アニメベースのうろ覚え展開で書いてるので予めご了承ください。
設定ミスったのでちょこちょこ文が増えたり変わったりします。
IS(インフィニット・ストラトス)。
本来は宇宙空間での活動を想定し開発されたマルチフォーム・スーツなのだが、10年前のとある事件をきっかけに従来の兵器を凌駕する圧倒的な性能に各国が目を付け、現在は軍事目的のパワードスーツとしての開発が進んでいる。
一見すると完璧に見えるこの兵器には、しかし、一点だけ重大な欠陥があった。
それは、女性にしか扱えないこと。
——女性専用の絶対兵器。
なのだが......。
(気まずい...)
日本に設置された、IS操縦者育成用の特殊国立高等学校、ここIS学園で1年1組の教室前方に横並びで座る織斑一夏(おりむらいちか)と遠藤美春(えんどうみはる)は前方以外の全方位から向けられる熱狂と好奇の視線にただただ身の置き所のない思いを味わっていた。
それもそのはずである。何せ女性しか扱えないはずのISを起動させることができるただ二人の男性なのだから。
視線と沈黙に耐えかねた一夏が小さな声で隣の席の美春に語り掛ける。
「俺、織斑一夏。お前は?」
美春も同様に小さな声で答えた。
「俺は遠藤美春、美春でいいよ」
「俺も一夏でいいよ。よろしくな美春」
「こちらこそよろしく、一夏」
気まずさを共有する仲間ができたことに安堵した二人は更に会話を深めていく。
「ところで美春はなんでここに?」
「一夏がISを起動したって騒ぎになったことあるだろ?あの後に他に動かせる奴がいないかって中学の卒業式直前に試験させられて何故か俺だけ起動できたってわけ。おかげで同じ高校行くはずの友達と離れ離れだよ」
「それは...なんかごめんな」
「一夏が謝ることじゃないだろ。起動させちゃったのは俺なんだし。それより一夏は誰かこの学校に知り合い居たりするのか?」
「それが...いるにはいるんだが...」
そう言いながら一夏は窓際に座っている長髪のポニーテールの少女に目を向けた。
一夏の視線に気付いた彼女は不機嫌な顔で、しかしながら焦ったように目を背けた。
「どうも向こうが覚えてないらしくてな」
「そっか、それは残念だな」
そんな切なくも他愛ない会話をしていると教室のドアが開き、緑髪の女性が教室に入り教壇に立つ。
「皆さん入学おめでとうございます。私はこのクラスの副担任の『山田摩耶』といいます」
(この人先生だったんだ...)
美春は心の中で呟いた。ISを起動した後知らない大人たちにIS学園に連れてこられ、形式的な最終試験を受けることになった時の試験官が、この山田先生だった。
(見た目がおさな...若く見えるからてっきりここの生徒かと思ってた)
「では、私の話はこの辺で終わりにして、皆さんから自己紹介をしてもらいましょうか」
つい最近の記憶を遡ってるうちに山田先生の話が終わり自己紹介の時間となる。
各自が簡単な自己紹介をしていき、美春の番となった。
「では次、遠藤君」
「はい。えーっと、遠藤美春です。一応二番目にISを起動させた男です。中学では水泳をやっていました。よろしくお願いします」
少し簡素すぎた気もするが、変にしゃべりすぎて浮いてしまうよりはマシだろう。
そして一番目の男、一夏の番となった。
「えー……えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げる一夏に対し、続きを期待する視線が集まる。物理的な圧力すら感じさせる視線に気圧されて口を開いた一夏に、皆の期待が一瞬高まった。
「――以上です」
山田先生も含めた教室にいる全員がズッコケた。
直後、教室の扉が勢いよく開く。
あっけにとられている一夏の後方から出席簿による思い一撃が襲い掛かかった。
――ゴスッ!
「お前は自己紹介もまともにできんのか、馬鹿者」
「げえっ、千冬姉っ!……っ痛!」
振り返って驚きと天敵に出くわしたような顔をした一夏に、再度出席簿が振り下ろされる。
「ここでは織斑先生だ。」
そんな姉弟のやり取りをよそに教室の女子は歓喜の声で溢れかえる。
「きゃあああ!!」
「ち、千冬様よ!!」
「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです!」
「静かにしろ。全く……」
織斑先生が軽く叱責するも歓喜の声はエスカレートするばかりだ。
「お姉様、もっと叱って!」
「もっと罵って!」
「でも時には優しくして!」
飴と鞭を自分から求めに行くのは違う気がするのではと美春が軽く引いていると、織斑先生は頭を抱えながらぼやいた。
「はあ......なんで毎年こうなるんだ。私のクラスはこんな子らしか集まらないのか。まあいい」
織斑先生がキリッとした目つきになり教壇に立つ。
「諸君、私が担任の織斑千冬だ。君たちを一端のIS操縦者に育てるのが私の仕事だ。私の言うことはよく聞くことだ。理解できたら返事をしろ。理解できなくても返事をしろ。いいな」
「はい!」
一瞬にして個の集まりでしかなかったクラスが一つの集団としてまとまった。
(すげえカリスマ...さすがブリュンヒルデは違うなあ)
美春も思わず関心してしまうほど織斑千冬という存在が放つ圧というものは人々を従わせるものがあった。
「以上でSHRは終わりだ。少しの休みのあとすぐ授業に入る。くれぐれも遅れるなよ」
こうして美春の新たな学園生活が幕を開けた。