不完全で不器用で   作:homaritime

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16話目です。

主人公の専用ISの開発回です。


プロジェクト、始動。

廃棄寸前のISを起動して見せた美春は織斑先生から専用機に関するいくつかの条件を提示された。

 

1.機体の所属は当分の間、IS学園とすること。

2.機体のカスタマイズは特定の企業に頼らず、自身で又は学園の整備課に依頼して行うこと。

3.機体の全面的な改修は行わないこと。機体のチューニングは自由。

4.武装領域に格納する武器の種類は自由。

5.外付け武装は1種類まで。複合的な機能を持つ武装の場合は武装全体を1種類と数える。

 

とにかく専用機が欲しかった美春にとって不利な条件は一つもない。チューニングや武装に関する自由が広い範囲で認められているため、むしろかなりの好条件にも見える。

 

「ありがとうございます。ここまで自由が認められるとは思っていませんでした。」

 

「お前の戦闘データを集める意図もあるからな。むしろお前が扱いやすいものに仕上げてもらったほうが良質なデータが取りやすい。異論はないな?」

 

「はい。急なお願いにもかかわらず、対応していただきありがとうございました。」

 

「なに、こちらも廃棄する手間が省けたからお互い様というものだ。いい機体に仕上げろよ」

 

「もちろんです」

 

先生に専用機登録の操作をしてもらい、美春はISを解除する。量子化された打鉄は武骨なデザインのブレスレットへと姿を変え、美春の左手首に装着される。

 

「先生方立ち合いの下、専用機登録の手続きが完了致しました。ご協力感謝いたします。」

 

織斑先生の声で一同は解散となった。

 

 

美春は寮に戻りながら鈴に専用機譲渡の報告をする。背中を押してくれた恩人だ。むしろ報告しないほうが不自然というものだろう。

 

鈴からは速攻で返信があり、お祝いの言葉と今後はさらに厳しく訓練してやるという趣旨のメッセージを受け取った。

相変わらずだなと美春は苦笑し、自身の部屋へと戻っていった。

 

自室に戻りベッドに寝転んだ美春は、左腕のブレスレットを見つめながら思考を巡らせる。

 

(さて、こいつをどうしたものかな…)

 

織斑先生から企業を頼らないという条件を提示されたが、これは裏を返せば自身の専用機開発プロジェクトを一人で回せということだ。一人の高校生が背負うにはあまりにも荷が重い役割となる。

カスタマイズを担当してくれる人員の確保、武装の選定、武装製造のスケジュール管理などやらなければいけないことは山積みだ。

 

(まずはできることから始めるか…)

 

美春はそう思い立つとメールの送信フォームを開き、とある人物達にそれぞれメッセージを送った。

 

 

翌日の放課後、美春とシャルルとエミリー先輩がISの格納庫へと集まっていた。

 

「まさか自分で専用機をもぎ取るなんてねえ。あなた、とことん私を楽しませてくれるわね」

 

「ボクがきっかけになったのは嬉しいな。精一杯協力するよ!」

 

「お二人ともありがとうございます。まず相談したいのは武装の選定についてです。今、この打鉄に登録されている武装はロングブレード一振りのみですが、できればこれを変えて遠距離主体の構成にしたいと考えています。お二人はどう思いますか?」

 

「そこに関しては異論はないわ。武器に関してはあなたがこの間使ってたアサルトライフルとハンドグレネードを載せるのがいいと思うわ」

 

「そうだね。使い慣れてない武器を沢山載せちゃうと咄嗟に適切な対応ができないと思うし、ボクもその案に賛成だよ」

 

「ありがとうございます。では遠距離武器に関してはその方針で。そうなると課題になるのが近距離の戦い方についてですが…ここは新しく武器を開発しようと考えています」

 

「あら、打鉄のブレードは使わないのね」

 

「それも考えたんですが、さっきシャルルが言った通り使い慣れていない武器を載せるのは専用機としてはちょっと…」

 

「あなた、今まで近距離戦の経験は?」

 

「あることにはあるんですが、素手同然の状態でして…武器を使った実戦経験はほぼゼロですね」

 

「この間鈴とやってた八極拳の特訓のことだよね。確かにあれは活かしたいかも」

 

「なるほど、そういうことなら仕方がないわね。で、開発メンバーの当てはあるの?」

 

「同じクラスに整備課の人が何人かいるので一通り声をかけてみようと思います。ですが、それでもちょっと足りるかどうかは怪しくて…」

 

「…わかったわ。わたしの方でもその辺の知識ありそうな知り合いに声かけてみるわ」

 

「お気遣いありがとうございます。相談したかったことは以上です。先輩、シャルル、ご協力ありがとうございました。」

 

「可愛い後輩に頼ってもらえるのは嬉しいからこれくらいどうってことないわ。じゃあ、メンバーの目途がついたら連絡するわね」

 

「どういたしまして。いい機体に仕上がるといいね!それじゃ、また明日」

 

「ああ、また明日」

 

 

数日経った放課後、ISの格納庫に美春と5人の女子生徒と…何故か鈴がいた。

 

「皆さん本日は俺のために集まっていただきありがとうございます。改めて俺は遠藤美春、二人目の男性IS乗りです。」

 

美春に続くように集まった面々が自己紹介をする。

 

「私はクララ・シュミットといいます。ドイツの整備課2年の生徒です。」

 

「わたしはルチア・ロッシ。同じく整備課の2年。イタリア出身だよ!」

 

「…黒沢透子。整備課1年。遠藤君と同じクラス。」

 

「同じく石川紗苗です!」

 

「布仏本音だよ~。整備課の生徒じゃないけど整備作業には慣れてるからお役に立てると思うよ~」

 

「アタシは凰鈴音!中国の代表候補生よ!」

 

鈴もさぞ当たり前のことかのように自己紹介をする。

 

「…なんで鈴もいるんだ?」

 

「聞いたわよ、何でも近接用の武器を新しく開発するらしいじゃない。そんな場面に師匠のアタシが立ち会わなくてどうすんのよ!」

 

「…本音は?」

 

「…あのドイツ女にアタシの機体ぶっ壊されてトーナメント出れなくなったから手持ち無沙汰で来ただけよ。文句ある?」

 

鈴は美春を睨みつける。

 

「いや、ない。師匠がいてくれて助かります」

 

美春は改めて6人に告げる。

「皆さんに集まってもらった理由はさっき鈴が話してくれた通り、俺の専用機の新武装開発のためです。期日は今度の学年別トーナメント前日まで。短い期間に無理言って申し訳ないですが、どうか力を貸していただけたらと思います」

 

こうして美春の専用機完成に向けたプロジェクトが本格的に始動した。

 

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