも安全だ!!」

 

 

「待ってよ!そしたらせめてセツナだけ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダメだ!!!!お前を守るのが俺の役目なんだ!!!!」

 

 

普段のイブキでは想像がつかない大声が響く。

 

 

 

「イブキ…気持ちはありがたいけど…」

 

 

 

 

するとまた侵略種達が集まり始めた。

 

 

 

数が多い…25体はいる!!

 

 

 

 

 

「まずい…侵略種の数が集まってきた!!」

 

 

 

私はショットガンを構える。

 

 

セツナとイブキを守りながら戦わなくてはならない!!

 

 

 

 

しかし、突然イブキが走り出した。

 

 

 

「おい!!こっちだ!!!お前らこっちに来い!!!!」

 

 

 

なんとイブキは自らを囮にして侵略種を誘き寄せ始めた。

 

 

 

「イブキ!何やってんの!?」

 

 

 

 

「こいつらを引きつける!!お前らは逃げろ!!!」

 

 

 

侵略種達はイブキの方に引き寄せられるように向かっていく。

 

 

 

 

イブキは素早い身のこなしで侵略種の攻撃をかわして逃げていった…

 

 

 

「イブキ!!!!」

 

 

イブキを助けたいが…

 

 

今はとにかくセツナを安全な場所に連れて行く必要がある。

 

 

私は苦渋の決断でセツナと共に走り出した。

 

 

 

 

 

私達が辿り着いたのは廃墟のショッピングモールだった。錆びた扉を蹴破って内部に身を潜める。埃と蜘蛛の巣が張り巡らされた空間は、不気味だが少なくとも外敵の目からは逃れられる場所だ。

 

「ここなら一時的だけど……」

 

妹の顔色を確かめながらシイナが微笑む。しかしその手はいつでもショットガンに届く位置にある。

 

「怖いよね……こんな時に」

 

「ううん」セツナは小さく首を振った。「シーちゃんの方がずっと怖い思いしてるもん」

 

「そんなことないって」

 

シイナが嘘くさい明るさで否定する。彼女の背後に延びる長い影が壁に揺れていた。

「あいつは一体何だったんだろうね……」

 

 

「あの人間みたいな侵略種は寄越せとか言ってた」シイナが低い声で呟く。

 

セツナは黙って俯いた。

 

「そう……」

 

セツナの短い返事に含まれた意味を、私は感じ取れなかった。むしろ自分の疑問に集中していた。

 

「なんで私たちを狙うのかな……」

 

その瞬間—

 

 

キー!」「ギャアアッ!」

 

外から響く異形の咆哮。廃墟の割れた窓枠から見える複数の影。どれも獣の形をしている。

 

「セツナ!隠れていて!」

 

シイナは即座に妹を押し込んだ。埃まみれの大きな木箱の中へ。蓋を閉める前に最後の笑顔を見せる。

 

「シーちゃんは?」

 

不安げな声が隙間から漏れる。

 

「大丈夫!シーちゃんは強いから!」

 

ショットガンを担ぎ上げ、銃口を窓の方向へ向けながらシイナは軽やかに言う。

 

「侵略種達を倒して2人でうちに帰ろう!」

 

「……うん」

 

セツナの声が蓋の向こうで途切れた。暗闇の中で彼女は身を縮めながら祈る。(どうか……シーちゃんに何も起こりませんように)

外では既に最初の侵略種が廃墟の入り口を突破しようとしていた。

 

 

 

 

「かかってきなさい……化け物ども!」

 

シイナの宣言が廃墟に反響する。ショットガンを両手で構え、猟銃を背負った肩が低く沈む。その姿は野生動物が狩りに挑む時のそれだ。

 

ダァン!ダァン!

 

連続射撃。窓から侵入しようとした侵略種が瞬く間に挽肉と化す。弾薬切れ—シイナは一瞬の迷いもなく猟銃を掴み、腰に挟んであったスペア弾帯を素早く引き抜く。

 

「キィアアアッ!」

 

 

 

血飛沫を浴びながらも彼女は怯まず、落下した侵略種の屍体を踏み台にして高く跳躍。天井の梁に飛び移ると—

 

「落ちろ!」

 

踵落としで侵略種を粉砕した。

 

だが数が多い。三方向から同時に飛びかかる侵略種たち。シイナは身を翻し—

 

「ぐ!?」

 

左肩を鋭利な爪が切り裂く。赤黒い血が襟元を染める。

 

「この……!」

痛みを無視し、侵入してきた獣の横腹に強烈な肘打ち。肋骨が砕ける音と共に獣が昏倒する。シイナは即座に跪き、獣の上顎を両手で掴むと—

 

引き裂いた。

 

鮮血が迸る中、肉片を握ったまま振り向きざまに投擲。

 

「ギャワッ!?」

 

別の獣の顔面に貼りついた腐肉に目が眩む隙を見逃さない。

 

ダァン!

 

ショットガンの銃口が火を噴く。獣の頭部が木っ端微塵に砕け散り、破片が壁を汚した。

 

---

 

シイナは硝煙と血の匂いの中、荒い息を吐きながら戦う

 

 

 

 

 

そしてどれほどの時間が経っただろうか…

 

 

…「…もういない」

 

シイナは息を荒げながら周囲を見渡した。廃墟の床には30匹以上の侵略種の残骸が積み重なり、かつて倉庫だった空間は血と臓物の海と化していた。彼女の顔や手には返り血がこびりつき、左肩の裂傷からはまだ血が滴っている。

 

「セツナ!」

 

振り返り、木箱へ向かって呼びかける声はかすれていた。

 

「もう大丈夫だよ!」

 

ゆっくりと蓋を開けると、中で膝を抱えて震える妹の姿が現れた。瞳が涙で潤んでいる。

 

「シーちゃん……怪我……」

 

 

「平気平気!こんなの掠り傷!」

 

 

シイナはセツナに笑みを見せる。

 

 

そして、再び安全な場所に移動するために歩き出す。

 

 

 

「ここもダメか…」

 

 

 

シイナは細い通路で足を止め、後ろを振り返る。セツナは彼女の腰にしっかりとしがみついていた。

 

「別のルートから外へ出よう」

 

廃墟の裏側へと慎重に進む二人。しかし廊下の曲がり角から蠢く影が現れた。

 

「キー……」

 

「キキキ……」

 

壁伝いに移動する蜥蜴型侵略種たちの緑色の鱗が、陽光に照らされて鈍く輝いている。

 

「隠れて」シイナがセツナを物陰に押し込むと同時に……

 

ゴォッ!!

 

廃墟全体が不気味に揺れた。シイナはとっさに耳を覆った。衝撃と共に砂埃が舞い上がる中、窓枠が吹き飛び外光が差し込む。

 

そこに広がっていた光景に彼女の顔が青ざめた。

 

30匹近くの侵略種が通路を塞いでいたのだ。大小様々な種類が混在し、いずれも獲物を目前にした獣特有の飢餓に満ちた目を光らせている。

 

「……嘘でしょ」

 

シイナは背中のショットガンに手を伸ばす。先の戦いで相当量の弾薬を使ってしまったことを思い出す。

 

「シーちゃん……」

 

セツナの声が震えている。

 

「大丈夫。またやっつけるよ」シイナは笑みを作ったが、その目は真剣だった。

 

「ただし……今回はちょっときついかも」

 

次の瞬間、瓦礫の山が爆ぜた。中から人影が立ち上がる。

 

「見つけたぞ……俺の獲物!!」

 

触手男の姿だ。左腕は完全に変形し、巨大な肉塊に無数の棘が生えた異形となっていた。その口元には捕食後の残滓が滴っている。

 

「今度こそ逃がさん」

 

 

 

「何者よ!」シイナが妹を庇いながら怒鳴る。

 

「食わせろ…寄越せ…」

男はゆっくりと近づく。

 

 

セツナ!私から離れないで!」

 

シイナはショットガンを構え、最も近くの蜥蜴型侵略種に照準を定めた。轟音と共に散弾が炸裂し、獣の胸部が粉々に砕け散る。返り血がシイナの頬に飛び散った。

 

「キシャアッ!」

 

左右から二匹が同時に飛びかかる。シイナは機敏に身を捻りながら一匹を蹴り飛ばし、もう一匹には猟銃の銃床を叩き込んだ。

 

「ふざけんな……!」

 

だが――

 

「シーちゃん!!」

 

セツナの悲鳴が廃墟に響く。背後にいた獣型が彼女の足首を捉え、一気に引きずり倒した。小さな体が床に転がり、抵抗も虚しく四肢が押さえつけられる。

 

「セツナ!!」

 

シイナが咄嗟に振り向いた瞬間だった。

 

ガンッ!!

 

背後から衝撃が走る。頭蓋骨が砕けるような痛み。額から流れ出す鮮血が視界を遮った。

 

「……!?」

 

混乱するシイナの目の端に、石塊を持った獣型侵略種の姿が映った。得意げな笑みを浮かべている。

 

膝が崩れ落ちる。

 

「しまっ――」

 

無数の影が迫る。四匹の蜥蜴型がシイナの四肢を拘束し、二匹の獣型が彼女の腕を抑え込む。さらに別の一匹が彼女の腰からショットガンを奪い取った。

 

「く!…」

 

出血でぼやけた視界の中、セツナの泣き声が耳に届く。

「シーちゃん……!」

 

 

 

男がゆっくりとセツナに歩み寄る。その巨躯から滴る血液と肉片が床に点々と落ちていく。両腕を伸ばし、まるで獲物を愛でるかのように嗤った。

 

「漸くだ……漸く食える!!」

 

その目は既に常人のものではなかった。飢餓と欲望に濁った双眸がセツナの全身を舐め回すように這う。セツナは声も出せずに震えている。桃色の髪が床に広がり、恐怖に見開かれた瞳には涙が溢れていた。

 

「やめろ……」

 

シイナの声が床に落ちる。

 

「やめて……」

 

四肢を押さえつける侵略種たちの爪が肌に食い込む。激痛が走るが意識は妹にしか向かない。頭部の出血で視界が赤く染まる中でも、あの狂った男の影だけが異様にくっきりと映る。

 

「セツナに近づくなああああっ!!」

 

 

 

 

 

 

廃墟の静寂を裂くシイナの絶叫が反響する中、セツナの心の奥底で何かが蠢いた。

 

『ねぇ』

それは幼い頃から彼女の中に棲みついた声だった。

『いつまで嘘をつき続けるの?』

 

魔人の力が囁く。暗闇から湧き出るように。

 

「でも……」

 

セツナは心の中でか細く反論した。

「シーちゃんに嫌われたくない……シーちゃんは嘘つきが嫌いだから……」

 

『でもこのままだとシーちゃんは死んじゃうよ?いいの?』

 

セツナの目に映る光景が残酷に迫る。シイナが拘束され、血を流している。助ける手段は唯一つ。この忌まわしい力しかない。

 

「それは……」

 

喉が詰まった。だが心臓が早鐘のように鳴る。

「絶対に嫌だ!!」

 

『なら選んで』

声は冷酷に選択肢を突きつける。

『嘘を守り通すためにシーちゃんと共に死ぬか……それかシーちゃんに嫌われるかもしれないけど一緒に助かるか……』

 

「私は……」

 

涙が溢れる。だが決意が瞳に宿る。

「私は……シーちゃんを助けたい!!」

 

『なら炎の力であいつを焼き尽くして』

 

---

 

次の瞬間──

 

セツナの小さな体から朱色の閃光が迸った。

 

「な……!?」

魔人が驚愕する間もなく、セツナの周囲が灼熱の炎に包まれた。床板が燃え盛る

 

炎の奔流が渦巻く中、セツナの姿が変貌していく。皮膚の表面に鱗状の紋様が浮かび上がり、両腕が長く伸びて鋭い爪が生える。背中からは炎を纏った二枚の翼が噴出するように広がった。

 

「お前……まさか……」

魔人が驚愕の声を上げる。

 

シイナの目が信じられないものを見るように見開かれる。

「セツナ……?」

 

変異が完成したセツナの姿はもはや人間とは程遠い。桃色の髪は逆立ち朱色に染まり、瞳は溶岩のように灼熱の輝きを放っている。全身から放出される熱気が周囲の温度を急上昇させた。

 

「フハハハハッ!!」

魔人が狂喜する。

「こんな所で出会えるとは思わなかったぞ……適合に失敗して魔人になったようだが……間違いない……」

彼は恍惚とした表情でセツナを凝視する。

「お前……『リザードン』のなり損ないだな!!」

 

 

 

「リザードン?…」

 

「シーちゃんには」

セツナの口から炎が漏れる。その声はもはや少女のものではなく、大地を震わすような響きだった。

「手を出させない!!」

 

次の瞬間──

ゴオォォッ!!

 

灼熱の奔流が廃墟全体を覆った。床板が一瞬で炭化し、壁材が溶け落ちる。シイナを取り囲んでいた侵略種たちが断末魔の叫びと共に灰燼へ還る。

 

「ぎゃああぁぁっ!!」

 

男は両腕を顔面で庇いながら後退する。触手が燃え上がり、表皮が沸騰した湯のように泡立つ。

 

「こんな……熱量が……!」

 

炎の中を颯爽と飛び出してきたのはセツナだった。かつての控えめな少女の面影は薄れ、代わりに燃え盛る闘志が全身を包んでいる。炎の翼をはためかせ、地面に降り立つと同時に全力のパンチを繰り出した。

 

ドンッ!

 

「ぐほぉっ!」

 

男の腹筋を貫通する衝撃。接触部分が高熱で溶解する。セツナは間髪入れず跳躍し、炎を帯びた回し蹴りを放つ。

 

シュパッ! ゴォオッ!

 

男の左肩が黒煙を上げながら削り取られ、同時に大火傷を負わせる。

 

「この……小娘がぁっ!!」

 

男は逆上し、千切れかけた左腕を振り回す。粘液を撒き散らす触手がセツナを襲う――だが、

 

パァン!

 

セツナの掌から放たれた灼熱の衝撃波が触手を根元から焼き払った。

 

「シーちゃんを傷つけた」

 

セツナの声が炎の中に溶け込む。「許さない」

 

---

 

一方のシイナは呆然と立ち尽くしていた。額の傷からはまだ血が流れるが、それを気にする余裕もない。

「セツナ……?」

 

シイナの瞳には混乱と驚愕が渦巻いていた。しかし彼女の本能が叫んでいる――あの変貌した姿であっても、紛れもなくセツナ自身だという事実。

 

「セツナ……」

 

呟きは震えていたが、銃を握る手に力が込められる。傍らで燃え上がる炎の翼を持つ妹は、確かに異形の怪物と呼ぶべき姿だった。それでもシイナにとって大切な守るべき存在であることに変わりはない。

 

「でも……」

 

逡巡した瞬間、セツナの背後で蠢く影を捉えた。

 

「危ない!後ろ!」

 

叫ぶより先にシイナは動いていた。奪われたショットガンを奪取するため獣型の侵略種へ猛然と突進する。額の傷から滴る血が視界を赤く染めても構わない。

 

「返せ!」

 

吠えたシイナは膝蹴りで侵略種を吹き飛ばす。空いた手で銃を掴み取ると同時にセツナの方へ振り返る。

 

炎の柱が天井まで立ち昇っていた。

 

---

 

セツナは全身から放射される熱気で周囲の大気を歪ませながら戦っていた。背中の翼を大きく羽ばたかせると灼熱の衝撃波が周囲を薙ぎ払い、床板を溶かしながら進む。

 

「ギイィィッ!」

 

魔人の残った触手が鞭のように襲いかかる。しかしセツナは片手で受け止めると同時に―

 

ボオォッ!

 

掌から迸る炎が触手を飲み込み灰に変えた。その勢いのまま前蹴りを放つ。蹴撃を受けた男の胸郭が陥没し、後方に吹き飛ぶ。

 

「ハァ……ハァ……」

 

セツナの息遣いは荒い。瞳に浮かぶ炎の色は紅蓮から紫焔へと変わりつつあり―これは能力限界の兆候だった。

 

「セツナ!」

 

シイナの声が戦場に響く。振り返った妹の姿を見てシイナは息を呑んだ。

 

羽衣の如く揺らめく炎の中から現れたのは確かにセツナだ。だがその眼差しは怒りと苦悩で濁り、鱗に覆われた腕からは青白い血管が浮かび上がっている。

 

 

魔人の体は既に半分以上が焼け爛れていたが、奇妙なことにその損傷部分が急速に再生を始めていた。

 

「無駄だ……」

 

触手男は歪んだ笑みを浮かべる。傷口から滲み出る粘液が硬化し、新たな装甲となって彼を覆う。そして再生した触手にはさらに多くの棘が生えていた。

 

「お前の力は素晴らしい……だが有限だろう?」

彼の声には勝利の確信が滲んでいる。

「この程度の火力では……俺をを止めることはできない」

 

実際にセツナの動きは鈍くなりつつあった。炎を操る度に体内のエネルギーが急速に消費されていく。翼をはためかせる速度が落ち、攻撃の威力も低下しているのが見て取れる。

 

「まだ……終わらない!」

セツナは再び突進する。両手を合わせて放つのは渾身の炎熱波。

 

ドォオオーン!

 

衝撃と共に廃墟の壁が崩れ落ちる。だが炎が晴れた先には―

 

無傷の魔人が立っていた。

「残念だったな」

 

 

 

魔人がセツナに触手を振り上げる。

 

 

「セツナ!!!」

 

 

シイナがショットガンを構える。残弾僅かだ。だが、躊躇している暇はない

 

二発三発と弾丸を男に撃ち込む。

 

 

「ぐお!?」

 

 

男が怯む。

 

 

 

セツナの身体が灼熱に包まれる。鱗模様の腕が前方へ突き出され、全身から溢れ出す炎が収束していく。

 

「これが……私の力」

 

低く呟く彼女の瞳には迷いはなかった。ポケモン人として覚醒した自覚と責任が宿る。

 

「かえんほうしゃ!」

 

ゴオオオオォン!

 

廃墟を揺るがす火炎放射。高濃度の炎エネルギーが魔人を包み込む。

 

「やった!?」

 

だが、

 

「このガキどもがあああ!!」

魔人の叫びと共に炎の中から飛び出してきた。

 

 

 

しかし—

「まだまだ!」

セツナの目が炎に燃える。全身の鱗が赤熱し、両腕を大きく広げる。

 

「大文字!」

 

彼女の叫びと共に、空中に巨大な「大」の字型の炎紋様が形成される。

 

「ぐわああああっ!?」

 

魔人の絶叫が轟く。文字通り炎の塊に全身を焼き尽くされ、骨格すらも灰へ変わる。凄まじい熱量に耐えきれず、廃墟の天井が崩落する。

 

ガラガラガラ……

 

「……終わった」

シイナが呟いた。崩れ落ちた瓦礫の山を見つめながら。妹の変貌した姿も気にかかったが、今はただ目の前の脅威が消滅した安堵感だけがあった。

 

「すごい……」

 

シイナは呆然と炎を纏うセツナを見つめていた。

 

「セツナ!」

シイナが駆け寄る。しかし変異した妹の姿に一瞬躊躇する。

「シーちゃん……」

炎が徐々に鎮まっていく。鱗模様も消え始め、翼も縮小していく。そこには以前のセツナがいた。

 

 

ただ疲労困憊し、肩で息をしている少女の姿が…

 

 

 

to be continued




いかがでしたか??

次回はついにあの悲しいシーンか…


上手く描けるかなぁ


では、また!!
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