「ロンッ!
「…噓でしょ」
安牌だと思って振り込んだ結果、チンクから直撃を受けたクアットロは持ち点がマイナスになってしまい最下位転落が確定してしまった。直前まで1位をキープして高笑いをしていた表情が今では真っ青に変貌している
「罰ゲームはクア姉に決定!」
ノーヴェの声に引きつった笑い声を浮かべるクアットロは逃げようとするが左右背後の進路を固められてしまった。ナンバーズの中で体格に優れるトーレに羽交い締めにされた彼女は、迫ってくる妹たちに泣きの一局を懇願するが往生際が悪いということで却下されてしまった
「ねぇねぇ…メガネ姉の部屋にこんなのがあったよ!」
それは通販サイトで購入したもので袖を通すことなく放置していたものだった。他のナンバーズたちは動画アプリを起動しナチュラルメイクのやり方を視聴しながらクアットロに施していく、しかも生みの親であるスカリエッティも参戦すると1時間もしないうちに絶世の美女が佇んでいた
「………………」
「いや、ちゃんとしたらクア姉も凄いんだね」
「なにせデザインしたのは私だ!科学者にとって妥協とは死刑そのものだ」
「普通ぐらいだと思っていたが意外に大きいな」
服の上から胸の膨らみを触るチンクは視線を自分の胸に切り替えて見比べている。次第に彼女の握力が上昇すると触るから握り潰す方向にシフトしていったことで、昇天していたクアットロの意識は現実に呼び戻された
「これで終わりなのも寂しいよね」
「ディエチちゃん…いったいどこに連絡してるの?」
「ミドラさんのところ、暇だから見に来るって」
クアットロを除いた面々はニヤリと笑った。彼女は今まで参謀役として振る舞っていたことで汚れ仕事を請け負うことはなかった。アジトに帰還して労いの言葉すらなく紅茶を飲んでいるのを見て殺意が沸いたこともある。今が最大の好機だと思ったナンバーズたちは団結した結果
「見てよメガネ姉が顔を真っ赤にして旦那の腕にしがみついてる」
「慣れないヒールでバランスを崩したみたいだな」
地中から指を出して観察しているセインはアジトに待機している面々に起きている出来事を生中継で送り続けていた
「しかしミドラさんって気難しい人だと思ってたけど、案外ノリが良いんだね」
「彼も戦場を離れれば普通の男の子なのさ、10年前のことが起きていなければ学校帰りに誰かとデートする日常を過ごしていたはずだ」
ここにいる全員がミドラの過去を知っている。特にナンバーズたちは触れちゃいけないタブーと思い込んでいたが当人は全く気にせず受け入れていたことで肩透かしを食らってしまった
「何かハプニングが欲しいな」
「OK!任せてよドクター」
セインは潜行して歩いている2人に近付くとクアットロの足を引っ張った。普段は口にしたことのない可愛い悲鳴をあげながら彼女は地面に倒れそうになるがミドラが寸前で腕を引いたことで胸の中に抱き寄せらる形になった
「セインの仕業か」
「帰ったら地獄のフルコースを…って、どこを触っているんですか!」
彼女を守るために手を出したが片方の手は肉付きの良い尻を鷲掴みにしていた。ナンバーズにとって性的な羞恥心は生きていくうえで不要な代物なのだが、自分たちを生み出したスカリエッティは敢えて組み込んでいたのだ
「戦闘機人でも恥ずかしいって感じるのか?」
「当たり前です。童貞のあなたには」
「いや…経験済みだけど」
「…ふぇ?」
予想していなかった答えが返ってきたことでクアットロは呆けた声をあげてしまった
「12か13の頃だったかな?所属していた団に別のグループが合流してきて、そこに所属していた人と屋外で一晩中」
「ちょっと…えっ!」
「お互いに初めてだったけど知識はあったし、向こうも生娘のままだと馬鹿にされるからって指名されて」
古い価値観だと揶揄されるが闘争の世界では未経験者は下に見られてしまう風潮が根強く残ってる。『宵越しの銭は持たねぇ』と言って稼いだ金を繫華街で瞬く間に使い切ってしまう仲間もいた
ミドラを指名した女性は彼より7つ年上で、最初はお姉さんぶっていたが夜が明ける頃には立場が完全に逆転していた
「ただ屋外を選んだのは失敗だったな、覗きにくる奴もいたし虫にも刺されるし」
「そんなこと聞いてませんわ」
デートの真っ最中に耳にしたくない性の話題にクアットロは顔を紅潮させてしまう。しかし気になると聞かれれば気になってしまう事柄でネットサーフィンをしている時に妹たちに隠れてR18のサイトをクリックしたこともある
「いつまでも赤くなってないで行くぞ!」
「ちょっと待ってください、そんなに早く歩かないでぇぇ」
慣れないヒールで再び転びそうになる彼女を助ける為に手を出して受け止めたら今度は胸を触ってしまいビンタを受けるが、攻撃した側が多大なダメージを負ったことで近くに設置されたベンチに座って治療することになった
「(ミッドチルダも海鳴市とあまり差異は無いんだね)」
高町美由希は屋外に出てミッドチルダの街中を歩いていた。宿泊場所と病院の往復だけでは精神的に滅入るのでクロノの母親であるリンディが気を利かせリフレッシュさせることにした
見知らぬ土地で1人だと流石に心細いので長年付き合いのあるエイミィを伴っていたが、彼女の口から出てくるのは現在別居中の夫に対する不満ばかりで少し辟易していた。小腹が空いたので休憩と称して2人はカップルたちが座るベンチの近くに腰を下ろした
「(クロノ君も派手にやっちゃったね~、キスまでしちゃってるじゃん)」
自身の両親や結婚した兄の姿を身近で見てきた美由希にとって、愛する人がいるのに夜遊びしてしまう感情を理解することが出来なかった。彼女は背もたれに体重を預けると空を見上げながら息を吐いた
「(最低でも専門か短大には送らないと、いつまで父さんたちが現役でいられる訳じゃないし)」
日本における妹の最終学歴は中卒であり一般企業で働くことは不可能と言っても過言ではない、第一歩を踏み出すためには学歴が必要になる。翠屋でバイトしながら高卒認定の資格を取得するか定時制高校に入学させて進路選択の幅を広げる
どこかのタイミングで良い縁談が見つかって纏まれば先の将来を心配することはないが、自身のことを含め白馬の王子様は気分屋で1枠1番のゲートで目隠しをしても入るの嫌がり発走の遅延を引き起こしている
「(それにしても遅いな、混んでい―――)」
ドゴオオオオオォォォォン!
その瞬間に爆発音が響き渡った。音に反応した美由希は瞬時に身を隠して防御姿勢になるとバッグを頭部に乗せて被害を防ぐことに尽力した。その後も散発的な爆ぜる音が鼓膜を震わせるが次第に小さくなり顔を上げると目を見開いてしまった
「そんな…エイミィは?」
視線の先には地獄絵図が広がっていた。折り重なって倒れている人や頭部から出血し泣きわめく子供が見受けられる。非日常を目の前にした彼女は何も出来ずに立ち竦んでしまう
「メガ姉がいたよ!」
「先に連れていけ、馬鹿野郎たちにお灸を据えてくる」
「ちゃんと帰ってきてよ旦那」
ヌルっと気持ち悪い感覚が全身を包み込んだ、水溶き片栗粉の中を泳ぐような気分で心が変に感じてしまう。目を閉じて手で鼻と口を押さえて空気の流出を防ぎながら美由希は現状が過ぎ去るのを祈ることしか出来なかった
「あれ…クアットロ?」
現場に残ったミドラはデートしていた相手を見つけた。怪我は無かったが爆風でアイデンティティである眼鏡が吹き飛ばされてしまい素顔を晒している
「どうしましたの?変な顔をして」
「さっきセインがお前を見つけて連れて行ったんだけど」
「おかしなことを言わないでください、セインちゃんなんて見てもいませんわ!」
噓をついているようには見えなかった。じゃあセインが連れて行ったのは誰なんだ?しばらくすると管理局の隊員たちが駆けつけてきたのでミドラはクアットロをお姫様抱っこの状態で飛び上がってビルの屋上に着地した
「とりあえずアジトに帰るか」
「ちゃんとエスコートしてくれますよね?」
差し出された手を握るとセインから通信が届き2人はスカリエッティのアジトに帰還すると、そこには不安気な表情を浮かべる眼鏡を掛けた女性が立っていた
セインが間違えて高町美由希を攫ってしまっていたのだ!
前作を執筆している時にナンバーズのことを解説している動画を見つけた時に、美由希とクアットロって6割ぐらい似てない?という感じで罰ゲームでメイクアップした彼女をセインが間違えて連れて行ったのが答えです
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
高町美由希の戦闘力は?
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ナンバーズに勝てる
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ギリギリ善戦出来る