気がつくと学生時代に使っていた机に座っていた。
ピッという電子音に気づき、音の鳴ったほうを見ると黒板のような大きなウィンドウが現れる。
そのウィンドウにはAdministratorの文字が表示されていた。
「あーあー聞こえてるかい?
……うん、聞こえているね
私はアドミニストレータ、親しみを込めてアドちゃんと呼んでくれ
君たちのことはテスターと呼ぶ……
ーーーーと、声を聴くに多分女性だと思われる存在がいろいろと説明してくれている。
日本のマンガに興味を持つ ←わかる。
似たような世界を作ってみた ←まぁわかる?
何度やってもマンガと同じ結末になる ←何度も??
で、異物を入れたらどうなるかやってみようってことで選ばれたのが君たちだ! ←わけが分からないよ!?
現在の俺たちは魂?精神?みたいな状態で、体のある現実世界は止まっているらしい。
よくある神様転生みたいに誤って死んでたり、殺されたりではないそうだ。
この異物混入実験とやらに協力すれば報酬に技能?とやらがもらえて、現実世界に戻してくれるそうだ。
技能が何のことかわからんが、まぁいわゆるチートってやつのことだろう。
別に損するわけでもなし、選ばれてラッキーと思って協力しようと思うが……
たぶん、もともと、こういうのに理解ある人間ばかりが選ばれているんだろうなぁ……
俺たちテスターはもうすでに条件で組み分けされているらしい。
俺は原作知識無し、技能有り、テスターの同時介入無しのグループとのこと。
原作知識の有無は転生先のことを知ってるか否かで、知らない原作でも原作知識有り組は原作の知識がインポートされ、知ってる原作でも原作知識無し組は原作の知識をロックされる。
技能の有無はチートの有り無しだな、……やっぱり技能はチートのことだったらしい。
技能有り組は最初に5つも
テスターの同時介入の有無も読んで字のごとく転生先でテスターがいるかいないかだ、これは協力するも敵対するも好きにしろってことだろう。
転生先は転生開始のボタンを押すとSYSTEMが抽選するとのことなので、メタ読みして
戦闘系の
まぁ鉄板は運がよくなる系とか、鑑定も腐らないか、成長補正系もいいかもしれんな。
色々悩みつつも汎用性のある
なんだこれ……
スクロールしても終わりが見えねぇじゃねーか
タブもどんだけあるんだよ……
フィルターかけても似たようなスキルがたらふく出てくるじゃねーかどう違うんだよ……
わっかんねぇ……
あーもういいランダム選択で、いちいち探してらんねぇ。
終わり終わり転生転生と、心の内で叫んで転生開始のボタンを押すと、俺の意識は暗転した。
SYSTEM==========
転生プログラムの実行を確認。
転生プログラム実行。
ーーーーーー
技能付与開始。
特殊条件の達成を確認。
特殊技能【ばくち打ち】を付与。
【ばくち打ち】によりランダム選択の選択範囲を拡大。
最上位技能【韋駄天】を付与。
中位技能【必中】を付与。
上位技能【健全な精神】を付与。
上位技能【頑健な肉体】を付与。
統合条件の達成を確認。
条件達成技能を統合。
統合技能【黄金の心体】へ統合。
複合技能【パワプロ風育成システム+α】を付与。
……
……
「あいつ……、何考えてこんな技能作ったのよ……」
……
失礼。
……
技能付与完了。
ーーーーーー
転生世界の選別を開始。
【パワプロ風育成システム+α】により転生世界の範囲限定。
転生世界確定。
原作知識封印。
転生開始。
「どうか良き旅をテスター殿」
SYSTEM END==========
うぁ
えーっと
あー転生したんだったな。
……三歳くらいか?
ちゃんと乳児からやらなくていいようにしてくれてんだな。
現代っぽいがここがどこかなんてわかるわけねーし……
まぁ、まずは
「ステータス」と念じるとピッという電子音とともに目の前にウィンドウが表示される
STATUS==========
弾道 1
ミート D
パワー E
走力 S
え、えす!? いや違うそうじゃない、なんだこのステータスまるでパワプロじゃねぇか
えーっと
技能==========
【ばくち打ち】〈特殊〉
【韋駄天】
【必中】
【黄金の心体】〈統合〉
【パワプロ風育成システム+α】〈複合〉
見た瞬間に膝から崩れ落ちた……
やっぱりパワプロかよ……
いやそれもそうだがそうじゃない、情報量多すぎる、なんだよ〈特殊〉って、なんだよ〈複合〉って
ふーとりあえずわかった、つまり野球なんだな、俺は野球をやらされるんだな。
まぁ、そう考えると走力Sはありがたい、3歳児でSって頭おかしい気がするが……
3歳児が走って大人より早かったらホラーだし、さすがにそんなことは無理だろう。
ーーそして13年後
俺は幼馴染の勇ーーいや、西村勇と勢南高校の野球部に入り、甲子園を目指した。
が、1年目は地区予選の準決勝で負けてしまった。
今は決勝戦を見るために球場に向かっているところだ。
この13年、いろいろあったがまずやはり走力Sだろうが子どもは大人に勝てなかった。
この走力Sは同年代とか同世代を基準にした値なんだろう。
ん?あれは……中学時代に何度か練習試合をした明青の上杉がいたので声をかける。
「よー上杉、球場行くなら一緒に行こうぜ~」
「君は勢南の……」
とこちらを見てくる。
「うちは負けちまったからなぁ、うちを負かしたところよりは明青を応援するさ、勝つんだろ?」
「もちろん」
「上杉、止まれ!俺のほうが早えぇ、俺が行く!」
そう言って、一気に加速する。
俺ならーー
間に合う。
トラックにひかれそうな少年を突き飛ばす。
ドンッという大きな衝突音。
体が吹っ飛ばされる。
SYSTEM==========
【ばくち打ち】(1D10000:FAIL)
生存判定失敗。
転生終了。
テスター回収。
……
「お疲れさまでした。」
SYSTEM END==========
呆然とする俺の前でピッという音とともにAdministratorと書かれたウインドウが開く。
アドミニストレータが何かを言っている、それに対し俺も何かをこたえている。
でも、なにも認識できない、ただただ受け答えが進んでいく……
「おうおぅ、かなりお早いお帰りだねーNo.08986
どうしたよ、そんな顔して?
原作を知りたい?
あーそりゃそうだな、原作知識は脳内に直でインポートするか、書籍で読むかどっちがいい?
ですよねー、じゃぁ選択できるようにしといてやるよ
そのかわり、おまえは原作知識を得る前にお前視点の転生中の行動や考えてたことについて記録して公開しろ
公開処刑?
ちげーちげー
お前のそれは情報の宝庫なんだよ
他のテスターがそれを見て、また面白い結果を持ち帰ってくる
そうやってこの実験はもっと面白くなる
じゃ、絶対出せよ」
ピッという音がしてウインドウが消滅した。
カメラのようなものの前に立ち、遠隔で起動ボタンを押す。
ピッとかすかな音が鳴り記録が開始される。
SYSTEM==========
記録媒体起動。
記録開始。
あーーーテスターNo.08986、第1回転生活動報告を始める。