転生人 語《野球偏》   作:ぬえさん

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第1話 第1回転生活動報告

 アドミニストレータから説明を受け、技能を選択しようとして、

あまりの多さに愕然とする。

第1陣のテスターはどうやって技能を選択したのだろうか、面倒だしランダム選択にするか?

どうしたものかと視線をさまよわせていると、ウインドウの端のほうがチカチカと点滅している。

なんとなく気になってそこを選ぶ。

 

LIBRARY=======

第1回転生活動報告〔No.00325〕

第1回転生活動報告〔No.01965〕

第1回転生活動報告〔No.08986〕

 

 

 まだ少ないようだが、多分これがアドミニストレータが言っていた第一陣テスターの記録なんだろう。

ならば何か参考になる情報があるかもしれない。

そう思ってその活動報告を読もうと選択する。

 

 ピッと音がして別のウインドウが立ち上がる。

 

 書面じゃないのか?

 

SYSTEM=========

 

記録媒体起動

投影開始

 

 

……

 

 

 あーーーテスターNo.08986 第1回転生活動報告を始める。

 

 アドちゃ……い、いやアドミニストレータが俺視点でやってきたことを記録して公開しろというので、最初からやったことを話そうと思う。

 

 ちなみに俺は原作知識無し、技能有り、テスターの同時介入無しの組だ。

帰還後に原作知識は取得できるが、俺はまだ取得していない。

まぁ、他の組には参考にならんかもしれんが、そこはご容赦いただきたい。

 

 まずは技能選択だが、皆もわかる通り技能の数が多すぎる。

俺は面倒になって全部ランダム選択にした。

推測だが、これのせいで第1回転生活動で死亡した、と思う。

その辺りはあとで話す。

あと、今から取得した技能の説明をするが、その技能がランダム選択以外で取得できるかは知らん。

頑張って探してみろ。

 

 転生後確認したときの所持技能は【ばくち打ち】【韋駄天】【必中】【黄金の精神と肉体】【パワプロ風育成システム+α】だ。

言いたいことはわかるがそのまま聞いてほしい。

一応これから話すことは技能の詳細とSYSTEMからの推測も含まれる。

 

 まず【ばくち打ち】これは最初の技能選択で、すべてランダム選択したら取得させられる特殊技能だ。

効果は、絶対がなくなる、どれだけステータスを積んでも100%にはならない。

これだけなら完全に外れ技能だ、だがSYSTEMに「ランダム選択の選択範囲の拡大」の記録があった。

ハイリスクハイリターンになる技能ってところだろう。

 

 次【韋駄天】速さ関連にかなり補正が入ったっぽい。

同世代と競走したら圧勝しかしなかったな。

あと動体視力もかなり上がっていた。

他の技能に比べて内容が簡潔な割に強力だった。

確証はないが、多分これは【ばくち打ち】の効果で出たハイリターンの技能だと思う。

 

 次【必中】読んで字のごとく必ず当たる。

欲しい懸賞なんかも当たっていたな。

結構拡大解釈も適用された。

 

 次【黄金の精神と肉体】病まない、ケガしない、体力無尽蔵、これは〈統合〉と記載がされていた。

統合ってなんだよと思ってSYSTEMを確認すると別々の技能がくっついて一つになっていた。

どうやら技能は条件を満たす技能を取得すれば統合されるらしい。

統合された分、技能の枠が空くみたいだな、埋める方法はわからんし、何個技能が持てるかも知らんが……な。

 

 次、最大の問題児【パワプロ風育成システム+α】これは〈複合〉と記載されていた。

統合に近いが取得時点で最初から複数の技能を内包している技能だ。

さらに厄介なのが内包されている技能はすべて解放されているわけじゃない。

条件を満たすことによって内包技能が解放される場合がある。

これ単体ではおおよそ、ステータスその他がパワプロになる技能だが、他にも【原作:野球漫画固定】【性別:男性固定】【種族:人間固定】は確認できた。

条件を満たすと内包技能が解放されるといったが、なぜそんなことが分かったのかというと実際に転生活動中に発生したからだ。

こちらも詳細はあとで話す。

 

 さて、先の内包技能を聞いて分かったと思うが俺たちの性別は固定されていないし、人間でなくなる可能性もある。

このあたり自認の性別と異なる性別になるのが嫌なら取っておくのもありかもしれんな、選択できるのかは知らん。

 

 

 では、これからは転生してからのことを話す。

 

 俺がはっきりと転生したなと自認できたのは3歳の時だった。

これは転生先の世界や自分が何になったかで変わると思う。

 

 で、転生を自覚したならまずステータスを見るよな。

弾道1、ミートD、パワーE、走力S……ものの見事にパワプロです。

いやぁ普通RPGのステータス画面が来ると想像するよな。

何事かと思って技能を見たら、【パワプロ風育成システム+α】。

膝から崩れ落ちたわ。

それに+αってなんやねん……

とりあえず、これであー野球やることになるんだろうなーと自覚した、まぁ回りも現代風だったしな。

これで回りがファンタジーや世紀末の風景だったらさすがに絶望しただろうな。

ただ若干パワプロと違うようだったのはステータスがSでも普通に親に負けたこと。

同世代には負けたことなかったんで、同世代を基準にしたステータスだったんだろう。

 

 そのあと公園デビューして、隣の家の息子の勇と出会い、あー勇じゃ伝わらんな西村勇だ。

最初はボールの投げ合いっこ、それからキャッチボールになり、地域の野球チームに入って、中学や高校ではバッテリーとして野球部に所属していたな。

メタ視点というかなんというか、原作に絡むとしたとき勇の顔は主人公側って顔ではなかったので、主人公チームの有力な対戦相手その1辺りの役どころだろうとも予想した。

今回の転生は原作との乖離がテーマなわけだから、自己強化は当然のことながら、併せて勇も巻き込んでそこそこ無茶な練習をしていたと思う。

 

 日中はステータスを見ることができなかったので、毎日寝る前にステータスを確認するようにしていた。

基本的に筋力や技術のポイントしか入らなかった。

偶に直で上がったがその時は何かしらのイベントがあったんだろう、さすがにパワプロのイベントを網羅はしてないのでな……

【韋駄天】のおかげで敏捷ポイントはあふれていたし、【必中】のおかげかミートだけでなく捕球にも補正が入っていたようなので、

基本的には高出塁率の、あーイチロータイプと言えば通じるんだろうか?

それを意識して各種ステータスを上げていった。

またポイントを使ってパワプロの特殊能力を取得することもできた。

技能や技術のウインドウではなくステータスのウインドウに直接表示されていたので、

これらも【パワプロ風育成システム+α】の能力の内ということなのだろう。

パワプロを知ってる閲覧者にしか伝わらないだろうが、特殊能力は中学卒業時点で「内野安打○」と「キャッチャー○」を取得していた。

 

 で、中学での話だが部活帰りにスーパーでたこ焼きを買ったら、そのたこ焼きは阿畑が作っていた。

って言ってもわかるやつにしかわからんよな。

阿畑はパワプロに出てくる登場人物だ、どのシリーズだったか忘れたが変化球を改造してくれたりする変化球投手だ。

のちのち恩人・師匠みたいな人になっていったので、呼び捨てにするのもどうかとは思うが、報告書なんでな敬称は略ってやつだ。

会った当初は、なんでパワプロの阿畑がいるねん、って愕然としたな。

交流を重ねるうちに「勇のカーブを改造しないか」と持ち掛けられて、面白そうだったのであれやこれやとやってるうちに、SYSTEMにこう表示された『内包技能【阿畑の変化球改造術】を解放。』と……

つまり、条件を満たすと隠れていた?封印されていた?内包技能が解放されて、技能画面でも表示されるようになるってことだな。

これが解放されてからは阿畑の言ってることがわからなかったところが理解できるようになり、阿畑がいなくても勇のカーブを改造できるようになったりしたな。

おまけというわけではないが勇のカーブを改造していると、なぜか変化球ポイントがそこそこ溜まってな、余らせておくのもどうかと思ってカーブを取得しておいた。

今回使わなかったポイントがどうなるかわからなかったしな。

 

 高校は、たぶん原作で勇が通っていたのだろう勢南高校に一緒に入学した。

着々とポイントを貯めて、ステータスを底上げしたりしたので、地区予選では正捕手としてマスクをかぶっていた。

甲子園も行けるかと思ってたんだがなぁ……

特殊能力の「アベレージヒッター」もぎりぎり間に合って取得できたんだが……

やっぱ野球はチームスポーツなんだなって……

まぁ1年目は準決勝で負けた。

 

 それから野球部は練習が当分の間休みになった。

練習漬けだったからか休みと言われても、なにをすればいいのやら……

そうしたら、ふと決勝見に行くかーとなってな。

 

 で、球場に向かう途中、明青の上杉と会った。

なんていうか……今だから言えることだが、まさに主人公って感じの奴だったな。

THE・完璧超人っていうのか?

まぁだからこそ決勝で当たると思ったんだがな……

 

 

 2,3言言葉を交わしそのまま一緒に球場向かっていたら、子供がトラックに轢かれそうになってた。

さすが主人公というか反応は上杉のほうが早かったな。

その時は必死だった、でもどこかで打算があったのかもしれない。

主人公が事故って怪我をするなんてよくある話だ。

つまり、これは上杉が決勝に出られなくなるイベントだ。

俺なら怪我無く助けられるよな?

なら、俺が行く

 

 だから、俺は上杉の腕をつかんで引き留めーー

 

 

 飛び出した……

 

 

 

 間に合うと思ってたんだがなぁ……

 

 あぁいや、子供は助かったよ。

突き飛ばす形になったから多少は怪我してるだろうがな。

つまり間に合わなかったのは俺ってことだな。

トラックに轢かれて死亡、転生活動終了ってな……

 

 

 正直……何が起こったのかわからなかった……

戻って来たと認識したのも、アドミニストレータに何か話しかけられてたと認識できたのも、しばらくした後だった。

 

 

 しばらくして、落ち着いてからSYSTEMも確認してみた。

転生終了。テスター回収。記載されてるのはそれだけだった。

だから、これは完全に俺の推測だが……【ばくち打ち】これの「絶対がなくなる」、これでハズレを踏んでしまったんだろう。

絶対に助かるはずが、絶対がなくなって、死亡しましたって所だろう。

初期の5つをランダム選択にするのをやめろとは言わねぇ。

だが、後悔はすんなよ?

 

 しかし、原作だとどういうイベントだったんかねぇ。

 

 うーん、まだ時間はあるな。

なら今から原作知識を得るか。

直接インポートするやり方は自分の記憶と混同しそうなので、俺は書籍を読む方法で取得する。

少し時間がかかると思うが、ちょっと待っててくれ。

 

SYSTEM======

原作知識取得中。

記録を一旦停止。

 

 

……

 

 

……

 

 

 あーーーすまない。

 

 

 ちょっと整理させてくれ……

 

 

 俺はミスって何もできず戻されたと思っていた。

だが、これだと俺は……

 

 

 あーそうだな、とりあえず行ってきた世界を伝えよう。

俺が行ってきた世界は「タッチ」だった。

 

 

 じゃぁな。

 

SYSTEM=========

 

投影終了。

 

SYSTEM END=======

 

 ピッという音とともにウインドウが閉じ、報告は終了した……

 

 

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