ぽおくそてえです
今回もどうぞよろしく
「若い頃のお
「そうか?まだ道半ばだぜ?」
「それでもよ」
「仲良いね」
「むぅ〜」
「なんでそんな顔してんすか、姉御」
「なんでもない」
義理の娘とはいえ女性と仲良くしている所を見るのは楽しくないのがグレンダの正直な気持ちだが、表に出したくない部分もある。幼馴染として面白くない、端的に言えば要は拗ねているのだ。そこへやってきたのはグリーシャだ。
「ただいまっすよ。おや、えらい美人な妹さんが居るんすね、初耳です」
「妹じゃねぇんだわ。コイツは俺の未来の娘なんだ、グリーシャ」
「は、え?娘?しかも未来から?」
「予想通りの反応だよ」
「血の繋がりはありません。小さい頃に引き取られたんです」
「はぇ〜。可愛くてオシャレさんですね、名前を聞いても?まずあたいから名乗りますよ。グリーシャ・ヘンドリックって言います」
「ティア・マーキュリーです。お
「礼儀正しいですね」
「まるで俺がそうじゃねぇみたいだな。ま、実際そうだがよ」
さて、一同が揃っているのでこれからはティアもチームに加えて仕事に臨む事となる。ティアは皆によろしくお願いする様に頭を下げる。ライサンダーの娘なら実力面ではまず間違いなさそうだとシオンが言えば、それでも油断しない事だとグレンダが警戒する。だが、国で働いていてそこら辺は理解しているつもりではある。これは戦力として期待大だろう。さて、取り逃がした竜達の今後が気になるところだ。
「ヴァーリエは何を考えて行動してんだろう」
「それが分かりゃ苦労しねぇよ」
「竜族に関する何か、かしらね?」
「姉さんの予想が正解じゃないかな?」
「ま、その為に何故ダンジョンに潜るかってとこだと思う」
「そっすね。竜の遺骨から産まれたダンジョンで生き残った竜族の復興に向けて準備してるか、不完全な肉体から完全体になろうとしてるとか?いや、忘れてください。ただの妄言で……」
「「「それだ」」」
「一番可能性が高いな」
「そういえばこの前の調査の結果は?」
「そうだった、聞いてこよう」
「調査?一体何が……」
「ダンジョンの特徴についてだね」
「はぁ、そうなのお
「ああ。何か掴めればヴァーリエの狙いも読めるってもんだ」
大半のモンスターは別のモンスターの死骸から出る負の気を喰らってその姿を保っているのだとギルド所属の学者から報告が上がったが、それではまるで食わねば保てぬとでも言いたげなのが引っかかる。事実調べたらその通りであり、つまり、獣化した姿とは別の姿があるという事になる。種族によりけりだが人間に近い姿と獣に近い姿。大半は両方があるとの事だ。
「なるほど、ヴァーリエのあの姿はそういう訳か」
「何故またそんな姿に?」
「同種族のモンスターの気なら必要ないのかもしれんが、別種族の負の気が混じると二つの姿をとる可能性があるのは昔から提唱されている」
「ふむ」
「もしかしたら人間の遺体などから出る気を喰らった可能性が高い」
「ま、モンスターを論ずるのはモンスター学の研究者に任せよう。俺らは少しでも情報を持ち帰るんだ」
「ええ、お
「これで完全体を目指す説が浮上してきたっすね」
「あり得ないと切り捨てられないね」
「でも復興説もまだ十二分に可能性があるよ」
「狩れるなら狩ってみせるわ、あの竜を」
「行くぞ、遭遇出来るか知らんがね」
しかし、そう簡単に遭遇出来る訳ではない。会いたい時に限って会えず、会いたくない時に限って遭遇するものだ。ライサンダーらのチームが半月の間あちこち潜ったのに掠りもしないのだ。情報もあまり出ておらず、手当たり次第探りを入れるしかない。
「前の戦闘の傷が癒えるまでどこかで待機してるのかしら?」
「どうかな?」
「恐らくこの
「兄貴曰く魔を断ち切る小刀だそうだ。この世界の魔導士やモンスターによく効く」
「彼女を始末するのに必要ね」
「まだ殺すべきか判断しかねる部分もある」
「何故?あれは放っておくには危険だよ?」
「奴には生きる目的があろう。それを聞いてからでも遅くない」
「案外優しい奴ね」
「それがライの良いところよ」
「殺すのを辞めたわけじゃねぇがよ」
「選択肢から一時的に外しただけっすもんね」
さて、話はティアの事となる。半月の間、国の方にいきながらダンジョン探索に協力してくれていた。ティアは魔刀使いなのかと問われればそういう事になると答える。
「か、カッコいいなぁ!」
「え?ええっと、シャラさんは一体何を?」
「勝手に憧れ抱いてるみたいだよ」
「そこまで凄い存在じゃないわ」
「国の仕事は良かったのか?」
「この半月の間にきっちり辞めてきたの。お
「そうっすか」
「よし、今日はここだ」
やってきたのは国の北部にある雪山の山道の近くにあるダンジョンだ。今回も当てもなくやってきた場所の一つだ。ここで当たれば良いが、果たしてどうなるか分かったものじゃない。
「寒い……」
「氷雪のダンジョンだ、当たり前だろ?」
「なんで薄着で平気なの、お
「あちこちのダンジョンに潜ってるからな、慣れっこだ」
「マフラーくらいしてくださいや」
「ん?そうか」
少しばかりの防寒対策をして奥へと進む。やはりというべきか冷気に対応しているモンスターが多くて、その属性を操る者が多数だ。偶に熱を操る存在も居るが、少数派だろう。
「やはり氷や冷気を操るモンスターが多いわね、ライ」
「当たり前だ。そうでなければこの環境で耐えづらい」
「あの、シオンさん。お
「産まれた頃からのスーパー幼馴染なんだ」
「はぁ、そうなのね(お義父様が昔から一緒にいた亡き女性って……)」
「ティア、真剣な顔してどうしたのかしら?」
「さあ?俺にはさっぱりっすよ」
更に奥へと進み、敵モンスターを適度に狩って換金アイテムを手に入れていく。段々凶暴になって、かつ数が増えていくモンスター達に慣れた手つきで処していっている。そこへ現れたのはこのダンジョンの中級モンスターの大狼だ。
「ゴアァッ!」
「大狼か」
「硝子の雨を降らせる」
「私も斬りに」
「補助魔法、使うわ」
「ウチも続くから」
「女性陣、頼り甲斐があるね」
「呑気に言ってねぇで、俺らも動くっすよ」
「分かってる」
相手は強力なモンスターの筈なのにこのチームではあっさりと狩り取る事が出来た。特に女性陣が強力な魔法を扱う戦闘に長けたメンバーなだけある。リーダーが焦る事なく戦えるのも彼女らを信じて戦えるからだろう。その中でも未来から来た国お抱えだった魔刀士のティアだ。
「ふぅ、狩れたな」
「ティア、凄い腕前ね」
「ウチのギルドでも指折りの実力だよ」
「そんな、皆さんの力を借りたに過ぎないわ」
「兄貴の娘さんってだけありますぜ。国に認められる実力、誇って良いっすよ」
「ありがとう、ヘイルさん」
「んん〜、にしても美人だなぁ」
「あの、グレンダさん、シオンさん。未来ではできなかったお化粧とか教えてもらえれば……」
「それならお姉さん達にドーンと任せなさい」
「助かるわ」
で、ダンジョンの最奥部まで探索してみたが、今回も結局いつも通りとなった。そろそろ面倒くさくなってきたのが本音であり、そろそろ出て来て欲しい所だ。欲すれば出ず、嫌がれば出る。全く面倒な存在だ。だが、ここは切り替えて次のダンジョンへと向かう算段を立てる。その頃噂の小翼竜ヴァーリエはライサンダー達が冒険していたダンジョンの負の気に紛れてやり過ごしていた。
「やれやれ、危なかったなぁ」
「くくく、ダンジョンの負の気に紛れてやり過ごすしかないとは」
「何用よ、兄貴」
「我らを殺めうる
「ふん、勝手にしなよ」
「我らの目的は、竜族の栄光を再び示す事」
「その為なら人類滅殺も厭わない、そういう約束だったっけ」
「左様。それまで死ぬでないぞ、
「そのつもり」
二頭の竜は再び空へと消えた。かつての竜の天下を再び示して復興する事。それこそが彼らの目的だ。その頃ギルドではマスターからライサンダー達へと情報が齎される。ヴァーリエの兄について早速尻尾を掴みかけているのだ。
「何?あのヴァーリエに親族が?」
「うむ、研究の結果ね」
「どうしてそれが分かったの?」
「鱗だよ。あの鏡黒竜一族特有の赤紫の鱗が遺伝子検査の結果、2体分出てね」
「厄介だね」
「同時に来られたら堪らん」
「だからこそ、これからは全チーム対象として2チームを1チームとして合同任務の形で組ませる」
「連携を取れと?」
「端的に言えばね。どうも今までもあちこちのチームやギルドに被害が出てるらしくてね」
「まずいな」
このまま単独チーム単位での行動は危険を伴ってくるだろう。これからライサンダー達はグリーシャ達と組むように命が降る。これは少しでも安全性を確保する為の方策である。
「あいよ」
「お願いします、ライサンダーさん」
「いつも通り、冷静沈着にな」
「承知です。で、ティアさんはどれほど戦力として考慮すれば?」
「結構いけるぜ」
「へぇ、そうですか」
「魔刀士として、誇り高きお
「うんうん、良い
「各チームで目星をつけて各地へ移動してる。俺らの担当はここだ」
「上級ダンジョンじゃないの」
「厳しそうね」
「心配か?」
「いえ、目的の為なら怖がってられないわ」
「それでこそ俺の娘だ」
まず目的地に出発してくる。情報を少しでも取ってくるつもりだ。ギルドマスターもこの若きリーダーに全幅の信頼を寄せている。マスターはのんびり茶でも飲んでいてほしいという言葉に笑顔で答えてみせる。この瞬間をもって強力な2チームによる合同任務を開始する。
「今回のダンジョン、どんな感じでしたっけ?ライサンダーさん」
「炎燃ゆる火山の如き場所だ」
「はぇ〜っ」
「シャラ、冷却魔法を頼む。アイテムだけでは限度がある」
「は〜い」
「水分補給は忘れないように注意して欲しいわ」
「冷却魔法も限度があるから」
「よし、突入!」
人間達が各地のダンジョンへと探索に赴く頃、ヴァーリエの兄たる竜が空より眺めている。まず何処から攻めていくべきか情報を集める為にも。
「ふん。人間達に興味は無いが、妹の手こずった相手、見定めようか」