目覚めるとそこは神殿のような場所だった。
「何処だ、ここ?」
「ようやくお目覚めのようね」
「あ?」
声がする方に目を向けると玉座のような場所で偉そうに椅子に座っている女がいた。
「私を待たせるなんて人間の癖に良い度胸ね」
「誰だよ、あんた」
「神に向かって無礼な口の利き方ね。まあ、良いわ。本題に入らせて貰うから」
「神って…て言うかなんで俺はこんな場所に居るんだよ」
「はぁ、それも一緒に説明します。少し、口を閉じていないなさい」
な、なんなんだ。神だかなんだか知らないけど偉そうにしやがって。
「貴方が此処に居るのは簡単な話。
「は?今、何つった?殺した…アンタが俺を?」
「はい」
こ、コイツ……!?
「巫山戯んな!何で俺がアンタの勝手な都合で殺されなくちゃいけないんだ!!」
「五月蝿いわ。話は最後まで聞きなさい」
「自分を殺した奴の話を何で聞かなくちゃいけないんだよッ」
「ほんと人間は五月蝿いわね。少し黙ってなさい」
「この糞…」
なんだ!?声が……。
「話が一向に進まないので声を奪わせて貰ったわ」
(この糞女…!)
「さて、貴方を殺した理由ですが貴方には『魔法科高校の劣等生』の平行世界に転生して貰う為です」
(魔法科高校の劣等生の平行世界…だと?)
平行世界って、と言うかあれは創作物だろ。
「大方、創作物なんだからそんな
(それが俺が殺されたのとどう関係するってんだよ)
「そしてその世界では原作、簡単に言えば史実とでも言えば良いのかしら、それから大きくかけ離れたものになることが分かったからよ」
(大きくかけ離れる……)
説明を静かに聞いていると頭が冷えて冷静になってきた。
「司波達也がいずれ世界を壊す…そんな未来が訪れる世界」
(は?)
俺はアニメの一期、しかも入学編までしか観ておらずその後の内容なんて友達に聞き齧った程度の知識しかないがその名前は主人公の名前だった筈だし、原作はある種ハッピーエンドだったと聞いている。
「歴史的流れは基本的変わっていない。何故そうなったかの原因は伯母である四葉真夜の世界に対する復讐心です」
(復讐心?)
「その世界線の彼女の狂った復讐心は決して世界を許すことはなかった。本来少し変わった形であっても原作に近い結末を迎える筈だったのに
(それで…)
「貴方が殺された理由は私を含めた多くの神からの推薦です」
その言葉に俺は首を傾げた。
「そろそろ声を返しましょう」
「推薦って言ったな。何で俺が推薦された」
「貴方が優しいからよ」
「優しい?」
「ええ、私を含めた神々は人間である貴方達の過去の行いから現在に至るまでの全てを見通すことができる。打算も心も感情も」
ん、感情も…って。
「プライバシーも糞もないな」
「だから貴方が選ばれた。貴方は自身と関わりのない人間や例え創作物も中に登場する人物達の不幸を許すことが出来なかった。創作物の人物達に対しても深い慈愛の心が見てとれたから」
まぁ、理由はどうあれ殺された事に変わりはないがな。
「で、俺に何をさせたい?俺は何の力もない一般人だぞ」
「ですので貴方には特典をこちらで用意させて頂きました。こちらの都合で貴方を殺し、あまつさえ利用するのですから」
「まぁ理不尽な事だからな」
特典ね。何を用意されているのやら。
「貴方には2つのことをやってもらいます」
「2つ?」
「1つは四葉真夜が復讐心を抱く事になったそもそもの原因である誘拐による人体実験を阻止して頂きます」
ああ、そう言えばあいつも言ってたな。
「2つ目は貴方には主人公を含めた物語の主要人物達と関わりを持ってもらいます」
「関われって」
「殺した私が言うのも可笑しいですが二度目の生でもあるので、できる範囲で構わないので貴方には多少なりとも幸せになって貰いたいので」
多少なりとも罪悪感はある様だ。
「それでは貴方を真夜が誘拐されて人体実験を行なわれた場所…泉州にある崑崙院の支部研究所に貴方を送り込み真夜を救った後、貴方には赤子からやり直してもらいます」
「は?」
「因みに性別は女性です。真夜を助ける際も16歳の少女の姿です」
「巫山戯…」
「それではさようなら」
文句を言う前に俺は光に呑まれ意識を失った。
そして目を開けるとそこは見たまんま研究所って感じの建物の前だった。
「ここは、って声が」
目を開け、声を出すと完全に女性のモノになっていた。
「糞!」
悪態をつくと空から紙が落ちてきた。
「手紙?」
開いてみると特典の事と真夜が閉じ込められているであろう場所が書かれていた。
【拝啓 柳河碧䒾様
この手紙を読んでいると言うことは無事に目を覚ましたと言うことでしょう。
それでは早速本題に入ります。まずは貴方に与えられた特典に関してです。知っていると思いますがこの世界の『魔法』とは『超能力』が技術化したものだと理解していると思いますが『超能力』つまり『異能の力』と言っても差し支えないでしょう。
故に1つは文豪ストレイドックスに登場する全異能力。『汚濁』は3分間の間だけ理性を保って使用可能にしておきました。それ以上は使えず強制的に解除されます。更に神刀『雨御前』も一緒に渡しておきます。普段は福地桜痴と同様に別空間に出し入れ自由になっている。それと『人間失格』以外の能力の同時使用が可能です。
2つ目はCODE:BREAKERに登場する大神零の『七つの大罪を燃え散らす七つの炎』です。七魔達に対価は支払わずにそれぞれの炎が使えるようになっていますが、この異能は生命力が源のために使いすぎると物語同様にロストします。ロスト時の姿はワシミミズクと言う梟です。
3つ目はGetBackers-奪還屋-に登場する美堂蛮が使う『邪眼』です。これは物語同様1日3回の使用制限と同じ相手には使えない上にその禁を破れば、存在そのものが消滅します。
以上が貴方に与えら特典です。どれも貴方が詳しいアニメや漫画の力の為に使い方は理解できている筈です。
それから『人間失格』と『闇色の辺獄烈火 ベルフェゴール』の2つは古式魔法は無効化できません。
最後に四葉真夜が閉じ込められている場所と周辺の監視カメラの配置図です。救出後彼女を送り届けた5分後くらいに自動的転生が始まります。
どうか良き人生を。
貴方を殺した神より】
手紙にはそう綴られており読み終わった後まるで見ていたかのように手紙に書かれていた文字は綺麗に消え去った。
「はぁー、監視カメラに認識されないようにするにはこの異能よね」
俺いえもう開き直って私でいいか。私は直ぐにある異能力を使う。
「異能力【細雪】」
人目どころかカメラさえも騙すことができる幻像の異能または立体映像の異能とも呼ばれている。文スト世界でも厄介な上に暗殺に向いていると言われるとまで言われる異能力だ。
「さっさと助けなくちゃね」
なんか言葉遣いが肉体に引っ張られている様な気がするが気にせずに研究所中へと入っていった。
「確か手紙に書かれてた場所ってこの辺りだよな」
「ぐす、ぐす。弘一さん、姉さん、誰でも良いから助けて」
「ねえ、君が四葉真夜?」
「え?だ、誰!?」
あー、この泣いているのがそうなのね。【細雪】を解除する。
「あ、貴女は誰!?」
「私?あー、私はあんたを助けにきた……異能者よ」
「異能者?魔法師ではないの?」
「説明は面倒なのでしません。取り敢えずあんたをここから逃すから」
さて、【細雪】で隠れながら逃げても良いけど……。
「どうせなら練習がてら異能力の同時使用でも良いか。良い練習になるし」
「何を言って」
「あんたを今からちょっと不思議空間に送るけど暴れないで下さいね」
「だから何を言って」
「転送」
なんか聞きたげだったけどとりあえず彼女を異能空間に飛ばした。
「あ、1つ言い忘れてたわ」
言い忘れてたことを思い出したので私も異能空間に行くことにした。
「そうそう言い忘れていたわ」
「な、なんなの貴女は」
「ここから勝手に出ないでね。一応脱出は出来るけどその場合はここのことは忘れるから」
「そんな事はいいから、ここに関して説明しなさい」
「ここはアンの部屋と呼ばれる特別な空間です。研究所を出るまではここに居てもらうから」
「何を勝手な事」
「良いからここで大人しくしてないと」
アンを呼び出して彼女を掴む。
「な、なにこの化け物」
「アンに捕まえさせてあそこの部屋に放り込まれるから」
私はある部屋を指差す。
「因みにあの部屋に放り込まれたら出ることは出来ないから」
脅すことにした。まぁ私が異能力を解除すれば出れるけどね。
【
「さて、【細雪】」
私は早速異能を二つ同時に使いながら研究所を抜け出すことにした。