孤独とグルメ   作:大気圏突破

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迷彩食

「水面に石を投げ込めば波紋が広がる」

 

 ラッシーが注がれたカップの中に角砂糖を真上から落とす

 

「きっかけは些細なことだが波は次第に大きなうねりに変貌する。蝶の羽ばたきが原因でハリケーンが起きるようなものだ」

 

「間違っていたんや…全部、何もかも」

 

「主…」

 

 これまでの人生を振り返る彼女の心は闇に支配されていた。10年前に引き起こしてしまった闇の書事件は今の自分たちを苦しめる枷となっていた。思うようにレリックが集まらず大切な友達は重症を負ってしまった。その起点に過去の己が存在する

 

「それは違うな」

 

「…え?」

 

「成功と失敗はあれどこの世の出来事に対して正解や不正解なんて存在しない、選んだ道を最後まで歩くことに意味がある。未舗装で悪路が広がるのならロードローラーで整地しながら進めばいい」

 

 思いもしなかった言葉に彼女たちは素っ頓狂な顔になってポカンとした顔を披露していた

 

「娘に不自由な思いをさせたくないと豪語していた奴が入団翌日に死んだ。骨も残らず木端微塵になってしまったが俺はそいつの考えや生き方を否定するつもりはない、金を得るために自ら危険な領域に足を踏み入れた」

 

「我々とは相容れない考えだ」

 

「産まれた場所や育ってきた環境の違いだ、常に死と隣合わせで暮らしていたからな」

 

「なんで…」

 

「ん?」

 

 膝の上で拳を握り口を閉ざしていた八神に視線を向ける。正直なところこの話し合いを終わらせて帰りたいと思ってる

 

「なんでスカリエッティに協力するんやアイツは犯罪者で悪いことも沢山しでかしとる。それにロストロギアを個人に売り渡して何をしたいんや」

 

「金になる。ただそれだけだ!」

 

「そやったら真っ当な手段で稼げばええ、働き口ぐらい私が紹介したる」

 

 これは彼女の悪手だった。真っ当な道を奪った加害者側が上から目線で口にする言葉ではない、隣にいるシグナムは止めるタイミングを見誤ったことを後悔する

 

 

「俺にとってはこれが真っ当な手段だ、希少品を欲しがる輩はアンダーグラウンドにうようよいる。子供がカブトムシやクワガタをクラスメイトの目の前で見せびらかして自慢したいのさ」

 

「それで被害者が出てええのか?慕ってくれる子供たちが巻き込まれるかもしれへんのやで!」

 

「流石、俺より多く人々を不幸にした加害者の言葉だ重みがある」

 

 

 売り言葉に買い言葉で頭に血が上っていたが八神はその言葉でようやく平静を取り戻した。言い争いをするつもりはなかったが六課立ち上げ以前から迷惑を被っている人物を目の前にすると自身の誓いは脆弱な存在になる

 

 

「そういえばどうするつもりだ」

 

「何のことや?」

 

「闇の書事件で被害を受けた人は管理外世界を含めて山のようにいる。そして一部の団体から訴訟されていたんだよな」

 

「それに関してはちゃんと受け入れるつもりや、色んな人に迷惑を掛けてしもうたんや罵詈雑言で貶されようが―――」

 

「じゃあ今まで何をしてきた?」

 

「………っ!」

 

 この反応が示すとおり彼女たちは受け身で何もしていなかった。通院を続け日常生活が困難になってしまった被害者に対して頭を下げて謝罪することや、二次被害で亡くなった方へ線香や花を手向けるような行動は何一つやっていなかった

 

「結局のところ口だけか」

 

「主はやろうとしていた。ただ六課の設立に多忙を―――」

 

「管理外世界で闇の書事件が終わってから10年が経つ、ただ単に時間を無駄に浪費していただけか」

 

 それ以降に紡がれる言葉は八神の耳に入らなかった。店内の時計が鈴の音を鳴らして2時間が経過したことを伝えてくるが彼女の足は鉛のように重たく全く動かない

 

 

「この先も俺は生き方を変えるつもりはない、もし孤児院の子供たちを人質にするようなことをすれば管理局に対して鉄槌を下させてもらう」

 

「待ってくれ!最後に1つ…いや2つだけ聞かせてほしい」

 

 大声を張ったシグナムに呼び止められミドラは了承する形で振り向いた

 

「せめて1つにしろ、2つはワガママだ」

 

「お前はスカリエッティの思想に賛同している訳じゃないのだろ?」

 

「期間工みたいなものだな、持ちつ持たれつの関係で飯を食べる程度の間柄にすぎない」

 

「なら我々に雇われてくれないか?金が欲しいのなら言い値で構わない、上に掛け合って過去の罪状を取り消すことにも尽力する」

 

断る!

 

 そう言い切って彼は消費型のロストロギアを使って店内から消えていった。シグナムの提案だが金銭面がクリアされたとしてもミドラにとって関わりたくない相手であり居心地が悪い、そもそも一介の局員に罪を揉み消すほどの力を有していないのは明白である

 

 結局のところミドラとの話し合いに収穫なんて殆ど無かった。突き付けられた現実を受け入れようとするが心の許容量は大幅に溢れてしまい大惨事となっている。行き場の無い感情を押し込めるために彼女は奥歯を強く噛みしめているが涙が止まらず制服を濡らすだけだった。

 

 

 

 

 その後も機動六課とガジェットを含むナンバーズとの小競り合いは続いた。しかし物量作戦に持ち込まれるとフェイトたちは苦戦強いられることが多くなる。技術に関してもスカリエッティの方が勝っているので現行より強力な魔力結合・魔力効果発生を無効にするAMF『アンチマギリングフィールド』の登場によって撤退を余儀なくされるケースも目立つ

 

 

「戻るんやヴィータ!」

 

「レリックが目の前にあるのに逃げてたまるかよ!」

 

 ロングアーチからの指令を無視したチビっ娘はティアナに援護射撃を指示するとスバルを引き連れてガジェットの群れに突撃した。3週間前までは自身の相棒を振り回すだけで有象無象たちをスクラップにすることが出来たが、今では渾身の一撃で叩きつけても軽く凹むだけである

 

 

「ヴィータ副隊長!これ以上は危険です」

 

「弱虫はそこで見てろ!あたしだけでもやってやるんだ」

 

 勇気と蛮勇は別物にすぎない、カードリッジを複数消費して必殺の攻撃を与えようとするが地面からセインがトーレを引き連れてヌルっと現れヴィータの腹部に強烈な一撃が叩き込まれてしまい無防備なままガジェットの攻撃を受け続けた

 

 作戦は失敗に終わりヴィータは緊急搬送された。疲労の色が抜けず隊員たちの顔に悲壮感が滲みだしている。六課が立ち上がった当初は夢に期待を膨らませていたが現実は物語のように甘くなかった

 

 

 

 

 

そして新たな頭痛の種がミドラの頭の中で発芽した

 

 

「ここはどこなんですか?」

 

 

彼の目の前には高町美由希が立っていた




多分ですが、あまり長く続かないかも
次の作品についても考えていますが、ハイDにするか推しの子にするかISにするかで迷ってます

感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます

高町美由希の戦闘力は?

  • ナンバーズに勝てる
  • ギリギリ善戦出来る
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