紅眼のヒロイン、白球を盗む   作:匿名希望

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続、入団試験!そして、俺たちの戦いはこれからだ!

 

 

センター前へ突き抜けた強烈な打球の余韻が残るなか、美城 輪(うつしろ りん)の後にも、他の入団希望の少年たちが次々にバッティングテストテストを受けていく。

 

そして、バッティングテストが終わり、入団試験は、次のステップへと移った。

 

「よし、次は守備と走塁を見せてもらうよ!」

 

監督の指示で、俺を含む受験生(受験生であってる?)はグローブをはめ、四人ずつ、それぞれ1塁、2塁、遊撃、3塁のポジションにつく。

 

飛んできた強烈なノックの打球に対して、俺は既に【写輪眼】を発動していた。

 

巴紋が回転し、ボールのバウンド、芝生の抵抗、風の影響までが完璧な軌道として脳内に描かれる。

 

(そこっ……!)

 

ステップを合わせ、グラブの芯で完璧に捕球(キャッチング)。

 

ここまでは100点満点だ。

 

周囲の保護者たちからも「おおっ!」と、可憐な女の子とは思えぬ補球に、観戦していた保護者たちが歓声を上げる。

 

しかし、問題はここからだった。

 

ファーストへ送球しようと腕を振った瞬間、俺の貧弱な幼女の肉体が悲鳴を上げる。

 

(……うげっ、やっぱり力が足りない……っ!?)

 

ポーンと放たれたボールは、前世の俺のイメージとは程遠く、重力に逆らえず山なりにフワフワと弧を描いた。

 

ファーストのグラブに収まった時には、素人目に見ても「遅い」と分かる代物だった。

 

さらに地獄は続いた。

 

ベースランニングの試験だ。

 

ダイヤモンドを一周走るだけなのだが、半分を過ぎたあたりで心臓が口から飛び出そうになる。

 

視界がチカチカと回り、足がもつれ、ゴールした瞬間にはグラウンドに膝を着き、今にも倒れ込みそうになっていた。

 

額から吹き出しかた汗が、ゴーグルの縁を伝う。

 

「……まあまあ、流石にそうだよね~」

 

監督が顎をさすりながら、手元のノートにペンを走らせる。

 

「バッティングのセンスと捕球技術は上手いねえ。

 

 ……でも、致命的に体力が無い。

 

 あと肩も弱すぎ。

 

 女の子の骨格以前に、基礎体力が小学生低学年の平均以下だね」

 

ぐぬぬ……。

 

テンプレ無双からの即オチ担当かよ。

 

こうして俺は、条件付きでなんとか『大空リトル』への入団を許されたのだった。

 

現実は甘くない!華麗なる(?)居残り組だ。

 

そうして入団した俺に与えられたメニューは、当然華やかな実戦練習ではなかった。

 

2軍の練習にすら入れてもらえるはずもない。

 

「美城(うつしろ)ちゃんは今日も外周5周ね。

 

 終わったら壁当てとキャッチボールだよ」

  

「はーい…」

 

男子たちがフリーバッティングで快音を響かせ、シートノックで泥まみれになっている横で、俺はひたすら地味な基礎体力作りと、同じく2軍補欠組メンバーとキャッチボールに明け暮れる日々。

 

前世の俺ならそろそろ「今日はもうダメっ…、休ましてください~」ってなってたかもしれない。

 

でも、今の俺には学校が終わったら毎日練習に参加するだけの執念があった。

 

だって、明らかに打率が違う。

 

2軍どころか、6年生メインの1軍に比べても、俺のバッティングは打ちまくって飛ばしまくっていた。

 

辛すぎる基礎練習の合間、偶に参加する打撃練習では、俺が打席に立つと明らかに空気が変わっていた。

 

そして、その瞬間の『俺こそが主役っ!!』って感じが、脳に焼き付いて離れないからだ。

 

週6日で泥と日焼け止めにまみれ、ようやく迎えた日曜日。

 

「あー……動きたくないでござる……絶対に動きたくないでござる……」

 

居間の畳の上で、俺は完全に液体と化していた。

 

エアコンの効いた部屋で、ポテトチップスを口に放り込みながら、テレビのバラエティ番組をぼーっと眺める。

 

横には、同じく一週間の仕事疲れで限界を迎えた父親が、同じポーズでゴロゴロしながら煎餅をかじっている。

 

「輪(りん)、そのお菓子美味いな」

 

「でしょお父さん、これ期間限定のやつ」

 

「母さんに見つかったら怒られるな、これは」

 

あ~これこれぇ!

 

この自堕落な時間こそが前世からの俺の本質。

 

転生したって人間そう簡単には変わらないのだ。

 

しかし、そんな天国は夜に崩壊する。

 

夕食を終え、すっかり元気を取り戻した父親が、ジャージ姿で仁王立ちした。

 

「よし輪!

 

 夜風が気持ちいいぞ!

 

 ランニングと筋トレの時間だ!」

 

「げぇっ!?

 

 お父さん、さっきまで一緒にゴロゴロしてたじゃん!

 

 裏切り者!」

 

「お前が入団テストの時に『絶対に弱音を吐かない』って頭を下げたんだろうが!

 

 ほら、行くぞ!」

 

「いやあああ!私の日曜日がああああ!

 

 まるちゃん!サ○エさん!助けてぇ!!」

 

泣き叫びながら夜道に連れ出され、明らかに加減した走りをするお父さん、何とか着いていく。

 

俺の小さな身体と、多少腹に無駄肉が付いてたとしても大の大人の歩幅とじゃあ比べ物にならない。

 

ジャンルは違うが、私の方が必要なケイデンスが違いすぎる。

 

そうして、必死に付いていったのは、父親の「娘の夢を応援したい」という不器用な熱意が伝わってくるからだった。

 

 

 

 

そんな地獄の特訓の後、お風呂に浸かってしっかりと身体を温めてからが、俺の本当の「武器」を磨く時間だった。

 

風呂上がりのリビングで、毎日欠かさず1時間。俺は徹底的なストレッチを行う。

 

前世の野球知識と、【写輪眼】の模倣能力。

 

これらを完全に活かすためには、他人のフォームを自分の骨格に合わせて再現できる「柔らかい身体」が絶対に必要不可欠だった。

 

筋肉や関節の可動域が狭ければ、眼がどれだけ理想の動きを捉えても、肉体がついていかずに即座に大怪我につながる。

 

と、長々語ったが、これは前世からの習慣だった。

 

前世での中学の時の顧問が、皆に言い聞かせていた。

 

『野球は詳しくないけれど、スポーツは齧っていたんだ。だから言える。柔軟をするんだ、お前ら!』と。

 

何で柔軟をするのか、知らないし、知ろうともしなかったが、10年続けて、野球をやめても3年続けた習慣だから、【写輪眼】に開眼する3歳よりも前からも、続けていた習慣だった。

 

ペタッと180度開脚して胸を床につけ、関節のパーツを一つずつ確かめるように伸ばしていく。

 

毎日継続したおかげで、俺の身体は今や新体操の選手並みに滅茶苦茶柔らかい。

 

限界まで身体をほぐし、パジャマに着替えてベッドに潜り込む。

 

時計の針は21時前。

 

心地よい疲労感が全身を包み込み、急速に意識が遠のいていく。

 

色々課題は山積みだし、今日も筋肉痛で身体がバキバキだけど……明日もきっと良い日になるよね、ハ○タロー?

ハムー!

 

 




書くこと無いですねー
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