異世界帰りな最強魔女の気まぐれ観光 ~帰ってきた日本はニチアサヒロインが戦う世界でした~   作:龍翠

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私の絶望なんて、知る必要はないよ

 

 翌日。明菜ちゃんたちの訓練が一段落したところで、二人と話をすることにした。今回はマスコット枠も一緒だ。

 

「殴りたい、この生き物」

「きゅ!?」

 

 大丈夫。冗談だよ。多分ね。

 

「さて。二人に大事な話があります」

「は、はい!」

「何でしょうか、師匠」

「しれっといないもの扱いされたっきゅ……」

「だってお前のこと、私は大嫌いだからね。心の底から嫌いだ」

 

 ニチアサなアニメを直接体験できることはすごく嬉しいんだけどね。見ていてとても楽しいから。でも、それはそれとして、子供をこんな争いに巻き込んだのは素直にクソだと思ってる。

 それに、こいつはそれだけじゃなくて……。いや、いいか。最終決戦が決まったというのに、この子たちを不安にさせるようなことを言うものじゃない。

 

「師匠、本当にキュルのこと嫌いですね」

「心の底から握り潰して殺したいぐらいには嫌いだね」

「そこまで!?」

 

 そこまでだよ。いや、もうその話はいいから。

 

「昨日、ちょっとしたことがあってね。ディザスターと話してきた」

「え……」

「何やってるの、師匠……」

「あっはっは」

 

 正気を疑う目とはまさにこのこと、だね! さすがにちょっと傷つくよ!

 

「師匠、何かされたりしてない? 怪我とか、大丈夫?」

 

 あ、心配してくれてるだけだこれ。いい子たちだなあ。

 

「大丈夫大丈夫。それよりも、ディザスターからの伝言を預かってるんだよ」

「伝言、ですか?」

「おん。近々、ディザスター自ら動くってさ。意味、分かるかな?」

「……っ」

「つまり……最後?」

「おん。そういうことだね」

 

 最終決戦。具体的な日までは知らないし、それまでにも多分リッパーたちは襲ってくるだろうけど……。もうすぐ最終決戦だという事実は変わらない。

 

「備えなさい。後悔しないように、ね」

 

 今のままでこの子たちが勝てるとは思えない。でも、もしかすると、逆転の一手を見つけるかもしれない。私には思いつかないようなことが。

 この子たちはニチアサのヒロイン、主人公だ。逆転の一手を楽しみにしておこう。私から助言は出さないよ。何も思い浮かばないからね!

 

「分かりました……。絶対に、勝ちます!」

「がんばる……!」

「よし! がんばれ!」

 

 期待しているとも!

 

「あ……。でも、全部終わったら、師匠とはもう会えなくなる……ですよね?」

「え? ああ、まあ、そうだね」

 

 実際どうするかは決めてないけど、せっかく作った魔法だからね。他の世界を探してみるのも悪くないと思う。だから、ずっといるわけではない。早ければお金だけさっさと使って来なくなるだろうね。

 

「師匠!」

「うん?」

「何か……私に、私たちにできること、ありますか!?」

「恩返しが、したい! 魔力なら……あるから!」

「きゅ!? 二人とも、その魔力って……」

「キュルは黙ってて!」

「きゅう……」

 

 いや、マスコットくんをそんな適当に扱っていいの?

 恩返し、ね。それはおかしな話だ。だって……。

 

「アルバイトの紹介のお礼をしただけだよ」

「そんなの……! 釣り合い、取れてないです!」

「いっぱい、教えてもらった、から……!」

「んー……」

 

 いや、本当に気にしなくていいんだけどね。それに、君たちが使おうとしてる魔力って、集めてきたティアストーンのものじゃないのかな。いや、少しぐらい使っても怒られたりしないだろうけど。この子たちががんばって集めたものだから。

 でも……。本当に、何もないんだよね。少なくともこの子たちに叶えられるものじゃない。

 

「ないよ。今の私に願いなんて」

「でも……! 地球に帰ってきた目的があるんですよね? 協力しますから!」

「…………」

 

 地球に帰ってきた目的、ね……。

 

 …………。

 ただ、帰りたかった。

 家族にまた会いたかった。

 それだけ、だった。

 五百年を捧げてたどり着いたけれど。

 ここは、私の探していた地球じゃなかった。

 そんな、私の暗い絶望なんて……。優しいこの子たちが知る必要は、ない。

 

「私の願いは……明菜ちゃんたちがどうにかできるものじゃないよ」

「で、でも……」

「そんなことを気にする余裕があるなら、まずは勝って生き残ることを考えなさい。君たちが負けたとしても、助けないからね?」

「…………。はい……」

 

 一応は納得してくれたみたい。でも多分、全部の戦いが終わったらまた聞かれるような気がする。その時はさっさと帰るしかない、かな。

 二人はまだ何か言いたげにしていたけど、諦めたみたいで訓練を再開してくれた。

 この調子で頑張ってほしい。助けてあげるつもりはないけど、どうせならこの子たちに勝ってほしいとは思ってるから。勇者くんには悪いけど、ね。

 

「きゅう……」

「お前もよく考えるんだね。私が気付いてないと思ったら大間違いだ」

「きゅ……」

 

 せめてこいつだけでも殺しておきたくなる、けど……。我慢しておこう。純粋な悪なら殺したけど、こいつが二人を心配してるのは事実だから。

 

「どうやって決着するか……。んふふ。楽しみだね」

 

 全てを知った時にあの子たちがどうなるか、それもまた、楽しみだ。

 




壁|w・)明るく振る舞ってはいるけど、やっぱり元の地球じゃないと知って、実はかなり落ち込んでいたんだよ、というお話。

ここまでが第四話となります。
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