境界の錬金術師 ー 私、どうやら『人造人間』らしいー   作:女にだって二言はないぜ?

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自己解釈や改変のタグをつけているので一応大丈夫だと思いますが、これから増えていくと思いますのでお知りおきください。


第10話 プライド

 

 

 今日は大総統閣下(ラース)から食事に招待された。ラースの奥さんが私に会ってみたいと言っていたからだそう。ちなみに奥さんには私のことを親戚のそのまた親戚ぐらいに伝えているらしい。

 

 

「ご招待ありがとうございます。ブラッドレイ夫人」

「こちらこそきてくれてありがとうね、アリスちゃん」

 

 

 優しそうに微笑むブラッドレイ夫人。夫人は人間で、ラースがホムンクルスだということを知らないと聞いた。つまり、この場ではラースにも大総統として接した方がいいってことだよね。

 

 夫人からは『同情』と『歓喜』が感じられる。ラースから私のことを少なからず聞かされていて、目を開かないのと右腕が機械鎧(オートメイル)であることから憐れまれている気がする。気まずぃ…

 

 部屋に案内され、入るとそこは煌びやかな食卓。大きなテーブルに上品なレースのテーブルクロスが敷かれ、その上にはおいしそうなご馳走が並んでいる。

 

 そして、席に座っているのはラースと……ん?

 

 

「失礼、そちらの方は…?」

「息子のセリムよ」

「セリム、挨拶しなさい」

「は、はい、お父様。はじめまして、アリスさん。セリム・ブラッドレイです」

 

 

 舌足らずで少しぎこちないけれど、丁寧なお辞儀をする3歳ぐらいの男の子。

 

 

「よろしくお願いします、セリム様」

 

 

 軽く握手をかわす。小さな手だけれど、力強いナニカを感じる。気配から見るに、明らかに……ホムンクルスだよね。

 

 伝えといてくれてもよかったと思うんだけど、という視線をラースに向けると悪戯に成功した悪ガキのような顔が返ってきた。ここ一年でずいぶん打ち解けたものである。

 

 

 

 食事を楽しみながら、話していくなかで夫人とはすっかり仲良くなった。帰る頃にはセリムのお嫁さんになって欲しいぐらいだわとかなんとか。さらっと断ってしまったけど失礼だったかな…?

 

 

「また来てね、アリスちゃん!」

「もちろんです。本日はありがとうございました」

 

 

 

 

 夜、地下の自室で勉強をしていると、ドアをノックする音が聞こえてきた。どうぞ、という言葉で入ってきたのは、先ほどまで一緒にいた少年、セリム・ブラッドレイ。

 

 

「こんばんは。アリス」

「こんばんは、そちらが素ですかセリム様。夜遅くに何用でしょう?」

「改めて自己紹介でもしておこうかと思いまして」

 

 

 見た目に反して落ち着いた声。冷徹な視線を受けながら自己紹介を受ける。

 

 

「私の名はプライド。貴方と同じホムンクルスです。一度お会いしたいと思っていました」

「アリスです。新米ですがよろしくお願いします」

「ホーエンハイムの娘だそうですね。似てはいないようですが…」

「髪色が変わりましたから。目も開けてないですしね」

「へぇ…」

 

 今の私に父さんやエドの面影は少ない。というかほぼないのではないだろうか。

 

 その後謎に世間話をしながらも、勉強を教えてもらった。今は午前二時頃。ブラッドレイ夫人は寝ているらしく、抜け出してきたらしい。

 

 一時間後には仲良くなっていた。なんで?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの日から、何度か招待されるようになった。一日中お呼ばれされたときもあるぐらいで、今では週5ぐらいの頻度で会いに行っている。表向きの顔をしているセリムとも遊んでいる。地味に楽しい。

 

 

「あぁ。そういえば、アリスちゃんに渡したいものがあるの」

 

 

 お呼ばれしたある日の帰り際、夫人はそう言うと側にいた召使からあるものを受け取り、それを私に差し出してきた。

 

 

「これは…アイマスク?」

 

 

 境界の視界で捉えたそれは、綺麗なレースのアイマスク。夫人は以前私が目を開かないことで人から見られるのが嫌だと言っていたことを覚えてくれていたらしく、これならマシになるんじゃないかしら、と。

 

 夫人は優しくアイマスクをつけてくれた。境界の視界は変わらないけれど、目が隠れていることに安心感を覚える。

 

 

「ありがとうございます…大事に、使わせていただきます」

「喜んでもらえて嬉しいわ」

 

 

 じゃあねアリスちゃん、また今度。とお決まりの挨拶で帰る。地下に戻るとラストとエンヴィーがいた。

 

 

「アリス、お帰りなさい」

「ただいま~」

「お帰り~。あ、そうそう」

「?」

 

 

 ずい、と私の前に1枚の紙が見せつけられる。そこに書いてあったのは国家錬金術師試験の会場と、日時___

 

 

「明日、国家錬金術師試験ね」

「……え?」

 

 

 この1年間、午前は山積みの難解な教本を貪り、午後はエンヴィーやグラトニー、さらには深夜に大総統の邸宅からこっそり抜け出してくるプライドをも巻き込んで、死に物狂いで積み重ねてきたリハビリと手合わせの日々。

 

 そのすべての猛特訓の成果を、ついに地上の大人たちの前でぶつける刻が来るのであった。

 




※人タラシなアリスちゃん
 
※セリムが何歳ごろの時にブラッドレイに引き取られた設定なのか定かではなかったので、この時点で引き取られてから少し経っている、ということにしています。アリスとの接点がなかったのはたまたまです。(入れ違いぐらいのタイミングだと思ってくださると)



これまでの☆と★を一部編集し、☆は人物視点、★は三人称視点にしました。


誤字報告など大変助かっております!ありがとうございます。嬉しい感想をくださる方もありがとうございます!
まだまだ未熟者ですが、頑張って執筆を続けていこうと思っておりますので応援してくださると嬉しいです。
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