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コスモレイヤー、俺は多元宇宙と呼んでいるそれは自身がいる次元とは異なる次元に存在する宇宙の事である。
それは隣り合わせの世界だとしてもその世界全てが同じという事はかなり稀であり、その宇宙ごとに差異、特徴がある。
例えばこの多元宇宙。この多元宇宙に存在する地球の色は茶色く濁っている。これは地球の表面部分が水質汚染や大気汚染といった諸々の影響を受けてこうなった故に汚く、
生き生きとした善救の生まれ変わる前とその後の地球とは正反対な程に死にかけているような印象を与えるのだ。
当然だが環境は劣悪、粉塵が舞い、ガスが発生する国が多くガスマスクは必須、その環境を変えようともせずに残り少ない貴重な資源を日々湯水のように浪費する政治家、反旗を翻すレジスタンスに他人から奪ってでも生きようと足掻く盗賊。
とてもじゃないが、現代とは思えないような有様で、
日々死ぬ人が増えていく宇宙、それがこの宇宙の特徴だ。
善救「すみません、原子力発電所に勤務をしている人を知りませんか?」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」
善救「すみません人違いでした。」
善救「すみません、原子力発電所に勤務をしている人を知りませんか?」
「死にたくなけりゃ金を出しなッ!」
善救「ぶっ潰されたくなかったら素直に答えな。」
「ぶっ殺すッ!」
薬を大量に摂取し、脳が溶けたかのような言葉しか出せない老人の横を通り、ガラの悪そうな男に話し掛けたら案の定襲いかかってきた。
男の手には刃物や銃…といった物騒な物ではなく、
乾電池の様な代物とメガホンのようなものが握られており、男の獲物らしき持ち手が長い手斧は背中に背負っている。
善救「エモルギア─いや違うな。」
『覚醒憑依しろッ
角獣、角醒ハンターオメガホーンに登場する獣。
突角はその中の一種であり、サソリの様にテール状のしっぽを持つのが特徴だ。
そしてその突角の力を宿らせる覚醒憑依はその身に角獣の力を宿らせる事が可能で、力のある角獣なら簡単にコンクリートを破壊出来たりもする。
今回の場合は……
「うぉおおおお!!!」
善救「突進……牛かよ。」
男の背中、腰下の脊椎から付随する様に生えたサソリの様に雫の様な形状をした尻尾。
現代でも人間の体のバランス保持や重心移動を補助するとして注目されているそれを戦闘用に改造したであろう尻尾を背中に沿わせ、
更に頭より上に尻尾の先を向けた姿勢。
まるでユニコーンの様な戦闘姿勢で男は駆ける。
尻尾は頭上よりやや先程度までしかないからか、
その姿勢は低く中腰であり、
その姿は大分滑稽の様に思える……だが、油断してはならない。
善救「よっと……毒か、それも注入して効果を発揮するヴェノム…溶かす効果もあるのか、厄介だな。」
角獣はかつてこの世界に存在したとされるオメガ時代、
そこで生き抜いてきた超巨大生物だ。
その力、能力は未知数であり、今のように予見するのが難しい搦手を使ってくる場合もある。
今回の場合はその見た目通り、サソリの様に
通常の人間、並大抵の生物なら注入され、溶かされた時点で半数以上が重症、あるいは死に至らしめるであろう凶悪な攻撃だ。
その事を知っている男は、
怒りの感情以外にも余裕だ。相手は勝てない。雑魚だ。
そう思っているかの様な表情をしていた。
きっと今までも反抗した者をその
今回もまた、いつも通り殺して金を奪い取ろうと考えていたのだろう。
だがその考えは、少しして崩れ去る事になる。
『ゲキドー─チャージ!』
ブザー音と共に合成音声が善救の手に持つコスモギャバリオンを縮小化したような見た目をした銃、ギャバリオントリガーから発せられる。
善救「よし……蒸着!」
その掛け声と共に、善救の姿は赤いメタル装甲を纏った並行宇宙を駆ける戦士、"ギャバンインフィニティ"へと姿を変えた。
『蒸着、それはギャバンシステム発動のコマンドだ。では、蒸着プロセスを、もう一度見てみよう。』
トリガーを引くと共に、蒸着コマンドを受けたギャバリオントリガーによりギャバリオントリガー内にあるギャバリオン粒子、それとギャバリオントリガーに装填されたエモルギア、ゲキドーのエモルギーと呼ばれるエネルギーの一種が一気に増大し臨界点を突破。粒子と融合し、わずか1ミリ秒で蒸着を完了する。
『蒸着コマンドを受けて臨界点を越えたエモルギーがトリガー内に凝縮されたギャバリオン粒子と融合。僅か1ミリ秒でコンバットスーツへと投射形成され、蒸着を完了するのだ。』
『ゲキドー!』
『アクティベート!』
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赤いギャバンと角獣使いの戦いの決着は、僅か数秒で片をつけた。
いくら角獣の力、身体能力を上乗せされたとて所詮は人間。
人程度なら手も足も出ない怪人を倒せるヒーローと、
その反対に弱者狩りをしていただけの素人に毛が生えた程度の角獣使いの男が勝てる道理は無かった。
勝敗がついたと同時、男の左手に握られていた薄砂色をしたメガホン、オメガホーン・レプリカと呼ばれるそれに装填されていたエゴルギアが独りでに飛び上がり、
そのまま弧を描くかのようにして善救の手元にまで落ちていった。
善救「お、この地球ではこういう風なのか。」
「ぐ……返し…やが」
善救「駄目だ。盗賊…いや、殺しに迷いがなかったのを見るに何人か殺ってるであろう人…って言うのも失礼か、お前に返したらきっとまた人を殺すだろうしな。」
そう、人なんて簡単に殺せてしまう毒をなんの躊躇も無く撃ち込む奴が、人を殺していない道理が基本無い。
この毒を簡単に治せる物があるとするなら別になるかもであるが、それでも躊躇が無さすぎた。
善救「それにこれ自体簡単に手に入るかもしんないからな─そのメガホンも貰ってくぞ。」
地面、オメガホーン・レプリカ…メガホンが落ちている地点よりやや下を狙ってトリガーを引き、地面をエグる程の衝撃を与える事で飛び上がったメガホンをいとも容易くキャッチした善救は蒸着を解除し、元の状態へと戻った。
そしてそのすぐ後、この僅かな時間の戦闘で集まった数名程の老若男女が好機とばかりに善救…が倒した男の元に駆け寄り、蹴りや拳を振るい始める。
きっと今まで恨みを買っていたのだろう。
「お前のせいでお兄ちゃんは!!」
「お母さんの仇!」
「良くも夫を殺してくれたわね!」
「死ね!死んでしまえ!」
「殺せこんな奴!」
「やべっ…やめっ!…やめでっ"ぐだざい"…!!」
先程までの威勢が良かった姿は影もなく、
手にしていた力を失い、今では今までの恨み辛みを男の傲慢さと残忍さによって溜め込まされてきた者達から一方的にリンチにされている。
本来ならば、宇宙警察として活動するギャバンなら、
そのリンチを止めていただろう。
争い、恨み辛み、復習の連鎖は終わらせるべきだと。
だが、善救は違った。
何しろ、彼はギャバンへと変身出来るただの"人間"、
それも善でも無い、人を助ける事が出来るなら、
研究室や宝石店等から盗みを働くようなどちらかと言えば悪人の類だ。
人間として分かるのだ。
復讐する事で少なくともその恨み辛みはある程度発散出来る。
その後はぽっかりと心が穴が空いたように生きていくかもしれないし、恨み辛みは今後一生消えないかもしれない。
だが、それでも気が少し晴れるのだ。
もしかしたらその復讐相手に家族がいるかもしれない、
恋人や友人がいるかもしれないし、
新たに復讐を企てる人が出るかもしれない。
だが今回の場合は沢山の怨みを買ってきた。
それも殺しをしていた。
その今までの負債が一気にやって来ただけ、
自分の首を絞めているだけだ。
善救「……」
善救はその場を静かに立ち去る。
ただ復讐したい者達に偶然機会を与えてしまっただけで関わる理由が無かった。
復讐を果たそうとする者達が例え殺したとしていても、
身内や恋人や親友人を失った事が無い以上その辛さは分からない。
だからこそ立ち去ろうとした、が。
善救「待って、殺すのだけは辞めた方が良い。殺す価値も無いし。」
気付けば、善救は充血した目や、怒りの表情、泣き腫らした顔、たった今泣いている老若男女を止める為に話し掛けていた。
「生かしておく価値も無いんだよ!?この殺人鬼は!!」
善救「それはそうだが…お前らが復讐を考えるように、コイツももしかしたら仲間がいるかもしれない……そうなったら復讐は連鎖する。もしかしたら復讐するに至った出来事以上に悲惨な目に遭うかもしれない。」
そうなったとしたら、報われないのだ。
せっかく復讐を果たせたのにもっと辛い目に遭うかもしれないのだ。
別に悪事に手を染めた奴がどんな方法で裁かれようがどうだって良い。
だが、その為に手を汚す必要は無いのだ。
善救「法でコイツは捌けないのか?」
「……まずは感謝する。コイツを無力化させてくれてありがとう…、だがひとつ言わせて貰おう。ここの法はもう機能していない。だから、あるのは互いの信頼だけ、それでここは成り立ってるんだ…それをコイツは…!」
善救「待て!…なるほど、法が機能してないのか…なら1つ聞きたい。お前らは身内や家族、友達に恋人…まぁ大雑把に言うと"守るべきモノ"はいるか?」
「そんな奴はコイツが!……いや、1匹…ペットが」
「親がいる…杖無しでは歩けない親が…」
「……息子。」
「婆…さん」
「シュウヤ…」
皆、守るべきモノ…が居たようで、全員が手を止め足を止め、しかし男だけは逃がさないと地面に押さえ付けた状態で此方を見ている。
善救「復讐は、その関係者にも及ぶ時がある。もしかしたら仮に貴方達が復讐…殺したとしたら、それに対して新たに復讐を企てた人が貴方達と縁のある人や動物に危害を加えてしまうかもしれない…もしかしたら、殺されるか、酷い目に遭わされるか。」
「「「…………」」」
善救「殺したい気持ちがある事は分かります。失った事が無いから、完全に共感する事は出来ませんが。」
善「復讐を果たすのには賛成です。ですが、それをしたとして、その責任が何処にくるのかを今一度考えてください。もし、それでも殺したい、復讐を果たしたいと思うなら、俺は止めません。ただ、"後悔"だけはしたくないから声を掛けさせていただきました。」
「「「…………」」」
「俺は…………っ……出来ねぇ…こんな奴、殺したいと思ってた。今でも、そして今でも。」
「家族が危険に晒されるなら…私は…手を汚せないわ。」
「ワシは…いつの間にか、妻を危険に回していたのか。」
全員、守るべき存在と天秤に掛け、復讐より、護るべきものを取った。なら、やる事は決まっている。
善救「法が生きてる場所があるんだろ?」
「あ、あぁ。ここから2つ隣の大都市は法は機能している…まさか」
善救「後は法に裁いてもらおう。自分らが手を汚す必要も無いんだから。」
善救「来い!コスモギャバリオン!」
善救「証人は多い方が良いですから、乗ってください。」
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その後としては警察も法も多少腐ってはいるものの機能していて、あの街とその周辺が特に酷い状態だったということが分かった。
そして、結果として男は逮捕される事になった。俺が回収したこのメガホン…オメガホーン・レプリカと言うらしいそれは盗品だった上、数々の殺人等が明るみになった事でその場で現行犯で逮捕された。といってもボロボロだったからある程度回復は必要になったらしいが。
で、その後として、本来の目的であった原子力発電所を止めれる人を探していたこの問題も解決した。法が機能しているこの街に何人か元ではあるが昔…ここが少し先の未来だから現代、その
元が付くが一気に数十名もの原子力発電所作業員をゲットしたのでこっちとしては気分は最高である。
『エモ!』
『エモエモ』
善救「助かったぞ、ドーシヨン、"コーウカイ"。お前らの感情エモルギーで、止めることが出来た。」
肩に乗ってきた2体のエモルギアを軽く撫でる。
俺にはギャバンインフィニティになれるこの能力の延長線上としてなのか、エモルギアを作れる能力がある。
劇中でもいたドーシヨンといったエモルギアを作れたりするし、コイツ…コーウカイみたいに存在しないエモルギアだって作る事が可能だ。
エモルギアは人間の感情に反応してその効果を発揮する。
この2体は先程の状況においてとても役に立った。
今回は復讐を果たそうとしたあの人達の感情に反応し、
その効果を発揮してくれた。
恐怖を煽って感情を大きくさせ、エモルギアの後押しもあって、止めさせやすかったよ。と2体のエモルギアを軽く撫でる。本当はネガティブ波動というものがあって、
ネガティブ感情を受けに受けたら暴走したりする危険性があるが、今回はギリギリ耐えてくれたみたいで、
心なしか、エッヘンと胸を張ってるように見える。
胸も無いしそもそも乾電池の形だからそれも出来ないんだけど。
よし、用事は済んだことだし、早く帰ろうか。
元の地球に。
深夜テンションで書きまくってたらめっちゃ長くなってた……