「ピーマンはこれ?」
「それはパプリカだ」
スーパーの野菜売り場でカートを押すミドラは溜息を吐きながらロングヘアーでピンク色の髪をした少女に注意した。セッテはパプリカを棚に戻すとピーマンではなくブロッコリーを籠の中に入れていく
「買うものが違うぞ」
「ピーマンは苦いから嫌い」
「子供か!」
全く関係ない第三者から見れば兄妹やカップルのように見えてしまうやり取りだが、今回この2人が買い出しをしているのには訳があった
卵を大爆発させたセインは改めて学ぶために料理本を購入し台所を占拠した。まずは最低限のものを作れるように鼻息を荒くして意気込んでいたが上手くいかず冷蔵庫の資源をダークマターへ変貌させていく
「貸してみろ」
ナンバーズのまとめ役であるトーレは進歩の兆しが無いことにやきもきしセインから生卵を奪って手本を見せようとしたがボウルの中には崩れた黄身と殻が混合していた
「なんで私が」
「親心に感謝しろよ」
本来なら食材を無駄にしたトーレとセインに行かせるべき案件だがスカリエッティはセッテを指名し保護者としてミドラを同行させた。彼曰く『感情の起伏に乏しい娘に社会経験を積ませる』というのが理由だが本音は面白半分だと思われる
「しかし、よくそんな小洒落た服があったな」
「ドクターが用意してくれた」
カジュアルでありながら安っぽい代物ではなく良家のお嬢様が街に繰り出すような服装に視線を向ける人がチラホラ存在している
「案外似合っているじゃん」
「でも動きにくい、これだと戦闘が」
「今はそんなことを考えるな」
何事においても戦うことを基準にして物事を考えてしまう。指導係だったトーレもこのことに対して頭を悩ませていた
戦闘機人としては正しいことなのだが、この世に産まれたのなら寄り道や無駄を存分に楽しんでほしいのが製作者としての願いである
「私なんかよりオットーとディードにもやらせるべき」
「そのうち行くんじゃないのか?あの2人も大概に無感情で無頓着だし」
ナンバーズの中で社交性やコミュ力が高いのはウーノ・チンク・セイン・ウェンディ・ディエチであり、ワースト3はセッテ・オットー・ディードになる。トーレは武人肌で無駄を嫌うが普通に意思疎通は可能でノーヴェは喧嘩腰だが話は通じ、ドゥーエは顔を合わせたことがないので不明だがクアットロは外面美人の性悪女で一致している
「こんなものを食べなくたって栄養剤で―――」
傭兵時代に同じことを口にしていた仲間がいた。錠剤サプリメントや携帯食料を水で流し込んで戦場を駆けていったが勇猛果敢とは程遠く、油の満ちた落とし穴にハマって火矢を落とされた
「あのセインが頑張っているんだ妹らしく甘えれてやりな」
「そんなこと言われても…甘え方なんて教わったことがない」
堅物すぎるというべきかトーレが『あまりに機械過ぎる』と頭を悩ませるのがよく分かった気がする。指導をしたのは彼女だから一端の責任はあると思う
「クアットロが女の子らしい恰好をしたとき、どんな気分だった?」
「ちょっとだけスカッとした。いつも上から目線で偉そうなことばかり言ってたから」
映像は破棄されてしまったが翌日にスカリエッティは等身大アクリルスタンドを製作した。しかも強化素材を用いているのでノーヴェの拳やディエチの砲撃でもびくともしない
「面白いと感じることを試せばいい」
「例えばどんなの?」
「トーレにあんなのを着させてみるか?」
視線の先にはベビーカーを押す夫婦がいた。奥さんと思われる藍色のロングヘアの女性は『アクア君』と口にしながら金髪の男と腕を組んでいる
「どこが面白いの?」
「トーレが赤ちゃんの恰好で口におしゃぶりを咥えていたらどうだ?」
セッテは視線をベビーカーの中で寝ている双子の赤ちゃんに切り替える。チンクだと容易に想像できるが自身を指導してくれたトーレになると姿かたちが定まらない
「見てみたいと思えたら、それが面白いことだ!」
「分かった。ドクターに頼んで作ってもらう」
少しだけ成長した彼女と共に会計を済ませた2人は購入した荷物を車の中に積み込むとセッテは運転席に座った
「出来るのか?」
「ウェンディに教えてもらった」
「余計に心配なんだが」
「大丈夫」
チャレンジする心意気を阻害したら再び機械的な状態に戻ってしまうかもしれない、ここは彼女を信じることにして助手席に腰を降ろした
そして心配は杞憂だった。クラッチ操作に戸惑うことなく加速するときの切り替えをスムーズに行い坂道発進も教習所なら100点を貰える腕前だった。セッテ曰く戦闘機人には『データ蓄積』があり姉妹が活動した動作データを共有・再編して自らの動作にフィードバックすることが出来るとのことだ
「どう?」
「疑ってすいませんでした」
両手を上げて降参のポーズをしながら謝罪の言葉を述べているとポケットの端末に着信が入った音が鳴る
『いきなりですまない』
「どうしたんだ?ゼストのおっさん」
相手はドラゴン料理を食べて回復したゼスト・グランガイツであり、以前アジトで顔を合わせたよりも血色が良くなっていることが目に見えている
『今から指定した場所に来ることは可能か?』
「どうしたんだ藪から棒に」
『通信では憚られる。出来れば現地で伝えたい』
どうやら相当まずい案件なのかもしれない、断ってもよかったが今まで見たことないゼストの表情に興味が湧いたミドラは受け入れることにした
「じゃあ近くで降ろす」
「悪いな」
アクセルを踏み込んで加速すると路肩に車を止めて彼を降ろした。セッテは軽く頭をさげると小さな声で感謝の言葉を口にしてくれた
ミドラは地面を強く蹴り上げて上昇するとゼストと合流するポイントに降り立った。遠くの方で手を振る彼を見て近付くと誰かが横になって寝ているのが確認できる
「この前はルーテシアが世話になった」
「残さず食べてくれたら冥利に尽きる」
簡単な挨拶を済ませると視線を倒れている人物に向けると彼はギョッとした。濡れたハンカチが額に乗せられ時折苦しそうな声で呻いている。見覚えのある茶色い管理局の制服を纏っているは
「八神はやて!」
「少し前にルーテシアとガリューが助けた。すまない医者に見せたいが頼れるのがお前だけなのだ」
セッテとの買い物より厄介な出来事だと感じてしまう。頭を抱えるミドラの横でゼストは今までの経緯を口にするのであった
セッテとの買い物からゼストの頼み事になりました。トラブルが舞い込んでくるのも人生の寄り道だと思います。昨日のハイDのR18に体力を使い過ぎました
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
高町美由希の戦闘力は?
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ナンバーズに勝てる
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ギリギリ善戦出来る