ハンバーガーの戦い 〜この異世界のスキルはハンバーガ〜 作:石林留
「協力してあいつを倒すぞ!」
俺は自身に満ちながらそう言った。
「勝つあてはあるのか?」
「勝つためのコツは『カツ』だ!」
「…意味がわからない。」
「クリスさん…いや、ジェイソンの回転ノコギリの刃はカツなんだ。その不規則な形の衣が殺傷力を底上げしている。衣をふやけさせれば無力化できるはず。」
「お前の半バーガーに対するよく分からない妄言は置いておいて、ふやけさせるのは難しいぞ。今は小雨だがノコギリの刃の周りは熱気で水滴が蒸発している。それが私たちとは違い、雨の中でも万全で戦える所以だ。」
「くそ、どうすれば…」
「…私に一つ案がある。それは……………だ。」
「…なるほど!」
「何勝手にしゃべってるのですか、早くやられてください。『
回転ノコギリは変形し、13枚刃の大型に変化した。直後、音もなくクリスは切りかかる。
「来るぞ。」
「ああ!」
俺はチーズのネットを作り刃を防ぐ。
「一か八かだ、『奥義・甘照《あまてらす》』」
輝夜は刀を天に突き出し辺り一面を強く照らす。
「ぐぅ、目隠ししたからなんだと言うのです!」
「これで晴れた。私達も全力を出せる。」
「なっ?!」
クリスは動揺する。
「輝夜は甘照で無理矢理晴れにしたんだ、これなら俺達は万全の状態で戦える!」
「クリス、お前は自分だけ雨のなかでも活動できると油断したのが運の尽きだ。…芳賀、畳み掛けるぞ。」
「ああ!」
そう、俺は自信に満ちて答えた。謎の声との会話を通した俺は、もう迷わない。
それに、このチーズの能力が手に入ってからずっと自分ならどんなふうに戦うのか考えていた。ハンバーガーに欠かせないチーズ、俺にとってそれは馴染み深いものでありいくぶんかイメージしやすいものだった。
その上相手がカツのバーガーと来たもんだ。カツバーガーの美味しさと特徴は俺が一番わかっている。
「俺だってハンバーガーニストとしてのハンバーガーイメージ力で……喰らえ!
『チーズ伸拳・
…我ながら、粗雑なネーミングを考えたものだ。
俺は、自分のいたところからクリスへと向かい、その軌道上にタイムラプスのようにチーズの人形を複数作り出す。
「『チーズ伸拳・六点』!!」
そうしてチーズを拳にまとって右ストレートがクリスに直撃する。
「く、さっきの喚いていた奴とは別物ですね、…しかし、このくらいなら耐えられ、」
「言ったはずだ!『六点』って!」
先ほどのチーズの人形は、俺の動きの後を追い、合計6連撃がクリスを襲った。
「…芳賀に、何があったんだ?私に匹敵するほどのカロリーを感じる…」
「うるさいですよ!こっちは『13枚刃』なんです!」
クリスはチーズの人形をあっという間に切り裂く。
「…いま、チーズを切ったな?」
「な、……なに?!私の、ノコギリが!!」
カツにはチーズが絡まっていた。
「チーズは熱で溶けるんだ!この様子じゃ、絡まってカツの刃は回転できないし、
熱が逆にチーズを溶かして、その湿気でカツはふやける!炙ったチーズの湿気はすごいからな!」
「そんな…私は神様のために目的を果たさなけりゃならないのに…私の信仰が、意味がなくなる…」
クリスはその場に倒れ込む。
「あなたは、なんでこんなことを、なんでジェイソンとして悪さをしていたんだ!」
そうして俺はクリスに近づこうとした、その時
「待て芳賀!近づくんじゃない!なにか、嫌なカロリーを感じる!」
「え?何も俺は感じな
影。影がクリスの身体中から溢れ出した。
「私は、神の、心のままに、シタがウーーーーーー
…………。」
クリスの身体が小刻みに震え出す。
「………………。」
クリスは沈黙した。
「何が起こっているんだ?!」
「この様子…まさかな。」
そうしているとクリスは口を開いた。
「どうも、私がその
クリスじゃない、カロリーでわかる。
「まさか…『闇憑き』か?!!」
輝夜が動揺する。
「闇憑きってなんだよ!」
「半バーガーの中には、バーガーの力の強さのあまり、バーガーに意志を乗っ取られてしまうことがある。…彼女もたった今乗っ取られたのだろう。」
「うーん、詳しいねぇ!
奴は語り始めた。
「この協会も、
「そうはいかない。あまり見せ場がなかったんだ。出張らせてもらう。」
輝夜は刀を構える。
「俺だって、まだ戦える!お前をぶっ飛ばせば解決だろ!」
「うーん、黙ろうかぁ。私は自分語りが大好きなのに、お前らはお前ら自身を語るんだもん。二人称ごときが。『私』を語ってよぉ。この『私』。始祖のバーガーの一体。『金』を冠するこの私、『コートレ・ヒレロース』をぉ!」
「
そうして全身からカツの刃を生やし始めた。
「し、始祖?!輝夜、奴は強いのか?」
「7体しかいないバーガーだ、…ここで出くわすとはな。けた違いのカロリーを感じる。」
「…………ああ、このカロリーじゃ、朝飯前とは行かないな。」
月明かりが怪しく俺達を照らす中、俺たちの戦闘は続く。