ヒーロー公安委員会本部。特別会議室。
そこに集まるは、現公安委員長及びそれに連なる重鎮たち。
いずれもこの個性社会の秩序を守るための大きな役割を担う者たちであり、それがこの場に一同に会している。
社会の秩序を守るにあたってどうしても世間には言えないようなことを行う必要がある。
それを行うのが公安であり、それ故の特別会議。
そのための特別会議室。
もう数え切れないほど行ってきた世間に言えない会議。
今回の議題は…
《15歳以下の強力な個性持ちの公安引き抜き》
で、ある。
「調査結果は?」
「▲▲孤児院に個性『マーカー』、13歳の雨宮ヤトという女児がいるそうです。」
「『マーカー』とはなんだ?」
「訪れたことがある場所にマーキングし、その場所にワープできるそうです。現在本人が自称しているものでも10箇所以上。限界は不明です。」
「ワープ系か…。」
ワープ系の個性。珍しく、有用であり、もし悪用されたらとても厄介。
それ故欲しい。
今回の議題ではこのような有用、強力な個性を持つ子どもを発見し、公安ヒーローに引き入れるかどうか、どのように引き入れるかを話し合う会議。
もちろん13歳ほどの子どもをこのようなことに使うことは間違っている。
しかし…
ヴィランに利用されるかもしれない。
個性で問題を起こすかもしれない。
しかも、彼女は孤児だ。
孤児から公安ヒーローだなんて随分な出世だ。ほとんどのものが頷くだろう。
もし、断られてもどんな手段も取れる。
「しかし、彼女は一度公安への勧誘を断っています。」
「なら、ホークスを使え。中学生程度の女子なら簡単にたらしこめるだろう。」
「もし、それでもだめなら?」
「その場合は…」
「どんなことでもしていい。ワープの個性は必要だ。」
「了解しました。」
いとも容易く、1人の人間の人生がヒーローとして使い潰される事が決定した。
かつては苦悩していた彼らも、今ではしょうがないことだと諦めている。
かつてならこのようなことを決定してもどんな手段でもとは考えなかったはずだ。
その苦悩を忘れた代償は…
近いうちに払われることとなる。
□□□□
ホークスは憂鬱な気分だった。
上から与えられた13歳の子どもを公安に引き込むと言う指令。
子どもの未来を勝手に決定するような、しかも命の危険のあることに巻き込むのは良い気分ではない。
しかし、上の命令は絶対であるし、幼い頃から抱き込むことの有用性は分かっている。
ホークスはしぶしぶその子どもがいる、▲▲孤児院近くへと飛翔した。
…………
ホークスは自分顔がいいことを知っている。
そして、その顔の使い方も幼い頃公安に鍛えられた。
だから中学生の女子を引き込むのにたらし込んでしまえば良いと、簡単にできると思っていた。
しかし、写真を見て彼女の美貌を見て驚いた。
実際に見てさらに驚いた。
写真では表すことができないほどの美しさ、自分の顔など霞んで見える。
ホークスは自分顔を通じる気がしなかった。
案の定何も通じなかった。
何回も偶然を装いあって見て、持つ技術の全てを持って口説いてみた。
会えば会うたび彼女は不機嫌になっていった。
最初は丁寧に断られたが、複数回会うと疑惑の目が見えた。今では殺意すら感じとれる。
ホークスは最後の手段を使うことを決定した。
………
「あっ!お久しぶりっす!」
「いや〜。こんなにも偶然会うなんて、俺たち何かで結ばれてるのかも!」
「冗談っすよ。冗談。」
ホークスの使う最終手段とは、つまり脅すこと。
彼女の大切そうなもの今回の場合で言えば彼女の育った孤児院だとか。
流石に怪我させるまでと言わなくても、国の金で運営される施設だ。その金を減らすとか、そこに働く人を冤罪で捕まえるだとか何でもできる。
そんなことを呟けばさすがの彼女も公安に入らざるをえないはずだ。
しかし…
嫌な予感がする。
熟練のヒーローほどではないにしても幼い頃から訓練され任務を経験してきたのだ。経験値は人並み以上のはずだ。
その経験値が警鐘を鳴らしている。
普段なら不機嫌そうに断ってくる彼女が何も言わないのが嫌な予感を加速させる。
「もう分かってると思うんすけど俺公安なんすよね。」
嫌な予感がする…。
「残念ながら断る権利はないっす。」
どうしょうもないほど嫌な予感がする…。
「もし断ったら君の育った孤児院がどうなるか知らないっすよ…。」
彼女は未だ喋らない。しかし、何か恐ろしい。
「じゃあここの住所に来てください。そこが公安本部です。」
ただ自分が連れてけば良かった。
それでもどうしても嫌な予感がする、どうしても恐ろしい。彼女の近くにいたくない。
言うべきことを言ってすぐホークスは全速力で飛翔した。
ズドォン!!
直後、背後から巨大な何かが地面に当たる音が聞こえた。
先ほどまで自分がいた場所が凹んでいる。
彼女は何も動いていない、何が起きたかわからない。しかし、自分の予感が正しかったことを確信した。
距離を取らなければ、逃げなければ。
全速力で彼女とは反対方向へと飛翔した。
「ぐっ!?」
見えない何かに腕をつかまれた。
おそらく何もしなければこのまま死ぬ。
自身の個性で自身の腕を根本から断ち切った。
「がっぁぁ!!」
痛みにより苦悶の声が漏れるがそんな場合ではない。
ホークスは一瞬で地平線の先へと消えた。
そして残った彼女は…
「さすが未来の2位だなぁ…。」
小さな声でそう呟いた。
主人公 雨森ヤト 享年?16歳
誕生日6月18日 O型 身長165 体重55 前世最終時点
身長142 体重60 今世
体重が重いのは腕プラス5本分されてるから