バッドエンド後にやり直した人生で、初対面のクラスメイトからなぜか激重感情を向けられている   作:水島紗鳥

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第17話 純潔宣言

 休憩を終えた俺達は集合場所である参道入口の広場を目指して歩き始める。登りと同じく二千段近くある階段を下らなければならない。

 

「やっぱり登るよりも降りる方が気持ちは遥かに楽ね」

 

「だな、実際は降りる時の方が負荷は強いらしいけど」

 

「えっ、そうなの?」

 

「登る時は自分の体重を押し上げるだけでいいけど下りは勢いのついた自分の体重を受け止める必要があるから、そっちの方が体への負荷が大きいって昔読んだ漫画に書いてた」

 

 そんな感じの雑談をしながら俺と天音は目的地を目指して歩いている。入学式の初日に天音とカフェで話した時はかなり緊張していたが、二週間近く交流したおかげでそれはほとんどない状態だ。

 緊張をせずにこんなふうに話せる女子は前世では陽葵しかいなかったが、二周目の人生では天音もそのカテゴリーに属している。この世界に戻ってきてすぐは前とあまり変わらない高校生活を過ごすと思っていたため、良い意味で全然違っている。

 

「そう言えばゴールデンウィークが近いわよね、瑛人は何か予定はあるの?」

 

「いや、今のところは特にないな」

 

 友達がたくさんいるような活発的なタイプであればゴールデンウィークも一緒にどこかへ遊びに行ったりするかもしれないが、俺はどちらかというと一人で過ごすことが多いタイプなのでそういう予定はない。

 そもそも今回の人生では高校に友達と言えるような存在がおらず、中学校までの友達は本来は知らないはずの余計なことを喋ってしまいそうな気がしたので、わざわざ会うつもりはなかった。

 ちなみに高校に友達がいないことにはちゃんと理由がある。学校では基本的に天音と一緒にいるため、俺が仲良くなれそうなタイプの男子が近寄ってこないからだ。逆に俺から話しかけようとしても必ず天音がセットでついてくるため難しかった。

 そして天音目当てで近づいてくるようなチャラい系の男子と俺は絶望的に相性が悪い。それが理由で俺は友達がいない状態になっている。俺がクラスで浮いているのもそれが原因だろう。

 

「そういう天音は何かあるのか?」

 

「実は私も今のところ何も予定が無いのよね」

 

「えっ、そうなのか!?」

 

「そんなに驚かなくてもいいじゃない」

 

 俺が思わず声を上げると天音はジトっとした目で見てきた。だが陰キャ寄りな俺とは違い天音は明らかに陽キャ寄りだ。

 

「いやいや、俺はともかく天音はどう見ても予定がないようなキャラじゃないだろ。天音みたいなタイプは友達と旅行に行ったり一緒にバーベキューをしてるイメージしかなかったんだけど」

 

「確かに以前までの私ならそういう過ごし方をしていたかもしれないわね」

 

 俺の言葉を聞いた天音はそんなふうに答えたため、俺が想像する陽キャの連休の過ごし方のイメージはあながち間違っていないのかもしれない。

 

「以前まではってことは、今は違うのか?」

 

「ええ、ああいうイベントは結構周りに気を使ったりする必要があるから誘われても行かないことにしたのよ。それに、好きでもない男を紹介されたりもするし……」

 

 そう口にした天音はうんざりしたような表情を浮かべていたため、勝手にキラキラとしたイメージを持っていた陽キャ同士の世界も実は結構面倒くさいのかもしれない。そんなことを考えていると天音は突然血相を変える。

 

「あっ、別に私はそんなに軽い女じゃないわよ。その証拠に()も今もしっかり処女だから!」

 

「き、急に何を言い始めるんだよ!?」

 

 突然天音の口から処女という単語が飛び出したのだから驚かない方が無理だ。てか、天音はその辺りの経験はないのか。そもそも今がないのであれば昔もないはずなのでなぜそこを強調したのか不思議だ。

 

「そういう訳だから変な誤解はしないでよね!」

 

「別に誤解はしてないから」

 

 本当はそういう経験が既にあってもおかしくないとは思っていたが、当然本人に対してそんなことを言えるはずがない。そんなふうに二人で会話しながら歩いているうちに集合場所の参道入口の広場に到着した。

 

「途中で休憩も挟んでたけど、やっぱり二時間以上歩いたから疲れたわね」

 

「ああ、特に今回は平地を歩いた訳じゃなくて上に登って降りたからな」

 

「帰りのバスの中は普通に寝ちゃいそうだわ」

 

「学校に着いたら起こすから寝ても大丈夫だ」

 

「じゃあお言葉に甘えさせて貰おうかしら」

 

 それから人数確認が終わった後、バスで学校に帰り始めたわけだが、天音は先程宣言した通りバスに乗った瞬間寝始めた。それだけなら別に良かったのだが問題は天音が俺の腕にしがみついたまま寝てしまったことだ。

 おかげで俺はバスが学校に到着するまで何も出来ずにドキドキしながら過ごすはめになった。だが、行きのバスで酔ったせいで気分の悪かった記憶しか残っていなかった前回とは違い、今回の校外研修は楽しかったから良しとしよう。




第1章はこれにて終了となります、お読みいただきありがとうございました!

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