戦場の女神-圧政を敷く王政を、自衛隊の砲兵部隊が打ち砕くようです- 作:やきそばVer2
各地の反乱勢力は、最後の希望を胸に、自衛隊との合流を図る。
だが、対する王国軍は、不穏な動きを見せていた。
【フソウ王国辺境地域:古城跡 】
悪逆非道な王政への反発から、王国全域で反乱の火の手が上がっていた。
だが、燃え上がった火は、王国軍の手で消されつつあった。
反乱軍残党の一つとの共闘を実現した、第一大隊。
その、第一大隊野営地点から、東に20kmほどの地点。
ここでもまた、現地反乱軍と王国軍の熾烈な戦闘が繰り広げられていた。
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「弓兵隊は敵両翼へ攻撃を集中!敵軍を回り込ませるな!」
「投石機部隊は、敵軍中央に岩を撃ち込め!遠距離攻撃で敵を削るぞ!」
現地反乱軍のリーダー、カルロスは指示を飛ばす。
籠城し、王国軍を迎え撃つ別地域の反乱軍。
長い期間放棄されていた城は、土塁と空堀しか残っていない。
だが、僅かな防衛設備であっても、何もないよりかは遥かにマシである。
「カルロス様!敵軍中央への投石、効果ありません!」
「左翼最終防衛線、突破されそうです!」
このままでは、全滅する。
立て直しを図るべく、指示を飛ばす。
「中央部から左翼へ増援を送れ。同時に左翼への投石も開始しろ。」
「それと…...女子供を集めろ…...脱出の準備をさせろ。」
「準備ができ次第…...裏門の守備隊を護衛に付けて、脱出させろ。」
「しかし、裏門の周辺すら包囲されています。」
「脱出は困難では…...」
部下の意見を聞き、指示を変更しようか悩む。
だが、すぐに考え直して、決断を下す。
「確かに逃げ切れないかもしれない…...」
「だが、ここに留まったら確実に殺される!」
「俺達が時間を稼ぐ間に、女子供を逃がしてくれ。」
「了解しました。カルロス様。」
指示を実行すべく、その場を離れる部下。
部下と入れ替わるように、伝令が必死の形相で駆けてくる。
「中央部の最終防衛線、突破されました!」
「200人ほどの敵兵が、堀と土塁を超えて城内に侵入!」
「三機全ての投石機も…...敵魔導部隊により破壊されました!」
絶望的な報告内容に、冷静さを失う俺。
(脱出は間に合わない。)
(それに、城内に侵入された以上、抵抗もろくにできない。)
(一体どうすればいいんだ。)
「戦えそうなやつ全員で…...敵軍に突撃を敢行する。」
「行くぞ!俺達平民の意地を、傲慢な騎士共に見せつけてやる!」
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「殺せ殺せー!」
「平民ごときが、調子に乗りやがって!」
「クソ、せめて時間を…...ッグ!」
「やめろ、来るな……グア!」
城内になだれ込む騎士達。
反乱軍の必死の反撃をものともせず、一方的な虐殺を行う。
「先頭の騎士に攻撃を集中しろ!」
四人の弓兵が、一斉攻撃を行う。
ヒュンヒュンヒュンヒュン
一人の騎士に、四本全ての矢が命中する。
だが、その全ては騎士の鎧に阻まれてしまう。
「やるじゃねえか、だがお前たちはここで死ね!」
「ギャアー!」
またたく間に、斬り伏せられる弓兵たち。
止めるものが居なくなった城内を、猛スピードで前進する。
「くらえ!騎士共!」
叫び声と共に、切り込む俺。
辛うじて一人を倒すものの、すぐに弾き飛ばされる。
(ここまでか…...)
(せめて、女子供だけでも逃げていてくれ!)
死を覚悟した瞬間、状況は大きく変化した。
「撤退!撤退せよ!」
理解不能な号令が響く。
王国軍が、突然後退し始めたのだ。
「どういうことだ?なぜ、俺達にトドメを刺さない?」
「裏門!裏門はどうなった!撤退した敵軍から、集中攻撃を受けていないか!」
「カルロス様…...それが、裏門側からも敵が撤退しています。」
(逃亡防止のためでもないだと…...一体、何が目的なんだ……)
困惑する一同。
既に勝敗は決したはずなのに、城内から出ていく敵軍。
包囲していた部隊も、戦線を離れて離脱していく。
その時、俺が持っている、通信水晶から声が響く。
「カルロス、無事か?」
「アンドリュー!生きていたのか?」
「ああ。なぜか、優勢だった敵軍が突然撤退してな…...」
「やはりか!」
「心当たりがあるのか、アンドリュー。」
「ああ。救世主が現れた。」
「たった400人の兵士で…...2万の王国軍を撃破した!」
「彼らの武器で、またたく間に王国軍の兵士が吹き飛ばされていった。」
「正直、まだ夢でも見ているような気分だ。」
「ふざけているのか?そんな事、ありえないだろ!」
「俺達は3000人もいたのに…...たった1000人の王国軍に、負けそるところだったんだぞ!」
常識外れの戦果を聞き、アンドリューの正気すら疑う俺。
だが、アンドリューは続ける。
「普通の軍隊なら、不可能かもしれない。」
「だが、彼らはヒノモトの軍隊だ!」
「伝説上の国から来た軍隊だ!彼らと共闘すれば、俺達は勝てる!」
「ヒノモトの軍隊だと…...本当か?」
(嘘を付くようなやつじゃないことはわかっているが…...信じられん。)
(それに、ヒノモトの軍隊であれば…...あり得るのかもしれない。)
(もし本当なら…...まだ勝機はある!)
「詳しい話は後だ!ひとまず、僕たちと合流してくれ。」
「彼らに協力すれば、俺達は勝てる!」
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【フソウ王国辺境地域:第一大隊野営地】
「報告ご苦労。浦和小隊長。」
「この世界に飛ばされたのは、ここに居る部隊だけか。」
偵察部隊として、状況把握に努めていた、本部中隊第二小隊。
異世界に飛ばされてすぐの時点から、ずっと任務にあたっていた。
状況が落ち着いたため、大隊本部に帰還し、詳しい状況報告を行った。
「普通科部隊が居たら良かったのだがな。」
「散弾を使い果たし、護衛の歩兵もいない…...」
「これでは、敵に接近を許したら、すぐに壊滅するだろう。」
(旧式砲のFH70と、旧式小銃の89式だけで戦うしかないな。)
(せめて、普通科中隊のM2重機関銃があれば、自己防衛は可能だったが......)
意を決して、方針を告げる。
「これでは、敵に接近を許したら、すぐに壊滅するだろう。」
「この状況では、やむを得ん。主力の砲兵の護衛は…...カルロスの部隊に任せるとしよう。」
「報告では押し切られたとは言え、長期間の敵の攻撃を防いだらしいじゃないか。」
「この世界の戦術にも、ある程度精通していると聞いている。」
「彼らであれば、護衛として最適だ。」
報告を聞き、状況を把握する。
次の指示を本部中隊に出す。
「第一および第三小隊に、偵察任務を引き継ぐ。」
「お前たちは一旦 休め。」
「了解しました。」
浦和小隊長が退出したのを見届け、二人の中隊長に話しかける。
「現時点までに合流した反乱軍は、アンドリューとカルロスの率いる部隊の二つだ。」
「また、これ以外にも二つの部隊が、共闘を決めて、こちらに向かっている。」
一呼吸し、本題を切り出す。
「全ての勢力から、『王国軍が突然撤退した』との報告が入っている。」
「それも、先程の戦いの直後にだ。」
「戦力を再編して、我々を殲滅しようと考えているものと見られる。」
「この動きに対して、どう思う?」
問いかけに、藤本一等陸尉が意見を述べる。
「概ね、大隊長と同じ考えです。」
「単なる戦力の再編であれば、反乱軍を殲滅した後でも問題ないはずです。」
「だからこそ、敵の行動が理解できません。」
藤本一等陸尉も、敵の行動の意図を測りかねているようだ。
「北見中隊長はどう思う?」
「敵の意図が不明な以上、前回のように敵の前に姿を見せるのは、危険です。」
「準備に時間がかかる何かがあるのかもしれません。」
「もしくは、我々の反撃により、各個撃破されるのを警戒したのかもしれません。」
「敵の意図がわからない以上、身を晒すのは避けるべきです。」
「ですので、視界外からの砲撃が有効と思われます。」
二人の意見を聞き、口を開く。
「やはり、敵の意図はわかりかねるな。」
「ひとまず、北見中隊長の意見をベースに作戦を立てる。」
「アンドリューとカルロスの二人を呼んできてくれ。」
「我々と反乱軍の合同作戦を実施する。」
方針を決めた私は、口を開く。
「おそらく、次の戦闘までの時間はあまり残されていない。」
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【フソウ王国辺境地域:野営地から北30km地点】
警戒任務中の第三小隊。
隊員の一人が何かを見つける。
「なんだあれ…...よく見え……!」
「どうした?ちょっと見せてみろ!」
隊員から双眼鏡をひったくる小隊長。
隊員の見ていた場所を見て、事態を把握する。
すぐに無線機に向かって叫ぶ。
「敵の大部隊を発見!小隊との距離およそ3500m!」
「数は…...ダメだ…...多すぎてわからない!」
「地平線を埋め尽くすほどの数です!」
「彼らの進路は、大隊本部の方向…...いや、違います!」
「合流していない反乱軍拠点の方角に進軍しています!」
「このままでは、反乱軍が危険です!」
「大隊長!ご命令を!」
不穏な動きを見せた、王国軍。
第一大隊はどう対処するのか?
第五話に続く。