戦場の女神-圧政を敷く王政を、自衛隊の砲兵部隊が打ち砕くようです- 作:やきそばVer2
【反乱軍防御陣地】
次々と第一大隊と合流していく、各地の反乱軍部隊。
しかし、全ての部隊が合流できたわけではない。
エレナ率いる反乱軍部隊。
彼女たちもまた、第一大隊との合流を図った。
しかし、王国軍の大部隊が第一大隊ではなく、エレナたちの拠点に攻撃を開始する。
その数およそ3万。
対するエレナたちは7千。
明らかに、過剰なまでの戦力を王国軍は投入していた。
そして、最大の脅威であるはずの、第一大隊にはなにもしていなかった。
陣地外周に堀と木製の柵を設置し、防御態勢を整えたエレナたち。
第一大隊が、援軍として来るまでの時間を稼ぐべく、必死の防御戦闘を開始する。
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「弓兵隊!敵最前列に攻撃を集中して!」
「槍兵隊は柵の前まで前進!柵越しに敵兵を攻撃!」
「それ以外の部隊は、後方で待機!防衛線を突破した敵を迎撃して!」
次々と指示を出していく、リーダーのエレナ。
臨機応変に対応し、適切な指示を出していく。
しかし、圧倒的な戦力差により、彼女たちはじわじわと追い詰められていく。
ドガ!
ワー!ワー!ワー!
突如として、左翼側から何かが壊される音と、敵軍の叫び声が聞こえてくる。
「報告します!左翼側の防衛線が突破されました!」
伝令が血相を変えて、本陣に走り込んでくる。
「直ちに予備兵力の半分を送って!」
「念のため、それ以外の兵力は中央および右翼後方にて待機させて!」
「了解しました!」
指示を出し、見張り台に上がって、戦況把握に努めるエレナ。
予備兵力を送ったことにより、辛うじて敵軍を食い止められたようだ。
しかし、安心はできない。
中央および右翼側も、敵軍の猛攻を辛うじて耐えている状況だ。
(このままでは、まずい。)
エレナがそう考えた時であった。
突如として、敵軍中央部で大爆発が起きた。
時を同じくして、王国軍の背後から民間人の集団が現れる。
武器を携えた民間人たち、彼らは王国軍の背後から猛攻を浴びせる。
「反乱軍だ!やっと援軍が来てくれたぞ!」
あちらこちらから、歓喜の声が上がる。
「私たちへの敵の攻撃が弱まるまで、防御戦闘を継続!」
「弱まり次第、こちらも敵軍に攻撃を行うのよ!」
「前後から王国軍を挟み込んで、勝利を勝ち取るのよ!」
戦況を覆すべく、エレナは指示を飛ばす。
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【反乱軍主力部隊】
「敵軍中央部への着弾を確認!このまま撃ち続けろ!」
無線機で戦果と命令を送る私。
数十人の隊員とともに、反乱軍主力部隊と行動をともにしていた。
戦闘指揮の支援と、弾着観測のために砲兵隊とは別行動をしている。
砲撃の効果を確認し、次の一手を打つ。
敵軍背面への攻撃を開始するべく、アンドリューに話しかける。
「アンドリュー、君の部隊で敵背面への攻撃を開始してくれ。」
「我々が、敵軍に大打撃を与える。」
「指揮系統が麻痺した敵軍に、君たちが攻撃を行ってほしい。」
少し開けて続ける。
「我々は、あくまでも支援に徹する。」
「君たち自身の手で、勝利を掴むのだ!」
「わかりました、田中大隊長さん。」
返事を返すアンドリューに、私は懸念を伝える。
「ここまでは、概ね作戦通りだ。」
「だが、あまりにもうまくいきすぎている。」
「念のため、警戒を怠らないでくれ。罠があるかもしれない。」
「わかりました。」
「全軍突撃!エレナの部隊とともに、敵軍を挟み込め!」
アンドリューの指示のもと、攻撃を開始する反乱軍。
背後から襲われたことで、足並みが乱れる王国軍。
その光景を見つつ、ふと背後に視線を送る。
一見しただけでは、何の変哲もない地面。
他の場所よりも起伏が多いだけのただの地面。
背後の光景を見ながら、私はあることを思い出す。
(敵軍の数が少なすぎる!各地に千人ほどの部隊を送っていたはずだ......)
(しかし、目の前にいる敵の数は、報告を受けた数と変わらない......)
(各地から抽出した兵士達は、どこへいった?主力と合流したのではないのか?)
(起伏のある地面、時間に追われたかのような敵の動き......まさか!)
私の不安は、的中してしまう。
「大隊長!背後から......敵軍が現れました!」
「数は......少なくとも......8千はいるように見えます!」
隊員の一人が、怯えた表情で叫ぶ。
起伏と思われていた地面から、敵兵が次々と出てきている。
よく見ると、大きな穴がいくつもあり、偽装に使ったのだろうと思われる板も多数落ちていた。
起伏に見えていたのは、穴を掘った際にでた土だったようだ。
(まさか......急いで各地の部隊を引き上げさせたのは......)
(軍勢を隠す時間を稼ぐためだったのか!)
(こんな簡単な罠に騙されるとは!)
「第一中隊は、アンドリューたちへの支援砲撃を継続!」
「第二中隊は、新たに現れた敵軍へ砲火を集中せよ!」
敵の奇策に驚きつつも、事態を収拾するための指示を出す私。
しかし、その返事は予想外のものだった。
「不可能です!大隊長!」
「砲兵陣地も......敵別働隊からの攻撃を受けています!」
「このままでは......両中隊共に全滅します!」
(なんだと......まずい、アンドリューたちも......作戦指揮の支援に来た我々も、やられてしまう。)
(いや、それだけではない。このままでは、第一大隊の全隊員がやられる!)
(それに、反乱軍も壊滅してしまう。)
(一体どうすれば......)
いつの間にか止んでいた砲撃。
態勢を立て直した、王国軍主力。
背後から襲い来る、王国軍別動隊。
勝利への道は、閉ざされてしまったかに見えた。
~~~~
【砲撃陣地】
「総員砲撃止め!自動小銃で敵軍を迎撃して!」
砲兵陣地に襲いかかる、王国軍遊撃隊。
主戦場から10kmほど離れた地点に築かれた陣地は、安全が確保されるはずであった。
しかし、現実として敵遊撃部隊の攻撃を受けている。
あまりの事態に混乱する隊員たち。
その時、護衛部隊の内の一人が敵軍に駆けてゆく。
その手には、隠し持っていた通信水晶が握られていた。
「これでいいんだろな!娘は......娘は無事なんだろうな!」
王国軍が紛れ込ませたスパイが、家族の無事を確認する。
だが遊撃部隊の兵士は、無情にも彼を斬り伏せる。
「あほか、娘なんてとっくの昔に殺してるわ!」
「用済みだ!お前も死ぬ!」
「グアー!信じた......俺が......ば」
味方の裏切り、そして容赦ない粛清。
その様子を見て、浮き足立つ一同。
第二特科中隊指揮官の北見一等陸尉は、動揺を部下に悟られないように努める。
そして、混乱する隊員たちに反撃命令を下し、我にかえさせる。
と同時に、護衛のカルロスの反乱軍部隊も動き出す。
「全員、敵遊撃隊別動隊を迎撃しろ!」
「彼らは俺たちの最後の希望だ!何としても守りきれ!」
ダダダダダダ
ヒュンヒュンヒュン
カアーン!キイーン!
自動小銃が火を吹き、矢が飛び交う。
そして、次第に激しくなる剣戟の音。
バタバタと倒れていく、両軍の兵士。
しかし、味方の損害のほうが圧倒的に多い。
次第に押されていく防衛線。
今は、辛うじて持ちこたえている。
しかしそれは、全滅までの時間が少し長くなるだけに過ぎない。
(やはり、反乱軍だけでの護衛は難しい......)
(せめて、散弾が残っていれば、逆転できるのに......)
(大砲を放棄して、護衛の生き残りとともに逃げるべき?)
押されつつも、生き残る方法を考える私。
だが、状況はさらに悪化した。
ヒュン!
「グッハッ!」
「カルロス様!」
「俺のことは気にするな......反撃をつづ......」
指揮を執っていたカルロスに、一本の矢が命中する。
出血により、意識を失いながらも最後の指示を出す。
どうやら致命傷は免れたようだ。
しかし、作戦指揮を執ることはできなくなった。
壊滅寸前の彼らに、王国軍の切り札が投入される。
ボオオオ!ボオオオ!
ドカーン!
「一体なにが......」
突如として、護衛部隊の後列に火柱が上がる。
近くに置かれていた、砲弾のうちの一発が誘爆を起こす。
爆風により吹き飛ばされる、弾薬を積載したトラック。
第一中隊の五門の大砲のうちの二門も、爆発によって破壊されてしまう。
「火炎魔法による攻撃です!」
「敵の後列に、魔道士部隊がいます!」
いつの間にか、ミーナが私の傍に立っていた。
驚いて彼女の方を見る私。
そこにいたのは、ミーナだけではなかった。
近くの洞窟に隠れていた避難民たちもいた。
全員、倒れた兵士から拾った武器を持っていた。
避難民たちも戦うつもりのようだ。
「私が臨時で指揮を取って、時間を稼ぎます!」
「北見さんたちは、稼いだ時間で反撃してください!」
「ちょっと待って!あなた、戦闘指揮なんて取れるの?」
彼女の言葉に疑問を投げかける。
「経験はありませんが......騎士だったお父さんから、基礎は教わっています。」
「戦史も叩き込まれています。どうすれば勝てるかも......知識では持っています。」
「カルロスさんも倒れてしまいました。」
「他の指揮官たちも倒れてしまっています。他にやれる人はいません!」
「私では、勝つことは無理でしょう......しかし、時間稼ぎくらいはできるはずです!」
「わかったわ。でも危なくなったら、他の人と一緒に逃げるのよ。」
覚悟を決めた彼女と避難民たちは、私の言葉に頷く。
護衛部隊の指揮は、彼女に任せることにした。
(とにかく逆転の道を探らないと......)
(この距離で榴弾を使ったら、味方も巻き込まれる。)
ふと、吹き飛ばされたトラックが目に入る。
近くには、砲弾の箱が散乱していた。
その中に、他とは異なる箱がいくつか混ざっていた。
(あれは......散弾の箱!それも未開封の!)
(箱の山の中に、埋もれていたのね!)
(散弾であれば、味方を巻き込まずに、後列を攻撃できる!)
~~~~
カアーン!キイーン!カアーン!
ボオオオ!ボオオオ!
あたりに剣戟の音と、魔道士部隊による火炎魔法の音が響く。
後列からの支援を受けた、王国軍精鋭部隊。
砲兵隊による反撃が来ないことに気づいた彼らは、護衛部隊への集中攻撃を開始した。
「中央および右翼の部隊を後退させて!敵を引きつけて!」
「敵が追撃してきたら、左翼部隊で側面から攻撃!」
「混戦に持ち込んで!敵魔道士部隊は同士討ちを恐れて、攻撃できなくなるはず!」
(火炎魔法は攻撃範囲が広いけど、味方も巻き込む可能性がある。)
(だから、混戦になれば、敵の魔法攻撃は来なくなるはず!)
ミーナの指示により、動き出す護衛部隊。
前線が崩壊したと思い込んだ敵は、目論見通り混戦に持ち込まれてしまう。
しかし、敵はどこか余裕そうだった。
「多少はやるようだが、相手が悪かったな。」
「練度が違うのだよ!練度が!」
「烏合の衆相手なら、俺達一人で五人以上を相手にできるわ!」
指揮官の言葉通り、押し返される護衛部隊。
戦法自体は有効ではあった。
しかし、兵士一人の能力が違いすぎたため、効果は薄かった。
「多少時間はかかったが......卑しい平民どもを殲滅させてやれ!」
指揮官の号令が響く。
と同時に、敵陣地から轟音が響く。
ドオン!ドオン!
二つの轟音とともに、無数の金属球が撃ち出される。
「ぐああああっ!」
魔道士部隊に直撃して、多数の敵を薙ぎ払う。
ドオン!ドオン!ドオン!
さらに三つの轟音が響く。
あとに残されたのは、無数の死体だけだった。
「一旦引け!奴らの攻撃手段はまだ健在だ!」
「平民共ごと、俺達を吹き飛ばす気だ!」
相手の意図を誤解した、遊撃部隊の指揮官。
一旦後退して、態勢の立て直しを図る。
しかし、それは最悪の選択であった。
「目標変更!敵遊撃部隊!」
「遊撃部隊との距離が十分開き次第、榴弾を撃ち込め!」
ドオン!ドオン!ドオン!
砲撃により、遊撃隊の指揮系統が破壊される。
退却することすらできなくなった遊撃隊は、そのまま殲滅される。
もはや、砲兵隊の脅威は取り除かれた。
「敵主力および別動隊への砲撃を再開!反乱軍を助けるのよ!」
号令とともに、火を吹く榴弾砲。
激戦の末に活路を見いだせたのだ。
「これが......ヒノモトの兵器......」
「なんと......理不尽な威力なのだ......」
つぶやくと同時に、遊撃隊指揮官の視界は暗くなっていった。
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【王国軍本陣】
(遊撃部隊からの連絡が途切れた......おそらく、全滅したのであろう。)
(ヨセフの秘策を組み込んだ作戦は、途中まではうまくいった......)
(あえてヒノモトの軍隊自体を攻撃せず、反乱軍を攻撃する。『罠を仕掛けることで、正面からの戦いを防いで、勝利を掴む』この考えも悪くなかった。)
(だが、敵は一枚上手だったようだ......)
マーティン将軍は、全ての策が失敗したことを悟った。
反乱軍拠点を強襲して、ヒノモトの軍隊をおびき出すことには成功した。
ヒノモトの軍隊への攻撃は、反乱軍と共にいなかったせいで、時間がかかってしまった。
それによって、主力部隊に大損害が出たが、直接攻撃によって追い詰めることもできた。
そして、敵主力の後方からの奇襲もうまくいった。
全て、近衛騎士団長のヨセフの秘策だった。
後少しで、勝利を掴めるところまではいった。
しかし、全ての策が失敗し、勝利は敵の手にあった。
「マーティン将軍!敵の高火力攻撃が再開しました!」
「我軍主力および別働隊に、大損害が出ています!」
「将軍!ご指示を!」
副官の報告を聞き、決意を固める。
「我軍主力と別働隊を撤退させよ!王都まで撤退し、王をお守りするのだ!」
「全軍の指揮を一任する。無事に生き残りを離脱させろ!」
「しかし、将軍は......」
驚く副官。彼に決意を告げる。
「俺は反乱軍への最後の攻撃を行う。」
「おめおめと逃げ帰ることはできない......ならば、最後に騎士としての誇りを示すのみ!」
「だが、お前たちは付き合わなくて良い......ここからは、俺一人の戦いだ!」
そう告げると、一人馬にまたがる。
そして、反乱軍主力へ突撃していく......
~~~~
【反乱軍主力部隊】
「我が方の砲撃により、敵主力および敵別働隊が壊滅しました!」
「敵軍両部隊ともに退却を開始!」
隊員の一人が報告する。
「完全に離脱するまで、砲撃を続行!」
「反乱軍部隊による追撃は行うな!これ以上の損害は出すな!」
撤退する敵軍を、注意深く観察する私。
どうやら、完全に退却するつもりのようだ。
その時、一人の騎士がこちらに向かってくるのを見つける。
「砲撃止め!彼を迎え入れろ。」
「相手は一人だ、攻撃の意図はないだろう。」
「怪しさはあるものの、降伏の使者と思われる。」
(ここまでの戦闘で、王国軍はほぼ壊滅したのだろう。)
(敵の降伏を受け入れれば、これ以上血が流れることもなくなる。)
だが、私の甘い見通しはすぐに打ち砕かれる。
疲労と、自分と隊員たちの命の危険から解放されたためだろうか。
本来であれば、警戒を続けるべきだった。
しかし、私の判断力が一時的に鈍くなっていたのだ。
そのまま反乱軍に近づく騎士。
反乱軍の近くまでたどり着いた騎士は、急に剣を抜き振りかぶる。
(たった一人で攻撃を行うだと!降伏の使者ではない!)
次々と斬り伏せられる、反乱軍兵士たち。
必死に抵抗するも、死を覚悟した敵に歯が立たなかった。
「お前たちの指揮官は誰だ!この俺と一騎打ちをしろ!」
「俺は、逃げも隠れもしない!死にたいやつは前に出ろ!」
勢いのまま本陣にたどり着く騎士。
隊員たちが反撃しようとする。
しかし、直前まで油断していたため、すぐに動くことができない。
(動けるのは私だけだ。)
(最悪私がやられても、優秀な部下がいる。それに、ここまでの戦闘で、王国軍の戦力はほとんど残っていないはずだ。)
私は銃剣を取り出し、小銃の先に取り付ける。
「私が指揮官だ!決闘に乗ってやる!」
「大隊長!本気ですか?」
反撃を行おうとした隊員たちが叫ぶ。
「私の判断ミスでこの事態を招いた......その責任は私にある。」
「私が時間を稼ぐ。もし私が負けたら、お前たちがやつを撃ち殺せ。」
「それに、奴は決死の覚悟でここまで来た......ならば受けるのが礼儀!」
「さあ来い!私が相手だ!」
叫ぶと同時に、銃剣で敵将に斬りかかる。
笑顔を浮かべた敵将は、剣でこちらの斬撃をいなす。
「フハハハ!良い腕じゃないか!」
「俺の名はマーティン、冥土の土産にするといい!」
叫ぶと同時に、馬から飛び降りながら斬りかかるマーティン。
後ろに飛んで斬撃を躱す。
斬撃を躱されたマーティンに、銃剣による刺突をおこなう。
「グッ!なんの......これしき!」
鎧の隙間をぬって、ダメージを与える。
しかし、怯むことなくマーティンは次の攻撃を繰り出す。
「くらえ!オラオラオラオラ!」
次々と繰り出される斬撃の数々。
一つ一つが致命傷となりうる威力がある。
それをなんとか躱していく私。
傷こそ受けなかったものの、こちらの体力が削られていく。
(強い......このままだと......)
その時、マーティンが急に倒れ込む。
「グッ......血が足りん......」
傷からの出血により、マーティンにも限界が来ていたのだ。
出血多量で倒れ込むマーティン。
彼にトドメを刺す私。
「タアー!」
~~~~
「やるじゃないか貴様......」
致命傷を負ったマーティン。
動くことのできなくなった彼に、私は近づく。
「貴公の奮戦も見事だった。」
「願わくば味方であってくれれば、頼もしかったのだが......」
「違いねえ......」
息も絶え絶えの彼に、私は問いかける。
「部下を退却させたようだが、彼らに継戦の意思はあるのか?」
「可能であれば、降伏してもらいたいのだが。」
穏やかな顔だったマーティンが、急に怒りをにじませる。
「降伏だと!ずいぶん舐められたものだな!」
「誇り高き我らに......降伏の文字はない!あきらめろ!」
そう言い残し、彼は息を引き取った。
その顔には、修羅の如き表情が浮かんでいた。
(敵軍は退却しただけで、降伏の意思は一切見せなかった。)
(砲撃が続く中でも、誰一人として降伏しなかった......降伏すれば、助かった命も多かったはずなのに......)
(彼らは、決して降伏しないのだろう......それに、油断によって全滅するところだった......)
(手加減して、降伏を促すことは危険だ!)
(だが、国王がいなくなれば、話は変わるかもしれない。)
(ならば......やるしかない!)
「全軍に通達!これより我々は、王都への総攻撃を行う!」
「もはや講和は不可能だ!ならば完膚なきまでに叩き潰す必要がある!」
「全軍!行動開始!」
~~~~
【王城:玉座の間】
「ええい!どいつもこいつも負けやがって!」
「我が国は大国ではなかったのか?なぜ奴らに負ける?」
「王よ、こうなったら逃げるしかありませぬ。」
吾輩は怒り狂う主人に対し、意見を述べる。
「ヨセフ!貴様までそう申すか!」
「逃亡するだと?ふざけるな!」
「もうよい......朕が指揮を取る!籠城だ!籠城の準備をしろ!」
その様子を見て、呆れ果てる吾輩。
この国はもう終わりだと確信する。
(だが、反乱軍が政権を奪っても統治できるのか?)
(いや、待て......反乱軍に加わっている、あのお方であれば!)
(追放されてはいるが......新たな象徴となってくれるやもしれぬ!)
~~~~
次回、最終話