バッドエンド後にやり直した人生で、初対面のクラスメイトからなぜか激重感情を向けられている 作:水島紗鳥
俺の家に到着し、ひとまず荷物などを降ろす。それから少し休憩をしてからほっとひと息ついたところでいよいよ本題に入る。
「これがあいつのSNSアカウントよ」
「うわっ、承認欲求丸出しな感じだな……」
「そうよね、ここまで凄いのは中々見られないわ」
プロフィール写真はキメ顔の自撮りだし、自己紹介欄も自分が凄い人間でどれだけ日々が充実しているのかを書いているし、自分で痛々しいとは思わないのだろうか。
そんなことを思いながら俺は天音と一緒にSNSに投稿された内容を見始める。普段している投稿もプロフィールと同じく承認欲求の塊のような内容ばかりで思わず呆れてしまう。
「……何というか、しょうもないことばかり投稿してるな」
「ええ、見てるだけで頭痛がしてくるわね」
そのほとんどが自分のキラキラした日常をアピールするような内容ばかりだったのだ。確かにそういう投稿をする陽キャはいるが、こいつの場合はほぼ全ての投稿がそんな感じだった。
しかもそんな投稿にはどれも物凄い数のいいねがついているもんだから、なんとも言えない気分にさせられる。一体いいねを付けてる奴らはどんな心境なのか、ぜひとも聞いてみたい気分だ。
「でも、今のところ何かやばいことに関わってそうな投稿は全然無いな」
「ええ、あいつなら絶対に何か呟いていそうな気はするんだけど」
投稿内容を片っ端から見る俺達だったが、今のところあからさまに怪しい投稿はなかった。まあ、一応うちの学校に入学出来る頭があることを考えると流石にそこまで馬鹿ではないか。
「気になることとしては何個か意味不明な投稿があったくらいかしら」
「確かにあるな」
例えばこいつの投稿に420という数字が何度か出てきていた。最初は日付かとも思ったが四月ではない月にも何度か投稿していたため意味がよく分からない。
もしかしたら四月二十日に何かあったのかと思い、その日の投稿を見たりしたが、相変わらずキラキラした日常系の投稿しかなかった。
だから一旦それは忘れて引き続き二人で投稿を見始める。そしてここ一年くらいの投稿についてはくまなく見る俺と天音だったが、やばいことに関わっていそうな投稿は見つからなかった。
「結構見てきたけど無さそうね」
「こういう奴なら飲酒とかタバコとかをやってる写真くらいあげてそうな気がするのにな」
「二十四時間で消えるストーリーとかに投稿してた可能性はあるかもしれないけど、それならもう確認しようがないわ」
「だよな、もしかしたら保存してるやつがいるかもしれないけど」
バイトテロの炎上はストーリーに投稿していた画像を誰かが転載することで発覚するが、いまだに騒ぎになっていないことを考えるとそこに期待は出来ない。
意気揚々とSNSのチェックを始めた俺と天音だったが、調べた範囲ではそれらしいものが見当たらないため完全に行き詰まってしまった。
「やっぱりSNSを間接的に調べるよりも、直接あいつを尾行とかした方が良さそうな気がしてきた」
「それは絶対に駄目よ、あいつは本当に何をしでかすか分からないからあまりにも危険過ぎるわ」
「分かってるって、俺もまた刺されたくはないしな」
そこまで口にして、俺は教室で天音と会話をしていた時と同じように会話の中に違和感を覚えた。今の会話の中には明らかにおかしな部分があったような気がする。
何かを見落としているような気はするが、それが何なのかは分からない。その違和感の正体が何なのかを考えていると天音は背伸びをしながらその場に立ち上がる。
「そろそろ休憩にしましょう、流石に疲れてきたわ」
「……そうだな、これ以上考え続けても進展があるとは思えないしそうしようか」
天音の声を聞いて完全に思考が中断してしまったが別に問題はない。俺もあいつの投稿をずっと見ていて頭が痛くなってきていたし、ちょうど休憩をしたいと思っていた。
それに今は違和感の正体を考えるよりも奏多先輩をどうにかする方が優先だ。俺達の日常生活をこれ以上脅かされないようにするためにも、あいつを天音から引き離さなければならない。
もしSNSを調べても何も出て来ないなら次の方法を考えなければならないし、本当に考えなければならないことが色々とあるから困る。