肉体から解放されし彷徨える魂に導きを、無限の荒野を歩き続ける旅人に分け与えるのは天に向かう為の道標、幾千の兵たちが貴殿のことを待ち構え渇きを潤し癒やしを与えてくれる。我々は共に行くことは出来ない、しばしの別れとなるがいつの日か再会を果たしたときに飽きることなく語り尽くそう。今は大地に根を張る送り人たちを宙から見守ってほしい、その存在を心に刻み忘れることなく明日を迎えるだろう
建てた墓標に頭を下げて黙礼する。ミドラの後ろでは孤児院の子供たちが最期の別れとして手に持つ花を周囲に供えていく、代表は廃棄区画の住民からも好かれ参列者たちが持参したもので溢れてしまう
「彼の者に永遠の安らぎをあらんことを」
天に向けて砲撃魔法を放ち弔砲とする。魔導士ではない子供たちは見よう見まねでミドラと同じポーズで構えるのであった
「それでどうするつもりだ」
「俺が引き継ぐが受け入れに関してはしばらく閉ざさせてもらう」
別れの式が終わり子供たちは年長者を先導にして借宿へ戻っていった。孤児院は再建中であり寝泊まりするところが喫緊の課題だったが電話帳と睨めっこしていたゼストが郊外に古びた宿泊施設を発見したことで今はそこで身を寄せている
「チクバのトモだったか」
「なんだそれは?」
「大昔にクイントが教えてくれた他世界の言葉だ、親交の深い友人という意味らしい」
彼女の夫であるゲンヤ・ナカジマの祖先は第97管理外世界『地球』から移住してきたことで、向こうの文化についてナカジマ家では語り継がれていた
「拾われてからずっと一緒だったからな」
「微力ながら俺たちも手を貸そう」
「猫の手も借りたい程だが、いいのか?」
「僅かな時間しか残されていない、せめて人らしく終わらせてくれ」
「あいつ等は元気の塊だ、ついていけるかおっさん」
返事の言葉は無かったが彼の目には火が灯っていた。人造魔導士として蘇りタイムリミットを待つ身だが最後まで歩を止めることなく生き続ける姿は尊敬に値する
孤児院だが彼の発言したようにミドラが代表を引き継いだ、経営といってもやることは営利目的で活動している訳ではないので手持ちのロストロギアを売りさばいて当面の路銀を確保し運営費用にあてる算段としてる。今までとは畑違いの分野になるので新規の受け入れは凍結し最年少の子供が卒業するまで居を構えることにした
「嘘や…六課が、みんなが」
病院で報告をきいた八神はやては現実を受け入れることが出来なかった。事務官は瓦礫となった隊舎の映像を見せると隊員たちの怪我の具合を事務的に伝え。更にヴィータたちが行った孤児院への襲撃についても聞かされ動画サイトのコメントを見た彼女は発狂するように髪の毛を掻き毟る
「っははぁ…ふぁ……嘘やこ、、んなん」
「紛れもなく事実です。処分は退院後に伝えますので養生してください」
そう言って事務官は部屋の外に出て行ってしまった。はやては背中から倒れ天井を見つめているが焦点が全く合わず乾いた笑い声が口から漏れる。カリムの予言を信じ崩壊を食い止めるために機動六課を立ち上げたのに崩れてしまったのは自分たちであることを理解することは出来なかった
「そうか終わったか」
「君の注文通りにしたさ、もうエースオブエースはただの人間にすぎない」
スカリエッティから通信にミドラは憑き物が落ちたような顔をする。彼の依頼で全治2年を超える大怪我を負っていた彼女は日常生活において不便なく動けるようになった。無論ここからリハビリを行う必要があるので社会復帰するには時間が掛かる。リンカーコアも封印され二度と魔法を使うことが出来ない高町なのはに管理局は目の前から消えろと伝えた
「そっちはどうする?今から世界征服でもするか」
「少年コミックじゃあるまいし好きなだけ研究に没頭するさ、邪魔者は勝手にくたばってくれたからね。そこで私の方から頼みがある」
「セインたちのことだろ」
「理解が早くて助かるよ詳細に関しては追って伝える」
通信モニターを暗転させると彼はカプセルの中に浮かぶ『Fの遺産』を見つめながらほくそ笑む、高町なのはの手術代として提供された人体は戦闘で負傷していた部位も目立ったがスカリエッティにとっては些末なことに過ぎなかった。自分の提唱した理論を他者がどうやって解釈し実戦したのか気になってワクワクが止まらなかった
"ドゴォォン!"
無骨で巨大な鉄球が瓦礫と化した隊舎を破壊していく、作業着姿の労働者は散水しながら重機を操り黙々と仕事をこなしていく、結成初日に全員の前で抱負を語ったホールや自分たちが寝泊まりしていた部屋が物理的に壊されていくのを見て終わったことを実感する
「それが上の判断ですか」
「弁明の余地は全く微塵も無かった。肩入れしていた私も左遷が言い渡されたよ」
ミドラとの戦闘で負傷したクロノは上層部から呼びつけられて六課の処遇について聞かされていた。案の定のことだかお咎め無しという訳にはいかなかった
「なんで僕とフェイトが減給だけで済んでいるのですか?」
「それぐらい分かっているはずでは?」
処分内容だが六課に所属していた整備員や事務を担当していた隊員たちは処分を受けることなく原隊復帰や民間企業へ転職など希望する進路へ向かうことが出来た。スバル・ギンガ・ティアナの3名は陸上警備隊第108部隊で預かることになり機動六課の名前が世間から薄れるのを待つつもりだ
「母の―――」
「しばらく冷や飯食いになるだろうが耐えてくれ」
クロノとフェイトはハラオウン家の名前のおかげで軽い処分となったがしばらくは表舞台に立つことは厳しくなるが生活が出来なくなるほど困窮する訳ではない、しかし全員が許されたという訳ではなかった
「八神はやてには相当重い罰が科せられる見込みだ!」
「そんな…どうにかすることは?」
「難しいな、なにせ支援をしていた次元航行部隊の重鎮たちが率先している」
既にシャマル・ザフィーラ・ヴィータは捕えられ判断を待つ身となっている。シグナムに関してはミドラから受けた傷の治療が終わってから連行される予定が組まれている
「だがヘイトの矛先を変える手札が今こちらに向かっている」
「…手札ですか」
「今から話すのは個人的な戯言や勝手な独り言だと思ってくれ」
「……………?」
この前置きにクロノは疑問符を浮かべた
「私と彼は八神はやてのファンでこのまま処分されるのは不本意だと思う。だが未来を知る者が救いの手を差し伸べることが出来れば彼女のことを守ることが可能だと信じている。…おやまだ居たのかなクロノ・ハラオウン、こんなところで油を売っていてよいのか?」
「(………!)」
彼は頭を下げると部屋から急いで出ていった。ぐずぐずしている暇はなく完全に時間との勝負になる。クロノは同僚から通信機器を借りると脳内会議を行いながら彼女を助けるために駆け出すのであった
古代遺物管理部機動六課は課せられた任務を果たすことが困難であること、部隊長である八神はやて二等陸佐が現場を離れ入院していることを報告せずに隠匿していた。本件は時空管理局が設けた秩序をないがしろにする行為であり当月末に解体が決定された
クロノ・ハラオウン 12ヵ月の減給処分
フェイト・T・ハラオウン 30ヵ月の減給処分
シャッハ・ヌエラ 聖王教会へ復帰
高町なのは 親族より退職届けが提出され受理
スバル・ナカジマ 陸上警備隊第108部隊へ転属
ギンガ・ナカジマ 同上
ティアナ・ランスター 同上
キャロ・ル・ルシエ 魔力封印措置が施され無期刑処分
エリオ・モンディアル 行方不明
ヴィータ 第9無人世界の『グリューエン』軌道拘置所第1監房収容
シャマル 除隊届けが提出されたが不受理で処分未定
ザフィーラ 不問
部隊長の八神はやてライトニング分隊のシグナムは入院先の病院から忽然と姿を消して逃亡したと思われる。周辺地域の防犯カメラに不審な車が猛スピードで走り去る様子が記録されていたが盗難車であり乗り捨てられていた。捜索は継続する見込みだが人員は徐々に縮小する模様
次話がラストになると思います
日曜日は凱旋門賞、頑張れメイショウタバル
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誤字訂正もありがとうございます
高町美由希の戦闘力は?
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ナンバーズに勝てる
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ギリギリ善戦出来る