メインキャラ登場回ですが、活躍は少なめです。
翌朝、美春が教室に入るととある話題で持ち切りとなっていた。
「ねえ、聞いた?転校生がくるって話」
「うん、聞いた。なんでも中国の代表候補生らしいよ」
先に教室に来ていた一夏は中国という言葉に反応して何やら考え事をしているようだ。
「あ、遠藤君おはよう。遠藤君は何か転校生について知らない?織斑君は知らないって」
そういえば、昨日それらしい娘に道案内をした覚えが…
「もしかしたら、俺その転校生に会ってるかも」
「本当に!?ねえねえ、どんな子だった?」
「ちょっと小柄で、なんというかせわしない子だったな。嵐のように現れてすぐどっかいっちゃった」
「そっかー、でも来週のクラス代表対抗戦には影響なさそうだね。来週戦う2組には代表候補生いないし」
クラスメイトの子が来週行われるクラス代表対抗戦について口にしたその瞬間。
「その情報、古いよ」
小柄でツインテールの少女が仁王立ちで教室の扉の前に立っていた。
「そうそう、こういう感じの娘。…って、え?」
「あ、そこのアンタ、昨日はありがとね。お陰で迷わず行けたわ!」
転校生らしき少女と美春の会話をよそに一夏は驚きと嬉しさが混じった顔を見せる。
「お前、鈴なのか?」
「えぇそうよ。中国代表候補生の凰鈴音。今日はクラス代表対抗戦の宣戦布告に来たってわけ。」
「宣戦布告って、お前転校生だろ。別にクラス代表ってわけじゃ…」
「クラス代表は元々なっていた子と『話し合い』して譲ってもらったわ。アタシは2組のクラス代表。つまり初戦の相手はアタシよ一夏!」
呆気に取られている一夏をよそに鈴は続ける。後ろからくる気配に気づかないまま。
「せいぜい首を洗って待っt…痛い!」
鈴の後頭部に出席簿の一撃が襲い掛かる。
「な、何するのよ!」
「SHRの時間だ馬鹿者。…凰、お前は2組だろう。さっさと自分のクラスに戻れ。」
「ち、千冬さん…」
「織斑先生だ。」
「わ、わかりました織斑先生!それじゃあ一夏、今日の昼、食堂で待ってるからね!」
「さっさと行け」
「は、はい!」
そう走り去っていく鈴に対して美春は昨日と同じ感想を抱くのであった。
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そして迎えた昼休み。一夏、美春、箒、セシリアが食堂に向かうと宣言通り食堂の食券機の前に鈴が仁王立ちしていた。
「待ってたわよ、一夏!」
「まあとりあえずそこどいてくれ。食券出せないし、通行の邪魔だぞ?」
「うっさいわね…わかってるわよ。」
せっかく待ってくれてた人に対しての言葉ではないだろうと美春が呆れていると一同は食券を買い受け取り口に並んでいた。
「何してんだ、美春。早くしろよー」
「あ、ああ。今行く」
一同が食事を受け取り同じテーブルに着くと鈴が口を開く。
「自己紹介が遅れたわね、私は凰 鈴音(ファン リンイン)。鈴って呼んでもらって構わないわ。」
「篠ノ之箒だ、私も箒でいい」
「わたくしはセシリア・オルコット。セシリアで構いませんわ。」
「俺は遠藤美春、まあ好きなほうで呼んでくれ」
「それにしても久しぶりだな。ちょうど丸一年ぶりか。元気にしてたか?」
「ええ、そりゃまあ元気にしてたわよ」
「いつ日本に帰ってきたんだ?おばさん元気か?いつ代表候補生になったんだ?」
一夏が怒涛の質問攻めを鈴にしかける。どんだけ気になってたんだ。
「日本に来たのはつい最近、お母さんはまあ相変わらずよ。代表候補生になったのはアンタがISに乗ったって発表されてからちょっと経ったくらいね」
鈴はそんな一夏をやれやれと思いつつも丁寧にひとつずつ質問に返答していく。
…最後のはさりげなくすごいこと言ってないか?
二人の会話に箒とセシリアが割って入る
「一夏、そろそろ二人がどういう関係なのか話してもらいたいのだが…」
「そうですわ。いったいどういった経緯でお二人は親交がありますの?まさか付き合ってるとかじゃ…」
一夏は困ったように答える。
「そんなんじゃないって、どんなって聞かれても…ただの幼なじみだけど?」
幼なじみという言葉に箒が強く反応する。
「お、幼なじみだと!?一夏の幼なじみは私だけのはずだぞ!」
「わ、わかったから、説明するよ…。箒が転校した1年後くらいに出会ったのが鈴で、そこから中学2年生くらいまで一緒だったんだ。言うなれば箒はファースト幼なじみ、鈴はセカンド幼なじみってところだな」
「ふぁ、ファースト幼なじみ…」
「せ、セカンド…?」
箒は自身が一夏の最初であることに喜びを噛みしめてる。その一方で鈴は自身が2番目と呼ばれたことに驚きを隠せていない。
(時期が入れ替わりだったとは言え、序列をつけるような言葉はどうかと思うが…)
「で、いくら男で動かしたとはいえ、なんでアンタが1組のクラス代表なわけ?代表候補生のセシリアがなっても不思議じゃないんだけど」
「ああ、それはな…」
一夏は先週行われたクラス代表決定戦について鈴に説明した。鈴はラーメンを口にしながら感心した様子で話を聞いている。
「へえ、IS操縦歴がほとんどないから心配してたけど、アンタ達なかなかやるじゃない」
「そうなんですの。ですから鈴さん、あまり油断はなさらないことよ」
セシリアが鈴に忠告すると彼女はやってやると言わんばかりにこう言い返す。
「アタシだって伊達に代表候補生やってないわ、一夏なんかけちょんけちょんにしてやるんだから!」
「言ったな?後で後悔しても遅いからな」
「そっちこそ!」
二人のクラス代表が熱い火花を散らしている横で美春はふと思った。
(そういえば、動かした順番的に一夏がファースト男子で、俺はセカンド男子ってことになるのか…)
自身もまた序列に組まれていると実感し、美春は一人溜息をついた。