異世界帰りな最強魔女の気まぐれ観光 ~帰ってきた日本はニチアサヒロインが戦う世界でした~   作:龍翠

2 / 3
悪の組織のお城に殴り込みだ!

 

 ニチアサアニメの変身ヒロイン。いいよね。すごく憧れる。そんな子たちに出会うことができて、私はちょっぴりテンションが上がっていた。

 ちょっと高いビルの屋上、その端っこに座って、私は明菜ちゃんたちのことを考えていた。

 いやあ、本当にいい子たちだったよ。これぞニチアサ変身ヒロイン主人公、みたいな感じで!

 汚れきった私とは違うよね! 感動した!

 

 あの子たちにも言った通り、私は敵にも味方にもなるつもりはない。けれど、せっかくなので見学はさせてもらうつもりだ。

 理由? 楽しそうだから。テレビアニメを実際に見ることができるこの感動! 最高だね!

 でも。でもだ。その最高の娯楽を楽しむためには、やっぱり双方の事情を知っておきたいと思う。ファンとして当然の心理ではないでしょうか!

 というわけで。

 

「はい、お邪魔します、と」

 

 あの黒マントの男が使った転移魔法を解析して、こうして敵の本拠地に乗り込んでみました。

 

「おー……」

 

 なんか、いかにもな悪の組織の根城だね。

 真っ黒い空間に稲光が走る亜空間。その亜空間の中央に大きめの島が浮かんでる。その浮島に、城みたいな大きな建物が建っていた。

 いいねえ。こてこてで最高だよ。来て良かった!

 お城の前に着地して、さて、と考える。訪問者なんて想定してないだろうし、インターホンなんてないはずだ。どうやって中に入れてもらおうかな。

 押し通ることも当然できるけど……。わざわざ心象を悪くする必要もない。私は話が聞きたいだけなのだから。

 というわけで、とりあえずおっきなドアを叩いてみた。

 

「ごーめーんーくーだーさーいー!」

 

 ドアをどんどんと叩きながら言う。反応はない。困った。非常に困った。やっぱり叩き破るか……?

 わりと本気でそう考え始めたところで、ドアがゆっくりと開かれて。

 

「お前……どうしてここにいる……」

 

 現れたのは、黒マントの男だった。どう見ても私を警戒してる。当たり前だね!

 

「やあやあ。ごめんね、お邪魔して。ちょっと話を聞きたくて来たんだよ」

「どうやってここに来た!」

「おっと、無視? ひどいなあ。どうやってって、君が使った転移魔法を解析しただけだよ?」

 

 うわあ、驚きに目をまん丸にしてる。おもしろい。あり得ない、とかぶつぶつ言ってるけど、あり得るからこうして私はここにいるわけだよね。

 

「で、もう一度言うけど、話を聞きたくてね。せっかくだから、両方の話を聞いておこうかなと!」

「両方? あのガキどもの仲間というわけか……!」

「どうしてそうなる」

 

 いや、アホなのかなこいつ。もしもあの子たちの味方をするなら、さくっとこんな城ぶち壊してるから。

 黒マントの男は手の平に魔力を集めて、黒い玉を作った。魔力の塊。それをぶつけてきた。ただそれだけ。

 

「お前から始末してやろう!」

 

 へえ。へえ、へえ、へえ! つまり、私とやりあうと!

 

「いいね、最高だよ!」

 

 こんな門のところで戦うとか狭いよね! 君の狙い通りにはじき飛ばされてあげよう!

 衝撃に合わせて後ろに下がる。お城の前は結構広い空き地だから、ここでならある程度戦っても問題ないでしょ。

 さっと後ろに下がって、華麗に着地。黒マントの男もしっかり出てきた。彼の両手には、剣。いわゆる西洋の剣だ。二刀流。いいね、かっこいいね!

 

「この場所は闇の魔力で満ちている! 人間界のようにはいかない!」

「そっか! 楽しみだ!」

「ほざけ!」

 

 おお、動きが速い! 単純に真っ直ぐ私に突っ込んできただけだけど、私の目では捉えられない動きだ。結構ひょろっとしていたわりにこの動き。魔力で身体能力でも上げてるのかな?

 

「おっと……」

 

 適当に魔力で剣を形作って、相手の剣を受け止める。相手の動きは見えないけど、私は周囲に纏った魔力で相手の動きを感知できる。あとは魔法でオートで体が動くから、それに任せるだけ。すると簡単に相手の攻撃を受け止められるってわけだね。

 まあ知っている相手には通用しない戦法なので、格下相手にしか使えないやつです。つまり何が言いたいかと言うと。

 

「この程度かあ」

「な……っ!?」

 

 というわけです。

 いや、分かってる。期待するのがだめだよね。だって。

 私の一割程度の魔力をぶつけただけでびびる相手なんだから。

 人間界だからとか闇の魔力がどうとか言ってたけど、それを含めてもその程度だ。戦いにもならない。

 せめてもうちょっと工夫を見せてくれたらよかったけど……。真っ正面から来たからね……。

 なんかもうまともに打ち合うのも面倒になったから、そのまま無防備で立つ。すると黒マントの男は私が諦めたと思ったのか、にやりと笑った。バカかな?

 

「諦めたか! ならば我らに楯突いたことを後悔するがいい!」

 

 そうして剣を振ってきて。

 私が纏う魔力に弾かれた。

 

「は……?」

 

 は? じゃないが。見ての通りだが。

 

「君程度だと、私の魔力に弾かれて攻撃を届かせることすらできないよ」

「ふざけるな……!」

 

 おお、連撃だ。剣を振り回して私を攻撃してる。がんばるなあ。

 でも。

 

「うざい」

 

 男の顔面をわしづかみにして、地面に叩きつけた。魔力で強化したから、結構痛いと思う。

 男は意識こそ手放さなかったものの、その場で痛みに喘いでる。まあ、しばらくは動けないでしょ。

 

「さて……」

 

 そんな男の頭を踏みつけた。

 

「ぐがあ!?」

「私は話をしたいだけなんだよね。ねえ、ディザスターさん、だっけ? どうせ見てるでしょ? お話ししようよ。でないと……踏み潰しちゃうよ?」

 

 ゆっくりと、足に力を入れていく。男が悲鳴を上げるが、無視だ。私は敵対する者に容赦はしない。ディザスターとやらが本当に話をするつもりがないのなら……。やるよ。当然。

 幸い、こんなところでこの男を失いたくなかったのか、門が大きく開かれた。どうやら入っていいらしい。助かるね。

 

「悪いね。案内は誰がしてくれるの?」

「うぐぐ……。ディザスター様が認めたのなら……僕が案内してやる……」

「おん。そうなんだね。じゃあ頼むよ」

 

 足をどけて、軽く回復魔法をかけてあげる。黒マントの男はゆっくりと立ち上がって、私を睨み付けてきた。そんなに睨まなくてもいいじゃないか。

 

「ところで、君が案内していいの? 弱いものに用はないって殺されたりしない?」

「ふん……。その時は、受け入れる。負けたことは事実だ……」

「おん。案外しっかりとした忠誠心があるんだね」

 

 もっと恐怖政治みたいなものかと思ってたけど……。慕われてるのかな? ちょっと会うのが楽しみだ。

 わくわくしながら、私は黒マントの男の後に続いて城に入った。

 




壁|w・)おじゃましまーす。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。