窓の外に見える、青い緑が地面を覆う公園。
そこでは少年少女が走り回り、すぐ近くにいる保護者達が些細な会話を交わす。
暖かい風と共に入る元気な子供達の声。
そんな中、私はベッドの上に寝ていた。
よく耳を澄ませなければ聞こえない程の呼吸。
酷く痩せ細った身体。
私は、苦しかった。
外から聞こえてくる声を聞いて、悲しくなった。
でも、お父さんが忙しい中お見舞いに来てくれて、気に掛けてくれて、少し心が軽くなった。
横へと視線を向ければ、小さな机の上に置かれた白が特徴的なドライバーと裏が赤色を基調として、マークが書かれた複数のカード。
寂しさを紛らわす為に見ていたテレビ。
偶然見た番組に視界が囚われた。
白が特徴的なドライバーを腰辺りに装着し、裏が赤色を基調として、マークが書かれたカードを装填、ドライバーを操作して変身した。
私の心を熱くしてくれ番組、その中の仮面ライダーディケイド。
それが私はとても好きだった。
元気になって、いつか私も仮面ライダーの様になってみたいと、生きる意志をくれた。
でも、現実は残酷だ。
私の病状は悪化。
手の施しがないと言われた。
悲しかった。
でも、お父さんの方がもっと悲しかったと思う。
酷く、泣いていたから。
数日経ち、その日は来た。
何となくだけど、死ぬんだなって分かった。
何だか凄く眠くて、最期はお父さんの腕とドライバーを抱いて、そのまま目を閉じた。
怖いなぁ……
そう思った。
思ってたんだけど……
何故か目が覚めた。
しかも身体が縮んでいた。
確認すれば私は赤ちゃんになっていた。
後から知ったけどいわゆる転生?ってやつをしたらしい。
普通の身体で普通に育った。
前世には悪いけど凄く身体がちゃんとしてて嬉しかった。
そして小学生になった頃。
周りをよく知ることになった。
ここは様々な学園が固まった都市であること。
生徒は女子学生しかいないこと。
そして、当たり前の様に銃弾が飛び交うこと。
私は凄く怖かった。
周りと違って私はヘイローなんてものは無く、銃弾を受ければ一瞬で死んでしまうと。
運悪く不良達の抗争に巻き込まれ、縮こまってた時、瓦礫の中に何かを見つけた。
それには見覚えがあった。
見違えることはない。
ディケイドライバーとライドブッカーだった。
手に取ったのはいいものの、結局私は怖くて動けなかった。
その時、少し離れた位置から声が聞こえた。
私と同い歳ぐらいの子が、銃弾の飛び交う中で泣いていた。
その子を見た時、頭で考えるよりも先に、身体が動いた。
ディケイドライバーを腰に身につけ、ライドブッカーをガンモードへと変形させる。
銃弾を放っている不良達に向けて、光弾を放つ。
勢いよく放たれた光弾は、地面を抉り、煙を作り出す。
不良達が騒いでいる間に泣いてる子へと近づく。
「大丈夫?立てる?」
「ひっぐ……うん」
「あっち側に行けば安全だよ」
「うん……ありがとう」
泣いていた子は指を指した方向へと走り去っていった。
「おいガキ……テメェ何しやがった」
気付けば煙が晴れ、不良達が私に目線を向けていた。
逃げる事はできなさそうだった。
私はライドブッカーをガンモードからソードモードへと切り替え、戦闘準備をする。
でも、素の私じゃ心が折れそうだった。
だから、ある人の真似をした。
「邪魔しに来た……それだけだ」
「ンだとテメェ!」
「それに小せぇガキを泣かせたんだ、覚悟は出来てるな?」
「うっせぇなテメェ!」
逆上してきた不良は数発の弾丸をこちらへと飛ばす。
私は最小限の動きで弾丸をかわし、ライドブッカーで切り落とす。
「なんだアイツ!?」
「1発も当たってないぞ!」
「しかも余裕かましてやがる!」
「テメェ……何モンだ?」
「通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ」
《KAMENRIDE》
「変身」
《DECADE》
「な、なんだアイツ?」
「変なピンク色の奴に変わりやがった」
「ピンクじゃないマゼンタだ!」
「と、とにかく撃てお前ら!」
飛んでくる大量の銃弾をかわしては切り落とし、不良達への近づき、蹴り飛ばす。
「ぐペッ」
「おげっ」
「ぐぁ」
「ちくわ大明神」
「ぐふぅ」
「おいどんどんヤられてくぞ!」
「くっそぉ当たんねぇ!」
「なんか変なやついなかった?」
「そろそろ面倒だ、終わりにしてやる」
《ATTACKRIDE》
《BLAST》
ガンモードに変わったライドブッカーの銃口から、大量の光弾が放たれる。
それらはそのまま残っていた不良達に当たり、全員気絶した。
ディケイドライバーを操作し、変身解除する。
終わったぁ……
ありがとうございます門矢士さん。
心の中の門矢士がいなかったらどうなってたことやら。
私はそのままそこから去ろうと足を進めた。
「ねぇ、あなたの名前、教えて?」
声を掛けられた後ろへと向けば、先ほど助けた少女が立っていた。
名前……名前かぁ。
恥ずかしいんだよねだいぶ似てるから。
……えぇい!心の中の門矢士を使うんだ!
「……門矢ツカナだ、覚えておけ」
「門矢……ツカナ」
これが、私の初変身だった。
お久しぶりです。
クソザコの助です。
お楽しみ頂けたら幸いです