いつの間にか敗走や撤退戦のときは仲間を逃がして殿を務めるようになった。迫ってくる敵を見て恐怖を抱くことはなく返り血を浴びながら淡々と葬り去っていく様子は相手からすれば罰ゲームに等しいだろう。その光景を目撃した者は血の気を失い走ってきた道を引き返す。いつからだろう味方からも恐れられるようになったのは?
「あいつは勝手気ままな奴だから待っても来るかどうか」
代表の背中を追って入室したシグナムは立ったままだったが相手に促されて腰を下ろした。対面に座る男性は懐から煙草を出そうとしたが彼女を見て箱の中に戻す
「私は構わないが」
「吸わない奴が服に臭いを染みこませていたら怪しまれるだろ」
彼はテーブルに置かれた紙をシグナムに手渡す。そこには彼女の身長・体重といった基礎情報や交友関係に所属歴が記載されスリーサイズと愛用している下着メーカーまで書かれていた
「これは…!」
「不倫や隠し子に不正経理を含め山のようにある。殆どの秘密が筒抜けだと思ってくれればいい」
シグナムは他の資料に手を伸ばそうとするが相手の方が早かった。臍を嚙んで睨むが争いに来た訳では無いので表情を戻す
「連絡はつかないのか?」
「会ってどうするつもりだ」
「………分からない、何も考えずに来てしまって」
「ミドラにとって両親の死や闇の書事件は終わったことで割り切っている。今さら謝ったところで何も解決しない」
自分たちのワガママが原因で多くの被害者を生み出して不幸を撒き散らしてしまった。その因果が今の自分たちに降りかかったことで主を苦しめることになった。あの時に彼の家族を安全な場所に移送していたら全く違う未来が訪れていたはずなのに
「謝罪を求めないのなら固執する必要は無いはずだ!あいつ以外にも事件の被害者は沢山いるんだし、先にそっちを片付けて数を減らしていけばいい」
「だが、どうすればいいのか」
「知るかよそんなこと、お前たちが考えてやらなければならないことに部外者が口を挟むのはナンセンスだ」
謝ったところでもう遅い、仮に謝罪会見を開いて頭を下げたところで鎮静化させるためのパフォーマンスだと思われてしまう。マスコミは売上げのために自分たちのことを悪く書き立てるはず
「さっさと白旗を上げた方が身のためじゃないのか?」
「どういうことだ」
「あんたの愛しい主様の設立した機動六課を今すぐに畳んでしまえってことだ」
その言葉を聞いてシグナムは椅子から勢いよく立ち上がる
「エースオブエースに鉄槌の騎士に竜の召喚士が使い物にならず、スカリエッティたちにレリックを簡単に奪われる組織に存在価値なんて無いだろ、さっさとおままごとを終わらせて喫緊の課題に取り組め」
自分たちの主が4年の歳月を経て取り組んできたことを子供の遊びのように揶揄されてしまい、怒りで頭が沸騰しそうになるが彼は意に介さず飄々とした態度のままだった
「主は…主がどんな―――」
心の奥底にあるものを吐き出して彼にぶつけたいが実はシグナムも薄々感づいていた。このままでは戦闘機人どころかガジェットにすら到底敵わない
「蹴落として幸せになった代償を払わないといけないねぇ、10年という利息は生半可な覚悟じゃ返せない」
きっぱりと言われてしまい返す言葉が見つからなかった
「お前等は八神はやてを護ってこその守護騎士なんだろ?今のままが最善とは思えないが、それとも被害者全員がくたばるまでノーコメントの穴熊でもするつもりか」
「そんなこと!」
「言葉では何とでも言える。今すぐに行動で示さないと生涯に渡って加害者扱いで世論から攻撃されるぞ」
正論だが身動きがとれないのが現状である。彼女が精神的疲労で倒れてしまい組織としての運営がままならない、かといって自分たちが勝手に頭を下げたところで何も解決しないのだ
「1つだけ忠告しておくが最初から金の話はするな」
シグナムは理由を問い掛けようとするがポケットから携帯端末の音が鳴り響いた
「どうした?」
『どこにいるの?』
画面の向こう側には血相を欠えたフェイトが肩で息をするのようにシグナムのことを見つめている。明らかに平静を失っている様子で嫌な予感にかられてしまう
「そんなことはどうでもいい、何があったんだ?」
『あのね…はやてが、はやてが』
「どうしたんだ?目覚めたのか、なら今すぐに」
心臓が握り潰されるような感覚に陥り呼吸が一瞬止まった。質の悪い冗談だと思ったが目の前に映る同僚はそんなことを口にするような人物ではないと理解している
「すぐに―――」
『外にいるんだよね?なら近辺を捜して!隊舎の方にはクロノがいるから逐一報告して!』
「心得た」
通信を切ると孤児院の代表は拍手をしていた
「仲良しクラブだと思っていたが、ちゃんと考えているな」
「どういうことだ?」
「普通に褒めているんだよ、お前は知らせを聞いて急いで隊舎に戻ろうとしたがそれを押し止めて誰よりも早く捜索に出させる。慌てていても頭は冷静のようだ」
彼女が何も言わなければ六課に戻っていた。はやてが隊舎の外にいるのなら出会う可能性が高いのは己になるだろう。戻っている間に彼女が遠くに行ってしまったら見つけるのが困難になる。当たり前のことを見落としていた自分が愚かに思えてしまう
「どうする?ここは俺や子供たちの庭だ」
「見つけたら私の端末に知らせてほしい、このことは他言無用で頼む」
申し出に対して四の五の言っていられない、連絡先を交換するとシグナムは部屋を出て孤児院を後にすると地図アプリを起動し、はやてが足を運びそうな場所を近隣から虱潰しで捜索するのであった
機動六課の隊舎では捜索本部が立ち上げられクロノとフェイト以外の面々が準備を済ませてから出張っていた。闇雲に捜したところで見つからないのでバイクを操縦するティアナとジープのハンドルを握るシャマルに広域探索を頼み、スバルたちは近辺まで駆け出していた
「私がいけないんです。気が抜けて寝てしまって」
「リインのせいじゃないよ、今は無事に見つかって帰ってくるのを待とう」
情報漏洩を防ぐために、彼女が倒れたことを限られた隊員たちだけで共有していたのがマズかった。はやては白昼堂々と正門から出ていってしまったのだ
地図を睨み付けるクロノは机を叩いて薄くなった髪の毛を搔き毟って顔を赤くしていた。それは怒りではなく己の未熟さに腹が立っていたからだ
「僕があの時に、ちゃんと考えていたら」
倒れたときに薬を使って寝かせるだけではなく、セラピストやカウンセラーを呼んで心のケアに勧めることが出来たはずなのに怠ってしまった
「クロノ、その」
「分かってる。分かっているさ…反省と後悔するのは後回しだ」
平静を保っているが彼もかなり追い込まれている。家庭の不和を職場に持ち込まないようにしているが親しい間柄から見ると無理をしているのが分かってしまう
「…はやて」
フェイトは自分にも一端があると思い込んでしまう。暇な時間を見つけては病院へお見舞いに行ったりフリードと離れてしまったキャロを励ましていたことで、はやてと接することが極端に短くなっていた
友人なのに発していた心の叫びに対して聞こえていないフリをしていた。もし彼女の身に何かが起きたら自分の責任だと感じるだろう
「やっぱり私も」
「ダメだ!」
気持ちは分かるがフェイトまで外に出てしまうと、ガジェットやナンバーズたちが現れたときの対応が出来なくなってしまう。六課設立時に強引に推し進めたことで地上部隊との関係が悪化してしまい頼むことが出来ない
ミドラがいなくても話が進むのって…
なおセインと混浴してますが彼は女性の裸を見てもドギマギすることはありません(性欲は普通にある)
明日は有給休暇なのでR18のD×Dの構想を練りながら地方競馬を見ています
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
高町美由希の戦闘力は?
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ナンバーズに勝てる
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ギリギリ善戦出来る