オリ主の練習回です。
「俺への専用機は無し!?」
午前中の授業でセシリア、一夏、美春の3人でクラス代表を賭けた決闘を行うことになり、昼休みに織斑先生から職員室に呼び出しを受けて美春の状況について話を聞いたのだが思わぬ出来事に驚嘆の声が出る。
「ああ、オルコットは元々イギリスで支給された専用機を既に所有していて、織斑にも倉持技研から後日専用機が届く手筈が整っている。本来なら貴重な男性パイロットであるお前にもデータ収集用の専用機が支給される予定なのだが、如何せん事態が急だったものでな。製作する企業も使うISのコアも決まっていない状態だ。申し訳ないが来週の戦闘では遠藤には量産機で戦ってもらうことになる」
「そう、ですか…」
決闘の話には置いてけぼりにされた上に実戦では二人には専用機が用意されているのに自分には量産機。突きつけられたあまりにも残酷な現実に美春は肩を落とす。
「不幸中の幸いではあるが、現在学園には自由に使える量産型の機体が2種類ある。お前の肌に合う方を使ってもらって構わない。手続きは私の方で進めておく」
「お気遣いありがとうございます…」
フォローになっているのかわからない言葉を放心状態で聞き流して職員室を後にした美春は頭を悩ませる。
(元々クラス代表とか別に興味ないけどさあ、せっかく戦うなら勝ちたいじゃん。それなのになんでこんなことに…)
トボトボと教室へと戻る途中、一人の女子生徒から声を掛けられる。
「君、遠藤美春君でしょ。噂で聞いたよ、来週の話。あなた実戦の経験もないだろうし先輩の私が手を貸してあげよっか?」
どうやら同学年ではなく、先輩らしい。ただでさえ一挙手一投足に騒がれる今の状況で特定の誰かから指導を受けようものなら変な噂が立ってもおかしくない。そう考えた美春はその先輩の提案を断ることにした。
「お誘いは嬉しいですけど一人でも大丈夫なんで…」
「そう言わないで、学園での交友関係を広げておくのも大事なことよ」
そう言って先輩が通り過ぎる美春の腕をつかんだ瞬間、
「あの、本当に大丈夫なんで!」
語気を強めてつかまれた腕を振りほどく。思わぬ反応をされたその先輩生徒は目を丸くしてただ美春が遠ざかるのを眺めることしかできなかった。
こうして教室に戻ってきた美春は先ほどのやり取りを思い出して深いため息をついた。
(もう少し断り方あっただろ…)
過去にもこんなことがあった。一緒に遊びに出かけた女子クラスメイトからもう少し遊ぼうよと声をかけられたときに家の門限を理由に強引に断ってしまった。それ以降その女子クラスメイトのグループからは相手にされなくなり、残りの学校生活を男友達数人でゲームする日々を送る羽目になってしまった。男友達と遊んでいた思い出そのものは悪いものではなかったのだが、あの総スカンを食らった痛みはなかなか癒えてはくれない。
(またどこかで会ったら謝ろう…それよりも今は来週に向けてどうするかだ)
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放課後。美春は学園に敷設されているアリーナ裏の整備室に佇む2体のISを眺めていた。
甲冑のような佇まいで防御力がありそうな打鉄(うちがね)とシンプルながらも安定感のありそうなラファール・リヴァイヴ。
日本男児なら打鉄一択!と行きたいところだが武器がブレード1つのみな点がネックとなる。
性能が未知数な専用機達を相手にこの武装構成はあまりにもリスクが高すぎる。
対してラファール・リヴァイヴの構成はアサルトライフルとハンドグレネードと基本性能は心許ないものの対応可能な状況は広そうに見える。
そう考えると今この状況ではラファール・リヴァイヴに軍配が上がりそうだ。
「よし、そうと決まれば」
美春は早速目の前のラファール・リヴァイヴに搭乗し、機体の動かし方を確認する。
(確かISに初めて触ったときに操作方法とかが頭に流れ込んできたんだよな。そのおかげで試験の時も問題なく動かせたんだけど)
過去の記憶を頼りに一歩また一歩と進んでいきアリーナのフィールドまでたどり着いた。どうやら歩行に関しては問題なさそうだ。
(広いところにも出れたし本命のPIC(パッシブ・イナーシャル・キャンセラー)を試してみるか)
そう意気込んでラファール・リヴァイヴの浮上を試みる。わずかな高さではあるが浮上することに成功しその勢いのまま飛行に移ろうとしたのだが…
――スィー
機体は直立姿勢のままで前方へと平行移動し始めた。違う、そうじゃない。
横に行っても後ろに行っても同じ。このままでは動くだけの的になってしまう。
(埒が明かないな…。一人でやるって言っちゃったし今更誰かに頼るのもなあ…)
直立姿勢のまま浮遊している状態で考えを巡らせてみるが一向に答えがでない。
このままではただ時間が過ぎ去ってしまうだけだ。
そんな時美春はふとある事を思い出した。
「そう言えば、準備体操してねえや。慣らすついでに乗ったまんまでやってみるか」
そう口に漏らすと美春は地上に着地し、屈伸運動や前後屈、アキレス腱伸ばしなど一般的な準備体操を一通りやってみた。
慣らしで始めてみたはいいもののこれが意外と難しく油断しているとバランスを崩しそうになる。これはいい練習を見つけたかもしれない。
こうして美春の地道な鍛錬が始まる。