バッドエンド後にやり直した人生で、初対面のクラスメイトからなぜか激重感情を向けられている   作:水島紗鳥

29 / 31
第3章
第29話 前世からのアドバンテージ


 ゴールデンウィークが終わってから一週間が経過した今日、クラス内は朝からいつもよりも重々しい空気になっていた。それもそのはず、今日は考査発表の日だからだ。同級生達は高校受験を突破して入学しているため、中学生の時とは母集団のレベルが全然違う。

 だから中学生の時はテストでそれなりに良い順位だったとしても、高校入学の翌日に受ける復習テストや、五月中旬くらいにある中間テストだと真ん中よりも下の順位になってしまうようなことも珍しくない。実際に一周目の俺はまさにそのパターンだったし。

 

「今日からテスト週間って面倒よね」

 

「学生の本分は勉強だろ。まあ、言いたくなる気持ちは分からなくはないけど」

 

 目の前の席に座っている天音の言葉を聞いて俺はそう答えた。一周目の人生では共通テスト本番で大ゴケをし、最悪のメンタルの中で二次試験や私立大学の入試を受けて失敗した記憶が強く残っている。だから勉強について手を抜くつもりはない。

 

「そう言えば天音って、入学式の次の日にあった復習テストの結果はどうだったんだよ?」

 

「ああ、あれは割と良かった記憶があるわ」

 

 そう言って天音はリュックサックの中をゴソゴソといじりA4の用紙を取り出す。それは結構前に返却された復習テストの成績表だった。

 まだリュックサックの中に入れたままだったのかよと思いつつ、天音が俺に差し出してきたため遠慮なく中身を見させてもらう。そして俺は書かれた内容を見て思わず声を上げる。

 

「……えっ!?」

 

 成績表に書かれていた復習テストの順位は四十七位と記載されており、天音の成績は俺が想像していたよりも何倍も良かった。

 普段の天音の姿を見て勉強はあまり得意ではないイメージを持っていたため、割と良かったと聞いた俺は勝手に真ん中より少し上だと思っていたのだ。

 それが蓋を開けてみれば明らかに学年の中でも上位層の順位を取っていたのだから驚くなという方が無理だろう。そしてそんな俺の反応を見た天音はジトっとした視線を向けてくる。

 

「今の反応はどういう意図があってのものかしら?」

 

「天音の成績が予想外に良かったから驚いたんだ」

 

 下手に誤魔化そうとすると印象が悪いと思った俺は、正直に話すことにした。実際にそれ以外に良さそうな説明は思いつかなかったし。

 

「流石に中学生の範囲くらいは全然余裕よ、高校の内容と比べたらかなり易しいと思うし。そういう瑛人はどうだったの?」

 

「成績表は手元にないけど、復習テストの順位は九位だった」

 

「えっ、めちゃくちゃ凄いじゃない!」

 

「いやいや、本当はもっと上の順位を取れると思ってたからまだまだ修行が足りないとは思ってる」

 

 完全に失敗したとは言え俺は国公立や私立はそれなりに偏差値の高い人気大学を志望していた。だからそれに向けた勉強を前世ではしていたし、その経験値はしっかりと残っている。

 それを考えると復習テストの難易度はかなり低かったと言えるため、一位を取れる可能性だってあるかもしれないとも思っていた。しかし実際は九位という順位であり、自分の上に八人もいることを考えると、その成績では到底満足はできない。

 

「中間テストの勉強で困ったら瑛人に教えてもらうことにするわ」

 

「それは全然構わないぞ、教えることも勉強になるし」

 

「それならお泊まり勉強会とかやりたいわね」

 

「お泊まりは流石に駄目だろ……」

 

 さらっと凄まじい提案をしてくる天音に対して俺はそうツッコミを入れた。すると天音は真顔で質問をしてくる。

 

「えっ、なんで駄目なのよ?」

 

「だって、俺達は男女だし……」

 

「そんなの大した問題じゃないでしょ」

 

 天音は相変わらずぶっ飛んだ言葉を口にしていたがまじめそうな表情を浮かべていたため、今の発言は割と本気なのかもしれない。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。