機動六課は組織として殆ど機能しなくなった。入院した八神はやてに関しては徹底的な情報統制を敷くことで外部に流出することを避けるようにしたがバレるのも時間の問題である。クロノが代行として隊長業務を頑張っているが降りかかるストレスが原因で円形脱毛症と不眠症が進行してしまった
「………」
そして散々彼等を引っ搔き回したミドラだがスカリエッティのアジトで沈黙していた。孤児院への差し入れを終わらせ暇を持て余していたので彼女たちの住まうアジトへ向かったのだが入った直後にトーレに殴られてしまい久々に膝をついて倒れたのだ
「立て!貴様の入れ知恵なのは百も承知だ!」
ナンバーズのスーツを雑に纏い怒りの顔を露わにしている。その後ろではセインたちがオロオロとしながら見つめているがクアットロだけは優雅に佇んで冷笑を浮かべていた
「いったいセッテに何を吹き込んだ!」
彼の頭部を鷲掴みにして揺らしながらガラ空きの腹に何発も拳を入れる。しかしダメージを負うのはトーレの拳であり段々と赤く腫れあがってしまうが更に力が込められ殴り続けることになった
「完成したぞ!見てくれ」
その現場にスカリエッティが現れ全員の視線が集まり見せつけたのは赤ちゃんの恰好をしたトーレの等身大アクリルスタンドで細部まで手を抜くことなく丁寧に作られている
ーブゥゥゥゥン!ー
それは音速を超えた気がする。彼女はISの『ライドインパルス』を起動し最速の拳を振り抜いたがアクリルスタンドは傷一つ存在せず新品のままであった。彼女は更にパンチを繰り出すが乾いた音が響くだけで壊れることはなかった
「旦那〜大丈夫?」
「………問題無い!」
血を吐きながらセインが持ってきた水で口を濯いで状態を確認する。殴られた腹は痣が浮き上がっていたが日常生活を過ごすうえでは支障はない
「そういえば闇の書の主を助けたんでしょ?」
「助けたのはルーテシアたちで、俺は病院へ送り届けただけだ」
「なんでそんなことしたの?六課の奴等は私たち敵なんだし、優しくする必要なんてないよ!」
自分がやらなくても放置していればどこかの誰が運んでいたと思われる。だがあの場ではゼストに頼まれる形で引き受けてしまった。別に八神はやてのことを憐れんでの行動ではないが説明をするのが難しい、犯行理由で使用される『ムシャクシャしてやった』に近い感情だ
「俺はあいつ等のことを敵として認識していないが正解だと思う」
「どういう意味?さんざん戦ってきたじゃん」
簡単に言ってしまえばミドラは自分の道を歩いていたにすぎない、目的地に向かって真っ直ぐに歩を進めているだけで機動六課の隊員たちは運転中の車にわざとぶつかって治療費や慰謝料を請求する『当たり屋』みたいなものだ、彼女たちはぶつかる相手の大きさを見誤り大怪我を負っただけである
「変な例えだね。でもさぁ旦那の周りを攻撃してきたらどうするの?」
「潰すよ!全てを―――」
魔力をオーラ状に纏いながら迷うことなく言い放った。当人たちのタイマンなら第三者として我関せずだが、自分をおびき寄せる為やプライドを傷つけるための行動に対して慈悲を与えるつもりはない
「抑えて!オットーたちが怯えちゃうから」
「こんなので怖がるな、トーレの剣幕が凄かったぞ」
茶化すように人差し指を頭の上に乗せて角を突き出すと、アクリルスタンドを殴っていた彼女が引き返してミドラの頭部を全力で殴っていた。クアットロは高笑いをしながら倒れている彼の頭を踏みつけているが次の瞬間にはキャメルクラッチを決められてしまい自慢の眼鏡が割れてしまった。機動六課とは対照的にここには笑顔が溢れている
八神はやてが病院に運ばれてから1週間が過ぎようとした頃だった。ミドラは孤児院に呼び出され代表のいる部屋に足を踏み入れると露骨に嫌な顔をした
「なんでここに烈火の将がいる?」
そこには管理局の制服に身を包んだシグナムが座り目を閉じていたが寝ているのではなく瞑想をしながら静かに呼吸をしている
「お前と話がしたいそうだ、敵意が無いことは俺が保証する」
「すまない、お前の時間を少々奪うことになるが許してくれ」
深々と頭を下げられてしまい帰る気力を失った彼は彼女の対面に座り、代表の淹れてくれたコーヒーに口をつけて喉を潤した
「それで話ってなんだ?」
「まずは、主を助けてくれたことに感謝する」
「俺に対して言うことじゃないな、あくまで病院へ届けたにすぎない」
「だが、お前は身銭を切って個室を用意し我々のところへ連絡もしてくれた。もし主を助けてくれた者と顔を合わせることがあれば私の礼を伝えてほしい」
身構えていたがシグナムは八神はやてを助けたことに関して感謝の言葉を述べに来たのだ、とは言っても言葉だけでは腹は膨れないし財布の中身も薄いままである
「こっちとしては払った費用を出してくれれば構わないが」
「少し待ってほしい」
「次元航行部隊の管轄なら予算は潤沢なんだろ?」
確かに彼やルーテシアは命の恩人だが、犯罪者でキャロの使役するフリードを攫った面々に対して金を支払うことに躊躇いが生じている。正義の味方という看板が邪魔をしてしまい踏ん切りがつかない状態である
「アホらし、管理局ってくだらない組織だな」
「耳が痛い話だ」
互いに沈黙すると代表がお代わりのコーヒーを注ぐ
「かたじけない」
「それで機動六課は畳むのか?」
代表の発した言葉にミドラは反応する。六課の解散については初耳のことであり興味が湧いた
「分からない、ハラオウンは続けることを口にしていたが今の六課は組織として崩壊している。このままでは試験期間が終わる前に朽ちるだろう」
「俺達のいた傭兵団で徹底していたことは退き際を見誤らないことだ、ズルズル続けていたら死神たちに引き寄せられてしまう」
勝利よりも1人でも多く生き残ることを優先していた。怪我や重症を負った仲間のために退路を作って敵の進行を食い止めるために殿に立って誰も通さない
「あの頃はミドラがずっと殿を務めてくれたから生きることができた!」
「それでも救えなかった命も沢山あった」
その言葉にシグナムは過去の自身の行いを恥じた。強引で自分勝手な正義のために彼の両親を犠牲にしてしまった。もしかしたら闇の住民ではなく光の届く世界で家族と過ごす未来があったはずなのに奪ってしまったことを恥に思う
「こっちは外野から眺めさせてもらうよ!あと早く支払ってくれないと直接貰いに行くから」
そう言ってミドラは部屋から出ていくが、外から室内の様子を覗き込んで聞き耳を立てていた存在には気付かなかった
新作のことも考えながら書いてます。しかし戦闘機人って本来は地上の戦力不足を補うため(スターウォーズのクローントルーパーみたいな)だと思うけど、倫理観の問題の前に次元航行部隊が戦力や予算を抜き取っていれば考えちゃうよな
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録ありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
高町美由希の戦闘力は?
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ナンバーズに勝てる
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ギリギリ善戦出来る